小林内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和3年12月17日

(令和3年12月17日(金) 8:41~8:49  於:参議院本館3階 内閣記者会3)

1.発言要旨


 科学技術政策担当大臣として報告をいたします。
 近年、研究活動の国際化、オープン化に伴う新たなリスクへの懸念が顕在化してきておりますことから、国際的に信頼性のある研究環境を構築することが不可欠となってきております。このため、政府として、研究の健全性・公正性、いわゆる研究インテグリティの自律的な確保を目指し、研究活動に係る透明性確保のために、必要な情報の提出を求めるよう、競争的研究費の適正な執行に関する共通的なガイドラインの改定を今般行いました。
 具体的には、対象事業の範囲を従来の競争的資金から全ての公募型の研究費事業に拡張するとともに、公的資金配分機関等におきまして、まず研究者に対し、国内外全ての研究資金の応募・受入状況や、全ての所属機関・役職に関する情報の提出を求めるとともに、所属機関への適切な報告の誓約を求めること。また次に所属機関における利益相反・責務相反に関する規程の整備の重要性を明示し、必要に応じて整備状況等を確認することなどの措置を行うことといたしました。
 また、情報を偽る等により不正に研究費を受給していた場合は、5年間の応募制限を科す等の措置を講じることとしております。資料をお配りしておりますが、この後に詳細につきましては事務局からブリーフィングをさせていただきます。
 いずれにしても、本ガイドラインの改定を通じ、研究者・研究機関等が安心かつ適切に国際的な研究活動を行える環境を整備し、世界で最もイノベーションに適した国の実現を目指してまいります。

2.質疑応答

(問)今回のガイドラインの中で、不正行為の中で、国益を損なう技術流出も対象という理解でよろしいんでしょうか。
(答)そうですね。そういうことになります。
(問)今回は公的資金を対象にするということなんですけれども、民間にもそういう技術流出ということに関してはあり得ると思うんですけれども、これは従来のいろんな対策で講じられているという理解でよろしいでしょうか。
(答)今おっしゃった機微技術などの流出の防止対策につきましては、当然、今回の指針の改定だけでなし得るものではないと認識しております。ご案内のように、外為法に基づいた投資や輸出管理なども必要になってまいりますし、また留学生、また研究者などの受入の審査の強化、こうしたことも進めておりますが、今回の指針の改定を含めた研究インテグリティ全般の強化によって、こうしたものを併せて技術流出の防止の対策というものを構築していくということです。
(問)ガイドラインの件なんですが、秘密保持契約を相手の研究機関と結んでいる場合は、エフォート情報のみでいいと。一部、例外規定でありますけれども、これはある意味、抜け穴みたいな形にならないかどうかという、その辺を大臣にお伺いします。
(答)例外規定はあります。ただ、研究インテグリティというのは、そもそも本来、研究者自身による適切な情報開示、そして大学や研究機関などによるリスクマネジメントの強化によって、研究者や、その研究機関の方たちが自律的に確保していくものなんですね。
 今回の指針改定というのは、こうした取組を研究資金配分機関における研究費申請時の確認によって、さらに促していくものという位置付けです。今、おっしゃった秘密保持契約に基づく共同研究などにつきましては、エフォート(研究者の全仕事時間に対する当該研究の実施に必要とする時間の配分割合(%))だけではなくて、エフォートの他、必要な情報のみの提出で許容するとしておりますけれども、そうした場合におきましても、インテグリティの確保を促す効果は同様であると考えておりまして、この指針改定では、さらに研究資金配分機関が必要に応じて研究者の所属機関に、その内容を照会するなどの対応があることを明確化するよう求めているところであります。
 また、この改定指針では、所属機関における規程整備、また情報把握管理などのリスクマネジメントも要求しておりまして、この状況を研究資金配分機関が適宜確認することも求めております。こうした取組によって、研究インテグリティの確保を図っていくことになると考えています。
(問)今回の指針の中に、指針に則って活動することは、経済安全保障に資するという言葉が入れられました。改めて、経済安全保障という観点から、今回の指針のガイドラインに改定に至った意義について、お願いします。
(答)先ほどのご質問とも重なるんですけれども、何度もこの場で申し上げているとおり、経済安全保障の大きな方向性として、我が国の自律性の確保というところと、我が国の技術などの他国に対する優位性、ひいては国際社会にとっての不可欠性の確保ということを大きな方向性として打ち出している中で、この今回の研究インテグリティの強化だけではないですけれども、これも一つの手段として、今申し上げた自律性や優位性、不可欠性の強化獲得に、これは当然資するものだと考えております。
(問)指針の改定ですけれども、改定前の指針では、技術流出しやすい脆弱性があったと認識されていますでしょうか。
 2点目は、特に技術流出を懸念している国や地域というのは念頭にあるんでしょうか。2点お願いします。
(答)まず、2点目はありません。特定の国は念頭に置いていません。
 これまでのものにつきましては、当然、そうした研究インテグリティを確保するためのものではあったんですけれども、今回さらに、先ほど冒頭申し上げたように対象を拡大したと。もう少し具体的に申し上げますと、これまでの対象というのは競争的資金という、いわゆるファンドということで、これまでの対象というのは制度の数としては20程度だったんですけれども、今回、それ以外の公募型の研究費も全て含めるということにしていますので、この対象となる競争的研究費事業というのは100以上に上るということで、例えばですけれども、そうした点については、これまで以上に強化がされるということです。

(以上)