山際内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和4年5月13日

(令和4年5月13日(金) 16:58~17:20  於:中央合同庁舎8号館1階S108会見室)

1.発言要旨

 本日、「対日直接投資推進会議」を開催いたしましたので、その内容をご報告いたします。
 先日4月27日、経済財政諮問会議で総理から、2030年に80兆円とする対日直接投資の目標の実現に向けて、特に我が国のイノベーションや、サプライチェーンの強靱化につながるような、戦略的な対日直接投資の促進策を具体的に検討するよう私にご指示を頂きました。
 また、ゴールデンウイーク中に英国を訪問した岸田総理は、投資家向けの講演で、「安心して日本に投資をしてほしい。インベスト・イン・キシダ」と訴えられました。水際対策の緩和が進む中で、経済安全保障にも留意しながら、海外からの高度な人材、技術、豊富な資金を呼び込み、イノベーションの創出や、地域の雇用増・所得向上に結び付け、力強い成長を実現していくことが求められます。
 今回の会議では、「対日直接投資促進戦略重点事項推進ワーキング・グループ」を新たに設置することを決定いたしました。そこでは、今回の会議においても議論を深めていただいた、対日直接投資を通じた「人への投資」の強化、DX、GX、スタートアップ育成の推進、外国人が生活しやすい環境整備について、有識者の方々から意見を伺いながら、関係省庁と議論を重ね、来年春までに課題のクリアに向けた具体的な方針を取りまとめてまいります。
 また6月に取りまとめる予定の骨太方針でも、本日ご議論をいただいた高度人材の確保、入国などの各種手続きの簡素化・効率化、対外発信強化などについて反映してまいります。
 議論の詳細については、この後、事務方から説明しますのでお尋ねください。
 もう一つ、新型コロナ対策に関する沖縄県へのリエゾンチームの派遣について申し上げます。
 新型コロナの新規感染者数は地域によって差が生じており、減少が続いている地域もありますが、連休中の人出増もあり今後の動向に注意が必要です。
 沖縄県については、新規感染者数が5月11日に過去最多となるなど足下で増加しており、病床・重症病床使用率も増加が見られます。こうした状況を踏まえ、本日より4月上旬と同様、官邸や各省幹部とホットラインで対応するため、リエゾンチームを沖縄県庁に派遣することといたしました。機動的な対応を可能とするよう、緊密な連携を図ってまいります。
 以上です。

2.質疑応答

(問)幹事社から統計不正の関係でお伺いします。本日、国交省の建設統計に関して有識者会議が開催されまして、二重計上などの影響、推計値が公表されました。過大計上については年間最大5兆1千億。ただGDPの算出に使われる分に関しては、より小さいと。全体としての影響は大きくないという判断をしているようですが、これを受けて、大臣としてもGDPへの影響は軽微という認識なのか、GDPの遡及の修正はどう進めていくのか。あとは、政府全体の統計への信頼が揺らいでいる中、信頼回復にどう努めていくべきなのか、この辺りのお考えをお願いします。
(答)今日の国土交通省が発表したものによりますと、建設総合統計に与えた影響については軽微と考えられるとの評価があったと承知しております。
  これまでも累次にわたってお示しをしてまいりましたように、定性的にはGDPに与える影響は軽微であるという我々の考え方、認識をお示ししておりまして、そのことに変化はございません。
  ただし、今回のことを受けて、秋頃までと聞いておりますが、国土交通省の方で、この基礎統計の遡及改定をしていくということを聞いておりますから、当然、その改定されたものが時系列で手に入ることになれば、それに基づいてGDPも計算はしっかりし直すということになると思います。
