山際内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和4年4月26日

(令和4年4月26日(火) 18:48~19:12  於:中央合同庁舎8号館1階S108会見室)

1.発言要旨

 今日は三つほどあります。
 本日開催されましたデジタル市場競争会議におきまして、「モバイルエコシステムに関する競争評価中間報告」及び「ボイスアシスタントやフェアラブルといった新たな顧客接点に関する競争評価・中間報告」について意見を取りまとめましたので、ご報告します。
 モバイルエコシステムについては、スマートフォンが急速に普及し強い顧客接点となる中で、少数のプラットフォーム事業者による寡占化、また、ルール設定などを通じた影響力の強化・固定化を背景に、様々な競争上の懸念が指摘されています。
 こうした中で、多様な主体によるイノベーションや、消費者の選択の機会を確保するため、競争圧力を高め、公平・公正な競争環境を実現することが重要です。
 また、新たな顧客接点の獲得・拡大については、既に強力な顧客接点を有する事業者が、その地位をレバレッジにすることなどにより、今後の市場の成長とともに、競争上の懸念が高まる恐れがあります。イノベーションや、市場の成長を阻害せずに、どのようにそういった懸念を未然に防ぐかが、大きな課題となります。
 今回お示しした二つの中間報告は、市場実態や競争上の懸念に対する評価、対応のオプションについて、現時点における暫定的なものをまとめたものです。今後、議論・検討されるべき論点を明らかにし、公表することにより、国内外の様々な関係者からの知見を募ることを目的としています。
 今後、様々な関係者からのご意見を踏まえ、諸外国の状況も注視しながら、必要なルールのあり方について検討を深め、最終報告を取りまとめていきます。
 会議の詳細については、事務方までお問い合わせください。
 次に、第2回原油価格・物価高騰等に関する関係閣僚会議が開催され、コロナ禍における原油価格・物価高騰等総合緊急対策を決定いたしました。
 本対策は、ウクライナ情勢等に伴い、直面する原油価格や物価高騰等による影響を緩和するための対応を、緊急かつ機動的に実施するとともに、コロナ禍からの経済社会活動の回復を確かなものにするため策定したものです。
 具体的には、燃料油価格の激変緩和事業の拡充や、業種別のきめ細かな対策、生活困窮者への重層的な支援等により、原油価格や物価高騰等が、国民生活や経済活動に与える影響を緩和するとともに、省エネの推進や、サプライチェーンの強靭化、賃上げや適切な価格転嫁の促進などにより、現下の状況を乗り越えて、コロナ禍からの回復を確かなものとする。
 こうした観点から、必要な施策を盛り込み、国費6.2兆円程度、事業規模13.2兆円程度の対策となりました。
 まずは、このうち新たな財源措置を伴うものについて、令和4年度一般予備費、コロナ予備費の使用を週内に決定し、直ちに実行に移します。その上で、新型コロナウイルス感染症の再拡大や、原油価格・物価のさらなる高騰等による予期せぬ財政需要に迅速に対応し、国民の安心を確保するため、予備費の確保及び6月以降の燃油価格の激変緩和事業を内容とする補正予算の編成について、総理よりご指示がありました。
 まずは、本対策は十分な効果を発揮できるよう、総理からご指示があったとおり、影響を受ける方々に必要な支援を速やかにお届けするとともに、国民への分かりやすい情報発信を、政府一体となって進めてまいります。
 このため、内閣府においても、本対策のフォローアップを行ってまいります。
 個別政策の詳細等については、事務方にお問い合わせをいただければと思います。
 そして最後に、無料検査拠点の拡充、大型連休対策について。今週末からの大型連休について、安全安心に過ごしていただき、感染拡大を防止しながら、社会経済活動を維持・回復していくため、皆さまにおかれては、若い方を含め、ワクチン3回目の早期接種、日常生活の中で積極的な検査・受検、帰省や旅行の場合を含め、マスクの着用、手指衛生、3密の回避、換気など、基本的な感染対策を徹底について、引き続きご協力をお願いいたします。
 特に、帰省される方については、帰省前に3回目接種、または検査を受けていただくようお願いいたします。お近くの拠点で無料検査を受けていただける他、連休中は主要な駅や空港など、100か所以上の臨時の無料検査拠点等で検査を受けられるので、是非ご活用いただきたいと思います。
 加えて、下水サーベランスについて、実用的な活用が可能となるよう、実証事業を行うことといたしました。
