山際内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和4年6月21日

(令和4年6月21日(火) 11:37~11:55  於:中央合同庁舎8号館1階S108会見室)

1.発言要旨

 今朝開催いたしました「物価動向に関するヒアリング」、ならびに「第1回物価・賃金・生活総合対策本部」の概要についてご報告をいたします。
まず、「物価動向に関するヒアリング」では、小売、食料品、農業、消費者の現場の皆さまから、現下の物価動向の実感と対応策の方向性について直接お話を伺いました。
 その後、「物価・賃金・生活総合対策本部」の初会合を行いました。
 パネルをご覧いただければと思います。このパネルを見ていただければと思いますが、これまでの対策の効果といたしまして、まず私から、物価上昇による家計の負担増加と対策による下支えの資料をお示しいたしました。
 生活に必要不可欠な必需品の価格上昇により、比較的低い所得の方々においては、年換算で5万円から6万円程度の負担の増加があると考えられております。このあたりを見ていただければ分かります。
 昨年の経済対策に基づく様々な給付もあり、昨年の冬から本年の春までの間に特別収入が前年より5万円以上増え、家計所得を下支えしてまいりました。
 ここの部分を見ていただければと思いますが、白い部分が実際に増えている額だと思いますが、特別収入の部分でも5.5万円、6.8万円ぐらい増えているのを見ていただければと思います。家計所得、特に低所得の方々にとっては、年換算の負担増を上回ることが見込まれております。
ページ下の方の表にある、子育て世帯や住民税非課税世帯への給付といった、この春までに大部分実行してきたものの効果が表れていると見込まれています。
 これに加えまして、一番下の部分、4月の「総合緊急対策」に基づいて、低所得の子育て世帯への5万円の給付、これも6月から順次支給してきておりまして、低所得者を中心にした必要な措置を講じてきたところであります。
 これまではこれをやってきました。そして6月に入って、切れ目なく、低所得の子育て世帯に関してのものはやりますが、当然、今、我々自身が実感している、物価が高騰している感覚に対しては、引き続ききめ細かく対応していかなくてはいけないということもありまして、先ほど総理からのご発言の中にもありましたが、地方創生臨時交付金、もう既に1兆円、今、手当てしておりますが、それを総務大臣の方からどのように使われているかという、きめ細かな使われ方、例えば、低所得者の皆さま方に対しての給付に使われていたり、エネルギーコスト等々に関しての補助が行われていたり、あるいは地方の中小企業に対しての様々な施策に使われているという事例のご紹介がございました。
 それらを更に深掘りして、あるいは優良事例を横展開するような形で、それぞれの地方によって置かれている状況は皆さん違いますので、きめ細かく対応していくということを、これからもこれに加えてしっかりやっていただきたいと思っております。
 そのことにおいて、さらに地方創生臨時交付金が足りなくなってくる部分もございますから、総理からもご発言させていただきましたように、5.5兆円の予備費等々を利活用して、地方創生臨時交付金はさらに必要な部分に関しては拡充していくという形で進めさせていただきたいと思います。
 そして次、金子農林水産大臣の方から、まず「輸入小麦の価格抑制対策」についてのお話がございました。
 政府の国内製粉企業への売り渡し価格、これは9月までの間、据え置きます。そして、10月以降に向けては、価格の動向等を注視し、輸入価格が突出して急騰している状態であれば、必要な抑制措置を講ずることにいたしました。
 まだ9月まではこの価格のままでまいりますので、これから先、夏以降の物価上昇等々がどのように続くかということを見ながら、10月以降もしっかりと対応していくということを決めさせていただきました。
 その次、配合飼料の高騰対策については、価格上昇の影響を緩和するため、配合飼料価格安定制度の基金に対して435億円の積み増し等を行ったところ、引き続き、同制度の円滑な運用により、飼料価格の高騰に対応していくとのご発言がございました。
 この配合飼料価格の高騰対策と小麦の高騰対策に加えて、農水大臣の方からは、肥料等々の価格が高くなっていることを受けて、2008年に行った政策を参考にしつつ、肥料等々も含めて、農業に関する生産コストを1割下げられる施策をこれから考えて、新しい仕組みを作っていくというご発言がございました。そのような形で対応させていただきたいと思います。
 そして最後に、萩生田経産大臣から、「燃料油価格の高騰対策」について、原油価格高騰対策としては、今年1月より激変緩和事業を開始し、累次にわたって支援を拡充してきたことにより、本来であればガソリンの全国平均価格は210円を超えるところでありますが、1月下旬以降、170円前後で推移しているとのご発言がございました。
 そして、ガソリンの高騰に対する対策については、引き続き継続してやってまいりますが、これ以外に経産大臣の方からは、電気代の高騰も見られることから、電気を効率的に利活用する方々に対してポイント制というものも含めて考えると。結果として、全体としては電気代が抑制されるような仕組みを家庭においても、あるいは企業においても導入できるように、仕組みを作ってまいるというご発言がございました。
 総理からの締めくくり発言に関しては、皆さま方に配布させていただきますので、そちらを見ていただければと思います。
 以上、説明させていただきましたように、これまでも政府としてやれることはやってまいりましたが、これで十分だとは当然我々は考えておりませんので、今日、本部が開かれて、そこで更なる対応をしっかり進めていくということをさせていただくということを、今、ご説明させていただいたわけでございまして、引き続き、切れ目なく物価高騰対策というものは政府として進めてまいりたいと思っております。是非ご理解いただければと思います。
 またヒアリングの内容に関しては、詳細はあと事務方からご説明させていただきますので、そちらを聞いていただければと思います。私から冒頭、以上です。

