小林内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和3年12月24日

(令和3年12月24日(金) 10:57~11:17  於:中央合同庁舎第8号館1階S103記者会見室)

1.発言要旨


 健康・医療戦略担当の大臣として2点報告です。
 1点目といたしまして、22日にグローバルヘルス戦略推進協議会を開催し、中間取りまとめを行いました。この中では、公衆衛生危機に対する対応の強化やポスト・コロナ時代に求められるより強靱、より公平、より持続可能なユニバーサル・ヘルス・カバレッジの達成等を目的として掲げております。今後も検討を進めまして、来年6月までのできるだけ早い時期に最終取りまとめを行う予定です。
 2点目といたしまして、本日、「第5回日本医療研究開発大賞」の表彰式を官邸において行います。本表彰は、医療分野の研究開発推進の功績を称え、健康・医療戦略の推進に多大な貢献をした優れた事例を表彰するものでございます。今回、内閣総理大臣賞につきましては、コロナ重症患者の救命にも貢献した「ECMOの研究開発と実用化及び普及」、そして健康・医療戦略担当大臣賞につきましては「多発性硬化症治療薬の開発」に関して表彰をいたします。両件とも詳細は事務局にお問い合わせをいただければと存じます。
 次に、科学技術担当大臣としての報告です。
 戦略的イノベーション創造プログラム、いわゆる「SIP」でございますけれども、これは平成26年に創設し、総合科学技術・イノベーション会議(CSTI)の司令塔機能を生かしまして、府省横断的な研究開発に取り組んでまいりました。現在の第二期は、来年度で最終年度となります。このたび、令和5年度からの次期プログラムに向けまして取り組むべき課題について、我が国が目指す将来像を踏まえてバックキャストによる検討を行い、昨日、12月23日のCSTIのガバニングボードで課題候補を決定したところであります。
 年明けの1月からは、これらの課題候補につきまして幅広くアイデアを募るため、研究開発テーマの情報提供依頼を実施いたします。
 公募により提案されたテーマをもとに、来年度、プログラムの具体化に向けたフィージビリティスタディを行う予定でございますので、研究機関の方々などから積極的にご提案いただけますと幸いに存じます。この点につきましても、詳細は午後に橋本CSTI議員および事務局からブリーフィングをさせていただきます。
 宇宙政策担当の大臣としての報告です。
 私が大臣就任前の本年6月に超党派の同僚議員とともに成立させました宇宙資源法(宇宙資源の探査及び開発に関する事業活動の促進に関する法律)が昨日、12月23日に施行されました。この法律は、これまで取り扱いが不明確でありました宇宙空間で取得した資源の所有権を認めること等により、月面などにおける民間事業者の活動を促進するものでございます。
 宇宙空間はまだまだルールが整備されていない分野の一つでございます。この中で宇宙資源開発についてしっかりとした国内法を整備し、その実績を積み上げることで国際社会をリードしていくことも重要と考えております。今後、申請事業者の相談に丁寧に対応しつつ、適正な法運用に努めてまいります。これにつきましても、詳細は宇宙開発戦略推進事務局までお問い合わせをいただければと思います。

