山際内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和4年8月5日

(令和4年8月5日(金) 10:04~10:24  於:中央合同庁舎8号館1階S108会見室)

1.発言要旨

(冒頭発言なし)

2.質疑応答

(問)新型コロナ対策について伺います。先日、分科会の尾身茂会長らが記者会見をされて、今後のコロナ対策についていろいろ提言をされたかと思うんですけれども。その中で、分科会のメンバーでもある方から、本来であれば分科会で議論をしたいというような発言もありました。この期間、ずっと分科会が開かれていない状況ですけれども、大臣はそうした委員からの発言についてはどのように考えていらっしゃるのかということ。またその提言が分科会で議論するのにふさわしくないという点が大臣のお考えとしてあるのであれば、どういった部分なのか教えていただければと思います。
(答)もちろん提言の内容も認識しておりますし、記者会見の席でそのようなご発言があったということもちゃんと認識しております。
 これは前回の記者会見の時にも申し上げましたけれど、そのご提言の内容が主に感染症法に関わることですので、これは厚生労働省ときちんと議論をまずしていただかなくてはいけないことになります。所管が厚生労働省になりますから。ですから、そこの調整をまずやっていただくというのが我々としては必要だと、そう思っているわけです。
 ですから、いきなり分科会というよりは、まずは感染症法の中身についてもきちんと厚生労働省とまず議論をしていただきたい、こういう思いだということはこの間伝えたとおりで、それが分科会がまだ開かれていないということなんだと思います。
 我々としては、分科会は開かなくてはいけない時に適時適切に開くということをこれまでもやってまいりましたし、もちろん専門家の先生方と日々、きちんとコミュニケーションは取っています。ですから冒頭申し上げたように、中身について我々はきちんと認識はしているんですけれども、分科会がいまだ開かれていないというのはそういうことだとご認識いただければと思います。
(問)続いて、コロナ対策なんですけれども、BA.5対策強化宣言について伺います。現状、地域として指定されているのは12都道府県かなと思うんですけれども、現状のこの全国的な感染拡大に比べれば、決して数とすれば多くないと思うんです。その宣言の効果を疑問視するような声もありますけれども、大臣としてはそういう声に対してどうお考えなのか、また今後どのように活用していくお考えなのか教えてください。
(答)これも前回の記者会見の時にお示しをしましたが、このBA.5対策強化宣言そのものは、もちろんコロナウイルスそのものの性状がどんどん変わってきていますから、当然それに柔軟に対応しながら、何が効果的かという、ある意味、知見と知恵を我々一人一人、あるいは国もそうですし、都道府県、基礎自治体の皆さんもみんなそうですし、私たち国民一人一人もそうだと思うのですが、それを積み重ねてきています。
 それら有効のものとしてどういうものがあるかということをきちんと整理して、その上で現場を一番よく分かっていらっしゃる都道府県の知事さんたちが、こういう対策をしようと思っていると言った時に、きちんと国がそれもサポートをする。あるいは、いい事例であれば、横に情報が展開できるような仕組みというものもつくったほうがいいしというようなことも含めて、この強化対策ということを、地域ということを決定するという形で進めさせていただいているわけです。
 ですから、当然、まだ今回のBA.5、主にBA.5だと思われますが、この波がまだ、感染、新規陽性者数というのも増えておりますから、そこの効果がどうなのかと、このようなご意見があるというのは真摯に受け止めなくてはいけないと思います。しかし、やれることをみんなでしっかりやろうと、そういう意味で、これは我々としては効果的な運用になるように努めてまいらなくてはいけないと、そう思っています。
(問)感染の初期、2年半前ならいざしれず、もう7波になって、あえて分科会の有志という人が、はっきりいって勝手提言というか勝手提案みたいなふうに見えて。それは、私は国民の間では、やはり政府と専門家の間の齟齬じゃないかと見るような人もいると思うんです。逆に言うと、政府が後手後手、無策であるということを勝手提案、提言でやっているようにも見える。専門家の暴走、暴発でもあるようにも見える。政府は政府で、やることをやっていないと。こういう事態が並んで起こっていること自体について、担当大臣としてやはり交通整理がやや不十分だったということはないのでしょうか。
(答)そういうご意見はご意見として、我々としては受けなくてはいけないと思います。しかし一方で、私どもはいわゆる有識者、専門家の先生方とはコミュニケーションを日々取っています。
 その中で、やれることをきちんとやろうと。そこはある意味、ベクトルがずれているということはないわけです。しかし、これだけウイルスの性状というものが急激に変化をする。その結果として、感染のスピードが非常に速い状況になる。その中で何ができ得るかということを、いってみれば、これまで長く経験があったと今、おっしゃいましたけれど、今までと全く同じ病態の病原体に対して対応をするのならば、今までの方法が何とかなるのかもしれませんが、その波ごとにみんな違う病勢を持った病原体に形を変えてくるわけです。