 実証事業の実施を請け負う事業管理者、株式会社三菱総合研究所が明日4月27日から公募を開始する予定ですので、多くの地方公共団体や、施設等に応募していただきたいと思います。
 冒頭は以上です。
 

2.質疑応答

(問)先ほどあった原油価格・物価高騰に関する関係閣僚会議の関係でお伺いします。
 現在の物価高騰が、ウクライナ危機の長期化や為替の円安傾向の長期化も相まって、今後長期化することも考えられます。このため、上半期を目途として、緊急対応が終わると常態化してしまうような可能性も考えられると思いますが、大臣、現時点で緊急対応の出口というか、手じまいしていく戦略に対してどういったイメージがあるかお聞かせください。
(答)正直に申し上げると、ウクライナ情勢がこれからどのようになるかということを見通せる方はいらっしゃらないと思います。もちろんそれは私もそうですし、政府全体としてもそうです。ですから、緊急対策という形で、今般のご説明申し上げたことをまずやると。
 しかもこれは、6月から9月までも補正予算を組んで、対応することを決定させていただきました。ですから、これをまずやるということが前提としてあって、その間に、後数ヶ月の間に、様々なことが起きると思います。
 やはりその様々なことが起きる中で、我々としては、国民の生活がきちんと守られるように、柔軟に対応していくことが必要だと思っておりまして、そういう体制を敷き続けることが必要なことだと、お答えとしてはそれしか言いようがないですが、その中で、さらに何か必要なことがあるということであれば、今申し上げたように柔軟に対応することになると思います。
(問)緊急総合対策について伺います。当初の対策については、予備費を活用するということでしたが、結果的に補正予算編成に伴う形になりました。補正予算が必要になった理由について改めて伺いたいのと、もう一つ、この補正予算編成に当たっては、対策に使った予備費をまた補充するという意味で必要になったかと思いますが、その予備費というのは、国会のチェックがなかなか働きづらいということで財政民主主義の観点かもら、本来は例外的な措置であるべきだと思いますが、それをまた5.5兆円という巨額のレベルまで戻すという、この点についてのお考えはいかがでしょうか。
(答)予備費を使うということは、何らその方針が変わったわけではないというのは、ちゃんと見ていただければ、そうなっていると思います。
 前の質問に対してのお答えの中でも申し上げましたが、ウクライナの情勢に関しては、先が見通せないわけです。ですから、どんな状況になったとしても、万全を期すために、エネルギー高騰対策に関して、6月以降についての予算を確保しようということで、補正予算ということになったとご理解いただければと思います。
 そしてその予備費を5.5兆円積んでおくということの意義、これはまさにおっしゃったように、これを毎年毎年行うということでは当然ないわけですから、ウクライナの問題に関して、不確実性があまりに大きいですからそれに対して柔軟に対応する必要がある。そして、この2年間、我々コロナと戦ってまいりましたが、コロナウイルス感染症も、これからどうなるかというところを、きちんと予見できる人は一人もいないはずです。
 ですから、そういう不確実性が非常に高まっている状況において、何度も申し上げますが、国民生活がおかしなことにならないようにしていくためには、どうしてもスピーディーに、しかも柔軟に対応する必要があります。なので、予備費を積むということを、我々としてはやらざるを得ないということです。
(問)もう一問、幹事社の質問でも出口論ということに言及ありましたが、ガソリンの補助金について、今回25円から35円に引き上げということで、さらに補正予算で9月まで継続できるように、事業費を確保するということですが、そもそも1月に始まった時点では上限が5円ということで、さらにあくまでも緊急避難的な措置だったと思いますが、結果的に手厚い支援が長期化するという形になると思いますが、このまま原油価格が高止まりすると、ちょっと言葉が悪いですが、補助金漬けから脱却できなくなるという恐れもあると思います。原油価格が上がれば、エネルギー消費を抑えるという市場のメカニズムを働かせていく、さらに化石燃料の依存度を下げるとか、省エネの取り組みを更に進めるとか、そういった観点も必要だと思いますが、また財政負担も大きいですから、いつまでも続けるわけにいかないので、このガソリン補助金の出口について改めてお願いします。
(答)出口に関しては、先ほども申し上げたとおり、まだ見通せる状況にはないので、そこについて明確にお答えできないということはご理解いただきたいですが、おっしゃっているとおりだと我々考えておりまして、だからこそ、緊急避難的と話ありましたが、激変緩和措置ということを繰り返し申し上げてきたわけです。
