山際内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和4年6月17日

(令和4年6月17日(金) 8:55~9:16  於:中央合同庁舎8号館1階S108会見室)

1.発言要旨

 おはようございます。
  先ほど、新型コロナウイルス感染症対策本部が開催されまして、「新型コロナウイルス感染症に関するこれまでの取組を踏まえた次の感染症危機に備えるための対応の方向性」を取りまとめました。
 取りまとめに先立ち、15日には「新型コロナウイルス感染症対応に関する有識者会議」において、これまでの対応の評価や、これらの対応に係る中長期的観点からの課題の整理を行っていただいた。政府対策本部決定では、報告書で指摘された課題を真摯に受け止め、感染の初期段階から、より迅速かつ効果的に対策を講ずることを目指しております。
総理から私を含む関係閣僚に対して、「対応の方向性に盛り込まれた施策について詳細を検討し、順次成案を得て、法律上の手当てが必要なものについては法律案の準備を進めるなど、速やかに具体化の取組を進めるよう」ご指示があったため、しっかり取組を進めてまいります。
 以上です。

2.質疑応答

(問)今、冒頭のご発言にもありました、今日の決定事項の中に内閣感染症危機管理庁があると思いますが、こちらも総理の法律案の準備を速やかに進めるようにというご指示の対象かと思います。具体的にどれぐらいのタイミングで関連法案の提出等を現状お考えでしょうか。
(答)今日ご指示があったところなので、今のところ確たる、今こうしますということが言える状況にはありませんが、総理からのご指示にもあるように、速やかに次の感染拡大あるいは次の何か新規感染症が発生することを我々としては最悪の事態として踏まえておかなくてはいけませんので、できるだけ速やかにということですから速やかに様々な準備を進めてまいりたいと思いますが、今日の今日なので、いつということを今の段階で言える状況にはございません。
(問)関連して中身の部分でもお伺いします。今日のご指示というところもあって、どこまで決まっているかはあれですが、今回、平時と有事と考え方を分けていらっしゃいますが、その平時、有事の体制について、大体どのぐらいの規模感の想定があるのかということと、先ほど資料を頂きまして、この中に「企画立案総合調整の機能を一体化して強化する」とありますが、こういった総合調整の機能という意味では、これまでの内閣官房がそれを担っていたかと思います。どういう形で強化していくのか、その実効性をどう担保されるのか、それを教えてください。
(答)適正規模は、まさに今ご質問の中にありましたように、総合機能、調整機能も含めて発揮するのに十分な量を確保しなくてはいけないです。ですから、そういう視点で何が必要かということをきちんと議論をする中で、自ずと適正な規模は決まってくるものだと思っております。
 その上で、平時と有事の話に関して言えば、内閣感染症危機管理庁(仮称)ですが、それはもちろん有事には総理大臣の強力なリーダーシップの下に、全ての役所にまたがるようなことを一体的にしっかりとそれを進めていくということが必要になりますから、その機能が十分発揮できるようにしていかなくてはいけないですが、平時もそれを、有事の際に十分にその機能が発揮できるようにするための準備をしておく必要があります。その準備が無かりせば、一有事になった時に動けるわけがありませんので、ですから平時においてもその準備がしっかりできているかどうか、そもそもどんな準備が必要であるかどうかも含めて、そこは企画立案をしておかなくてはいけないと思います。その機能がこの庁には求められると思います。
 ですから、平時はそのことをしっかりと庁でやっておいて、そして有事になった場合に速やかにその有事の体制に移行して、それが遅れることなく十分に機能するようにしていく体制を整えなくてはいけないので、そういう文脈の中で内閣官房を中心に物事はこれから進められる、そういう体制に作り上げていかなくてはいけないと思っております。
 今お話ししたようなことを全部まとめ上げたものが、その庁としての全体像になってくると思いますので、それを総理のご指示を踏まえてしっかりとこれから詰めるということになります。
(問)新たな司令塔となる内閣感染症危機管理庁について伺います。有識者会議の議論もわずか1カ月で終わったところで、組織、新しいものを作っても屋上屋にもなりかねないという指摘も出ていますが、新組織の必要性や実効性というのは、大臣としては精査できたとお考えでしょうか。
(答)精査という言葉の意味がよく分かりませんが、これは都度申し上げていることですが、我々は、何もないゼロのところから議論をしたわけではないです。
 これまで2年半かけて、みんな闘ってきたわけです。ですから、その中で積み重ねられてきた知見、そして日々行っている検証、そういうものの積み重ねの上に今回の議論があるということを踏まえれば、一月でその議論を進めたということは、それが何か拙速であったり、何か不足しているというご指摘は全く当たらないと私は思います。
