山際内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和4年3月4日

(令和4年3月4日(金) 19:40~19:59  於:中央合同庁舎8号館1階S101・S103会見室)

1.発言要旨

 本日、3月6日(日)に、まん延防止等重点措置の期限を迎える31都道府県のうち、福島県、新潟県、長野県、三重県、和歌山県、岡山県、広島県、高知県、福岡県、佐賀県、長崎県、宮崎県、鹿児島県の13県について、期限どおり重点措置を終了すること、また、北海道、青森県、茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、石川県、岐阜県、静岡県、愛知県、京都府、大阪府、兵庫県、香川県、熊本県の18都道府県について、重点措置の期間を3月21日(月)まで延長することを決定いたしました。
 また、年度末の各種行事を控え、重点措置を終了する都道府県においても、オミクロン株の特徴を踏まえた感染防止策等を引き続き実施することとしており、この点に関する基本的対処方針の変更についても、併せて決定いたしました。
 政府としては、国民の命を守ることを第一に、強化してきた医療提供体制をしっかり機能させていくとともに、社会経済活動をできる限り止めないよう対策を進めることが必要と考えています。
 引き続き強い緊張感を持って状況把握に努めるとともに、自治体や専門家の皆さまと連携し、機動的に対応してまいります。
 冒頭は以上です。