 ですから、激変緩和措置をいつまで続けるかというのは、まさに新しい価格に円滑に適応していけるように、対応していけるように、徐々にそちらの方に舵を切っていくことが肝要だと思っています。
 そのタイミングがいつなのかというのは、先ほどから申し上げているように、ウクライナの問題がまだ今まさに動いている最中ですので、そういう世界情勢が非常に不確実な中で、我々としては柔軟に考えざるを得ないと。しかしコンセプトはおっしゃっているとおりだと考えておりますので、最終的に出口の段階で、いきなり階段をどーんと上がるのか、下がるのか、値段がいきなり上がってしまうということでは当然国民の生活に多大な影響を与えるということになりますから、その出口というものをしっかり考える時には、まさにその激変が起こらないようにしなくてはいけないと思っています。
(問)今のお答えに関連してお伺いしますが、新しい価格に円滑に適応していけるように舵を取っていくのが肝要ということでしたが、今回標準価格172円から168円に引き下げになりました。新しい価格に適応していくという観点で言うと、引き下げるのではなく、引き上げる方向になっていくかと思いますが、今回引き下げた理由を改めてお伺いしたいのと、今後どういったところをきっかけに引き上げに転じているとお考えなのか、その辺りお伺いできますでしょうか。
(答)これはもう、総合的に政策ですから、一つの政策だけで物事は進んでいることはないので、全体の総合緊急対策の中で、どうバランスを取っていくかということで、そういう数字に落ち着いたと、これ以上はご説明できる話ではないと思っています。
 ただし、今設定された価格から徐々に切り上げをしていくというのは、先程まさに言ったように円滑に対応していくためには必要なことだと思っておりますが、これがいつになるかということについて、今言及できる状況には当然まだないということだと思います。
(問)緊急対策の中で今回困窮している子育て世帯に5万円の一時支給が入っていますが、これは1年前にも実施されていて、結構支援が行き届いていないという指摘があったワーキングプアへの支援というのも、緊急対策の中でどう盛り込めたのか、また制度的に難しい部分があったのだとすると、ちょっとその辺りもご説明いただけたらと思います。
(答)新たに今回お示しをしたのは、生活に困窮をされている子育ての世帯にやらせていただきましたが、当然今までやってきたメニューというものが、いきなりこれ全てなくなってしまうということではないです。
 ですから、全体、総合的に、サポートできることはサポートしていこうという時に、当然お金が無限大にあるならば、様々なことができるかもしれませんが、やはりそこは限りある財源の中で、それをどう効果的に緊急対策として打っていくかを、総合的に勘案した上で、今回の緊急対策の中で、困窮生活者の子育て世帯という形でやらせていただいたということです。
(問)コロナのゴールデンウィーク期間中の無料検査について追加質問で、具体的な期間と場所について、期間は今月29日から来月5日のゴールデンウィーク中で想定されているのかが一つと、もう一つ、具体的な場所で、100か所というと、駅や空港の他、高速のパーキングだったり、他のところでも想定されている場所があったりするのでしょうか。お願いします。
(答)詳細は後ほど事務方に聞いていただければと思いますが、ここにある資料に基づきますと、空港、それから主要な駅が全国入っています。それから海ほたるだとかありますが、そういうパーキングエリアみたいなところも中には入っているようです。
 詳細なデータがありますので、後ほど事務方に尋ねていただけますでしょうか。
(問)私もコロナの検査体制についてお伺いします。100か所というと相当多くの検査体制の増強だと思いますが、その後の陽性だった場合の治療ですとか入院、そういったものにつなげていく体制をどのように担保していくのかと、現在問題になっているのは、特に若者の世代には、検査を受けてしまうと逆に旅行に行けないから受けないと、会社に行かれないから受けられないと、そういう声が少なからずあると思いますが、そういう方々に、しっかり検査を受けていただくようなモチベーションをどうやってつけていくのか。そのことについてどのようにお考えなのか教えてください。
(答)検査で陽性となった方についての扱いは、当然その検査をしている場所でもその後どうすればいいかという情報は、提供しなくてはいけないこととしております。
 オペレーションそのものは、これまでオミクロン株で行ってきたオペレーションと何ら変える必要はないと思っておりますので、新規陽性者として、適切な医療提供体制に乗っかっていただくということになると思います。
