山際内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和4年3月8日

(令和4年3月8日(火) 18:50~19:07  於:中央合同庁舎8号館1階S108会見室)

1.発言要旨

 本日は、科学技術を議題として、第4回新しい資本主義実現会議を開催いたしました。
 本日の会議では冒頭、JSRの小柴氏から量子技術について、当会議委員でもある東京大学の松尾氏からAIについて、京都大学の山中氏から再生・細胞医療・遺伝子治療について、神戸大学の近藤氏からバイオものづくりについてご説明いただき、その後、民間議員の方からご意見を頂きました。主な内容は以下のとおりです。
 近年の我が国は、個々の研究分野の間に垣根がある。研究内容も近視眼的になりやすい、若い研究者の潜在能力を生かし切れていない、企業による具体的ニーズを念頭に置いていないといった問題点が指摘されている。官民の連携を深め、創造的な研究を生み出す制度に変えていかなければならない。特に潜在能力の高い若い研究者の卵の皆さんに対して、将来につながるチャンスを提供することを、国を挙げて考える必要がある。
 量子技術については、他の技術分野との融合やこれを応用する分野の研究も視野に入れつつ、米国などの有志国との連携を念頭に置いて国家戦略を策定する。AIについては、ディープラーニングを重要分野と位置づけ、企業による実装を念頭に置いて国家戦略を策定する。
 再生・細胞医療・遺伝子治療については、患者さん向けの治療法の開発や創薬など実用化開発を進める。バイオものづくりについては、経済成長と地球温暖化などの社会課題解決の二兎を追える研究分野として推進していく。クリーンエネルギー分野については、クリーンエネルギー戦略検討合同会合で検討いただくが、再エネや水素に加え、小型原子力や核融合など非炭素電源の研究開発を進める。
 これらの5分野で日本が世界をリードしていく明確な決意の下、大胆かつ重点的な投資を行うことが重要。2025年の大阪関西万博では、わが国の最新技術を披露し、未来社会への我が国の世界への貢献をしっかりと提示していく。
 岸田総理からは、研究開発投資には個々の企業の私的収益の2.5倍を超える外部経済があるとの研究がある。この外部経済を内部化するため、研究開発投資の抜本強化が必要であること、また、自分自身が先頭に立って、専門家の協力を得つつ、この春にまとめる新しい資本主義の実行計画に科学技術施策についての強い国家意思を盛り込んでいきたいとのご発言がございました。
 冒頭、私からは以上です。

