山際内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和4年4月28日

(令和4年4月28日(木) 17:51~18:12  於:中央合同庁舎8号館1階S108会見室)

1.発言要旨

 今日は、4つほど冒頭発言がございます。
 本日は、第6回新しい資本主義実現会議を開催いたしました。第一に、「経済社会の多極化」について議論いたしました。具体的には、デジタル田園都市国家構想、デジタルインフラの整備などです。第二に、「民間による公的役割」について議論いたしました。具体的には、新たな法人形態の必要性の有無、社会的起業家の支援の在り方、コンセッションなどであります。
 冒頭、金子総務大臣から、光ファイバ及び5Gの整備について検討結果の報告をいただき、その後、議論をいただきました。主な内容は以下のとおりです。
 第一に、デジタル田園都市国家構想の推進についてはインフラの整備が重要であり、総務大臣の報告を踏まえ、2027年度末までに光ファイバの世帯カバー率99.9%を必達目標とし、さらに必要とする全地域の整備を行うこと。5Gの整備については、2030年度末に人口カバー率で99%の整備を必達目標とすることといたしました。
 次に、そのようなインフラ基盤の上に、各地域で個性のあるデジタル実装を生み出すために、通信事業者、自治体などの関係者の参加による地域協議会を設置することといたしました。併せて、地方においてデジタル技術を実装するための支援措置を検討することといたしました。
 規制・制度の一括改革を進めるため、既存の規制・制度をデジタル技術で代替可能か、デジタル庁を中心に実証試験を行うことといたしました。
 第二に、「民間による公的役割」について議論しました。これまで社会的課題の解決は官が担ってまいりましたが、社会的課題の解決と経済成長の二兎を追って、起業に意欲を示す皆さんが増えてきております。こうした取組について、新たな官民連携の形として資金調達面・公共調達面など全面的に支援をいたします。加えて、新たな法制度の必要性の有無について検討を開始いたします。また、既存の法人形態である財団や社団についても、利便性の観点から改革を検討いたします。
 併せて、バスターミナルや空港などの公共施設の民間事業者による運営を行うコンセッションを加速することといたしました。
 岸田総理からは、昨日も車座を行い社会的起業家の方々と意見交換をし、官の役割だけではなく民の役割が大きくなっていると感じた。本日の会議での議論は、6月の実行計画にしっかりと取り込みたいと思うとのご発言がありました。
 続きまして感染症ですが、次の感染症危機への備えについては、本年6月を目途に、これまでの対応を客観的に評価した上で、危機に迅速・的確に対応するための司令塔機能の強化や、感染症法の在り方、保健医療体制の確保など、中長期的観点からの必要な対応を取りまとめることを目指しています。
 こうした方向に沿って、これまでの政府の対応に関してご意見ご指摘等をいただくとともに、それを踏まえた中長期的な課題についてご示唆をいただくため今般、有識者会議を開催することといたしました。
 有識者のお名前は、お手元の名簿にあるとおりであり、医療・保健分野、経済界、法律・社会学分野より8名の方にご参加いただきます。
 具体的に紹介いたしますと、ボストン・コンサルティング・グループ マネージング・ディレクター&シニア・パートナーの秋池玲子さんは、事業再生や刻々と変わる状況における組織マネジメントなどを専門とするコンサルタント。日本プライマリ・ケア連合学会理事長の草場鉄周さんは、地域における総合的な医療・保健を専門とされる医師。東京大学教授の宍戸常寿さんは、憲法と情報法を専攻され、統治機構、個人情報やデジタル社会等に詳しい法学者。公益社団法人経済同友会常務理事の菅原晶子さんは、規制改革推進会議デジタル基盤ワーキング・グループ座長を務められるなど、デジタル分野などに詳しい方。東京医科歯科大学学長の田中雄二郎さんは、重度・中等症の新型コロナウイルス感染症の治療とともに、その研究も行う大学学長。自治医科大学学長の永井良三さんは、新型コロナウイルス感染症研究に従事されるとともに、地域医療を担う人材を育成する大学学長。なお、保健・医療の提供体制の構築の対応が大きな項目の一つであるところ、当該分野へのご見識がひと際深いことを踏まえ、永井良三さんに座長を務めていただくことといたしました。社会学者の古市憲寿さんは、若者に関する研究等を行われている社会学者。三菱UFJ信託銀行株式会社特別顧問の若林辰雄さんは、大手金融機関の会長を務められるなど経済界に対する深い知見をお持ちであるとともに、経済同友会医療・介護システム改革委員会委員長を務められるなど、医療・介護分野にも詳しい方です。初会合については、なるべく早く開催したいと考えており、現在調整中です。
 続きましてコロナ対策ですが、コロナ対策については、感染リスクを引き下げながら経済社会活動を継続できるよう、基本的な感染対策の徹底等を推進しております。今般、感染対策を進める一環として、感染対策啓発カレンダーおよびイラスト集を毎月作成し、内閣官房のコロナ対策のホームページに公開することとしたので、ご報告いたします。
 フリップをご覧いただければと思います。このカレンダーは、日常生活の中で感染対策を意識付けられるようなイラストを盛り込んだ、月別のものとなっています。A4サイズおよび卓上サイズの2種類を用意しております。
 イラスト集については、マスク着用に関するイラストなど、二次利用可能なものであり、例えば自治体、町内会、学校などで「お知らせ」のような配布物を制作する際に挿入してお使いいただくことを想定しております。これらについては、内閣官房のコロナ対策ホームページからダウンロードできますので、印刷していただいて積極的にご活用いただきたいと存じます。
 ウィズコロナの時代の中で、感染対策を無理なく意識付けられるよう、身の回りでお使いいただける広報素材を定期的に公開するなど、引き続き工夫してまいります。
 最後に、明後日、4月30日(土)から5月5日(木)にかけて、米国のワシントンDCとサンフランシスコに出張いたします。ワシントンDCでは、経済財政政策と新しい資本主義を担当する大臣として、大統領経済諮問委員会、CEAのラウズ委員長と日米経済協議を行うほか、米国要人等との意見交換を予定しています。
 サンフランシスコでは、新しい資本主義の実行計画等の取りまとめに向け、先進的な取組を行うシリコンバレーの起業家や経営者等との意見交換を予定しています。
 詳細は事務方にお問い合わせいただければと思います。
 少し長くなりましたが、以上です。

