小林内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和3年11月24日

(令和3年11月24日(水) 11:00~11:15  於:中央合同庁舎第8号館1階S103記者会見室)

1.発言要旨


 冒頭発言なし

2.質疑応答

(問)大学の総合支援パッケージなんですけれども、先日、大臣も出られた会議の中で、ワンストップサービス、ワンストップ窓口を設けるべきじゃないかという、地域の大学に役所のリストを出して、こんな支援策があるよというんじゃなくて、ワンストップで受け付けて、相談役とか指南役のような人たちがちゃんとハンズオンで相談に乗るべきじゃないかという意見もあったんですけれども、大臣としては、こういった地域の大学の支援策についてどういうふうにお考えでしょうか。
(答)今、ご指摘があったとおり、先週の木曜日、いわゆる木曜会合に私自身、初めて出席をさせていただきまして、途中までしか出られなかったんですけれども、その中で総合振興パッケージについて様々なご議論をいただきました。
 その中で、個々の施策に基づく地域連携支援にとどまることなく、全体として大学をどう地域と連携させていくのか、それを国としてどう後押ししていくのか、こういう視点が必要というご意見がございました。私としても、各府省の政策について、現場の大学目線に立った上で、こうした連携や接続を行っていくことが重要であると考えています。
 その中で、総合振興パッケージの中でも、各大学自身がシームレスに地域の課題解決を行うことができるように、例えばCSTIが主導して、自動運転ですとかスマート農業、こうした政策課題ごとに各府省の事業を整理したマップを作って、ポテンシャルの高い取組につきましては各府省間で情報共有を図って、そういうことをしながら伴走的に支援をしていくというのを今想定しているところです。
 それだけではなくて、この総合振興パッケージにおきましては、今申し上げた予算の視点だけではなくて、いわゆる特区の活用なども通じまして、現場の大学にいち早く自らの研究成果を社会実装していただけるような、そうした制度面での改革も進めることにしています。
 こうしたことを通じて、私が今考えているのは、意欲のある大学自身が、国が連携していくということは当然なんですけれども、ワンストップの窓口をつくって、国がこうしたほうがいい、ああしたほうがいいという、それはバランスの問題もあるんですけど、そうした視点よりも、むしろ大学自身が予算や制度改革をそれぞれの状況に応じて戦略的に活用できるようにしていくことが、今、科学技術政策担当大臣としては重要だと思っておりまして、また決め打ちすることなく、有識者の委員の方々としっかりと協力をしながら年度末に取りまとめていく、このパッケージをしっかりと中身のあるものにしていきたいと考えています。
(問)ワクチンの開発についてなんですけれども。今、AMEDに研究開発の司令塔としてSCARDAをつくるべく準備室もできて進んでいて、研究開発はそれで司令塔ができているんですけれども、例えば治験とか規制とか、そういった役所間の調整が必要になるもの、そういうものの司令塔というか調整はどこで行うんでしょうか。
(答)私は今、健康・医療戦略の担当大臣として、まさに研究開発のところを中心に、そこについては私自身が司令塔となるつもりで、AMEDにSCARDA(先進的研究開発研究センター)ができますけれども、そういうところを中心としてやっていくと。ただ当然、今年の6月にワクチン戦略(ワクチン開発・生産体制強化戦略)が閣議決定されましたけれども、研究開発があって、その次に治験の環境をどう整備するのかというのがあって、またそれを承認、どうやって迅速化していくのかというのがあって、また生産設備をそこにどのように投資していくのかと、いろんなことを一体的に進めなければいけないというのは当然だと思います。
 その意味で、今、閣僚会議がしっかりと、そこはまさに司令塔としてつくられておりまして、官房長官が議長、私と厚生労働大臣が副議長という建て付けですけれども、そこでまさに閣僚会議の場が司令塔として全体を一体的に進めていくと認識しています。
(問)22日(月)に一部報道で、小型衛星の観測網を構築して3基を飛ばした実証実験を行うというのがありました。将来的にはHGVの探知にも使われるという方針だという内容なんですが、事実関係と、宇宙政策担当大臣として把握されている現状についてお伺いできればと思います。
(答)その報道については私も承知しています。そもそも宇宙システムというのは、国民生活、あるいは社会経済活動のまさに今基盤となっていて、これがなかったら私たちの日常生活は回らないという状況です。そういう中で通信、あるいは観測、測位、様々な分野で拡大していく衛星のコンステレーションにつきましては、私は経済安全保障担当大臣としても、経済安全保障上も、我が国が自らそうしたコンステレーションというものを構築できるようにしていくということが極めて重要だと思っています。
 まずは、これまで申し上げてきた経済安全保障上の自律性の確保、それが強みに変わっていけば、周りへの展開などもあり得るでしょうから、不可欠性の獲得につながっていくので極めて重要だと思っています。
 そうした観点から、今、光通信技術、こうしたものは今後の衛星コンステレーションで必須となる基盤技術ですから、こうした基盤技術を早期に開発して実証していくことが必要だと考えています。