会見時に使用した資料(PDF形式:454KB)PDFを別ウィンドウで開きます

2.質疑応答

(問)今の総合対策本部の取りまとめの時期。これはいつも質問が出ていると思いますが、改めて今の現段階でどの時期での取りまとめ。あとは必要な法制度なり必要な措置はどういうスケジュール感で考えているのか。あと、事業規模全体にはどれぐらいの対策になるのか、今のお考えをお願いします。
(答)取りまとめというか、今、説明させていただいたように、もう既にやっている政策を拡充するなり、プラスして新しくやらなくてはいけないことを付け加えたりということを、言ってみれば、切れ目なく進めていくことが重要だという認識で我々は進みます。
 ですから、どこかのタイミングでこういうものですということを、一つ取りまとめたものを皆さま方にお示しするということではなくて、やれることを次から次に迅速に行っていくということですので、今、ご質問にあったような、取りまとめのような作業をするつもりは今のところはありません。
 ですから、何が必要かということを見ながら一つ一つ丁寧にやらなくてはいけませんので、当然、その一つ一つやったことの積み重ねでどれぐらいの予算を使うことになるかが決まってくるので、最初から予算の規模感があるわけではなく、何度も申し上げますが、物価が高騰することによって国民生活が毀損しないように、そこをどのように支援していくかという話ですから、それを迅速にきめ細かくやった結果が積み上がった額になると。このようにご理解いただければと思います。
(問)2点お伺いします。まず1点目、本日、対策本部初会合を開かれて、肥料、あとエネルギー対策のポイント、こういった新たな政策を打ち出されたわけですが、参院選の公示を控えた直前のタイミングでのこうした会合、また施策が打ち出されたという、このタイミングである理由と、このタイミングからして選挙対策ではないかという指摘もあろうかと思いますが、この点に関して大臣のお考えを伺いできればと思います。
(答)政府としては、これは説明するまでもありませんが、岸田内閣になってからこれまで累次にわたって様々な施策を行ってきました。ですから、柔軟に、その時に必要なものを、タイミングを逸することなくこういうものはやらなくてはいけないという思いでやってまいりました。
 そして、今、置かれている状況というのは、これも説明するまでもありませんが、ロシアによるウクライナへの侵略に起因する、様々な物価高騰が起きているわけです。
 それらを、いつまで続くか分からない、不確実であるという中で、今、我々、一人一人の国民が感じている物価上昇に対して、どのような対応を、今この瞬間やらなくてはいけないかということを常に考える必要があると思います。
 ですから、そういう文脈の中でこのタイミングになっただけなので、おっしゃっているような選挙との絡みというのは、正直申し上げて我々は全く考えておりません。必要なものはやらなくてはいけないと思いますし、さらに必要であればさらに何かをやるということになると。走りながら柔軟に対応するしかないと思います。
(問)もう1点。本日、総理からも、エネルギー、節電関連のポイントの政策を打ち出されたわけですが。これに関しては、既に節電されているような世帯はあまりポイントが得られないという批判もあろうかと思いますが、この制度に関しての狙いと、そういった批判に対してどのようにお答えになるか、お伺いできればと思います。
(答)詳細どのような制度設計になるかは、経済産業省の方でしっかりこれから練り上げてもらうものだと思いますが、我々としては、生活のコストの中でエネルギーにかかるコストというのは、最初の表でお示しをしたように、どうしてもポーションとしては結構高いわけです。そこに関して実質上、そのコストが上がらないで済むような方途をさらに考えなくてはいけないのではないかということで、電気代の部分まで私たちとしては考えようということで、今回出させていただいたわけです。
 ですから、当然それぞれお一人お一人生活の場が違いますから、それぞれ電気代も含めてどれぐらいエネルギーに対してコストをかけているかは皆さん違います。
 なので、全体としてコストが下がるような方向をかけるということでございますので、個別に効果が大きくなったり小さくなったりは当然あるのだと思います。あるのだと思いますが、それらも含めて生活者のコストが上がらないように工夫をするということを、我々としてはそういう仕組みを作ってまいりたいと思っております。
(問)価格転嫁の現状について認識を伺いします。大手スーパーなどではプライベートブランドとかは価格据え置きみたいな動きがあったりして、どこかにしわ寄せが来ていないかなと個人的には感じますが、リサーチ会社の調べでは、6割ぐらいが価格転嫁できていないという声もあったりして、大臣として現状、価格転嫁に関する認識ですとか、街を歩かれていて感じたことなどがあればお聞かせください。
(答)おっしゃるように、価格転嫁が十分にできているかどうかというのは、仕入れの価格、コストと、それからそれを売る時の値段の差というものを、マクロで取ってもそこに開きがあるというのは事実ですから、十分な価格転嫁ができていないというのはおっしゃるとおりだと思います。
 ですから、我々としては、価格がスムーズに転嫁できるように様々な工夫をし続けなくてはいけないと思います。何か一つのことをやれば、それで全てがうまくいくという世界ではありません。
 特にビジネスの現場というのは、非常に様々な実情というものがありますから、それを何か一つのことを言ったりやったりすれば全て片付くという簡単なものではないというのは、おっしゃるとおりですから、きめ細かく一つ一つ、仮に具体的に指摘されるものがあれば、その一つ一つ具体的に指摘されたものに関しても手立てを考えながら手当てしていくということを続けるしかないと思います。ですから、感覚としては同じ感覚を持っております。

(以上)