 また信頼をどう取り戻すかというのは、まさに今回、国土交通省がやったように、個人的には、人間というのはミスを犯す生き物ですから、当然、様々なことが起きた時にミスが起きるのは、ミスは無い方がいいに決まっていますが。そういうことは起き得るということを前提として、ミスが起きた時に、透明性をもってしっかりと皆さんにお示しをするということ、そしてそれを改めていく過程も含めて、しっかりと説明責任を果たして透明化をしていくということ。このプロセスを皆さんに見ていただきながら、一つ一つ信頼に足るものかということを確認していただくと。こういうことの繰り返し以外に信頼を勝ち得るということはできないと思っておりますので、この一連のプロセスを、しっかりと透明性をもって進めるということに心掛けたいと思います。
(問)一昨日、経済安全保障推進法案が国会で成立しました。米中対立とか、直近ではウクライナの侵攻があって、経済安全保障環境は非常に緊迫化している中で、半導体とかといった重要物資を確保したり、重要なインフラを維持していくという、そういった取組を進めていくということになりますが、こうした取組を岸田政権が目指している新しい資本主義にどう組み込んでいくのか、位置付けていくのか、その辺の大臣のお考えを伺えないでしょうか。
(答)まず大前提として、これは新しい資本主義に限らず、私たち全世界で生活をしている人類は、経済安全保障という考え方、そういう視点を我々が生活をしていく上でいつも根底に置いておかなくてはいけない時代に突入した、この共通認識を私たちは全体で持つべきだと思います。
 その共通認識を持っていただけるように、あの法律案を提出して、今回、成立させていただいたということでございますから、当然、新しい資本主義の概念にも通底する、その土台の部分にこの経済安全保障の部分というのは入ります。それが第一です。
 その上で、サプライチェーンをどうするかであったり、まさに経済安全保障が確保できるかどうかという問題が出てきます。それらの課題を直接間接解決していくために、AIであるとか、量子であるとか、バイオサイエンスであるとか、これからのまさに日本が狙っていかなくてはいけない、あるいは世界のプラットフォームになっていくであろう重要な技術について、これも経済安全保障の視点から研究開発を進めなくてはいけないというのは、これまでもお示しをしてまいりましたし、補正予算でも二千数百億の基金を取るということをやらせていただきました。
 ですから、そういうものは具体的なメニューとして当然、新しい資本主義の中にも入ってまいります。ですから、その両建てです。通底するものとして新しい資本主義全体に関わっているという部分と、具体的にやるべきものというものはメニューとして入ってくると。この2つだと認識しておいてもらえればと思います。
(問)マスクの着用についてお伺いします。2歳以上の園児のマスク着用の推奨について、一部報道で取りやめる方向で検討に入ったというお話もありましたが、総理は今日の国会答弁の中で、そういった具体的な方針を決めた事実はないというお答えでした。
 大臣も先日、検討する必要はあるというお話はありましたが、熱中症のリスクも指摘される中で、こうした2歳以上の園児のマスク着用について、現時点で大臣のお考えをお伺いしたいのと、今度どのように検討していくのか、そのスケジュール感も含めて教えてください。
(答)これはもう総理からお答えさせていただいたとおりで、何か決まったということは今のところありません。
 ただし、今回一連の、まさに皆さま方を中心とした様々な報道があるのを見ていて政府として感じることは、マスクそのものは、基本的にはマスクが感染対策に非常に重要であるということをこれまでも言い続けてまいりましたが、ありとあらゆるどんな場面でもマスクを着けていただかなくてはいけませんということを言ってきたわけではないわけです。
 例えば屋外で2メートル以上距離を保つことができる場合には、熱中症との絡みでマスクは着けない方がいいということを逆に推奨していたりなどということもありますが、それを正しく私たちが皆さんに伝え切れていないと思います。
 ですから政府として、今もう既にこういうことを推奨しているという今の状況というもの、まずこれを周知徹底するために努力をしなくてはいけないと思います。ある意味、マスコミの皆さま方には、そこの部分が正しく国民に伝わるように報道をしていただけるようにご協力をお願いしたいと思っております。
