山際内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和4年5月18日

(令和4年5月18日(水) 9:30~9:47  於:中央合同庁舎8号館1階S108会見室)

1.発言要旨

本日公表した2022年1-3月期GDP速報については、実質成長率は前期比マイナス0.2%と、2四半期ぶりのマイナスとなりました。2021年度を通じた実質GDP成長率は前年度比プラス2.1%と、3年ぶりのブラスとなりました。これを受けた私の談話はお手元に配布しているとおりですが、1-3月期については、年明け以降のオミクロン株の感染拡大によって、旅行や外食といったサービス消費に影響は見られたものの、個人消費全体は概ね前期比横ばいにとどまり、また設備投資がプラスになったこと等により、内需寄与はプラス0.2%となりました。他方、供給制約の緩和やワクチン・治療薬の購入などに伴う輸入の増加が輸出の増加を上回ったことにより、外需寄与がマイナス0.4%となりました。
 過去の感染拡大時には内需寄与が大幅にマイナスでしたが、1-3月期は感染者数が多い中にあっても内需寄与はプラスとなりました。これは、ウィズコロナの考え方の下、オミクロン株の特性を踏まえたメリハリの利いた対策を講じ、経済社会活動を極力継続できるよう取り組んできたことが表れたものと考えております。
 今後は、感染対策に万全を期し、経済社会活動が正常化に向かう中で、各種政策の効果もあって景気は持ち直していくことが期待されますが、ウクライナ情勢等による不透明感が見られる中で、原材料価格の上昇や金融資本市場の変動、供給面での制約等による下振れリスクに十分注意する必要があります。
 このため、先般取りまとめた総合緊急対策を迅速かつ着実に実行することで、景気の下振れリスクにしっかりと対応し、コロナ禍からの経済社会活動の回復を確かなものにしてまいります。併せて新しい資本主義のグランドデザインや実行計画、そして骨太方針2022を6月までに取りまとめ、これらを前に進めるための総合的な方策を打ち出すことにより、中長期的な課題に対応しつつ、「成長と分配の好循環」を実現して、日本経済を自律的な成長軌道に乗せてまいります。以上です。