 その上で、有識者の皆さんに限らず、これまで関わってきたほぼ全員が、今の司令塔機能に関して、もう少しすっきりとして、しかも総理がおっしゃることがきちんと現場まで速やかにそれが到達して機能的に動くようにしていくためには、もう少し工夫をしなくてはいけないというコンセンサスがある。その上で、今回の取りまとめを受けた政府からの今日、総理のご指示ということになっていますから、一連の流れがいきなり1カ月前に突然現れて、1カ月の間でばたばたと決めたということではなくて、もう2年数カ月ずっと我々としては検討してきた結果として、ここで中長期的に必要なものを打ち出させていただいたということですから、そこは是非ご理解をいただきたいと思います。
(問)ありがとうございます。続けて伺います。今回、司令塔機能を含めて対策をまとめられたもの全体を見ても、今後、内容、具体論を詰めていく項目も多いかと思います。総理は以前から、6月までに抜本的強化策をまとめるという言い方でおっしゃっていたと思いますが、その抜本的強化策という名前にそぐうものはできたと大臣としてお考えでしょうか。
(答)中長期的に何が必要であるかというのは、走りながら今まで来たわけです。それで機能してきたと正直思います。ですから今、このオミクロン株に対して、感染者数もまだゼロにはなりませんが、管理できるという状況にはあります。ですから、今の状況が、全く管理できないような、機能していないような状況かというと、そうではないわけです。
 その上で何が必要かということ。例えば医療提供体制を一つ考えた時に、今は機能していますが、これからさらに一気に新規感染者数がどんと増えて、医療サービスが必要だという方がものすごく数が増えた時に、本当にこれから先も機能するのかといった時に、もう少し体制としてきちんと準備しておかなくてはいけないということが見えてきているわけです。
 それらを、体制を整備するということを今回しなくてはいけないということが有識者からも指摘をされ、それを受けて、法的な整備も含めてこれからやりますということを今日、発表させていただいたわけですから、現段階において、今問題だというものに関して、これを片付けていかなくてはいけないものは網羅されているし、それをやるために、これから一日も早くやらなくてはいけないという体制で臨みたいと思います。
(問)感染症危機管理庁の有事の際に指揮下に置く範囲について、大きな方針として今、どのようなお考えなのかをお伺いしたいのですが。お伺いしたいのは、経済活動の制限の部分は、恐らく指揮下になるとは思いますが、それに伴う休業補償など、いわゆる経産省などがやっている経済支援策など、そういったことは、この新しい庁の指揮下で決められるようになるのでしょうか。休業補償と休業要請は一体であるべきだという議論が随分ありましたが、それが、どうしてもタイミングがずれることによって生活困窮に陥る方もこれまであったので、そこの部分を今、どうお考えなのかお聞かせください。
(答)まさに今回庁を作るというのは、そこに意義がありまして、今おっしゃったようなことは、経済産業省の分野に関わる話でもあり、生活に関わる話だというと、今度は厚生労働省にも関わる分野です。それを縦割りで独立してやるのではなく、実施そのものは各省がこれから先もやらなくてはいけませんが、指揮系統が総理に一本化されるということにおいて各役所が動きやすくなるということだと思います。
 ですから、実施は各役所がこれから先もやることになりますが、指揮系統は総理に一元化された、そのための組織を作るとご理解いただければと思います。
(問)経産省の施策決定の部分に関しては、経産省の部分も指揮下に入るというイメージでお考えですか。
(答)もちろん経済産業省が排除されるものではありませんが、企画立案、総合調整を庁がやり、実際に実施するのは経済産業省、厚生労働省と、各役所がやるという整理になるということです。
(問)今の話にも関係すると思いますが、時短要請が結構飲食店に過剰にあったのではないかという話があったと思いますが、今後の行動制限、それと経済の両立について今回の方向性ではあまり触れられていない印象がありますが、そのあたりは今後の課題として認識されているものなのでしょうか。
(答)もちろん認識しております。それで、今のお話は半分合っていて半分合っていないと思います。デルタ株までの時の感染がどこで発生するかという状況と、オミクロン株になってからのものとは違います。これは何を意味しているかというと、敵が変わるので、それに対して柔軟に対応していかなくてはいけないということを意味しているわけです。
 ですから、これから先何が出てくるか分からないので、それに対して即応できる体制を整えることが必要だと。そういうご指摘に基づいてこの庁を作り、医療提供体制を整え、またあるいは様々な法的整備もするということをこれからやるわけです。
 ですから当然、今おっしゃったようなことも含めて、全て我々としては新しく作っていくものの中で議論し、成論を得てその準備をしておかなくてはいけないと思います。
