山際内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和4年4月21日

(令和4年4月21日(木) 17:27~17:40  於:中央合同庁舎8号館1階S108会見室)

1.発言要旨

 月例経済報告等に関する関係閣僚会議の概要を報告します。
 今月は、景気は新型コロナウイルス感染症による厳しい状況が緩和される中で持ち直しの動きが見られると、先月の判断を上方修正しております。
 これは企業収益や生産等の持ち直しの動きが続いていることに加え、まん延防止等重点措置が解除され、個人消費にも持ち直しの動きが見られることを踏まえたものです。
 先行きについては、感染対策に万全を期し、経済社会活動が正常化に向かう中で、景気は持ち直していくことが期待されます。
 ただし、ウクライナ情勢等による不透明感が見られる中で、原材料価格の上昇や金融資本市場の変動等による下振れリスクに十分注意する必要があります。
 この他、会議の詳細については後ほど事務方からご説明いたします。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)今回、景気の基調判断が上方修正されましたが、やや景気認識が楽観的ではないかと思われます。既にウクライナ情勢など不透明な点があり、あと先行指標の機械受注など、下落している部分もありますが、リスク要因についてはまだ顕在化していないという見方なのでしょうか。
(答)正確に少し申し上げます。景気の現状につきましては、企業収益や生産等の持ち直しの動きが続いていることに加えまして、今月は個人消費がまん延防止等重点措置の解除を背景に、持ち直しの動きに転じたことを踏まえ、判断を上方修正したものです。
 先行きについては、ウクライナ情勢を受けて世界的に不確実性が上昇する中で、原油等の原材料価格の上昇や、株価下落等の金融資本市場の変動が景気を下振れさせるリスクに十分注意と警戒感を示しております。
 今後、ウクライナ情勢等の影響の期間や程度にもよりますが、商品市場、金融資本市場、貿易、世界経済の変動等を通じた日本経済への影響にしっかり注視をしていく必要があると考えています。
(問)経済対策の件ですが、今日、自民党と公明党の幹事長が会って、補正予算の関係で合意したという報道があります。その件について総理と面会されたようですが、何か指示などがあったかとか、政府側の検討状況をお願いします。
(答)もちろん最終的に与党の中で、幹事長間で話し合いが持たれて合意をされた。そしてその内容がどういうものであるかということは承知しております。それを今日まさに受け取ったところですので、これから与党と、それをもとにして協議、最後の詰めに入っていかなくていけないと思っております。
 ですので、今のところで政府として何か決まったことがあるわけではないですが、総理とはもちろんその認識に基づいてお話をした上で、これから当然与党プロセス等々ありますので、それを受けて最後の詰めに入りますということについて、詳細は避けますが、相談させていただきました。
(問)先ほどの質問に関連して。自民・公明両党の合意では、今国会中に補正予算を編成させるということですが、その補正には、対策に使う予備費を充当するものと、あと9月までのガソリン補助金の経費を盛り込むということですが、改めて補正予算の編成の必要性について、大臣のお考えを伺えないでしょうか。
(答)これも、まだ私の独断で今こう思っていますと申し上げるべきではないと思います。そういうご提言がなされたということを受けて、政府は与党とこれまでも協議を続けてきましたが、同意したものがそれだということを受けたわけですから、それも受けた上で、最後どういう形のものにするかを、これはもう4月中にと決められておりますから、それに向けて最後の詰めをしなければいけないと思っております。
(問)別件になりますが、本日、日商が最低賃金に関する要望を発表しました。去年の要望にあった現行水準の維持という表現が消えて、引き上げを容認するとも読める表現になりましたが、この要求に対する受け止めと今後の対応について、改めてお聞かせください。
(答)ご要望があったことはもちろん承知しております。その中で、「労使双方の代表が意見を述べる機会を設定し、経済情勢や賃上げの状況などを十分に反映したものにすべき」等がご要望の中にあったと承知しております。
 これは前々から申し上げておりますが、政府としてはできる限り早期に全国加重平均1,000円を目指すという目標を掲げております。しかし中小企業は本当に千差万別です。ですから、一律に前に進めていいという話ではないと思います。丁寧な対話のプロセスの中で、無理なく、しかし全体としては加重平均1,000円に向けて、みんなで頑張っていこうというモチベーションを持ちながら進もうということだと思います。
