山際内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和4年4月12日

(令和4年4月12日(火) 18:10~18:27  於:中央合同庁舎8号館1階S108会見室)

1.発言要旨

 第5回新しい資本主義実現会議のご報告をいたします。本日は、コロナ後に向けた経済システムの再構築などを議題として、第5回新しい資本主義実現会議を開催いたしました。
 本日の会議では、冒頭萩生田経済産業大臣から、スタートアップ施策についてご説明をいただき、その後民間議員の方からご意見をいただきました。主な内容は以下のとおりです。
 スタートアップの育成については、官民の役割分担をしっかりした上で、5か年計画を作成し、実行のための司令塔機能を明確化する。
 まず資金面の対応。海外からの誘致も含めて、ベンチャーキャピタルへの公的資本の投資拡大を図る。また、個人金融資産やGPIF等の長期運用資金が、ベンチャーキャピタルやスタートアップに循環する流れを作る。あわせて、融資について信用保証を受けている場合に、経営者による個人保証を不要にするといった見直しを図るとともに、不動産担保によらず成長資金を調達できるようにする。新規上場の際に、スタートアップが十分な資金調達を行うことが可能となるよう、IPOプロセスの見直しを実行していく。
 さらには、SBIR制度について、スタートアップへの支援の抜本的拡充を図るなど、公共調達の活用を進める。
 また、海外への大学誘致を含め、スタートアップが集積するキャンパスづくりを進める。人材面では優れたアイディア・技術を持つ若い人材に対する支援策を抜本拡充する。人材の流動化については、経団連の協力も得ながら、副業・兼業を認める企業数を拡大する。
 既存企業がスタートアップの有する知見を取り入れるオープンイノベーションも大切。潤沢な預貯金をスタートアップ企業へ投資いただけるよう、インセンティブ措置などの見直しを図る。
 また、コロナ後に向けた事業再構築を容易にするため、債務が事業再構築の足かせにならないよう、新たな事業再構築法制の整備を進める。
 新型コロナで苦労されている、従業員を雇わない創業の形態であるフリーランスの方々に対しての取引適正化のための法制度の整備を進める。
 第二に、新しい資本主義では、「費用としての人件費から、資産としての人的投資」への変革を進めることが重要。非財務情報の株式市場への開示強化を進めるとともに、企業側がどのように開示を進めればよいのか参考となる指針を今年の夏を目途に整備する。
 岸田総理からは、週末に神戸で創薬やバイオのスタートアップ経営者の方々とお会いしたが、資金調達の困難さを訴える声が印象的であり、大胆な支援を行っていく必要性を実感した。
 6月の実行計画の決定に向けて議論を加速するとのご発言がありました。
以上です。

