小林内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和3年12月28日

(令和3年12月28日(火) 11:36~11:56  於:中央合同庁舎第8号館1階S103記者会見室)

1.発言要旨


 1点目は宇宙政策担当大臣としての報告です。
 本日、宇宙開発戦略本部が開催され、「宇宙基本計画工程表」の改訂を決定いたしました。総理からは、特に3点について内閣府を中心に関係府省が連携して取り組むよう発言がありました。
 まず、1点目といたしまして、大規模災害があった際に、夜間や悪天候でも宇宙から被災状況を迅速に把握できるよう、多数のレーダー衛星からなる「小型衛星コンステレーション」の構築を2025年までに実現すること。加えて経済安全保障の観点からも重要な、衛星間光通信などの基盤技術について早期に実証衛星を打ち上げることを念頭に、我が国が先行して獲得できるよう取り組むこと。2点目といたしまして、月で有人活動などを行う「アルテミス計画」を推進し、2020年代後半には日本人宇宙飛行士の月面着陸の実現を図ること。さらに、3点目といたしましては、カーボンニュートラルに貢献する宇宙太陽光発電の開発や日米豪印、いわゆるQuad(クアッド)での宇宙分野における協力を進めること。
 総理の発言を踏まえまして、私自身先頭に立って宇宙政策をしっかりと進めてまいります。
 2点目の報告事項でございますが、こちらは経済安全保障担当大臣として報告をさせていただきます。
 本日、第2回目となる「経済安全保障法制に関する有識者会議」を開催いたします。去る11月26日に第1回の有識者会議が開催され、慶應義塾大学教授の青木節子先生が座長にご選出された上で、経済安全保障法制につきまして有意義なご議論が行われました。そして、更に本日の会議までの間に、サプライチェーン、基幹インフラ、官民技術協力、そして特許非公開の4分野の検討会合が開催され、専門的な見地から議論を深めていただきました。
 本日の第2回有識者会議においては、この分野別の検討会合での議論の結果について報告、そして討議が行われまして、経済安全保障に関する法制の在り方について、更に議論を深めていただくことを期待しております。