 その検討については当然、これも繰り返しずっと私は言っているわけですが、闇雲に何でもやめていいという話ではないわけです。感染対策と経済を開くということ、これを両立させていくために、どうしても感染対策の部分はエビデンスに基づいてやっていかなくてはいけない話ですから。しかし、この2年数カ月の間にエビデンスは相当たまってきているわけです。ですから、それらを専門家の先生方にこれまでもずっと検討してきていただいておりますが、その中で、こういうエビデンスに基づいてルールを少し変えてもいいのではないかというのが出てくれば、それは柔軟に、遅滞なく変えていくという姿勢で今までも臨んできましたし、これからまさに暑い夏が来ますので、そういう中で何か工夫ができるものがあるのならば、検討の結果というのが出てくれば速やかにという姿勢でいます。
 ただ、検討はずっと続けていますが、現段階で、いつこのような形でというようなものが決まっているということはありませんので、これも総理から申し上げたとおりですが、ゴールデンウイークを過ぎて今、新規感染者数がやはり先週、今週比を見てもまだ上昇傾向にあるというところですから、まずはこれをしっかり抑えていく努力をみんなでしなくてはいけないです。その後の話になるだろうと思います。
(問)今のご回答を踏まえてですが、特に小さいお子さんに関しては保護者の方の中からも、やはりマスクを着けることへの不安の声も出ています。この辺りも、引き続きのご検討になるかと思いますが、現状、対処方針では着用を推奨しているわけで、その辺りの変更も視野には入っているということでしょうか。
(答)それも含めて、まずは今、どういうことをお願いしているかということを周知しなくてはいけないと思います。2歳未満のお子さまに対しては、マスクの着用というものは推奨しないということですが、そこも含めてごっちゃになっていると思います。
 ですから、皆さんが、こういう時には着けなければいけないけど、こういうときはいいよねと。ある意味、言葉が適切かどうか分かりませんが、腹落ちするというか、普段生活している現場において自分のご判断でやれるようなところまで、政府としてエビデンスに基づいて周知しなくてはいけないと思います。そこが足りていないと思いますから、まずはそこからだと思います。
(問)もう1個、昨日、就職氷河期世代の支援について、これまで3年間の目標だったものをさらに2年、引き続き次のステージに入っていくということで、正規雇用を30万人増加ということですが、この2年間、3万人の増加にとどまったということで、この3万人の増加にとどまったところ、コロナで雇用環境が悪化したというところを理由にしていますが、施策面で何か課題はなかったのか、現状、大臣はどのようにお考えになっているのかと、これから2年間延長していく中で、どういったところを重点的に取り組むべきだとお考えでしょうか。その2点を教えてください。
(答)コロナだけにその原因を押しつけるつもりは、もちろん私たちはありません。様々な施策を工夫しながらやっておりますが、それが数字としての結果に表れるわけですから、コロナの影響は相当大きかったと思います。しかし、その30万人という目標を掲げてきて3万人しか増えていないわけですから、これはさらに工夫できる部分を改善して工夫しなくてはいけない。ある意味、そういう柔軟な対応が必要だと思っています。
 その上で、昨日もその議論の中で出ていましたが、もう少し中身を分析しないと、改善をするといっても、どういう施策上の改善があるかということが見えないだろうから、そこの分析も含めてしっかり前に進めるべきだということを有識者の先生方からも言っていただいています。そういった有識者の皆さまからの、専門家の皆さまからのご意見も頂きながら、やれる工夫は柔軟にやりたいと思います。
 その上で、現実的に今年1年間だけで、30万人目標のまだ3万人ですから、あと27万人増やしていくというのは、なかなか現実的ではないです。ですから第2ステージという形で、令和5年度からも2年間続けるということは、まず決定をさせていただいて、ある意味これは予見性を持っていただくという意味です。
