小林内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和3年11月12日

(令和3年11月12日(金) 9:46~9:57  於:中央合同庁舎第8号館1階S103記者会見室)

1.発言要旨


 科学技術政策担当大臣として1点申し上げます。
 先日、プレスの皆様には既にご連絡させていただいておりますが、本日、東京大学を訪問させていただきまして藤井総長と懇談させていただいた後、東京大学におけるアントレプレナー教育やスタートアップ支援の状況に関しまして視察をさせていただきます。
 具体的には、創業初期のスタートアップを支援するインキュベーション施設を視察させていただくとともに、大学発スタートアップの経営者の方々と車座で意見交換をさせていただく予定でございます。車座におきましては、スタートアップを育成していくための行政からの支援の在り方などにつきまして、若手スタートアップ経営者の方々と率直な意見交換をさせていただく予定となっております。私自身、大変楽しみにしているところでございます。視察が終わりましたら、あらためて結果につきましてはご報告をさせていただきたいと思います。

2.質疑応答

(問)健康・医療戦略担当大臣としてお聞きしたいんですけれども。例えば抗体に付いている糖鎖の形の違いが新型コロナの重症度を決めるといったことが最近明らかになっているんですけれども。一方で糖鎖の研究自体はとても基礎的な段階にあります。ワクチン開発とか治療薬開発みたいな応用も大事なんですけれども、コロナ対策をするためには、そういう基礎的な研究についても取り組まなければいけないと思いますけれども、大臣としてはどういうふうに基礎研究について進めていこうとお考えでしょうか。
(答)コロナのワクチン治療薬の話に限らず、基礎研究が極めて重要であるということは、記者会見の場でも申し上げさせていただきましたが、今、ご指摘いただいたコロナの対策の領域につきましても、基礎研究というのは特定のワクチンや治療薬の開発に資するだけではなくて、重症化予防方法の特定ですとか、全く新たな治療方法の発見の可能性など、様々な観点におきまして、コロナの克服に役立つ知見ですとか技術を得られるため、極めて重要であると担当大臣としても認識をしております。
 政府におきましても、これまでAMED(国立研究開発法人日本医療研究開発機構)を通じまして、新型コロナウイルスの重症化に関わる遺伝子多型を同定する研究ですとか、あるいは免疫システムの包括的理解に関する研究などの支援を行ってきております。
 また、これに加えまして、国立感染症研究所ですとかNCGM(国立国際医療研究センター)が大学などと連携しましてウイルスの全ゲノム解析などを行って、重症化因子の同定などのための研究開発を行ってきております。
 また、理化学研究所におきましても、「富岳」などを活用しまして、COVIDウイルスがヒト細胞に侵入する際、表面を修飾する糖鎖が重要な役割を果たしている、こうしたことを発見してきております。
 さらに今後、我が国における感染症研究の取組が欧米に比べて不十分であったと、そういう点が指摘されてきておりますので、最先端の研究開発を行う世界トップレベルの研究開発拠点の整備、こうしたことも行いますし、こうした拠点を中心に平時から免疫、あるいはゲノム研究などの融合による分野横断的な基礎研究、こうしたものを強化していくこととしております。
 したがって、今後も、基礎研究というのは極めて重要だと思っていますので、基礎から実用化に至るまで一体的に、新型コロナを含む感染症分野における研究開発をしっかりと支援していきたいと考えています。
(問)報道にも出ておりますとおり、半導体や原発など重要インフラを担う東芝が、事業を3つに再編して分社化する方針というのを今日にも発表する見通しとなっています。これに関連して、大臣としての受け止めと、経済安全保障上のリスクですとか懸念というのはないかと、そこら辺のお考えについてお伺いいたします。
(答)今のご指摘の点につきましては、個別の企業の話ですので、私の立場からコメントすることは控えたいと思います。ただし、経済安全保障を担当する大臣として、今ご指摘いただいた動きを含めて、世の中で起こっている様々な動きについては注視しているということです。
(問)10兆円の大学ファンドについて伺います。
 現在、CSTIの専門調査会で、ファンドの支援対象となる大学をどのように選んでいくかという議論をしているところだと思います。このファンドの支援対象となるべき大学の在り方、どのような大学を支援していくかについて、あらためて大臣のお考えを教えてください。
(答)特集記事を私自身興味深く拝読させていただきました。
 この大学ファンドにつきましては、これまでも何度か申し上げましたが、我が国のトップの東京大学ですら、世界をリードする諸外国の研究大学と比べて、事業規模ですとか、あるいは研究力、こうした点において後塵を拝していると私は認識しています。
 我が国の大学全体の立ち位置が国際社会の中で相対的に低下をしてきている中におきまして、世界と伍することができる研究大学と、その機能強化を図って、またその維持発展を追求していくということは、日本国として喫緊の課題だと認識しています。
 したがって、従来の延長線上にはない異次元の発想で、今回、この10兆円ファンドというものを設けて、できる限り速やかに運用を開始していくということにしておりますけれども、世界最高水準の研究大学を形成していくと。そこにはチャレンジしていかなくてはいけないと思います。
 このファンドを通じまして、世界に比肩するレベルの研究開発を行う大学の博士課程の学生ですとか、若手人材育成などの研究基盤や新しい学問領域の創出、育成、こうしたことへの大胆な投資というものを実現していくと考えております。
 ただ、その特集記事の確かお三方がインタビューで、それぞれ異なる視点からご意見を述べられていたと私自身認識していますけれども、決して日本国内のトップ大学だけを支援すればいいというのは、当然それは違うと思っています。トップ大学は世界と伍するために、そこは強力に支援していかなくてはいけないけれども、では他の大学は何もしなくていいのかということでは当然なくて、特定分野に強い研究力のある大学は日本国内にいくつもありますし、地域の人材育成ですとか社会課題の解決につながっていく研究開発を行っている大学、こうしたものというのはございますので、様々なタイプの大学が我が国の社会を支え、また我が国の知の基盤となっていると私は認識しています。
 したがって、それぞれの大学の機能をさらに強化させていくために、総合振興パッケージを策定していくと。その中でトップの大学だけに限らず、実力と意欲のある大学を政府としてどう支援していくのか、これを様々な関係者の皆さまの知見をいただきながら、しっかりとまとめていきたいと考えています。
(問)昨日、総理とお会いになられて、経済安保法案についての指示を受けられたと思うんですが、その中で総理からは有識者の意見を聞いてほしいというお言葉があったと聞いているんですが、今後の検討過程の中で、どのような有識者から、どのような形で意見を聞かれるのか、お考えを教えてください。
(答)昨日は午前中に総理にお会いさせていただきました。それは、経済安保の取組というものを加速していかなければならないという問題意識を私自身持っているものですから、今後の検討の進め方につきまして総理に相談させていただきました。総理からは、特に法案の策定の準備を加速してほしいということで、その際に有識者の意見をしっかりと聞くようにと、そういう指示がありました。
 その点も含めまして、総理からもそういう指示をいただいていますから、それを踏まえて、今のご指摘の点も踏まえて、今後、経済安保の確保についてどういう体制を整備していくのか、またどういう段取りで進めていくのか、この点についても検討を加速していかなくてはいけないと考えています。

(以上)