山際内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和4年3月29日

(令和4年3月29日(火) 8:53~9:10  於:中央合同庁舎8号館1階S108会見室)

1.発言要旨

 おはようございます。
 本日の閣僚懇において総理より、原油価格・物価高騰等総合緊急対策の策定についてご指示を頂きました。
 新型コロナについては足元、第6波の出口がはっきりと見えてきたところであるが、全体像に基づき準備してきた医療体制を維持、強化するとともに、安全安心を確保しながら経済社会活動の正常化を図っていく必要がある。そうした中で、ウクライナ情勢等を受けた原材料価格の高騰等が、国民生活や経済活動に重大な影響を及ぼし順調な回復の妨げになることは避けなければならない。こうした影響に緊急かつ機動的に対応し、コロナ禍からの経済社会活動の回復を確かなものとするため、原油価格・物価高騰等総合緊急対策を4月末を目途に取りまとめる。
 総合緊急対策は、4本の柱から成る。第1の柱は、原油価格高騰対策。コロナ禍で原油価格が更に高騰し続けた場合への対応について、何が実効的で有効的な措置かという観点から、現在講じている措置の効果を見極めつつ、あらゆる選択肢を排除することなく検討する。第2の柱は、エネルギー、原材料、食料等の安全供給に向けた対策。コロナ禍で調達先の多様化や危機に強い経済構造の実現を目指す。第3の柱は、価格転嫁の円滑化や賃上げの実現に向けた取組と新たな価格体系への適応の円滑化に向けた中小企業への資金繰り支援。第4の柱は、コロナ禍における物価高騰等に直面する生活困窮者等への支援。この他、公共事業の前倒し執行を進めるなど、これまでに成立した予算を迅速かつ着実に執行する。
 今後、総理の下に関係閣僚会議を設置し、私を中心に関係省庁を連携し、与党のご意見もよく伺いながら具体策の検討を進めてまいります。
なお、その際、新たな財政措置を伴うものについては、まずは予備費を活用した迅速な対応を優先することとされております。併せて、新しい資本主義実現会議の議論を進め、ビジョンと実行計画を6月までに取りまとめ、これを進めるための総合的な方策を打ち出すことにより成長と分配の好循環を実現いたします。
 こうした総理指示に基づき、私としてはまず、直面する危機に機動的に対応するべく、十分な効果を発揮できる対策の取りまとめに尽力してまいります。
 もう一点ございます。地域就職氷河期世代支援加速化交付金の交付対象事業の決定についてです。
 いわゆる就職氷河期世代の方々には、不本意ながら非正規雇用で働いている方、引きこもり状態にある方など、様々な課題に直面してきた方々がいらっしゃいます。これは個々人やその家族だけの問題ではなく、社会全体で受け止めるべきものであり、我が国の将来に関わる重要な課題であると認識しているところです。
 こうした認識の下、内閣府では地域における就職氷河期世代の方々の実態やニーズを踏まえた支援の取組を加速化させるため、地方自治体に対する「地域就職氷河期世代支援加速化交付金」を創設し、令和2年度より運用しております。
 このたび、外部有識者による審査を経て115自治体、47都道府県、20指定都市、48市区町の160事業、事業費23.4億円について、4月1日付で交付決定いたします。
 交付金を活用し、入口、相談ということでございます、から出口、就職までの伴走型支援の他、オンラインでの相談、リモートワークを含む多様な働き方の開拓、交通費の助成、奨学金の返済支援など、きめ細かい支援が行われています。自治体の取組を後押しすることで、一人でも多くの方が就労や社会参加に結び付くことを期待しております。
 以上です。

