小林内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和3年11月30日

(令和3年11月30日(火) 10:55~11:11  於:中央合同庁舎第8号館1階S103記者会見室)

1.発言要旨


 科学技術政策担当大臣として1点ご報告をさせていただきます。
 我が国が誇る最先端の研究所を直接見てみたいと思いまして、明日12月1日に特定国立研究開発法人でございます、いわゆる産総研(産業技術総合研究所)とNIMS(物質・材料研究機構)、この2つを視察させていただきます。
 産総研では、半導体製造技術の開発において中心となるスーパークリーンルームと次世代コンピューティング基盤、量子デバイスの開発拠点や量子アニーリングマシン研究等を視察する予定でございます。
 NIMSにおきましては、材料ビッグデータやAIを活用した最先端電池材料研究、LED照明を世界に広めた「サイアロン蛍光体」や次世代蛍光体開発等を視察する予定でございます。
 研究現場の視察や研究者との意見交換を行いまして、現状や課題を直接把握することは、今後の科学技術・イノベーション政策の立案に大きく資するものであると考えておりまして、私自身大変期待をしているところでございます。

2.質疑応答

(問)オミクロン株が世界的に問題になっていて、岸田総理も出入国管理の厳格化などに取り組んでいますけれども、健康・医療戦略担当大臣としては、オミクロン株に対する研究開発についてはどのようにお考えでしょうか。
(答)オミクロン株につきましては、その感染力ですとか、既存のコロナワクチンの有効性、こうした点につきまして各国が共に急いで調査中と承知をしております。
 もしも現在のワクチンの有効性が低いと判明した場合につきましては、各社ともオミクロン株に対するワクチン開発を緊急に進めるものと承知しております。
 我が国におきましても、既に現行のAMED(国立研究開発法人日本医療研究開発機構)のワクチン基金におきまして新型コロナワクチン開発を対象としており、オミクロン株ワクチンも、その支援対象の範囲内でございます。したがって今後の状況に応じまして、支援対象企業とも協力した上で、オミクロン株のワクチン研究開発も積極的に支援してまいりたいと考えています。
 また、オミクロン株の基礎的な病態解明ですとか、構造解析等につきましても、必要性に応じて関係機関等と協力をしつつ積極的に支援していきたいと考えています。
(問)補正予算の話に絡めてなんですけれども、科技・イノベの話と今の健康・医療、それぞれ今回どういった予算案になったかというところのお話を聞ければと思うんですが。
(答)皆様、中身につきましては、ある程度ご理解いただいていると思うんですが、改めて申し上げます。
 11月26日の臨時閣議におきまして、令和3年度の補正予算が閣議決定されました。ワクチン開発・生産体制強化戦略に関連する施策としましては、感染症有事対応の抜本的強化の観点から、世界トップレベルの研究開発拠点の形成、また新たな創薬手法によるワクチン開発等に向けた産学官の実用化研究の支援、そして創薬ベンチャーにおけるワクチンを始めとした新薬実用化のための開発の支援、そして緊急時にはワクチン製造に転用できる、いわゆるデュアルユースの生産設備の整備、また新型コロナについて、国産ワクチンの開発支援等が挙げられておりまして、これらの施策に必要な経費として8,101億円が計上されているところでございます。
 岸田内閣としては、年内できる限り早くの補正予算の成立を目指すこととしておりますので、これから国会が召集されることになるかと思いますけれども、健康・医療戦略担当大臣として一刻も早いワクチン戦略の着実な実行に向けて努力していきたいと考えます。
(問)経済安全保障の関係で伺います。政府は日本として守るべき重要技術を選定する方針ですが、例えばAIや量子技術のように少し前までは基礎研究段階だったものが、いきなり社会実装のフェーズまで一足飛びに進むような分野もあろうかと思います。こうした技術の芽を前もって見極めて選定するというのは非常に難しいと思うんですが、大臣としてはこのハードルをどのようにクリアしていくべきと考えているか、考えを教えてください。
(答)今のご質問は非常に重要な点だと思っています。
 技術開発につきましては、基礎研究から社会実装まで、どういうプロセスをたどっていくのかというのはそれぞれまちまちです。基本的には、これまではどちらかというと段階的にそのプロセスを刻んでいくものが主流でしたけれども、ものによっては、今、技術革新のスピードがかなり速まっておりますから、一気に基礎研究から社会実装に飛んでいくというのも今後出てくるんだろうと思います。
 その中で、今、経済安保の関連では優位性、ひいては不可欠性という言葉を使わせていただいておりますが、本当に日本がどこの分野で勝負していくのか、それは日本に限らず、どこの国にとっても、この見極めというのは極めて難しい作業だと思っています。
 今、例えばそれぞれの産業構造、産業のバリューチェーンみたいなものがあって、日本はこの分野が強いねというのは、現時点では、しっかりと調べればそれは結構明確に分かると思うんです。でも、今持っている強みが5年後も本当に持ち得るのか、10年後それを持ち続けられるのかというのはなかなか分からないですよね。そうはありながらも、しっかりと芽が出そうな技術というのを見極めていくという、その努力というのはしていかなくてはいけないと思います。