 その上で、我々の感覚では、やはり就職氷河期の皆さま方が、ご自身の望みというか、ご自身の考えている人生を送っていただけるように環境を整備する。それをやり切るところまではやらなくてはいけないと思っています。それも含めて、これから向こう3年間になりますが、工夫をしながら進めていって、ある程度この辺りで世の中としても納得できるのではないかというところまでは進めたいと思っています。
(問)上場企業の2022年3月期の決算が相次いで発表されていて、企業全体としては過去最高を更新する見通しということですが、こうした好調な企業業績の状況についての受け止めをお伺いした上で、こうした業績はいいけど、なかなか賃上げですとか、設備投資に資金が回っていないのではないかといった指摘もありますが、この辺りをどのように企業に促していくのか、今後のお考えをお伺いできればと思います。
(答)まさに、新しい資本主義がだから必要だということだと思います。すなわち、これまでも各企業それぞれにご努力をいただいて、業績を上げるために努力をしてきた。これは、別に何も今年に限らず、ずっとそれをやり続けてきて、あるいは、この安倍政権からの流れの中でもそれをやってきたわけです。成長戦略を組みながらやってきたと。
 私なりに理解しているのは、その利益が出た時に、その次に何に張るのかと、何に投資をしてくかというところが、なかなか見えづらい状況にあったのだろうと。そういう反省に基づいて、岸田政権においては社会的な課題、地球的な課題、その課題を解決することを成長のエンジンに変えて、しかも、それを短期で終わらせるのではなくて、官と民が協力しながら、中長期にわたって民の皆さま方に予見性を持っていただきながら、一緒にその問題を解決するということをやっていくと。これが新しい資本主義なわけですが、民間の皆さんにとっては、利益を得たものを次の投資にどこに投資をすればいいのかということを明確にお示しすることが大事だと思います。
 ですから今回、企業業績がいいという状況であれば、まさにその次に投資をしていただける余力がそれで確保できるということですから、ここに政府が、この方向性で皆さん一緒にやりましょうということを見せれば、そこに投資をしていただけるように環境が整っていくものだと私は思っています。
 ですから、6月にはグランドデザインやら新しい資本主義の実行計画やらをお示ししますので、そういう中で、それをお示しする前から、もちろん民間の皆さんともコミュニケーションは続けますが、次の投資先にしっかりとみんなでコミットできるように環境を整えたいと思います。
(問)投資のお話はお伺いしましたが、賃上げなどについては、どのように今後進めていかれるお考えでしょうか。
(答)同じ文脈で考えていただければいいと思います。すなわち、官と民が協力をしながら社会的課題や地球的課題を解決していこうとするならば、その解決をしていく主役は人になります。ですから当然、人に投資をしない限り解決できませんので、「人への投資」の中には賃上げも入るという理解です。
(問)大臣から冒頭、沖縄の感染状況についてお話がありましたが、コロナの感染状況に関連してお聞きします。
 連休後の大臣の会見でも、感染状況についてもうしばらく数字を見ないといけないとおっしゃったと思いますが、ここまでの感染状況を見て、今の状況をどのように受け止められているか、改めてお願いします。
(答)これは、この間の記者会見の時にも申し上げましたが、まだ全体としてこうでしょうと結論を出せるような状況にはないと思います。ですから、いくらオミクロン株が優勢だといっても、やはりコロナウイルス感染症は、暴露が成立してから、感染が成立して症状が出てくるまでの間にそこそこの時間がかかりますから、来週ぐらいまでは見なくてはいけないと思っています。今のところ、全国的に見た時に感染爆発という状況にはない。これは事実としてそうだと思います。ですから、私たちは、私たち自身が考えるような、ある意味、感染防止策を許容範囲の中に収められるようなステージでいるという認識です。
 これが来週ぐらいまで見ないと、本当にそれをコントロールできる範囲で収めていくことができるのか、なかなか皆さま方に明確に申し上げられる状況にはないと思うので、来週ぐらいまでは見たいというのが正直なところです。
 ありがとうございました。

(以上)