(問)あと2問ありますが、第6波の時に高齢者施設で、入院ができなくて、施設内で療養して介護もしてというケースがあった一方で、入院はしたけれども、今度は入院先で介護も一緒にやらなくてはいけなくなったりなど、そういうオペレーションの逼迫があったかと思いますが、それは今回どういう位置付けで捉えられているのでしょうか。
(答)同じです。それも含めて準備をしなくてはいけないということです。
(問)最後ですが、尾身会長が務められている新型インフルエンザ等対策推進会議や分科会など、それらと日本版CDCの位置付けというか、それらが併存していくのか。それとも一本化するか何か分からないですがそれらの体制はこれからどのようにお考えでしょうか。
(答)まだ何も決まっていません。日本版CDCを作るという方向性は今日、示されましたので、それは行いますが、その機能と政府として直接持っているコロナ分科会も含めた機能等をどう有機的に連携されるかということは、これからだと思います。
(問)医療提供体制の強化の部分で今後、都道府県がより強い権限を持つことができるようにということや、具体的な実効性のある協定を結ぶということが書かれていますが、昨年の感染症法改正でも勧告や協力してもらえなかった医療機関の公表なども盛り込まれましたが、実際にはあまり活用されていない状況だと思います。
 今回のこの想定されている、より強い協定や具体性を持った協定というのは、これまでとどのように違うのか、どのように想定されていますでしょうか。
(答)基本的には、今の話はこれから厚生労働省の中でしっかりと議論していただいた上で、法的整備まで必要なものはするということになると思いますが、有識者の皆さま方も含めて、我々が持っている、あるいはあなたも含めて持ってくださっている認識は、結局、コロナウイスル感染症の現場においていろんなものが全てスムーズに動いたかといったら、なかなかそうではなかったという反省であるわけです。その中の一つに医療提供体制があります。
 ですから、医療提供体制が、国民との関係の中でこれならば十分だと、あるいは透明性をもってこう準備をしておけばいいと、私たち国民一人一人が分かる状況を準備しておかなくてはいけないし、その準備したものがしっかり、有事になった時に機能する法的な担保も必要ではないかと。こういうご指摘を頂いたことを受けて、これから議論をして成論として法改正が必要なら法改正をするということになりますので、その一連の中で物事が進められると思っていただければいいのではないでしょうか。
(問)少し話題は変わりますが、総理が設置を表明された「物価・賃金・生活総合対策本部」、昨日総理が、初会合を来週21日に開くとおっしゃいました。まず確認ですが、この本部、本部長は総理で、実際の取りまとめの中心の役割は大臣が担うということでよろしいでしょうか。
(答)はい。
(問)分かりました。政府としては、4月下旬に総合緊急対策を取りまとめたばかりですが、追加的にどのような手当てが必要なのか。総理は会見で、輸入小麦の高騰であるとか、飼料や肥料の高騰への手当てが必要だと、そういうお考えを示されましたが、現時点での問題意識をお聞かせください。
(答)これは、対策本部の名前を見ていただければそのとおりなので、物価、賃金、そして私たち一人一人の生活、これに対して今、政策が十分であるかということを我々としては問題意識をもって取り組まなくてはいけないと思っております。
 総理は、様々な方から様々なご意見を頂いて、それをきちんと聞いていらっしゃいますので、その中で現場からの声を、お困りの方もいらっしゃるというのは分かっているし、これからさらにそれがきつくなるということが予想される方々もいらっしゃいますから、そういう方々の現場からの声をしっかりと聞いた上で、必要なものを対策として打っていこうではないかと。その議論の場、そして成論を得て政策を実現していくための場としてこの本部が設置されるものと私は理解しています。
(問)総理も、迅速かつ総合的な対策を講じるとおっしゃいましたが、今回、この本部でいろいろな施策を前回の総合緊急対策のようにパッケージとして提示するようなお考えなのでしょうか。またその取りまとめのスケジュール感、迅速とおっしゃっていますので、例えば7月10日の参院選投開票前にお示しすることはできるかどうか伺えないでしょうか。
(答)正直申し上げて、選挙を意識して物事をやることはないと思います。ただ一方で、迅速にというのは適時適切にということだと思います。このウクライナの情勢が本当に不確実な状況において、これからどうなるかということも見通せない中で、現場でどのような悩みを持っていらっしゃるかということをきめ細かく聞きます。聞きましたら、恐らくそれぞれの現場の方々がそれぞれの問題意識もお持ちでしょうから、それらを解決するための方途を一つ一つ丁寧に考えるならば、当然それは一つの政策で済むということにはならないと思いますので、全体としてはパッケージになる可能性が高いと思います。
 しかし、まだ1回目の会合も開かれておりませんので、その会合を開いた上で、最終的にどういう形になるかは見えてくるものだとご理解いただければと思います。

(以上)