 その目利きというと、政府の中でも「目利き」という言葉はよく使いますし、自民党の中の議論とかでも、いろんなところで、目利き、目利きというのは出てくるじゃないですか。言うのは簡単ですけど、本当に難しい。でも、そこにチャレンジしていく必要があると思っています。仕組みとしては、今、国内外の研究動向ですとか、社会経済のニーズを日頃から常にしっかりと見て把握しておくことが必要であって、そのために研究者、あるいは企業の方、そうしたネットワークを構築し、関係データを蓄積し、そしてシンクタンク機能の充実を政府としてはやっていこうとしています。経済安全保障のプログラムというのは基金としてつくっていくということと同時に、シンクタンク機能をしっかりと強化していく。令和5年度をめどに、このシンクタンクも形にしていきたいと考えております。プロセスというか体制としては、そういう形でやっていくことになろうかと思いますが、より根本的なところとして、私が恐らく就任の記者会見の時以来、触れさせていただいているんですけど、考え方としては、例えば10年先の日本の在るべき社会の在り方、これってどうなんだろうとみんなで考えていくことが重要だと思っています。みんなで考えても、10年後の在るべき社会の姿なんて、皆ばらばらで分からないと。そうなのかもしれないのですが、政府だけではなくて、政治家も含めて、アカデミアの方、民間企業の方、皆で本当にどう在るべきで、どういう社会にしたいかというのをもっと徹底的に考えて、ある程度目指すべき社会の在り方というのをしっかりと描いた上で、そこからバックキャストとして、では今、何をしなければいけないという、そういう将来からバックキャストとして今何をしなければいけないかという、そういう思考のアプローチというのが、これからもっと必要になってくると思います。私も今、政府の中におりますから、政府の中でそうした思考のアプローチというものをもっと皆で共有しながら、本当に何が必要なのかというのを見極める努力というのはしていきたいと思っています。
(問)今の話の中で、令和5年度をめどに形にしていきたいとおっしゃいましたが、この形というのはどういったものなんでしょうか、教えてください。
(答)そこにつきましてもこれから、今年度からシンクタンクの機能、既に外部に委託をする形で、そうしたシンクタンクの令和5年度の立ち上げに向けて準備を始めていくことになるかと思います。その具体的な形については、これから制度設計も含めてしっかりやっていきたいと思いますけれども、今申し上げたように、できるだけ多くの方がいろんな視点をいただいて参加していただけるような組織にしていきたいと考えています。
(問)関連して、いろいろな人たちが皆で将来の日本の在り方を考えていこうと。そうすると、今から議論を始めないと時間が足りないかと思うんですけれども、どういう形でこれから議論していくのか、大臣の中で腹案があったら教えてください。
(答)それは、1つは今のシンクタンクの話だと思っています。
(問)シンクタンクを委託してやっていく、それだけで今のところ大丈夫か。それとも何か大臣の・・・。
(答)大丈夫とは思いません。ただ世の中、何かこういう組織をつくればいいとか、そういう次元の問題ではなくて、例えば会議体をつくって、一つはシンクタンクのようなものが、政府としては取りあえず当面やるべきこととしてあるかと思っていますけれども、そんな簡単にできることではないと思うんです。私が申し上げたのは、もっと本質的なところで、例えば研究に臨んでいる方とか、アカデミアであれ、企業の方であれ、将来の姿というものをいろいろ想像しながら研究開発に臨んでいただくとか、一人一人の意識の問題だと思っておりますので、そういう意味で今申し上げさせていただきました。
(問)思考を変えていくためには、例えば内閣府でシンポジウムを開いたり、何かそういうような仕掛けみたいなことはお考えなんでしょうか。
(答)新しく何か仕掛けをするとか、そういう問題ではないと思っていまして。既にいろんな場はあると思うんですよ。あとは意識の話だと思います。私は科学技術担当大臣という立場で、そういう考え方、そういう思考のアプローチが必要だということを繰り返し申し上げていきたいと思います。何か新しい場を特段そのためにつくるとか、そういうことを今何か検討しているわけではありません。
(問)先ほどワクチン関連に関しては、補正予算に関しての売りというのをお話しいただけたんですけれども、その中で科技・イノベの件に関しても、同じように補正予算に関してのポイントをあらためてお聞かせいただければと思います。
(答)科学技術につきましては、先週の臨時閣議におきまして、私の担当としては、先ほどの健康・医療戦略もあれば、科学技術もあれば、経済安保もあったわけなんですけれども、科学技術・イノベーション政策としては、今いろいろ皆様にも関心を持っていただいております、いわゆる10兆円ファンドの件ですとか、あるいは先ほど言及させていただいた経済安全保障上重要な技術育成のプログラムの創設、またムーンショット型研究開発制度の強化、こうしたものに必要な額を計上しているところでございます。

(以上)