2.質疑応答

(問)新しい資本主義実現会議のスケジュール感についてお伺いします。今日論点案が示されましたが、今後政府として、どのようなスケジュール感で具体策を検討していくのか、あと政府は6月までに新しい資本主義のグランドデザインと実行計画を取りまとめるとしていますが、他にも議論する各論があると推察される中で、その各論の検討の進め方含めて、全体の取りまとめに向けたスケジュール感をお願いします。
(答)今日はスタートアップ等々についてお話をしてもらいました。おっしゃるように、まだデジタル田園都市の話であるとか、人的資本に対してどのように扱っていくかとか、あるいは年齢や男女間の格差がないような働き方のシステムをどうするかとか、まだ積み残している項目がございますので、それをまた新しい資本主義実現会議でまた議論を進めなくてはいけないと思います。
 議論を進めながら、全体としては総理がお示しになられたように、6月頃を目途に、グランドデザインと実行計画を練っていくということですから、それらを同時進行しながら深めていく作業をすることがある意味スケジュール感だと思っていただければと思います。
(問)本日の会議で主要な議題となりましたスタートアップの育成ですが、これは5か年の計画を策定するということですが、現時点でこの5か年計画、どのような施策が柱となるのか、現時点で大臣のお考えをお聞かせください。
 また、総理の締めくくり発言でも指摘がありましたが、政府横断的な取組を完遂するような司令塔を明確化するということですが、こちらの司令塔の役割とか、機能はどういったものをイメージされているのかお願いします。
(答)後者の方からお答えしますと、今日は経済産業大臣と、厚生労働大臣と、金融政策担当大臣の三人から意見も出していただきましたが、その他、農林水産省も、あるいは国土交通省も含めて、スタートアップには相当多くの役所が関わることになります。そうなりますと、それに横串を刺すと言いましょうか、それら全体に目配せができるような司令塔機能が必要になってくる。こういう意味で、これまでも司令塔機能を強化しなくてはいけないという話を出しております。
 具体的にそれがどのような形になるかというのは、まさに6月にグランドデザインを作り込んでいく中において、最終的な形を皆さま方に、その時にお示しをすることになると思いますが、そういう問題意識を持って、今議論していることをご理解いただければと思います。
 それと、スタートアップ支援の中身がどのようになるかという話ですが、これは前々から申し上げているように、スタートアップ、起業するために必要なものは何かと。そうしますと、まずは人が必要になります。それからお金がどうしても必要になります。さらには、それらをつなぐ場と僕は呼んでいますが、その環境が必要になってくると。
 これらを有機的につなげるために、それぞれの各論、それらを構成している各論を一つ一つ丁寧に、何が必要かということを洗い出して、それらを今度は逆に有機的につなげるためにはどうすればいいかということを、言ってみれば全体としてお示しをしなくてはいけないということでございまして、その作業を今丁寧にやっております。
 ですから、どれか一つを主として、それをやるという形でクローズアップさせるのではなくて、まさにエコシステムなので、全体として機能するものにしていくことが、このスタートアップ支援策としては非常に重要だと思っておりまして、そういうまとめになると、私自身は思っています。
(問)関連して、その5か年の計画、1年目にこれやるとか、そういう工程表になると思いますが、一方で、経団連の南場さんが大臣の所にも来られて提言書を受け取りましたが、5年後にユニコーンを100社作るとか、スタートアップ10万社にする、スタートアップへの投資を10兆円に拡大すると、そういう大きな目標を掲げていましたが、こちら、政府の計画にはそういった目標についてどう示していくのか、教えてください。
(答)ですから、具体策については今議論しているところなので、全てを今詳らかにすることはできませんが、経団連がこういう計画でやりたいと、自らの責任を持って宣言をしてくださっているということは、我々政府としても大変歓迎をしております。
 ですから当然、その平仄が合うような形で、まさに主役は経済界の方々、民間のスタートアップをする方も含めた経済界の方々ということになりますから、それらを包含したものとして、我々としては全体をお示ししたいと思っております。
(問)ちょっと話題変わりまして、本日需給ギャップが公表されました。昨年の10―12月期、率で言うと3.1%マイナスであって、金額換算だと年17兆円の需要不足ということですが、7―9月期の22兆円からは縮小したわけですが、依然として大きなギャップ、需要不足があるということです。
 やはり1―3月期が今後は出てきますが、マイナス成長になるおそれも出ていますし、さらに足下ではウクライナ情勢の緊迫化で、原材料価格の高騰に拍車が掛かっております。
 こういったものを含めて、コロナ禍からの経済回復が遅れているということが示されたと思いますが、今後マクロ経済にどのように取り組むのか、大臣のお考えをお願いします。