 ですから、当然、それは前回の経験が生きる部分もあれば、新しく経験を積み重ねなくてはいけないという部分もあるわけで。未知のものとのやはり闘いであるが故に、そのようなある意味ストレスというものが政府にも、地方自治体にも、専門家の先生方にも、そして私たち国民一人一人にも当然あるわけです。
 その中で何がベストとしてやり得るかということを、我々は模索しながら今動いています。そういう意味で、もちろん政府がやっていることに対して様々な正しいご批判というものがあるというのは当然のことだと思いますので、それをきちんと受けながら、丁寧かつスピーディーに物事は進めなければいけないとは思っていますが、今のところ、各先生方や我々役所、行政、政治家も含めてですけれど、それが違う方向を向いているということはないと、そのことだけは強調させていただきたいと思います。
(問)コロナですけれども、政府内では一部、昨日東京都の感染者数が前週比5,000人減ったことによってピークアウトを迎えているのではないかという意見もあるようなんですが、大臣は今の感染状況はピークアウトに入ってきたというご認識なのか。一方で、検査が足りていないのではないかという声も一部に聞かれますけれども、そのあたりをどのように認識されているのか教えてください。
(答)東京都のデータだけは、これはもう原因は分かっていらっしゃると思いますが、先週にHER-SYSの入力で少しトラブルがあったことを受けて、先週の昨日の値というものが非常に高くなっていたということがありますから、それ一つをもってして感染動向がどうなっているかということを判断するのは大変危険だと思っております。一方で、全国全てを見ています。毎日毎日しっかり見ていますが、先週、今週比を見る限りでは、まだ新規陽性者数は増加を続けていますが、増加のスピードは相当緩んでいるというのは事実です。
 昨日あたりは、先週今週比で1.1台になっていますから、これは来週、そのままのトレンドが続いたとすれば、本日の感染者数の1.1倍の方が新規陽性者数として出るであろうということを推測する値としては使えるわけです。
 それが先週、その前ぐらいだと2倍ぐらいまであったわけですから、そういう意味では、まだ増える傾向にはありますが、増え方はかなり緩やかになっているという、そういう認識を私たちは持っておりますが、これも繰り返しになりますけれど、相手が非常にスピーディーに姿を変えていく感染症ですので、これから先、どのような帰趨(きすう)をたどるかということについて、やはり予断を持って我々は当たるわけにはいかないという、相当強い警戒感を持って今の状況を見ております。
 なので、我々としてやれることというものを、政府が何かやろうとしたからといって、それで感染症が防げるわけはないです。ですから、地方自治体の皆さま方としっかり手を携えて、さらには基礎自治体の皆さんもそうですし、病院をはじめとする医療関係者の方々もそうですし、そういう方々と、そして何よりも我々一人一人の国民が、みんな自分事として乗り越えていかなくてはいけないという、そういう雰囲気をつくりながら進むしかないと思うのです。最大限の警戒感を持ってという表現をいつも使わせていただいているのは、そういう趣旨です。その状況にいまだあると、こういう認識です。
(問)昨日、後藤厚生労働大臣は、先日専門家有志からあった感染者の全数把握の見直しを行わないという趣旨の発言をされましたけれども、この全数把握の見直しについて、大臣は現時点でどういう方向性が望ましいとお考えなのか、お聞かせください。
(答)これはだいぶ誤解されている感があるので、きちんとご説明を後藤大臣からされたものと認識しております。
 すなわち、今もご質問の中に全数把握の見直しという話がされましたが、専門家の先生方からのご提言の中にも、あるいは昨日の知事会の皆さんからのご提言というかご提案もあったのですが、その中を見ても、全数把握そのものをやめろという話はどこにも書いていないです。そうではなくて、全数把握をしていく上での手続きが非常に手間がかかると。そして現場にものすごい負荷が今、かかっていると。これを何とか簡素化できないかと。こういうことが強く求められていると。
 そのことを受けまして昨日、政府のほうからも、対策本部を開きまして、対応について発表させていただきました。この中にも示させていただいたように、これは後藤大臣からも発表があったと思いますが、いかにして発症、症例に関して必要不可欠であるが、かつ最小限の情報を登録していただくようにするかという工夫をするのだということもきちんと書かせていただいておりますし、発表もさせていただいていますから、それをもって現場への負荷が少しでも減るように努めてまいりたいと思っております。
 これは質問と少し外れるかもしれませんが、現場に負荷がかかっているという文脈の中では、発熱外来を訪れる方々のかなりの割合の方が、自分が罹患したということの証明を取るために発熱外来にいらっしゃっているということもございます。それはある意味、社会経済活動を回していく上で、勤めている会社のほうからそれを求められているからという現実がございます。これは、それを求めないようにしてくださいということを後藤大臣からはきちんと申し上げているわけなんですが、なかなか現場は、そのようにまだ機能していないということの証左なのだと思うのです。