2.質疑応答

(問)2つありまして、1つは新しい資本主義実現会議についてですが、久しぶりの開催というのもあって、今後の展望をお伺いいたします。春にグランドデザインや実行計画を取りまとめるということですが、今後、どのぐらいのペースで何回ぐらい会議を開いて、それぞれどんなテーマを取り上げて、何月に取りまとめをされるのか。実行計画やグランドデザインはどんな感じのイメージになりそうかというのを少し具体的に教えていただけると助かります。
(答)今日は、まさに科学技術イノベーションの柱になる、5本の柱になるということは先ほど申し上げたとおりですが、量子とかAIとかについて民間の議員の皆さんから、今こういう状況で、これをやらなければいけないと。あるいは、日本の勝ち筋はどこかというようなことまで相当突っ込んでご披歴いただいて、各議員の皆さんに議論していただいたということになります。
 また、柱立てとしては、例えばデジタル田園都市をどうするか、経済安全保障の問題をどうするか、スタートアップの問題をどうするか、あるいは人への投資等々もどうするかといった幾つか柱があります。ですから、それらの一つ一つについて、やはりこの新しい資本主義実現会議のほうでしっかりと議論してまとめていくという作業が必要になってくると思います。ですから、その各論をしばらくやると思っていただければと思います。
 それらをどれぐらいのペースでやるかというのは、各委員の皆さま方の都合もありますし、また、何より総理にご出席いただかなければいけない会議でもあるということから、総理のお時間をどこまで取っていただけるかということも含めて、出来るだけ私をはじめとする事務方のほうで様々整理はいたしますが、どうしてもこれは総理に出ていただかなくてはいけない大事なものなので、それを入れられるだけ、出来るだけ密に入れたいと思っています。とはいっても、毎週というわけにはさすがにいかないと思いますから、ある程度の時間を置きながら。
 そして、今日も議論していただいたことを、またしっかりまとめて、まとめたものを今度は各委員の皆さんに共有していただいた上で、揉んでもらわなければいけないです。それは、今日もご意見を頂きましたが、そのオープンになった情報に基づいて、各委員の先生方、委員の有識者の皆さんにしっかりと意見表明をしたり、揉んでもらったりということで、それを踏まえた上で、ある一定の方向性というものが今日の分野でやっと出るわけです。
 そういうやり方を各分野において進めていくということになりますと、やはり相当密に、しかし相当濃密にまたやらなくてはいけないということになると思います。なので、予断を持ってこういうスケジュール感でこうやりますということは言えませんが、中身がどれぐらい濃いものかということは、今ご説明したことでご理解いただけると思いますので、それをどんどん進めていって、春にグランドデザインという話を総理はされていますが、常識的に考えれば、この通常国会の終わりぐらいまでには、しっかりと正論を得ていくということになるのではないかと思っております。
(問)もう1点、コロナに関して、昨日、経団連がコロナ出口戦略に向けた提言をしていると思いますが、ウイズコロナに適応した出口戦略を早急に策定して段階的に実行していくべきだと。政府でも対策分科会をやっていると思いますが、そろそろ次の分科会が開かれるのかということと、あと、21日に18都道府県の期限が来ますが、この判断の前には一定、方向性を示される感じなのか教えてください。
(答)21日までにやらなくてはいけないことはやらなければいけないと思っていますので、それも例えばコロナ分科会を開くかどうかも含めて、まだ決定しているものは何もないですが、必要なものは当然、適宜、適切にやることになると思います。
 感覚的には、やはりこの21日に向けては、オミクロンの感染状況というものをきちんと確認し、各都道府県において感染の状況が低下傾向に確実にある。従って、医療の提供体制への負荷がある程度低いレベルで抑え込んでいくことが可能であろうと。このことを確認していくというのが21日までの我々が最も注力していかなくてはいけないことだと思っています。
 ですから、それは当然何もしなくてそうなるわけではありませんので、基本的対処方針に従って、各都道府県知事さんのリーダーシップに基づいて各現場で汗をかいていただくということが前提になりますから、それを我々としてはエンカレッジするということになると思います。
 それと、経団連の方で出された出口戦略も含めた今後の新型コロナウイルス感染症に対してどうお付き合いをしていくかという話ですが、これはある程度、我々が思い描いている姿を、少し先にはこういうものではないかというものを示してもらったものと理解しておりまして、私が常々申し上げていることは、ウイズコロナだと、ゼロコロナではないと。ですから、コロナウイルス感染症そのものをゼロにするのではなくて、ある程度発生を低くコントロールする中で、いかに社会経済活動というものを活性化させていくかと。しかし、それは低いレベルにコントロールしなければいけないわけですから、今はそこまでまだなっていませんので、まずはそこに持っていくのが必要だというのが、私たちの今やらなくてはいけない仕事。