2.質疑応答

(問)本日、今年の1-3月期のGDP速報が公表されまして、年率換算実質マイナス1%で、2四半期ぶりのマイナスとなりました。初めに、改めての受け止めと、大臣が感じているマイナスの原因をお願いいたします。
 また、足下では急速な円安や資源価格・物価高が進んで、国際情勢、国内経済ともに先行きが不透明でもあります。新型コロナウイルスの再流行も懸念される中で、国民の景気回復の実感は薄いと思われます。今後、どのような政策を打って景気の持ち直しに取り組んでいくお考えか、改めてお願いいたします。
(答)1-3月期マイナス成長となりましたが、過去の感染拡大時に比べてマイナス幅は相当少なかった、これは偽らざる実感です。ですので、先ほども冒頭申し上げたように、国民全体としてウィズコロナ、コロナとうまく付き合いながら社会経済活動を続けていくことをしようという国民全体の意識があったが故に、マイナス幅が非常に少なくて済むことになったのだろうと思っております。
 さらに言うならば、3月21日でまん延防止等重点措置を解除いたしました。それ以降の飲食・サービス等々の消費、これは今度4-6月期で出てくる値になりますが、これは皆さんも肌感覚で感じていらっしゃるように、決してマイナスではないというのは、町の賑わいやゴールデンウイークの人の出等々を見ていても、容易に予想するというか、実感として肌感覚として持てるものです。ですから、足下の景気は持ち直していると我々は判断をしておりますが、その判断は変える必要はないと思っております。
 一方で、今おっしゃったように、ウクライナの情勢等々がどうなるかは不確実性が相当高いですし、またコロナに関しても第7波が来る可能性は排除できないわけですから、当然それらに対してしっかりと準備をしていくことが政府としては必要だと思っております。
 そんなことも受けまして総合緊急対策を決めて、もう既にこれを始めております。また、それを裏打ちするための補正予算も決めていただいて、これから国会でご審議いただく方向に進んでおりますから、そういったことをしながら万全を期していくことしかないと思っています。
(問)先般、1月に閣議決定しました政府経済見通しでは、2021年度中にGDPの水準をコロナ前に戻すという政府の見通しを示していましたが、今回の1-3月期のGDP、マイナス成長ということで、結果的にその見通しは達成できませんでした。当初の成長パス、回復パスが外れた要因については、大臣はどう見ているのかというのと、もう一つが、それでは改めていつまでにコロナ前回復を目指すのか、その点について伺えないでしょうか。
(答)事実として、確かにコロナ前の水準に完璧に戻ったわけではないですが、しかし冒頭申し上げましたように、下への振れ幅は非常に今回少なくて済んだというのが私の実感です。ですから、少なくとも昨年の2021年の10-12月期はほぼコロナ前に戻っておりますし、今回もその流れからいたしますと、それほど大きく下振れしているという認識ではありません。
 さらに、今、前の質問でもお答えしたように、足下の人々の経済活動というものは、それほど下を向いている状況ではないということを私たちは経済見通し等々でもお示ししているとおりですから、そういう意味では、今、私たちがやっている総合緊急対策も含めて、政府としてやらなくてはいけないことをしっかり前進させることをもって確実に経済を成長軌道に乗せ込んでいくことは必要だと思います。またこれも前の質問に対する答えと重なりますが、万が一のことを考えて、この補正予算で予備費をきちんと確保することも含めて万全を期すことをしていく、これが大事と思っております。
(問)もう一つ、4-6月期以降の成長パスをどうイメージしているのかということですが、昨日発表された日本経済研究センターの民間エコノミストの予想平均だと、年率で5.1%という高めの成長が予想されています。一方で、大臣もおっしゃるウクライナ情勢が不透明であるとか、物価高とかありますし、また新たにゼロコロナに固執する中国経済の減速懸念も出てくると思いますが、リスク要因も踏まえて先行きをどう見ているのか、改めて伺えないでしょうか。
(答)おっしゃるように、ウクライナの問題は予見できませんので相当不確実性があると、しかも下振れリスクとしての不確実性があるというのはおっしゃるとおりだと思っております。また中国のゼロコロナ政策がサプライチェーンの問題に大きな影響を及ぼし得るという認識ももちろん私たち持っております。
 なので、これらに対して何か一つのことを行えば、それで解決できるという話ではないですから、ですから総合緊急対策がまず必要なわけです。今、傷んでいるところをまず手当てして、そして結局は私たち国民一人一人の活力が経済を良くしていくわけですから、それぞれに置かれている状況の方々をきちんとサポートすることによって、確実に一歩一歩、経済を成長軌道に乗せていくしか他に方法はないだろうと思っております。ウルトラCはないです。だから、そのコンセプトに基づいて私たち今もオペレーションしておりますから、それを続けるしかないと。
 そして、今の不確実性に対する対応は、今回補正予算で予備費を準備したいというご提案させていただいておりますし、何か事が起これば、どうしても不確実性が高いですから、柔軟に対応できる体制を整えておくことが必要と思っております。
(問)2点お願いします。1点目は、4月の月例経済報告の中で、景気については基調判断を上方修正されて、景気上向きと判断されているわけですが、一方でこの1-3月期の今回マイナス成長となったことに関して、この判断についての改めて受け止めを、判断の妥当性についてお伺いできればと思います。
 もう一点、2点目ですが、今回、外需がマイナスということで、輸入が医薬品、コロナのワクチンなど、こういったところがかなり成長の下押し要因になっていると。この件に関して、今後、コロナが続いていく中で、医薬品、ワクチン、引き続き必要性は高いと思いますが、こういったものが成長の下押し要因になることについてどのようにお考えか、お伺いできればと思います。
(答)まず、月例経済報告で景気判断していることについてですが、月例経済報告においては、GDP統計に限らず、足下での経済情勢をできる限り反映するために、様々な統計に加えて月次や週次で公表されるデータ、あるいは企業へのヒアリングなど、利用可能な情報を最大限活用して、その上で総合的に勘案しつつ景気判断をお示ししております。
 今、1-3月期のGDP速報で、感染者数が多い中においても内需寄与がプラスになったという姿が示されていますので、これまでの景気判断に関して、何か変えなくてはいけない環境ではないと私たちは思っております。底堅いと思います。
 それから、4-6月期に向かって、これから外需の要因が、医療品、ワクチン等々も含めてありますが、これがさらに必要になってくる中でどう見ていくかという話ですが、足下は総合緊急対策をやらせていただいておりますが、6月には新しい資本主義のグランドデザインを皆さま方にお示しして、そしてさらにセットで実行計画もお示しをします。
 この実行計画は、まさに今までの岸田内閣の前までの政権でいうところの成長戦略に当たるものになりますので、当然その中に経済をどう活性化させていくかという具体的なプランを書き込んでまいります。それは、先ほど申し上げたように、何か一つのことをやれば、それで経済が上向いてくるということはありませんので、セットで様々なものを併せて一つ一つ確実に成長プラン、新しい資本主義の実行プランを前に進めるということをもって経済を成長軌道に乗せ込んでいくと。これが岸田内閣における大方針でありますので、それを我々としては行っていく中で、経済は確実に成長軌道に乗せ込んでいけると我々としては認識しながらやっているということです。
(問)ウクライナ情勢に関連して、本格的な影響が出てくるのは4-6月期かと思いますが、この1-3月期ではどれほどの影響が出ていると見ていますでしょうか。サプライチェーンの混乱ですとか生産停止などあるかと思いますが。
(答)直接、ウクライナの問題を受けて、ここの部分がひどく落ち込んでいるとかを今回見ているわけではありません。全体としてどうかを見ておりますが、当然ですが、外需の部分において輸入に関しては、エネルギー価格が高騰しているということや、あるいは円安が進んでいるということも含めて、当然そこには寄与してくるわけです。ですから、割に見えやすい部分もありますが、様々関連していますので、ここをもって、これがウクライナの影響ですということを明確にお示しするのは少々難しいと思っております。もちろん、1-3月期のものに対しても、ウクライナ関連の影響は無しではないと思っておりますが、おっしゃるように4-6月期の方が、より色濃くその影響が出てくるものと思います。

(以上)