2.質疑応答

(問)全国的に感染者数の減少スピードが鈍化していて、重点措置の長期化も懸念されています。年度末に向けて人の移動も増える中で、2週間での解除というのもなかなか難しい自治体もあるかと思いますが、現状と同じ対策や解除の考え方でいいのか。また、どのような状況になれば解除できるのかというのを、改めて教えてください。
(答)今行っている様々な措置、この内容そのものを大きく変えるというよりは、徹底してやり抜くことが大切だと思っております。それはもちろん我々一人一人、国民がやはり努力をしなくてはいけないことになりますので、その意識を持って、政府も警戒感、危機感を持って歩んでいかなくてはいけないと思っております。
 その上で未来の話ですから、2週間後、15日後に全てが解除できるかどうかということを今、予断をもって申し上げるわけにいきませんが、それを目指して当然、私たちは努力をし続けるということになると思います。
 まん延防止等重点措置の解除の基準に関して、何かこれというのを、かちっと決めているわけではありません。しかし当然ながら、新規感染者数が先週今週比で1を下回っているということ、あるいは病床使用率が50%を下回っている、重症病床使用率も50%を下回っている、そしてその低下傾向がずっと安定的に低下しているということを、1つの参考として我々としては使っておりまして、それはすなわち何かというと、医療が逼迫しないという状況がきちんと確保できるかどうかを考える時に、そういう1つの考え方に基づいて判断していこうということで、それも含めて総合的に判断をしていくということになる。これはこれまでも変わりませんし、これからも変わりません。
(問)続けて2点目です。本日の分科会で、基本的対処方針に地方公共団体や民間事業者において、ワクチン接種歴や検査結果を確認する取組を推奨するという記載が盛り込まれましたが、これは具体的にどういった場面での活用というのが念頭にあるのでしょうか。
(答)これは知恵と工夫を民間の皆さま方が、ご自身の様々な活動の中で他との差別化を図る、あるいはより安心感を皆さんで持っていただけるように利活用していただくという趣旨です。
 ですから何か抑制的に、ワクチンを打っていないといけないとか、検査を受けていないといけないとかということに使うのではなくて、むしろプラスアルファの部分としてはうまく使っていただけるだろうという思いがありまして、それで議論されてきたということです。
 ちょっと付け加える話になりますが、これから社会を開いていくために、ブースター接種をどう使っていくか。さらには検査を、これから社会経済活動をさらに開いていく時にどう使っていくか。これは専門家の皆さま方に議論をしていただいております。ある程度こんな形だと使えるのではないかということが見えたところで、きちんとまとめて、それもまた皆さま方にご報告を申し上げたいと思います。
(問)1万人規模の新規感染者の確認が続いている東京都ですが、年代で見ますと10代以下の割合が7週連続で増加して、直近1週間では感染者の19%を10歳未満が占めているということです。この点についてのご所見と、具体的な対応策が何かあれば教えてください。
(答)子どもに感染拡大が移ってきているということについてはおっしゃるとおりで、実はこれは東京に限ったことではなくて、全国的にそのような傾向が見られます。
 ですから我々としては、子どもの感染拡大をどう抑えるかということは大事だと思っていますが、一方で子どもそのものが感染したとしても、それほど重症化しないということも分かっている。従って、教育の機会を失わせないようにするにはどうすればいいかということと、セットで見ていかなくてはいけないと思っております。
 ワクチンの議論の時によく出ますが、当然それは自身が感染症に対して免疫を持つことも大事ですが、同時に社会全体に対して免疫を持っていくことも大切だということがよく言われます。
 これを子どもの利益ということに掛け合わせますと、子どもそのものは感染したとしても、それほど重症化しないことが分かっていた場合に、公衆衛生上の目的で、子どもからハイリスクの高齢者あるいはハイリスクの方に感染を拡大させてしまうということをどう防ぐかという視点と、子どもの教育機会、子どもの発育の場をいかに奪わないようにするかということと、この2つの非常に難しいバランスを取っていかなくてはいけない状況にあります。
 ですからこの衛生マニュアル等々を徹底していただいて、それで学校の現場において、基本的な感染対策というものを徹底していただくということが第一ですが、それを超えるものとして何をやっていただくかということに関しては、ある意味、抑制的に考えなくてはいけないことがありますので、そのバランスをどう取るかというのは非常に難しい問題として、現場でも相当悩まれていると思います。
 我々としては、その状況を見ながら、とにかくやれる基本的な感染対策というものを徹底してみんなでやると。これをやり続けるしかないと思っておりまして、あとは現場の工夫も併せてやっていただくということだと思っております。
(問)重点措置終了の考え方について、今回、前回と同じように新規陽性者数が、今週先週比1.0を下回っているとか、病床使用率が50%を下回っているとありますが、今回新たに50%に届かなくても安定的に下降していることというのが一文付け加わっていますが、これを付け加えた理由というものがもしお分かりになれば教えていただきたいのと、唯一解除する中で、福岡県というのが病床使用率60%なので、そこら辺との関係も併せてお願いいたします。
