山際内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和4年7月15日

(令和4年7月15日(金) 10:32~10:48  於:中央合同庁舎8号館1階S108会見室)

1.発言要旨

 今日は2つございます。
 1つ目は、先ほどの新型コロナウイルス感染症対策本部におきまして、BA.5系統への置き換わりを見据えた感染拡大への対応を決定いたしました。多くの地域で急速に感染が拡大する中、今後、BA.5系統への置き換わりが進むことにより、新規感染者数の急速な増加が続くことが懸念されます。
 一方、わが国はこれまで6度の感染拡大を経験し、保健医療体制の整備、ワクチン接種の推進等を通じ対処能力が高まっており、その結果、現時点では重症者数や死亡者数は低い水準にあり、病床使用率も上昇傾向にあるものの、総じて低い水準です。
 現下の感染拡大への対応については、本日の本部決定に基づき、新たな行動制限を行うのではなく、社会経済活動をできる限り維持しながら保健医療体制の確保に万全を期すとともに、重症化リスクのある高齢者を守ることに重点を置いて、効果が高いと見込まれる感染対策に取り組んでまいります。
 具体的には、対象者への4回目接種の推進などワクチン接種のさらなる促進、検査の活用推進や効果的な換気の徹底など、めりはりのある感染対策、全体像により整備してきた病床等の点検・強化を図るなど、保健医療提供体制の確保の3つの柱で取り組んでまいります。
 なお、本部では、今申し上げた内容や、昨日のコロナ対策分科会の提言を踏まえた基本的対処方針の変更についても併せて決定をしております。
 次に、お盆期間での無料検査拠点の確保等について説明いたします。
 昨日総理からご発言がありましたとおり、夏休み期間中に帰省される方については、出発前および帰省先から戻る際に積極的に検査を受けていただくようお願いいたします。特にワクチン3回目接種をしていない方は、ご自身や周りの人々を守るためにもワクチンの3回目接種を受けていただくとともに、検査を受けることにも積極的に取り組んでいただきたいと思います。
 現在、全国約1万3,000カ所の拠点で無料検査を受けていただける他、8月5日から18日のお盆期間中は、主要な駅や空港等の100カ所以上の臨時の無料検査拠点等でも検査を受けられるよう整備を進めていきますので、是非ご活用をいただきたいと思います。
 続きまして、今朝開催いたしました第2回物価・賃金・生活総合対策本部の概要についてご報告いたします。
 本日の会議では、私から、物価の動向についてご説明した後、野田大臣から地域の実情に応じた原油価格・物価高騰等対策について、萩生田経済産業大臣からエネルギー価格高騰への対応について、金子農林水産大臣から肥料コスト上昇分の7割を補塡する新しい支援金の創設について、後藤厚生労働大臣から賃金・最低賃金の動向についての説明がありました。
 その上で総理から、「実質的な電気代負担の軽減策および食料品価格の上昇抑制策について早急に実行に移すこととし、今月中にも予備費を措置し、迅速にお届けをする。地方創生臨時交付金を活用した地域の実情に応じたきめ細やかな支援については、各自治体における効果的な対応を全国に横展開していくとともに、必要に応じてさらに交付金を増額し、対策を一層強化していく」との発言がございました。
 その他、総理の発言については、お聞きいただいたとおりです。
 今後とも、物価、景気の状況を把握し、状況に応じた迅速かつ総合的な対応を切れ目なく実施できるよう、最大限の警戒感をもって取り組んでまいります。
 詳細については後ほど事務方からご説明をさせていただきます。
 私からは、冒頭、以上です。