2.質疑応答

(問)コロナの関係でお伺いします。昨日、厚生労働省がコロナワクチンの4回目接種について、まずは60歳以上や基礎疾患がある人などに限定して、5月以降に接種を始める方針を示しました。
 ワクチン接種は、ウィズコロナ下での経済活動と感染拡大防止の両立を図るために重要ですが、対象を絞ったことや、新たな変異株の登場などで感染が再拡大し、経済社会活動に影響を及ぼす可能性も残ります。そうした経済社会活動に影響が出るような事態になった場合、新型コロナ対策と経済再生を所管する大臣として、大臣はどのような対応をお考えか、現段階のお考えをお聞かせください。 
(答)4回目のワクチンをどのような対象者にどういうスケジュールで提供するかについては、それはそれで総合的に勘案した上で案をお示ししているところですので、その詳しい内容について、理由等もお知りになられたいということであれば、当局からまた聞いていただければと思いますが、私の理解では、このオミクロン株が次も流行するということであれば、それに対する対応として何が適切かという視点から4回目のワクチンの接種を考えているということだと思います。
 ですから、今ご質問にありましたように、新たな変異株が出てきて、そしてその新たな変異株の性状が今までのものと違う状況が出てきた場合には、当然それに併せて戦略、戦術も柔軟に変えていく必要が出てまいります。
 ですから我々は、何度も申し上げていますように、現段階においてオミクロン株の流行がまだ収まり切っておりませんが、これが次にさらに第7波を起こす可能性も含めて考えた時の方途として、4回目のワクチンのことを申し上げているのであって、これから先、何か違った条件が出てきた場合には当然、柔軟にそれに対応できるように準備は進めておきたいと思っております。
 それと併せてですが、どういう状況になったとしても、十分に対応できるように準備をしておくのが政府の役割だということで、十分な量のワクチンを確保すること、そしてワクチンを接種する体制をしっかり準備しておくこと、これは非常に重要なことなので、それは併せて行っているということは確認しておきたいと思います。
(問)先ほど、ゴールデンウイークの外遊について発表されたわけですが、アメリカのCEA委員長との日米経済協議、こちらについてはどういった狙いで、具体的な内容としてはどういった問題についてお話しされるのかお伺いできればと思います。
(答)そもそもこの日米経済協議に関しては、もう長い歴史のあるものです。ですから、私のポジションにある人間と、そのカウンターパートである米国の私のポジション、すなわちマクロ経済や金融のこと等について司っている閣僚と、日米の経済協力は非常に重要なものですから、今までも意思の疎通を図ってきたという歴史があります。
 今回は、当然岸田内閣になって初めて会うわけですから、日米の経済について忌憚のない意見交換をしたいと思っております。なかんずくウクライナの問題等々がございまして、世界経済がこれからどうなるか不確実性を増しているということや、もちろんコロナ禍における経済が傷ついたという部分もございます。そういうことも含めて、今現在問題になるかもしれないと思っていること、あるいは問題になっていることも含めて、そういったことをきちんと両国で、お互い我々はこういう考え方を持ってこういうオペレーションをしています、アメリカはどうですかといった、そういう忌憚のない意見交換をやらせていただきたいと思っています。
(問)もう1点お伺いしたいのが、今日、対ドルで130円という20年ぶりの水準になったわけですが、こういった状況についてのまず受け止めと、その上で、円安は輸入品を中心として、輸入品だけではなくてエネルギーなどを含めて物価高につながる恐れがあるわけですが、こういった為替水準自体の是正に関して、政府として施策が必要かどうかについて、お考えがあればお伺いできればと思います。
(答)従来から、為替のことについて直接は言及いたしませんが、急激な為替の変化は好ましいものではないということは、財務大臣からも申し上げたとおりです。
 ですから、我々としては為替が安定してくれればいいと期待しておりますし、オペレーションそのものは日銀にお任せしていることですから、日銀の方で適切に行われることを期待したいと思っております。
 経済に対する影響は、それこそ1+1=2のようなことではありませんので、様々なものが絡み合いますから、我々としては注視しながら、激変によって何か影響があるものに関して対応するということをこれまでもやってまいりましたし、その激変というのは為替の問題だけではなくて、様々な意味で経済の激変が起きた時に、その激変に対してそれを緩和するようなことをやってきたという意味ですが、それを注視しながら我々としてやらなくてはいけないと思っています。