(答)福岡から話をしますと、福岡の場合は、安定的に病床使用率が低下傾向にあるということを我々は見ています。さらに先ほども少しお話の中にありましたが、ハイリスクの方、特に高齢者の皆さんに3回目のブースター接種がどれぐらい進んでいくかということを福岡県は見ておりますが、この3月6日で7割ぐらいになります。しかも高齢者の施設においては9割に届くという話ですから、そういう意味でも重症者数が、それほど増えないで推移していけるのではないかということを我々としては見ていることもあります。ですから安定的に、まさに低下傾向にあるということを見て、知事さんからのご要請に従って、今回解除という形になりました。
 もう一つの、安定的に低下する傾向を見ていかなくてはいけないというのは、BA.2が絡んでいるかどうかは別にして、もう一度感染が再拡大する可能性を専門家の皆さま方が議論し始めております。
 そうなりますと、その再拡大が子どもや若者を中心に進む再拡大なのか、変異種によって引き起こされるのかということも含めて、我々としてはやはり感染が低下傾向に安定的になるということを確認しないと、もしかするともう一度再拡大する可能性もあることから、その一文が加わったものと理解しております。
(問)先生、国会で、救える命を救う治療、それが究極の今の行政の目的だと。一方、ある種のフレイルというか、ご老人がコロナ起因で亡くなること、これはある程度やむを得ないとはっきりおっしゃっていて、私は老人だからそのとおりだと思いますが。逆にいいますと、そのことというのは社会常識に照らして、昔の感冒という言葉がありましたが、それにもう近付いていると。そういう基本的な認識ではないかと思いますが。それを合わせて逆にいうと、感染症の改正を含めまして、今のこれがクラスターだとか保健所を動員するようなことになるのか。その辺のことも含めて、この病気の現状の特徴について、やや風邪に近付いたとは言いませんが、そういうものに近付いていると思っておられるのか。するとやはり法制上のところをそろそろ真面目に議論して、これだけ高止まっていても解除していけたり、人が入って来られるようになっているわけですが、その辺のご認識をやはり伺いたいです。
(答)一言ではちょっと説明できないですが、私は専門家の皆さんの中の意見を伺っていて、この新型コロナウイルス感染症に関して、どう我々としては見ていかなくてはいけないという視点として、非常に重要だと思ったのは、まだこのウイルスは安定していないという言葉です。
 ですから安定していれば変異も、ある程度安定している中での変異ということになりますから扱いようがありますが、デルタからオミクロンへの変異の仕方というのは、誰も想像できないぐらいの非常に大きな、ジャンプするような変異でした。
 ですから、まだ安定していないという専門家の言葉を私たちが重く受け止めるならば、オミクロン株から次の変異株に対して、どのように変異するかということが、今のところ予断をもって、それを判断してはいけないということだと思います。
 ですから私たちとしては、いつも柔軟に受け止められるような体制を保ち続けることが必要だと思っておりまして、そういう意味で、感染症法の改正等々も含めて、まだその段にはないと私自身は思っております。
 一方で今、オミクロン株に対して対応しているわけですから、今何をやらなければいけないかというのは、オミクロン株に対しての対応だというのは分かっています。それはオミクロン株がどういうものかに従って、柔軟に対応していかなくてはいけないですから、極力柔軟にやってきたということでして。これで感染者数を低く抑え込むということまで、まずは持っていくことを一番の目標にしてやり続けますが、その先に何が待っているかというのは、運良くなかなかその後、強毒株のようなものが出てこないかもしれませんし、もしかしたらまた違ったものになるかもしれないと。そこは警戒感を緩めてはいけない状況にまだあると私は思っています。
(問)重点措置の期間が長引く中で、飲食店に対する時短とか酒類の提供の対策に、もはや根拠がないのではないかという指摘も地方から出ていて、今日の分科会のメンバーの中にも、そういった認識を持っている委員の方もいるようですが、その辺りに対する大臣の認識と、今後、中長期的に対策の中身を、どのように考えていかれるのか教えてください。
(答)中長期的なものに関して、まだこういうものだとお示しできる状況にないというのはご理解いただきたいと思いますが、飲食店に対しての時短要請が効果あったかどうかということを見るのは、全体として感染者数が減ってきているというので見る以外に、他に方法はないと実は思っておりまして。
 というのが、時短要請をした所と、しなかった所というのを比べることはできないわけです。ですからどのように分析するかというのは、これから先きちんと分析していかなくてはいけませんが、事実を申し述べるしかないわけです。
 事実はどういうことかということは、この間から申し上げているように、時短要請をしてまん延防止等重点措置に入ってから、飲食店におけるクラスターの数というのは、比率でも圧倒的に減っているわけです。これは事実です。
 もしそれをやらなかったからといって、減ったかもしれないし、やらなかったら爆発したかもしれないし、それはたらればの話ですから、そこで何かを証明することはできないわけです。
 しかし我々の目標というのは、コロナウイルス感染症の感染者数が減っていって、医療に対する負荷というものがコントロールできる範囲にまで戻ってくるということが目標ですから、その目標に向かって今の状況で進んでいるということは事実です。
 もちろん飲食店に対しての時短要求だけでできているとは当然思いませんし、その他のことも全て重ねてやっているからこうなっているということですが、全体として感染が抑制され始めているということをもって、効果があるかないかということを見る以外には、今のところはないと思います。
 そういう意味でいうと、もちろんまん延防止等重点措置、今回は13県解除されるわけですから、今やっていることは効果が一定あると我々はそう見ています。
 ありがとうございました。

(以上)