2.質疑応答

(問)今日、経済対策について首相から指示があったとのことですが、例えば指示以外に、皆さん頑張ってくださいといったような言葉はあったのでしょうか。
(答)閣議は、相当いつも厳かな雰囲気で行われるものですから、その閣議の中でそのような何かプラスアルファのようなご発言があったわけではありませんが、閣議が終わった後、当然、今日ご指示を頂きましたから、ご指示を頂いたことを実行するに当たって、少し進め方等々についてお話もさせていただきました。そういう中では当然、今ご発言があったような、緊急に、速やかにやらなくてはいけないという共通認識を持たせていただいたということです。
(問)関係閣僚会議を設置するとのことですが、このスケジュール感はどのような感じでしょうか。
(答)総理からは、4月末までにまとめろというお話を頂いておりますから、当然、そのスケジュール感を持っていかなくてはいけないと思っております。ということは、できるだけ早期に閣僚会議が開けるように、今日のご指示を頂きましたから、どれぐらいになるか分かりませんが、そう遅くないところで最初の会議が開けるように準備を加速させたいと思います。
(問)総理から指示があった総合緊急対策、金曜日は緊急対応策とおっしゃっていましたが、総合緊急対策という名前でよろしいでしょうか。
(答)そうですね、原油価格・物価高騰等総合緊急対策というご指示を頂きました。
(問)総理の4本柱を軸に策定するようにという指示ですが、特に4本目の柱、生活困窮者への支援、こちらに盛り込むべき政策について、与党から年金受給者への一人5,000円の支給という要望が出ていますが、これについては大臣どうお考えでしょうか。
 特に参院選を念頭にばらまきだという批判が出ていますが、この点も含めて、政策の妥当性についてお願いいたします。
(答)総理もおっしゃっているように、様々な政策を行う中で、その費用対効果をしっかり我々としては考えながら、総合緊急対策という名前ですから、一つで物事を済ませるのではなくて、色々なものを組み合わせて緊急対策をするというコンセプトです。
 ですから、もちろんその5,000円の話も排除することなく、これは与党の中で話をしてもらっているものと我々との間でのこれからキャッチボールが始まりますので、その中で他の政策とのバランスを考えながら、最終的に総合的にどうすればいいのかと判断をするものだと思っておりますので、今の段階で、いいとか悪いとかということを私の立場で言及するべきものではないと思っています。
(問)冒頭の緊急対策について、新たな財政措置を伴うものは、まずは予備費を活用と大臣はおっしゃったかと思いますが、これは4月いっぱい検討していく中で膨らんでくれば、今の国会で補正予算を組む可能性もあるのでしょうか。
(答) 現段階において、補正予算そのものをどうするかということが何か決まっているという事実は全くないです。総理から今日指示が下りてきたところですから、しかも総理のご指示の中に、まずは予備費をしっかり使って緊急対策という名前にふさわしい、まさに緊急でやらなくてはいけないことをしっかりメニューアップしてくれという話だと思います。その上で、総合的に新しい資本主義の成長と分配の好循環をぐるっと回していくための方策、これを6月までにグランドデザインもビジョンも、あるいは実行計画もお示ししていかなくてはいけませんから、当然、その中に様々な総合的な対策、政策を盛り込んでいくということだと思います。
 そうなると、その中で当然必要だということであれば、補正予算も排除はされないと思いますが、しかし相当タイトであることは間違いがないです。今年は参議院選挙があるということがもう決まっておりますので、その時間的制約の中でどのような形が取り得るかというのは、まさに今日指示が下りてきたところなので、これからしっかりと与党とも相談しながら詰めていきたいと思います。
(問)またマーケットのことを伺って恐縮ですが、ここ数日、1週間前後で円安が急速に進んでいます。物価高にもつながる現象だと思いますが、円安の影響も含めて対策、動向についてどのように反映していくか、今の時点の大臣のお考えをお聞かせください。
(答)エネルギー価格の高騰という1つ目の柱の中には当然、エネルギーの価格そのものが高騰する部分もございますし、為替の影響で我が国が仕入れる輸入価格としてエネルギー価格が更に高騰するということも含まれていると思います。なので、今、もう既にエネルギー価格の高騰対策は行っているわけですが、更にこれから先、高騰した時にどういう対応がし得るかをきちんと相談して決めていってくれというご指示だったと受け止めておりますので、これも与党とも相談しながら、どんな対応策があるかをしっかりと議論して決めていきたいと思っております。