 それから後段の方の、若い方、実は若い方に限らずと思いますが、移動される、ゴールデンウィークの間に様々な旅行をされるという方に関しては、おっしゃるようなことがあるのかもしれないと思いますが、しかし一方で、多くの方が帰省されます。当然、その帰省される先には自分の大切な方々がいらっしゃるわけです。その方々に感染させてもいいという考え方は、普通私たちは持たないものだと。これは性善説だと言われればそれまでかもしれませんが、やはり相手に感染をさせてはいけないという思いを持ってくださっている方が大半だと、我々はそう思います。ですから、そういう方々が心配だからチェックしたいと言った時に、チェックできるポイントが近くにない、不便だということを、なんとか少しでも避けたいという思いで、今回100か所を超える無料検査の場所を確保したということでございますので、どんな制度でもそうですが、それを利活用されない方がいらっしゃるというのは、当然それは100点満点とはいかないと思います。しかし、大半の方が必要だと思う時には受けていただけると信じておりますし、また、そうでなかった場合、検査を受けずに旅行に出られたという場合も、受け入れる側の体制は、例えばしっかりアクリル板で囲うとか、あるいはマスク、3密の回避等々で、受け入れる側も施設等々は、きちんと感染対策を行っておりますので、総合的に用いながら感染拡大を防止していくと。これしかないかと思っております。
 もちろん政府としては、極力検査を受けてくださいということを言い続けるしかありませんし、総理も先ほどの記者会見でそれをしっかり皆さん受けた上で、ゴールデンウィークをお過ごしいただきたいということを直接訴えていただきました。こういうことを続けるしかないと思います。
(問)1点、燃油の激変緩和事業の関連で確認ですが、ここにもあるように時限的あくまで緊急避難的措置であって、対象は上半期中実施するとなっていますが、基本的には、この対策自体は、上半期9月までで一旦終わるというのが筋だという理解でよろしいんでしょうか。
(答)これはそういう意思ではないです。先ほどから申し上げているように、ウクライナの情勢がどうなるかは全く先が読めないわけですから、もちろん上半期をまず念頭に置きながら進めてまいりますが、その先、上半期で完全に終わりますよということを今から決めているということではなくて、柔軟に対応できるようにしておかなくてはならないという思いでいます。正直に申し上げて、3か月後にどうなっているか、今の時点では申し上げるわけにはいかないです。柔軟に対応しますとしか言いようがないです。
(問)場合によっては延長することもあり得るという含みを持たせているという書き方でしょうか。
(答)現段階において、公式に言うことは決まっていませんとしか言いようがないです。しかし、柔軟に対応しなくてはいけない時には、もちろん柔軟に対応していきます。
(問)本日の総合緊急対策についてお伺いします。改めて内容を見ると、中小企業向けの融資延長や、低所得世帯への子どもの給付金といった、これまで行われた新型コロナウイルス対応策の踏襲が目立つように感じます。今円安ドル高や、輸入コストの上昇が進む一方で、賃上げは中小企業に広がりを欠くなど、今回の経済対策では景気の浮揚効果を乏しいとするエコノミストの意見もあります。
 社会情勢大きく変化していますが、過去の新型コロナ対策と、今回の経済対策の違いについて、どうように考えているのかお願いします。
(答)注意深く見ていただいたら分かるように、我々今回経済対策という言葉を使っていないです。総合緊急対策という言葉を使っています。すなわちそれは、急激な物価高騰の激変を緩和するために何をすればいいかという視点から、総理からご指示が下りてまいりましたので、緊急にやらなくてはいけないことということで、まとめさせていただきました。
 当然、その後に経済を成長軌道に乗せ込んでいく作業が必要になります。これも先ほどの総理の記者会見の中で、総理自らがお話しになられたことですが、二段階にやるというお話をされました。まさに我々は総理から前もってずっとご指示をいただいている6月に新しい資本主義のグランドデザインと実行計画を皆さま方にお示しをすると。その中には当然おっしゃるように、経済の成長戦略が描かれていなければいけないと思っていますから、経済の成長戦略そのものは、二段階目の方にきちんと盛り込むべきものと、我々は整理しています。
 今回は緊急対策として、放っておくとへこみますから、そこの部分を下支えするものと理解していただければと思います。

(以上)