2.質疑応答

(問)今年ももう押し迫ってきましたけれども、大臣、今年を振り返ってのご所感をお伺いしたいんですけれども。
(答)今年の振り返っての所感ですけれども、やはり10月の岸田内閣の組閣におきまして入閣ということで、経済安全保障と科学技術、そして宇宙政策の担当閣僚としてその任を受けたということは、私のこの1年間にとって非常に大きな出来事だと思っております。それまで自民党のほうで、今申し上げた分野については、私なりに強い関心を持って取り組んできた自負がございますので、今度は政府の閣僚という立場で、そうした党でのこれまで積み上げてきたことも踏まえて、政府の立場でこれから進めていける、実現していく、そういう立場に立ったことは非常に大きなやりがいを感じておりますので、引き続き挑戦していきたいと思っています。
 振り返ってということですけれども、それと同時にいろいろな意味で多くの方々に感謝の気持ちを持っております。特に私の今申し上げた政策分野の前に、岸田内閣としては足元のコロナ禍への対応をどうしていくかということで全力を注入しているところだと認識しておりまして、そういう意味で多くの国民の皆様のご理解とご協力をいただいていることにまずは感謝申し上げたいです。
 私自身の担務の話について申し上げれば、私自身がこの3カ月間走ってくる中で、大臣室のスタッフもそうですし、経済安保、科学技術、宇宙、それぞれの職員の皆様が、国のため、国民のために本当に懸命に働いてくださって、私自身の仕事も支えてくれているというところ、そこには感謝しかないです。
 そして、今日が今年最後になりますけれども、こうしてメディアの皆様にもこの3カ月間、いろいろ関心を持っていただいて、様々な角度からいろいろご質問もいただきましたし、そういうことにも感謝しています。
(問)来年いよいよ法案提出ということになりますけれども、これまでも取組を進められてきて、法案で措置していくところの意義付け、どのように意義を感じていらっしゃるかというところ。一方で、有識者会議などでも経済界から萎縮効果を生じさせないでほしいという声が出ている現状もありますけれども、そういうところにどのように応えていかれたいか、来年に向けて伺えればと思います。
(答)まず法案について来年どう取り組んでいくのかということですけれども、先般の臨時国会の総理の所信表明演説におきましても、来年の通常国会への法案の提出を目指していくと明言されていますので、まずは国会に法案を提出できるように作業を加速していくということだと思います。提出できたら当然、成立を目指して全力を尽くしていきたいと考えております。
 意義としては、これまで伝統的な安全保障ということで、外交ですとか防衛、こうしたところを中心に政府として取り組んできたところがあると思いますが、今の国際情勢を踏まえれば、経済という視点を安全保障にどう位置付けていくかということは極めて重要な話であります。今回の法案というのは、経済安全保障全般というよりも、大きな経済安全保障という枠組の中での一部を構成するものだという認識なんですけれども、我が国として速やかに取り組んでいかなければならない喫緊の課題というものがたくさんありますので、まずはできるところからしっかり進めていくと、形にしていきたいと、そういう強い決意で来年は臨んでいきたいと思っています。
 2点目の産業界の一部から出ている萎縮に関する点につきましては、私自身、この会見の場でも何度か申し上げましたが、経済安全保障というのは規制という側面がもちろんないとは申し上げませんが、そういう面があるのは否定できませんが、必ずしもそれだけではなくて、これからアメリカであれ、欧州であれ、中国であれ、例えば主要国が先端的な重要技術の分野においてしのぎを削っている中で、日本としてどういう形で勝負をかけていくのか、日本の強みをどう育成していくのか、こうした前向きな話というものもたくさんあり、それを政府としてどう支援していくのか、あるいは一緒に走っていくのかという話もございますので、経済安全保障について、更に私自身も自分の立場からしっかりと発信をしていきたいと思います。
 あとは、当然政府の中だけで完結する話ではなくて、経済安全保障、あるいは経済のメインプレーヤーというのは民間企業であり、あるいは研究開発というところを含めればアカデミアであり、そうした方々がメインプレーヤーで、対話を通して国益の観点から何が本当にベストなのかというものを更に突き詰めて考えていく必要があると思っております。その意味で、本日午後、有識者会議も開かせていただきますが、産業界の皆様にも入っていただきます。そうした中で例えば予見可能性をどう確保していくのかという点も含めて、そこの認識は共有しておりますので、こうした点についてもしっかりとみんなが共通の認識を持って進めていけるように、そこは配慮していきたいと考えています。
(問)通常国会への提出を目指している法案につきまして、冒頭ご発言がありましたように、本日、有識者会合全体第2回目ということなので、こちらの今後の取りまとめでありますとか、あるいは実際に法案を提出するに当たっての事前の骨格の公表でありますとか、その辺のスケジュール感については現時点でどのように考えていらっしゃるのかというのをお願いいたします。