 なので、為替については、当然一つの理由ではなく、いろんな理由で上がったり下がったりということがありますから、そのことそのものについて言及は避けますが、経済対策ではなくて緊急対策という名前になっているということを鑑みれば、当然、今起きていることに柔軟に対応する策を、今効き目があるものをまずやれというご指示があったものと思っておりますので、その中でどう考えるかということだと思います。
(問)大臣の対策の必要性の部分をもう少し詳しくお願いしたいのですが、特に原油価格、物価高騰の中で、大臣自身は消費者向けの支援が必要になるのか、もしくはもっと企業向けの支援が必要になるのか、その辺のお考えがあればお示しください。
(答)これは私自身の考えというよりは、政権全体としてどうするべきかを総理が代表して今日、ご指示を下さったと私は受け止めております。
 総理のご指示の中には、今ご質問のあった両面が含まれているものと思います。例えばエネルギー価格に関しては、当然これは最終消費者が受けるダメージをいかに緩和するかという視点で物事も見ていかなくてはいけないという話になりますし、4本目の話になりますと、これは生活者の視点から、コロナ禍もありますし、物価が高騰している中で生活支援が更に深掘りをして行わなくてはいけないことであれば、やるべきだという話がございます。中小企業が3本目の柱に入っておりますが、中小企業対策というのは、まさに企業に対しての対策ということになります。ですから、全て入っている、両面から、企業側に対しても消費者の側に対しても、どうやれば少し支援ができるかということを考えろというご指示であったと。いってみれば、それは政権の意思がそうだということだとご理解いただければと思います。
(問)先ほどの大臣のお話にもあった新しい資本主義実現会議のグランドデザインと実行計画ですが、これは元々6月を目途にまとめるのではないかという見通しがあったのですが、今日のこの緊急対策の文脈の中で出たということは、元々進めていた議論ではあるのですが、また補正を使った経済対策的な意味合いも含めたものになり得るという認識でいいのでしょうか。
(答)むしろ私が受け止めた感覚なので、これから議論しなくてはいけないので、私の言っていることが全部正解というわけではないと思いますが、緊急対策というご指示がありましたので、まさにそれは緊急に対する対策だと思います。すなわち、非常に足の短い、今起きているものに対して対応しろということだと思いますが、それと併せて当然、例えばエネルギー価格の高騰がそうすぐに収まるものなのかと。あるいは、それに関連して食料も含めた物価の上昇が見られ始めていると。そうなってくると、企業物価そのものはもう既に上がっておりますし、そう短期で全てが済む話ではないというのも、これまた私たちが持っているコンセンサスだと思います。そうなってくると当然、成長と分配の好循環を回していくということに、環境、社会条件としてそういう条件の下で成長と分配を回していかなくてはいけないということになりますから、新しい資本主義を回していく前提条件としてそれも含まれたものを作っていかなくてはいけないと。このように今日、ご指示の中では言われたものだと私は理解しております。
 ですから、その中でもう一段経済対策のようなものが必要になってくるかどうかということは、これからの議論の中で、我々としては最終的にコンセンサスを得ていかなくてはいけないものだと思いますが、前提条件は、今まで私たちが考えていたものからはだいぶ変わったということを踏まえた上でのご指示だと受け止めております。
(問)対応策に充てる予備費ですが、これは2022年度予算の予備費ということでよろしいのかという確認と、コロナ対応の予備費を充てることについて指摘する声がありますが、その点をどのようにお考えなのか教えてください。
(答)まず前段の質問はそのとおりです。2022年度の、この4月1日からの年度の予備費、コロナ予備費と一般予備費とを使ったものになっていくという理解です。
 それと後段の方は、直接コロナ関係にこだわらず、コロナ禍において影響を受けるものに対して予備費はこれまでも使ってきた経緯がございます。なので、そういう意味では、コロナ禍で傷んでいる経済とウクライナの問題に端を発したエネルギーの問題を中心にしたものと、どこまでと分けられますかといったら、分けられる部分もあるけれど分けられない部分もあるというのは、これは経済です。ですから、ある程度それは広く見ていくものだと私は思っています。
 ですからその中で、もちろん政治ですからルールを無視するなんてことはできません。また、私たち一人一人の国民が納得できるようなものになっていなければいけないというのもありますから、そういう意味でのある一定の枠はあるのだろうと思いますが、しかしそこは割に柔軟に私たちの生活、あるいは企業の経済活動がしっかりと継続できるような手立てを柔軟に考えていくということだと思います。
 ありがとうございました。

(以上)