小林内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和4年1月7日

(令和4年1月7日(金) 10:57~11:09  於:中央合同庁舎第8号館1階S103記者会見室)

1.発言要旨


 冒頭発言なし

2.質疑応答

(問)持続可能な発展のための国際基礎科学年が6月30日から始まります。ただ、この運営委員会に日本の機関が参加していなくて、学術会議がオブザーバーとして参加しているのみです。先進国としてどうなのかというのが1点。
 学術会議は運営委員会のメンバーになれなかったのは拠出金が出せなかったものだと聞いているんですけれども、学術会議の在り方を考えるとき、そういった拠出金が出せないような予算でどうなのかというのが2点目。
 さらに、こうやって大きく変化する中で、そもそも国内で学術会議の在り方を議論している場合ではないんじゃないかというのが3点目、そのことについて教えてください。
(答)今おっしゃられたように、昨年の12月2日に、国連総会におきまして、今年の6月30日から1年間を「持続可能な発展のための国際基礎科学年」とすることが決議されたことは承知しております。この基礎科学年につきましては、持続可能な発展を達成して、世界中の人々の生活の質を向上させていく、そのためには基礎科学に対する認識を高めて教育を強化することが不可欠である、そうした認識の下で決議されたものであって、我が国としても共同提案国の一つとして、その意義を共有しております。
 今、オブザーバーという話もありましたけれども、本件への対応としましては、先般、日本学術会議におきまして連絡会議を設置しました。この基礎科学年への対応として、情報の発信ですとか、あるいは各種企画などの検討に着手したと承知をしております。関連する学協会と連携して、有意義な取組がなされることを期待しておりますので、オブザーバーという立場で、それに対する評価はいろいろあるかと思いますけれども、基礎科学については言うまでもなく、イノベーションとか、知の源泉となるものであると認識しておりますし、また今後の世界の発展のためにも極めて重要なものだと認識しておりますので、政府としてはこの基礎研究につきまして腰を据えて、こうした動きも含めてしっかりと支援をしていきたいと考えております。
 2点目の日本学術会議の在り方につきましては、これはこれまでもいろいろ問題提起がなされて、そして学術会議としても昨年の春に学術会議なりの考え方を示していただいて、今いろいろと取り組んでいただいているものと認識しておりますけれども、一方で政府としてもCSTIの場で今後の在り方についてどうあるべきかというのを有識者の方々に方向性を決めることなく自由に議論いただいております。こういう基礎科学年みたいなものを定めたから、それをやらなくていいというのではなくて、学術会議の在り方も非常に重要だと思っておりますので、バランスよく、しっかりと学術会議においても対応していただきたいと思います。
 政府としては、これまでの在り方も含めてCSTIで検討いただいておりますので、これからもその点についてはしっかりと検討を深めていきたいと考えています。
(問)テラパワー社とDOEの次世代高速炉計画、これに原子力機構と三菱重工が技術協力するという報道がありましたけれども、この事実関係と政府としての考え方をまず教えてほしいのと、経済安全保障の観点からいうと、日本が今まで培ってきた技術を国内では使えないという現状についてどのようにお考えなのか、教えてください。
(答)事実関係から申し上げますと、もう既に報道では出ておりますが、原子力機構、三菱重工などがナトリウム冷却高速炉の開発を進めるアメリカのテラパワー社から研究開発についての協力要請を受けていることは政府としても承知しております。こうした海外開発プロジェクトに参画することは、原子力に関する国際協力の視点のみならず、我が国の人材育成の機会を確保する観点からも重要なことと認識をしておりまして、今後、高速炉に関して日米協力が着実に進展することを期待しております。
 また、経済安全保障の観点からすれば、日本の持っている技術について、国内で今後どういう形で維持、そして更に育成していくのかというのは大きな検討課題だと思っております。それと同時に国際連携、特に価値観を共有する国々との連携というのは当然重要になってくると思いますので、そこはあくまで我が国の国益に資する形で、こうした動きが進んでいくことを期待したいと思います。
 政府としても、これは経済産業省が中心に今やっているものと認識しておりますけれども、当然我が国の技術が、今後アメリカとの連携によって更に日本の技術が進展する、育成する、そうした環境づくりというものは考えていかなければいけないと思っておりますので、今、国内でなくてアメリカと連携するから、それは国益に資するものではないとは考えておりません。
(問)高速炉の関連で伺います。今回の件は、恐らく日本の技術がアメリカに提供されるという方向になると思います。一方で、アメリカ側の技術についても日本は吸収して、お互い協力して次世代炉を造っていくという方向を狙っていると思うんですが、恐らく将来的には輸出管理のマターにも関わってくると思います。輸出管理、ご案内のとおり、経済安全保障上も非常に重要な案件だと思いますが、この点、計画を進めていく上で何か課題になっていくと思う点、もし大臣の考えがあれば教えてください。
(答)これは、まさに輸出管理を担当している経産省で、それは適切に対応されるものと承知をしております。今おっしゃった点というのは、先ほどの件とも絡みますけれども、非常に重要な話であって、ウィン・ウィンの関係をどうやって築いていくのか、民間企業同士の話ではありますけれども、それは経済安全保障の観点からも極めて重要な話だと思っています。
 当然、こうした技術については、輸出管理の観点からも冷静に見極めていく必要があると思っておりますので、その権限を持っている経済産業省で、我が国の国益に照らして、そこはしかるべく判断をされると承知しています。
(問)一部報道で、経済安保法案について、情報漏えいで民間に罰則を検討という報道がありました。民間に罰則、内容次第だとは思うんですけれども、かなり場合によってはハレーションが大きいようなものになるんじゃないかということもあるんですが、このことに関して大臣はどのようにお考えなのか、お話しいただけますか。
(答)報道については承知していますけれども、現在、この法案の中身については、これまでも申し上げているとおり、昨年の経済安全保障推進会議におきまして有識者会議が立ち上げられ、昨年の年末、12月28日に第2回目の会合が行われました。そこで私から申し上げた4つの項目を中心に検討いただいているところです。ですから、まだ具体的にどうするかというところが何か固まっているものがあるわけではありません。
 ただ、いずれにしても、これまでも申し上げているとおり、主たるプレーヤーは民間企業であって、またアカデミアの方でもあると思っておりますので、だからこそ有識者会議には、そうした方々にも参画していただき、自由に意見を言っていただいております。必要な措置が仮にあるとしても、民間企業の活動は、基本的にビジネスというのは自由ですから、それぞれ自由な経済活動を大きく阻害することなく、そこはしっかりと制度設計をしていく必要があると思っています。
(問)今のお話ですと、経済活動をきちんとできるという前提の下で、一定程度そういう罰則というのは必要だという認識でしょうか。
(答)罰則について今申し上げたわけではありません。全く自由に経済活動してくださいというのであれば、特段法律というのは必要ないと。もちろん先端技術の育成を支援していくというところなど、プラスの意味もありますけれども、経済合理性だけでは割り切れない部分というものが現実に国際情勢の中に出てきているので、規制という側面が一部出てくるということは否定できないんだと思っています。罰則という意味ではなくて、規制という意味です。ただ、そういうものを仮に導入していくとすると、民間企業の方々のしっかりと意見を聞いた上で、そこのバランスは取っていく必要があると考えています。

(以上)