 しかし、一方で、そうなった暁には、経済を今度は活性化させていくための方途というものをしっかり示して、それを実行に移していかなくてはいけないわけです。その主役がまさに経済界ということになりますから、経済界の皆さま方が、その先を見据えてこうするべきではないかというご意見を持っていただいているというのは、誠にありがたいと思いますし、また、一緒にやっていかなければいけないと思っています。
(問)新しい資本主義の会議に戻りますが、総理の締めくくり発言で、量子技術とAI技術について国家戦略を策定するという趣旨の発言がありましたが、これは総理から関係閣僚、もしくは関係省庁に策定を指示したという捉え方でよろしいでしょうか。
(答)AIあるいは量子、これはもう総合科学技術・イノベーション会議、CSTIに検討の場がありますので、一義的にはそこで議論していただく話ですが、総理が最後にご発言をされたのは、私自身がこの議論に参加してまとめていくというお話をされていますから、当然、より強く関与されるということだと思っております。
 なので、どういう形だということがまだ決まったものがあるわけではありませんが、そのCSTIの場をうまく使いながら、総理ご自身がこの議論というものをしっかり主導されて、そして、最終的には国家戦略も作って、その中身を新しい資本主義として実行計画の中に乗せ込んでいくところまで落とし込まなければいけないものですから、この新しい資本主義実現会議を使って行うということを表明されたのだと思っております。
(問)もう一つ確認ですが、スケジュール感でいうと、先ほどおっしゃったように、この春にまとめるという新しい資本主義のビジョンというか、実行計画と合わせて、そこに盛り込めるように国家戦略を策定するということでよろしいでしょうか。
(答)はい、そう理解しています。
(問)実現会議の方でお伺いします。今回、科学技術ということでAIや量子技術について集中的に議論したと思いますが、その他、その会議でどういったテーマを個別の集中的に議論するテーマとして扱っていきたいか、今の大臣の見通しをお聞かせください。
(答)これは先ほども申し上げたように、もう既に総理ご自身が、例えば所信表明演説等々でもお示しされているように、岸田政権で示している成長戦略の柱というものがあります。その1つ目に科学技術・イノベーションというものを使っていくというのが1つ目の柱であったわけです。2つ目の柱で、デジタル田園都市ということが出てきます。それから、経済安全保障の問題も出てきます。人への投資というものもあります。スタートアップの話もあります。
 こうやって、もう柱立てで出ているものに関して、これを一つ一つ具体的に議論していかなくてはいけないと思っています。ですから、今言ったようなことは当然、本会議で議論をしっかり煮詰めていくことになると思います。
(問)まん延防止等重点措置の解除に向けた考え方についてお伺いいたします。先ほど大臣から、解除に向けては感染状況や病床使用率、医療提供体制などを見ながら判断していくということをご説明いただきました。その上で、大阪など関西3府県の病床使用率などを拝見すると、いずれも6割超と高い水準が続いています。政府としては、関西圏の病床使用率の高止まりについて、原因がどこにあるのか、どう分析されているのか。また、解除まで残り10日間余りになっていますが、どういった支援で病床を下げていくのか。この2点について伺いたいと思います。
(答)関西圏は、特に大阪は、今日のデータを見る限りでも、相当高齢者施設におけるクラスターが多いです。我々は、例えば福岡県の話を例に取りますと、福岡県も、まん延防止等重点措置は解除したわけですが、病床使用率はまだ6割ぐらいでした。しかし、確実にそれが低下していくということが見えていました。その上で、ハイリスクの方々、基礎疾患をお持ちの方と高齢者の皆さん、この方々に対してのブースター接種がどこまで進んでいるかということもしっかり見ました。
 福岡の場合は、この3月6日までの間に少なくとも高齢者施設における接種率は9割ぐらいまで持っていけるということを知事さんからもご説明いただきまして。そうなりますと当然、ハイリスクの方々が守られることになりますので、以後、仮に新規感染者数が増えたとしても、病床使用率や重症病床使用率がそれほど上がらないで済むのではないかと。こういう思いもあって、そういう判断をして福岡県の解除というものを決めたということがあります。
 その考え方と、ほとんど関西圏に関する考え方は同じでして。やはりハイリスクで、なおかつ重症化するかもしれないという方々がどれぐらい守られてくるかというようなことを、一つ非常に大きなものとして我々は見ていかなくてはいけないと思います。そこに対して、一日も早くブースター接種が行われるように全力で我々としてもサポートしなくてはいけないと思いますし、また、そういう方々が仮に不幸にも感染してしまったという話になった時に、重症化しないで済むような医療提供体制というものをしっかりサポートするというのも重要になると思います。そういうことを関西圏の各府県と組んで、国としてもやれるサポートはしながら、これから3月21日に向けて解除できるかどうかということを注意深く見ていくということになると思います。
 ありがとうございました。

(以上)