2.質疑応答

(問)今、大臣のほうでお話もあったんですけれども、新型コロナに関連してお聞きします。
 昨日の対策分科会の提言の中で、第7波の感染が収束する見通しが立てばという条件付きではあるんですが、コロナを日常的な医療提供体制の中に位置付けるための検討を始める必要があるのではないかという文言も明記されていました。これは、感染症法上の指定感染症の議論に当然リンクすると思うのですが、この2類相当となっている今の新型コロナについて、5類相当に変更するという議論を始めるタイミングについて、大臣としてはいつが適切とお考えでしょうか。
(答)実は昨日、その分科会の中で、今ご指摘いただいた点について各委員から相当ご意見がございました。結果として、決定した文書は、バージョンアップというか、改善というか、書き換えられている部分がございまして、「収束したら」という表現ではなくて、「同時に」という表現に変わっております。すなわちそれは、今、もちろんBA.5を中心に新規陽性者数が非常に増えている状況にはありますが、と同時に、この感染症に対しての対応の仕方というものはしっかり議論をしていかなくてはいけないという、こういう問題意識を、分科会に出てくださっている方々、みんなで共有したということでございます。いつからというのは、同時にということでございますから、もう即座にこの対応について議論は始めていくということになります。
 一方で、このBA.5が今相当優勢になってきておりますが、WHOのリポートによりますと、このBA.5等々については感染力は強いのかもしれませんが、重症化率が、その前のオミクロン株と差があるということにはなっておりません。さらに、昨日の分科会等々でも示されたのですが、BA.5ではなくてオミクロン株についての特性というものを比べてみると、60歳未満の方々に対しては、その毒性は季節性インフルエンザと変わらないというデータが出ている一方で、60歳を超える方々に関しては、依然非常に重症化率も死亡率も高いということがオミクロン株のデータ分析として出ております。
 ですから、それらのことを踏まえて、今回も対策は世代別に重点的にやるべきことをやっていくということになっております。また、冒頭ご質問のあった、これから新型コロナウイルス感染症をどのような分類にしていくかということも含めた検討、議論というのは、今申し上げたような科学的な事実というものに基づいて議論されていくものと承知しております。
 いずれにせよ、議論は始まっておりますが、いつ結論が出るかというようなことはまだ見通せない状況にございます。
(問)為替が1ドル140円に近付いて円安が進んでおりますけれども、本日の物価高対策本部などでは、こうした為替についての議論というのはあったのでしょうか。
 また、担当大臣として国内企業の交易条件が悪化していくということも想定されるわけですけれども、追加の経済対策の必要性、また、そうした場合、どういったテーマでの対策が必要とお考えか、お伺いできればと思います。
(答)私から、現在の物価動向はどういうことになっているかということを冒頭、会議の中でご説明をさせていただきました。その物価がどうなっているかということの中には、当然様々な要因によって物価が上昇したり下落したりということがありますから、今おっしゃっていただいたような為替の要因というものも含まれたものとして、物価が今どうなっているということは御説明をさせていただきました。
 一方で、為替そのものについて、これまでもそうですが、私の立場で言及をするというのは影響が大きいので控えさせていただくということでやってまいりましたから、そのことそのものに関しては言及いたしませんが、これは都度都度総理から申し上げているように、今回のこの物価高騰というものは、G7でもコンセンサスが得られたように、ロシアによるウクライナ侵略というものが主要因であるということがコンセンサスとして見られています。ですから、それに対して特にエネルギーと食料品について物価の高騰が著しいということも踏まえて、まずは私たちとしては、エネルギーと、そして食料品についてしっかりと手だてをしなくてはいけないということで、これまで進んでまいりました。それに対して今回は、具体的にどのようなことをするかということを皆さんでコンセンサスを得て、総理からご発表いただいたということですから、まずはそれをやらせていただきたいと思っております。
 一方で、柔軟に対応していかなくてはいけないということも事実ですので、今日のこの会議で全てが終わりではなくて、引き続き必要と思われるものに関しては、そのタイミングを逸することなく、しっかり対応できるように、そういう体制を整えた状況で注視してまいりたいと思います。
(問)先ほどコロナの関係でおっしゃられたことの確認ですが、5類への引き下げに関しても、コロナを一疾病として扱うための検討を始められるということの中に含まれるということでよろしいでしょうか。
(答)はい。明示的に2類、5類という話ではないと思います。どのようなものとして扱っていけばいいかということは、しかし、予断をもってこうだということを決める必要もないので、このオミクロン株をはじめとする新型コロナウイルス感染症がどのような性状を持ったものかということをしっかり科学的に議論して、その上で、どんな類型なのか、どういう対応がいいのかということを議論していくということです。ですから、あえて5類というものも排除はしておりませんが、もともと5類というものを頭に置いて議論をするというものでもない。こう理解していただければいいと思います。
(問)本日の物価・生活の対策本部をもって、節電ポイントとか肥料価格の上昇抑制策ってこれまで議論されてきましたけれども、本日の対策本部で、もうこれは決定したという理解でよろしいのかということと、効果をどのように考えられているのかということを教えてください。
(答)その節電ポイント等々も経済産業大臣からご説明がございました。それを受けて総理からのご発言になっておりますから、実施する段階に、今回のこの本部決定で一歩進んだと思っていただいていいと思います。
 ただ、それぞれの政策をいつから始めるかということについては、例えば節電ポイント等々に関しては、実際にそれを行うための仕組みをまだ作らなくてはいけない状況にありますので、明日からやりますというような類いのものにはならないと思います。
 一方、今月中には予備費を使いながら、もう措置をするというものもありますから、少し、一つ一つの施策については時間差が出てまいりますけれども、今日示されたものに関しては実施する段階に入ったという理解でいいと思います。
 それと、効果については、当然効果が出るようにわれわれとしてはやっていかなくてはいけません。しかし、今の段階で経済的にへこむものをどこまで押し上げられるかということもあります。また、われわれ一人一人の国民が感じている、定性的に感じる、物価が高くなったことによる生活感としての痛み、これがどれほど和らぐかというのも、定性的な部分に関しても当然効果というものは含まれてくると思うんです。ですから、それはまさに体制をきちんと整え続けて、最大限の警戒感をもって注視をする中で確認しながら、柔軟に対応するということなのではないかと思います。
(問)世界的な物価高騰は、まさにプーチンインフレだという認識だと思うんです。国内のインフレについては、どういうふうに物価担当大臣として考えるのか。
 野党の中には、これを岸田インフレみたいなことを言う主張。政治的にしても、それはいくら何でも私は違うと思うのですが、国内のインフレについては、これはやっぱりプーチンインフレとお考えになっているのか、率直に伺いたいです。
(答)これは率直にといいますか、先ほど申し上げたように、G7の場においても、国際社会の主要な国々の中においても、これはロシアによるウクライナ侵略というものが主たる要因であるということをコンセンサスを得ていますから、当然その影響がわが国においても起きていると、そういう認識で私たちはおります。
 一方で、各それぞれの国で物価高騰対策というものは行っているわけですから、それがわれわれも必死になって今やっているわけですけれども、それをどう評価していただけるかというのは、これは一人一人の国民の意思というものによって評価というのは決まりますので、十分それを受け入れていただけるように努力は続けなくてはいけないと思っております。

(以上)