 ここは感染症を防いでいくフロントラインですから、そこの部分の負荷をいかに減らしていくかという文脈においては、やはりこの罹患証明というものは求めないというオペレーションを是非、その企業、事業活動をやっていらっしゃる皆さま方には、さらにご協力をお願いできればなと思っております。
(問)スタートアップ担当相、初代というのは、やはりうちの読者も非常に関心があるし、若い人がすごい関心を持って、海外でもそういう人が多いんですけれども。新しい資本主義の中で、スタートアップ担当相というか、その位置付けみたいなもの、その重みみたいなものは、やはりこれまでと違う取り組みになると思うのですが、どうお考えなのか少しお聞かせください。
(答)これは、あえて先週のご質問にはお答えしませんでしたが、私も起業家の一人でございまして、政治家になる前には起業をして、小規模事業者ですけれどもやっていた経験があります。その時の経験も当然あるんですけれど、やはり何か新しい価値を世の中に提供する、提供したい、こういう思いを持ってくださっている特に若い方々というのは、次から次に絶えることなく必ず出てくるものだと私は思います。
 この大臣になって、その職を仰せつかって、多くの若い方々、起業したい、あるいは起業されているという方々ともお話しをさせていただきましたけれども、非常にそのポテンシャルはあるわけです。それを次の世代にというよりは、これからの日本の社会にどう生かしていくかという時に、生かし切れていないという現実を、そこの部分を解決すれば、必ず日本の社会はもっと良いものになるという確信があります。
 それを岸田総理は確信として同じようにお持ちなので、新しい資本主義の枠の中で、それこそがこれからの日本の経済、社会というものをより良いものにしていくための非常に大きな柱になるのであると。こういうことで、このスタートアップ担当というものを、スタートアップを支援するということを新しい資本主義の中の非常に太い柱に据えたということだと思います。
 ですから、当然、これから先の日本の経済、社会というものを活性化させていく非常に大きなものであるという認識を持っていますから、そのことを仰せつかっている大臣として、これはまさに将来に対しての今やらなくてはいけない非常に大切なものだと身の引き締まる思いですが、しっかりやりたいと思います。
(問)シリコンバレーには何回くらい行ったことがありますか。
(答)何十回です。
(問)やはりスタートアップはそれなりの専門性が必要ですよね。何十回って、どれぐらい、いつぐらいから行かれているのですか。
(答)最初にシリコンバレーを見なくてはいけないという思いを持ったのは、もう政治家になってすぐぐらいですから、20年ぐらい前からになります。そこからほとんど定点観測で毎年いろんな勉強をさせてもらいに行っていますから、1年に何回も行った年もありますので、そういう意味で言うと何十回となるんだと思うのです。だいぶ時もたちました。
 その上で、あの地域に限りませんけれども、やはりどんどん新しいものが出てくる。そして、その新しいものを社会に広げていく。それが人類にとっての貢献だという強い思いを持っている人たちが集まっている。そこに資金も集まる。というのが、毎年見ていくと、本当に毎年違うテーマになっていくんです。これも、やはりエコシステム、生態系としては我々としては学ばなくてはいけない部分がたくさんあるなと思いますから。なにもシリコンバレーに限りませんけど、そういう世の中でホットにいろんなものが起きているようなところというものを海外から学ぶ部分はありますが、日本国内でも、当然そういうホットな部分というのはつくれるはずですので、それをこれからしっかりと環境整備をしたいと思います。
(問)関連して、シリコンバレーなどを見てこられた中で、今の日本の起業の文化、起業家のモチベーションなりポテンシャルを生かし切れていない要因と、今後具体的に大臣がどのようなことを変えていきたいと思っているのか、お伺いでいればと思います。
(答)これを一言で申し上げるというのは、なかなか難しいのですが、新しい起業が起きる、スタートアップが起きていく上で私がいつも説明させていただいているのは、3つの要素が最低限必要だということを言っています。
 一つはスタートアップを起こす人、そしてそのスタートアップを支援する人、そういう意味での人材です。そしてもう一つは、企業ですから当然お金がかかってきますので、資金というものが必要になります。さらには、それらが有機的に結合するネットワークというのが必要になります。この3つがそろって、有機的にそれらがネットワークでつながると、スタートアップというのはどんどんできるというのが、今まで私も長い間様々勉強させていただいた中から確信しているものです。
 まさにその3つ目のネットワークというのが、日本においては決定的に足りないと思います。非常に優秀な若い方もいらっしゃる。そして資金をたくさん持っている企業もある。そしてやる気のある人たちもいる。応援しようという人もいっぱいいるんです。でも、情報がうまく伝わっていなかったり、あるいはそれが結合できるような場がなかったりということで、まだ今、結果が出ておりませんけれど、それらが有機的に結合すれば、必ずおのずと結果は出てくると思います。

(以上)