(問)本日、新しい資本主義実現会議で、米国で導入されているベネフィット・コーポレーションについて議論がされたかと存じます。委員の中でも考え方に違いがあるようですが、大臣として今後、このような制度の整備や法制化についてどのように今、お考えでいらっしゃるでしょうか。お願いします。
(答)私たちとしては、新しい資本主義の下で、そのコンセプトに適う形での社会の中におけるそれぞれのステークホルダーの形態を、見直しが必要なものは当然見直しをしますし、新たに何か必要なものは新たなものを付け加えていくという非常に柔軟な考え方を持っております。
 そういう文脈の中で、これまで様々な課題に関して公、官がやってきたことについて、これを民がそこの部分を、公の問題を解決することと利益を追求するということ、言ってみれば二兎を追うという表現で今日表現されていましたが、それを狙うような、そういう社会的課題を解決することを利益の源にするという形態も出てきていると。それを受けて、言ってみれば支えるというか、オーソライズするような、そういうルールが必要なのではないかという議論が出ました。
 当然、これは企業の形態の根幹に関わる話ですから、どういうルールがいいのかということを、今もう既にあるルールをいきなりゼロにして、それで新しく作り直すというような話ではありません。
 今日、検討を始めるようにという総理からのご発言がございましたので、我々は私たち自身が目指す社会を形成していくに当たって、どういうルールがいいのかということの検討を始めたいと思っております。
 しかし、そんな簡単にこれは結論が出る話ではないというのはご理解いただけることだと思いますので、様々なご意見があるとご披歴いただきましたが、それも当然のことだと思いますから、丁寧にしっかりと議論を進めたいと思います。
(問)脱炭素の取組に関連してお聞きします。今年度の予算でグリーンGDPについて、その研究の予算が付いていますが、このグリーンGDPという指標は改めてどういうものなのかという点と、政府として脱炭素目標を掲げている中で、どういう狙いがあるのかというところを大臣からお願いします。
(答)現在、国際連合が環境と経済の関係を「見える化」する勘定体系について国際基準を策定するとともに、ご指摘のような温室効果ガスの排出削減努力を考慮した経済成長率の推計をOECDが行うなどの取組が進められております。
 内閣府では、このような国際的な取組を踏まえた上で、昨年度から委託調査などによりまして温室効果ガスの排出を捉える勘定や、その排出削減努力をプラス評価できるような経済成長率の指標についての研究を進めております。
 残念ながら、まだこれは出来上がっていないものですから、内容を精査しておりまして、それが終わり次第、夏ごろを目途に公表していきたいと思っております。
(問)それは試算についてということでしょうか。
(答)はい。
(問)今日ご発言があったコロナの有識者会議についてお伺いいたします。スケジュール感ですが、具体的にいつ頃議論を開始して、いつ頃取りまとめをするのかということと、あと各回でどんなことを具体的にされるのかというのを教えていただけますでしょうか。
(答)スケジュール感は、これはもう総理からいつも申し上げているとおり、6月を目途にということですから、それに向けてです。もう明日からゴールデンウイークが始まりますので、ゴールデンウイークが明けましたら精力的に議論を進めていただけるように準備したいと思っております。
 その議論の中身については、これもこれまで累次にわたって申し上げてきたことですが、コロナウイルス感染症との闘いがもう2年数カ月に及んでおります。その中で、今までどのようなことをやってきたかということをもう既に様々な部分で検証もしてまいりましたが、それらの基礎的なものを揃えてございますので、それを委員、先ほど申し上げたように医療の分野からどのように見えるか、あるいは経済の分野からどう評価をするか、あるいは有識者、学識者の方々から見た時にどうかというようなことを客観的にやはり評価していかなくてはいけないと思っています。
 ですから、そういう視点をもって必要な方々とのディスカッションを加えて、もう上がってきている散々なデータを整理したものをベースにしながら、足らざる部分をその時の関係者等々とも議論をしながら、最終的にこれからどうすればいいかということについてまとめ上げていくという議論になると思います。
(問)もう1点だけ。5月に始めて、6月に取りまとめるって、ちょっと期間が短いようにも感じますが、その点はいかがでしょうか。
(答)ゼロから全てを議論するということではないです。ですから、これまでやってきたことというのをきちんと整理して、それに基づいて議論するわけですから。ですから、そういう意味では当然、精力的にやっていただかなくてはいけないということではありますが、しかし、それが無理なスケジュール感であると我々は思っていませんので、きちんと結論が出るように精力的に議論を進めたいと思います。
 ありがとうございました。

(以上)