 それをより丁寧に進めていくためにこういうことが必要だという要望内容になっていると思いますので、それも踏まえた上で、政府もきちんと協力しながら前に進めてまいりたいと思っております。
(問)経済対策に戻りますが、改めて確認で、補正予算ということで、今現在段階で編成規模をどれぐらい考えているのか。また、財源については今の段階で大臣としてはどのようにお考えか。新規国債の発行があるのかどうか、そこをお願いできますでしょうか。
(答)正直申し上げると、まだ何一つ正式に決まったものがないので、アイデアとしてはこういうものだということは、当然、政治家としては持っておりますが、政府としてそれを正式に皆さんに発表するなり、ご報告する段階にはないと思います。
 ただ、私たちは総理から、緊急対策として、今の状況、緊急に必要なものをしっかり手当てをしなくてはいけないという指示が下りてきていますから、その緊急性に鑑みて、やるべきことは躊躇なくやるという覚悟で進まなくてはいけないと思っています。
(問)もう1点です。今回、予備費を積み戻すという作業が補正予算であると思いますが、予備費を使うことには、やはり財政規律が緩むのではないかという指摘もあると思います。こうした予備費を使うことが常態化している状況については今どう思われますか。
(答)今回の緊急対策で、補正の中身をどうするかということについて、まだ何一つ決まっていないものですから、そういうご提言を与党から頂いたところなので、それをどうするかという話はまだ決まっていないとしか答えようがないものですから、そこはご理解いただきたいと思います。
 それと予備費を使うことについてどうかということも、これは政府としての公式な見解を述べているわけではありません。しかし、まさにコロナという見えない敵と我々が闘う時に、柔軟に、時期を逸することなく様々なことをしなくてはいけないという状況の中で、この2年以上きたわけです。そしてその状況が済んでいるなら話は別ですが、まだウィズコロナなわけです。
 ですから当然、何か緊急でやらなくてはいけないことが出てくる。それに対して対応するために予備費を積んでおくというのは、きちんと国民に対して説明はしなくてはいけないと思いますが、機動性を確保しなくてはいけないという観点から必要なものであると。このように我々自身は、これまでも考えて、そしてやってまいりましたし、これから先もまだしばらくはその状況が続くという認識でおります。
 ですから、この緊急対策も、総理からは、まずは予備費ならびにコロナ予備費をしっかり使って、緊急性の高いものをやってくれというご指示が来ていますから、そのコンセプトは違えることなく進めたいと思います。
(問)日本経済が持ち直しで、参考資料は、アメリカも持ち直し、中国も持ち直し、英国も持ち直し。普通の国民は、やはり今の円安ですとか経常収支の赤字ですとか、これから何が起こるか心配しているわけですが。役所は継続性でやっているでしょうけれども、やはりそこにずれを感じる国民が多いんのではないでしょうか。最初の質問もありますが。大臣としては、但し書きの方こそが本当のこと、心配であるところではないのでしょうか。
(答)個人的に、警戒感を持って、但し書きの後の方のウクライナ情勢が不確実性を持っているということについて、そこについて言及することは可能ですが、我々としてはやはりファクトを一つ一つきちんと積み上げた上で、正しい、今どういう状況にあるかということを発表しなければいけないと思っています。ですから、一つ一つの数字をニュートラルに見ると、今日発表させていただいたような形になっているわけです。
 世界の見方も、もちろんIMF等が、先般、世界経済見通し等々を発表する中で、成長率が下がる見通しを示しました。しかし全体としては、下がるといえども3%を超える経済成長をすると言っているわけです。ですから、それほど世界全体の中でのトレンドと我々の認識がずれているという感覚はありません。
 しかしおっしゃるように、心配でないのかと問われれば当然心配です。やはりウクライナの情勢がどうなるか見えませんし、もちろん今コロナとまだ闘っている最中ですから、コロナウイルス感染症をきちんと抑え込むことができるかということについても、日々注視をしなくてはいけない状況にあると思います。
 しかし、それらはやりますが、一方で数値として出てきているものを過度にマイナスに評価したり、過度にプラスに評価したりということはやってはいけないことだと私たちは思います。なので、ニュートラルな目で数値を積み上げると、今日発表させていただいた形で、我々としては発表するのが正しいやり方だと思ってやらせてもらっています。

(以上)