(答)今お示しいただいた問題意識を、政府としても共有しているものですから、総理から先般緊急対策をせよというような指示が降りてきたものと思っております。
 その心は何かと言えば、コロナ後に、ウィズコロナと我々呼んでいますが、コロナを低く抑えた上で、ウクライナ等々の問題がありますが、それでも経済を成長軌道に乗せ込んでいくために、まず今緊急的にサポートしなくてはいけないものを出して、それで緊急サポートをすると。その上で、もちろん新しい資本主義は6月にグランドデザインを示しますから、その後という話になりますが、先般通していただいた令和4年度の予算に基づいて、その予算を遅滞なく執行していくというのが、何と言っても経済対策としては大事なことだと思います。
 それから、令和3年度の補正予算として通していただいたものも、まだ継続してこれを執行している最中です。こういうものを、複合的に政府としては使いながら、それでも足らざる部分があるのではないかという視点から、緊急対策をするように、総理からご指示がございましたので、それをさらに加えて、それらが遅れることなく、適正なタイミングで執行されていくように、目配せをしながら進んでいくことが重要だと思っております。
(問)コロナについてお伺いできればと思います。新型コロナの変異ウイルスで、BA.2よりも感染力が高いXEが国内の検疫で確認されたかと思います。一方で政府は水際対策について、段階的に今緩和している中だと思いますが、今後この方針はこのまま行くのか、変えていくのか、見解についてお伺いできればと思います。
(答)端的にお答えすると、まだその判断ができる状況にはないということだと思います。初めてXE株というものが発見されたのはそのとおりなので。それがどのような症状を引き起こすものなのか、性状がどういうものかはもう少し見なくてはいけません。もちろん海外のデータ等々によれば、感染力が少し高まっているという情報も我々としては承知しております。
 そういうことを見ながら、水際というものは、何度も言いますが、ウィズコロナで経済も活性化させていかなくてはいけないというバランスをどの辺りで取っていかなくてはいけないかを、新型変異株の性状を注意深く見ながら、決めていかなくてはいけないと思います。
 そういう意味でも、まだちょっと材料が少なすぎますので、我々としてはきちんと注視をしながら、その新たな変異株が広がらないような方策を確実に取っていくということだと思います。
(問)本日の会議で首相から、スタートアップへの投資の拡大についていろいろ言及がございまして、ベンチャーキャピタルへの資金の循環ですとか、あとは既存企業によるオープンイノベーションですとか、あと現預金をスタートアップにつなげるインセンティブ措置、ルールの見直し、こういった施策を指示されていらっしゃるわけですが、これについて、長らく日本ではスタートアップへの資金の投資がなかなか集まってこなかった現状があるかと思いますが、まず課題をどのように大臣はお考えなのかということと、インセンティブやルールの見直しなど、具体的に今後どのように施策を進めていかれるお考えかお伺いできますでしょうか。
(答)まだ議論が煮詰まっていないので、こうだということを決めて申し上げるのは難しいですが、先ほど申し上げましたように、どうしてもお金は必要です。スタートアップの数も質も拡充させようとすれば、当然今よりもずっと多くの資金が必要になってまいります。
 ですから、いろいろな手段を使って、このスタートアップのために資金が集まるような仕組みを作らなくてはいけないという趣旨から、説明していただいたようなことを項目立てで立てているということでして、それらを具体的にどのような仕組みで、インセンティブを与えたり、あるいは税制上の優遇措置を与えたりというようなこともあるのかもしれません。行っていくかというのは、まだこれは議論しているところですから、もう少し待っていただけるときちんと説明ができるようになると思います。
(問)あともう一点、司令塔機能の明確化についても併せてお伺いしたいのですが、経済団体などからはスタートアップ庁といったような組織を求める提言もこれまであったかと思いますが、どの程度踏み込んで、デジタル庁のような役所も新たに立ち上げるお考えがあるのかどうかなど、あれば教えていただけますでしょうか。
(答)現段階において、新しい役所を作るという議論は政府内ではまだしていません。ただし、我々の目的、すなわちスタートアップを拡充して、スタートアップの質も量も増やすということをしようとした時に、何をするのが一番効果的かということは、相当フレキシブルに我々考えていいと思っております。
 その中で、司令塔機能は絶対に強化しなければいけません。ここはコンセンサスだと思います。ですから、司令塔機能を強化するのに、どういう形が一番円滑に機能しうるのかということをきちんと議論した上で、今言ったご質問に対しての答えも、6月の段階で出てくるものだと思いますので、もう少しお待ちいただければと思います。

(以上)