2.質疑応答

(問)SIPについて教えていただきたいんですけれども、これまで第1期、2期と続けてこられて、その評価というか総括を大臣としてどういうふうに見ているのか教えてください。
(答)SIPは平成26年に内閣府主導で創設をして、先ほど申し上げたとおり、今、2期目の4年目に当たります。目立った最近の成果としましては、府省や産学官の垣根を越えて基礎研究から社会実装まで一貫して推進してくる中で、例えば今年3月にSIPの成果を活用しまして世界初のレベル3の自動運転車が販売されました。これはホンダのレジェンドで100台ぐらいですけれども、ちょっと高いんですけれども、こうしたものが販売されたり、また浸水範囲などの災害関連情報を電子地図にまとめて発信する防災情報共有システム、これにつきましては実際の豪雨災害の現場でも活用されておりまして、こうした社会実装に向けた成果というものが着実に表れてきていると現時点では思っております。
(問)今回、3期のフィージビリティスタディを始めるわけですけれども、3期について、今までの第1期、第2期とは違うフィージビリティスタディから始まると。この狙いと、それに対する期待について、大臣、どうお考えでしょうか。
(答)これにつきましては、CSTIのガバニングボードを中心に、SIPの制度をどうすれば更に質を高めていけるかということで議論していただいております。これまでも第1期、第2期と政府としても頑張ってきましたが、いろんなところから出てきたものを集めて、それを材料にしてやっていくという形だったんですけれども、Society5.0という目指すべき将来像というものがありますので、次の第3期目からは、目指すべき将来像というものからバックキャストする形で、どういうターゲット領域を設定していくのかという視点をこれからは設けていきたいと思っておりまして、そこが大きな違いだと考えております。
 ターゲット領域をしっかりと設定した上で、当然、それについて産学官から幅広く研究開発のテーマ、アイデアを募集させていただきます。そうしたアイデアを募集する中で、これから選んでいくことになりますけれども、プログラム・ディレクターを中心に、集まってきたものの中でよりインパクトの高いテーマを絞っていく必要があると思っていますので、そのプロセスの中でしっかりとフィージビリティスタディを行っていくということでございます。第1期、第2期目と比べて、そういうアプローチを導入することで、更に質の高い研究開発、社会実装までつなげていけるような、そういうテーマを絞っていきたいと考えております。
 また、当然府省だけでは思いつかないような革新的な考え方を取り入れるということも期待できるところでございますので、これからSociety5.0を目指していく上で、次期SIPの実施に向けて更なる検討というものを重ねていきたいと考えています。
(問)1つ目は、先ほどの閣議で、来年度、2022年度の当初予算案が決定しました。経済安全保障分野で大臣として力点を置かれているところがどのようなところなのか、伺えたら幸いです。
 もう1点、米国で新疆ウイグル自治区での強制労働が疑われる事案に対する輸入制限をという法律が先ほど大統領によって署名されました。日本企業にはそれなりの影響が予想されると思いますが、広い意味での経済安全保障、人権の関わりから見て、どのように大臣はご覧になっているでしょうか。
(答)1点目の来年度予算案の件につきましては、私の担当分野、ポートフォリオの中では、科学技術、宇宙、いろいろあって、それも全体として見れば、経済安全保障に何らかの形で結びついてくるものです。例えば経済安全保障についていうと、これから人工知能ですとか量子、あるいはバイオ、マテリアル、宇宙、海洋、そうした各国がしのぎを削る先端技術分野の中で、どこに日本の強みがあって、そこをどう育成していくのか。また、育成をしていく形の中で官民で一緒にやっていくときに、ではその情報の保全をどうするかとか、いろいろ含めた上で、経済安全保障プログラムというものを進めていくんですけれども、注力する分野を見極めていく必要があって、その一つのアプローチとして、以前もこの場で申し上げましたけれども、シンクタンク機能を立ち上げていくということになっております。こうした立ち上げに必要な経費などについて計上させていただいているところでございます。
 あとは、経済安全保障という枠を超えてくるかもしれませんが、日本の研究力、特に大学の研究力を底上げするとともに、世界と伍する研究大学をつくっていくというところで、いわゆる10兆円ファンド、これについてもしっかりと確保することができました。それぞれ科学技術も宇宙も経済安全保障とリンクしてくるので、そこを整合的にしっかりと進めていきたいと考えております。
 ウイグルのアメリカの法案との関係について申し上げますと、そもそも我が国は普遍的価値である人権を擁護すべく欧米諸国との連携を重視しております。例えばG7では人権や基本的自由の尊重を中国に求めると指摘しておりまして、中国に対し、新疆ウイグル自治区の話ですとか、香港における人権、基本的な自由の尊重を求め、人権侵害について懸念を表明しているところであります。
 昨今、特に今の法案の話もそうだと思いますが、アメリカやヨーロッパで自社や取引先の企業で人権に関わるリスクが問題視されておりまして、ビジネスと人権という観点から、サプライチェーンでの人権侵害の排除などを念頭に、いわゆる人権デューデリジェンスに関する様々な措置を導入している企業の事業活動にも影響が出てきていると認識しています。
 こうした中で、例えば10月の下旬に行われましたG7の貿易担当大臣会合でも、共同声明におきまして、国家により行われる少数派への強制労働への懸念に言及がなされ、国際的なサプライチェーンから強制労働を根絶するため協働するよう求めるという声明が発出されたところでございます。我が国の呼び掛けで、各国の措置が企業にとってビジネスの先行きを見通せるように取り組むことが合意されまして、2年後、日本がG7の議長国になりますから、そうした国際的な議論を日本政府としてもしっかりと関与していくということが重要だと考えております。
 また、人権侵害全般について申し上げると、サプライチェーンの話だけではなくて輸出管理など、今まさに国際社会において議論になっておりますけれども、皆さんご案内のとおり、先日、国際人権問題について各関係省庁における横串の議論を機動的に進めるために、中谷内閣総理大臣補佐官をトップとした2つの会議体が立ち上がっておりますので、こうした場を中心に、更なる政策や措置について検討、深掘りがなされていくものと考えております。
(問)宇宙資源法について伺います。このような宇宙資源の採取に関する国内法を整備している国は、世界でもアメリカとか、ルクセンブルクとか、あとUAEですか、数カ国しかないと認識しています。今回、国内法を整備することで、あらためて日本にどういう国益があるのか、大臣の考えを教えてください。
(答)幾つかあると思っておりまして、今、国内法を整備しているのは、アメリカ、ルクセンブルク、UAE、そして4番目が日本というふうに理解をしています。宇宙というのはフロンティアでございますから、今そこにおける国際的なルール形成というのが十分に進んでいない、これからの領域だと認識しています。そうした中で、一方で民間企業の動きというのは速いですから、宇宙空間に民間企業として進出し、様々なビジネスを展開しようとしている方たちが、日本を含めて世界のいろんなところに出てきています。そうした中で、国内法整備の1つの目的というのは、我が国の宇宙産業の振興を図るということでございまして、この法律に基づいて、例えば月に行く、月で民間企業が資源を採る、それについて所有権を認めるということですから、企業にとっての予見可能性を当然高めることになりますし、国内外のそうした意欲あふれる企業が日本の法律に基づいて挑戦していただくことを1つは期待しております。
 もう1つは、今言及したルールが整備されていないというところで、これは資源の分野だけではなくて、宇宙空間の利活用に関するルール形成というのはこれからやっていかなくてはいけない。そこでルールがないと、どうしても力のある国が先に全てやってしまって、世界全体の多くの国や人々にしっかり披歴するような形で宇宙空間の利活用というのはされるべきだと思っていますので、このルール形成に当たって日本が主導的な役割を果していく必要があります。
 なぜ日本が主導的な役割を果す必要があるかというと、今回の宇宙資源法もそうなんですけれども、これは私たち議員の立場で、多くの方々にとってできる限り公平な形で、多くの国が理解していただけるような形での内容にしたつもりなんです。ですから、今は4カ国かもしれませんが、これから国内法を整備する国が、できれば参考にしていただけるような、そういう内容にしたつもりでございまして、こうした我が国がつくった法律に類似の法律がどんどん出てくれることによって、国際社会におけるルール形成というものも適切な形で進むことを期待していますので、それが2つ目のポイントでございます。

3.資産公開に関する質疑応答

(問)なし
(答)なし

(以上)