(答)現時点では、その点については具体的に決まっていることはありません。あと何回開くのか、いつ取りまとめるのか、そういうことはまだ決めておりませんが、いずれにしても有識者会議でかなり幅広い視点からご議論いただいておりますので、何らかの提言のような取りまとめというものはしていただきたいと考えております。
 中身につきましては、これまでも繰り返し申し上げているとおり、サプライチェーンの強靱化、基幹インフラの信頼性・安全性の確保、また先端的な重要技術に関する官民協力の在り方、特許の非公開化、この4分野を中心に自由にご議論いただいておりますので、そうしたご議論を通じて取りまとめに向けて、政府に対して提言をいただければありがたいと思います。
(問)先ほどのアルテミス計画について1点お伺いしたいんですけれども。2020年代の後半に日本人が月面着陸を目指すということですが、ここで特に日本人が月面着陸を目指すということの意義について、大臣はどうお考えでしょうか。
(答)宇宙はいろんな意味があると思うんですけれども、やはり夢と希望があふれるフロンティアじゃないですか。そこに今まで月面に着陸したのはアメリカ人しかいなくて、米国人を除いて日本人が次に月面に着陸していくということは、それは今申し上げた夢とか希望をかき立てる話であります。
 実は地元の選挙区に千葉英和高校という高校がありまして、そこが宇宙エレベーターのロボット技術を競うコンテストで2連覇したんですよね。それで来ていただいて、いろいろ話をしたんですよ。そうしたら、宇宙に対する何かワクワク感というか、そういう前向きな気持ち、パッションをすごく私は感じました。
 今日は総理ご本人の口から2020年代後半に日本人の宇宙飛行士の月面着陸を目指すということを明言していただいたので、この効果というのは、この意義というのは大きいと私は思っております。
 それに加えて、日本が本当に日本人の宇宙飛行士が月面着陸するためには、いろいろと挑戦していかなければいけない部分もあります。それは国としてもそうですし、民間企業としてもそうだし、アカデミアとしてもそうだと思います。そうした目標に向けて様々なステークホルダーが力を合わせていく、そのことで日本の宇宙産業の振興などにもつながっていく話だと思っていますので、そういう意味での意義が大きいのではないかと受け止めています。
(問)ネット専用学術誌の一つ「ハゲタカジャーナル」についてお聞きします。
 先日、日本人の研究者の論文が全文盗用されるという被害に遭いました。そのサイトに掲載された論文全てが盗用論文だということも分かりました。極めて悪質な事例だと思うんですけれども、この問題に対する所感と注意喚起などがあれば、お願いします。
(答)今、ご指摘いただいた査読誌であることをうたいながら、著者から論文の投稿料を得ることのみを目的とする粗悪な論文誌につきましては、学術の健全な発展を損なうという意味で極めて問題があると私は考えています。
 当然申し上げるまでもなく、研究成果として公開する論文の質の担保というのは、科学の健全な発展にとって不可欠なものであると考えます。研究者の方たちがどの学術誌に論文を投稿するかというのは、本来はそれぞれの研究者自身の見識に基づいて主体的に判断されるべきものであるとは考えておりますので、各大学におきましても、今ご指摘があったような粗悪なジャーナルに投稿しないように、研究者の方々に注意喚起を行っていただく、そうした対応をされてきたと認識しております。
 他方、近年、まともな論文誌を装って新規投稿を促すために質の高い論文を著者に無断で掲載するといった、より悪質な手口があると認識しております。このためにも大学や学協会などからも研究者に対して継続的に注意喚起を行っていただくことが重要であって、文部科学省におきましても、今年の10月に優れた対策事例を収集して各大学に紹介するなどの取組を行っていると承知しています。
 いずれにしても、研究成果の質の担保は科学の発展に極めて重要なものでありますから、文科省を始め関係機関とこうした問題意識を共有しながら対応していきたいと考えています。
(問)12月23日に公開された日本学術会議の在り方検討会の資料で、当面の論点というのが示されたと思います。これを読むと、直ちに組織改革をするのではなくて、一定期間を設けて学術会議側の改革を見極めるようにも読めるんですが、この辺りの受け止めをまずお願いします。
(答)そもそも位置付けとして、政策討議については、あらかじめ方向性を決めることなく自由に議論していただくことを趣旨としておりますので、今もおっしゃっていただいたようなことも含めて、様々な議論が行われているということは承知をしておりますけれども、現時点でいつまでにどのような形で取りまとめるかということは何も決まっておりませんので、引き続き有識者の方々に自由にご議論をいただきたいと受け止めています。
(問)今まさに学術会議の機能を強化していると思うんですけれども、強化した先に、例えば大臣が力を入れていらっしゃる経済安全保障について、学術会議はどう関わってくるとお考えでしょうか。
(答)それは学術会議の皆様がお考えになることだと思いますので、私の口からどう関わってくるのかというのを申し上げることではないのかなと思っています。
 学術会議の方だけではなくて、先ほどのご質問にもあったように、経済安全保障を進めていくに当たって、メインプレーヤーの中にアカデミアの方も含まれていると感じておりますので、しかるべく対話というものは行っていきたいと考えます。

(以上)