 今回、報道で基金の話がありましたけれども、そもそも基金の対象となるプロジェクトというのは、今何か決まっているわけではなくて、今後、公募を経て決定されていく予定ですので、現時点で記事のような決まった事実というのはありません。衛星コンステレーションの基盤技術というのは、今申し上げたとおり、重要なテーマの一つとして、関係省庁と連携しながらしっかりと検討していきたいとは思っています。
 今申し上げた基金について行うプロジェクトというのは、いろんな意味のある先端的な技術の研究開発を対象としているものでございまして、その記事にはHGV(極超音速滑空兵器)の話がありましたけれども、その点については、今、防衛省において本年9月にタスクフォースが立ち上げられまして、そこで検討されているとは承知しておりますけれども、この基金については、現時点で何か決まったことがあるわけではないと申し上げたいと思います。
(問)19日に閣議決定した経済対策で、新しい資本主義の成長戦略の一番地として科学技術立国の実現を掲げられ、大学ファンドの運用を年度内に始める方針が示されております。改めて、この制度の意義と期待について、まずお話しいただけますでしょうか。
(答)10兆円ファンドにつきましては、まさに今、日本の大学を含めた研究力の世界的な立ち位置というのが低下傾向にある中で、異次元の政策をしっかりと打っていくことによって、できる限り速やかに、年度末までに何とかしたいと思っています。そのことによって世界と伍する大学をしっかりとつくっていけるように、特に博士課程の学生への支援ですとか、あるいはそうした方を含めた若手の研究者をしっかりと支えていく、そうしたことに資するようしっかりとつくっていきたいと考えています。
(問)経済安全保障の強化に向けて、先ほど大臣もおっしゃった「先端的な重要技術に係る研究開発や実用化を支援する。5,000億円規模の基金を目指す」と経済対策には書かれています。大臣がこれまで閣議後会見でもおっしゃっていた経済安全保障重要技術育成プログラムのことを指されるのだと理解しておるんですけれども、話せる範囲で構いませんので、どういうような運用を目指すのか。例えば時間軸も5年ぐらいなのか、10年ぐらいなのか、そういうのも含めて、どういうような運用を目指すのかお話しいただけますか。
(答)この5,000億円というのは、まさにこれまで申し上げてきた経済安全保障に関するプログラム、基金の話でございまして、時間的な軸につきましては、経済安全保障上の課題、様々なものがございますので、基金をつくるということは、当然ある程度の中長期にわたる課題をしっかりと扱っていかなくてはいけないと。具体的に今、何年ですと申し上げることはしませんが、そうした基金を造成するということは、複数年度、中長期的な視点で取り組んでいくということは申し上げておきたいと思います。
 先端技術というのは様々あります。AIであり、量子であり、今、世界各国がしのぎを削っている。また、特に今申し上げたような分野、先端技術というのは、近年、ものすごく進歩のスピードが速いので、そこに対して日本がどう他国に負けないように追いついていくのか、あるいは受け身ではなくて、日本がどこを強みとして勝負をかけて、経済安全保障上の優位性、不可欠性を獲得できるのか。そうしたこともしっかりとまず把握して特定した上で、しっかり進めていくことが重要だと考えています。
(問)総合振興パッケージについて、大臣のお考えを伺います。この振興パッケージは、10兆円ファンドの対象にならない大学が対象となります。支援対象については、ある程度審査によって絞り込みというのも必要になってくると思います。あまりそこを絞り込み過ぎると、ファンドの対象となる大学と、そうではない大学の差というのも広がってしまうと思うんですが。大学全体の研究力の底上げにつなげていくというねらいであるならば、支援対象の範囲をどこまで広げるべきかと大臣はお考えでしょうか。
(答)まさにそういう点も含めて、今、有識者の皆さまにご議論をいただいているところでございます。今、おっしゃったように、一部の大学だけが世界と伍するような大学にレベルアップして、他はどうでもいいというメッセージは政府として全く発しておりませんので、そこはご理解いただきたいと思います。
 もう一点、あらためて明確にさせていただきたいのは、10兆円ファンド、これは世界に伍する大学をとにかくつくっていくということで、それを目的にしています。ですから、何らかの基準というものはつくっていかなくてはいけないと思います。そこに対象とならなかった大学があるとします。では、例えばそういう大学は全て、あとは地域の課題解決のためだけにやればいいのか、存在するのかというと、私は違うと思っていて、この場でも何度か申し上げてきたんですけれども、10兆円ファンドの対象にならなかった大学だとしても、特定の分野で世界と勝負できる大学は日本に多分たくさんあると思うんですよ。基準をどうするかというところもあるんですけど。
 ですから、誤解していただきたくないのは、10兆円ファンドの対象にならなかったからといって世界と勝負しなくていい、地域で地域のことだけ考えていればいい、そういうことを私たちは考えているわけではない。それぞれの大学にいろんな特徴があり、強みがあると思っていますから、それぞれの大学の立場に立って、世界と勝負するのもよし、あるいは地域の課題解決に尽力するのもよし、そうしたところで各大学のポテンシャルを可能な限り底上げしていけるように政府としては支援をしていきたいと。そういう考え方は共有いただければと思っています。

(以上)