山際内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和4年2月18日

(令和4年2月18日(金) 19:43~20:10  於:中央合同庁舎8号館1階S101・S103会見室)

1.発言要旨

 今日は2つございます。1つ目ですが、本日、2月20日(日)にまん延防止等重点措置の期限を迎える21道府県のうち、北海道、青森県、福島県、茨城県、栃木県、石川県、長野県、静岡県、京都府、大阪府、兵庫県、岡山県、広島県、福岡県、佐賀県、鹿児島県の16道府県、および2月27日(日)に重点措置の期限を迎える和歌山県について、重点措置の期間を3月6日(日)まで延長すること、また同じく2月20日(日)に重点措置の期限を迎える山形県、島根県、山口県、大分県、沖縄県の5県について、期限どおり重点措置を終了することを決定いたしました。
 また、引き続き、学校、保育所、高齢者施設等におけるオミクロン株の感染拡大への対策の強化を徹底するとともに、今般、医療や高齢者施設等の対応力をさらに強化するため、自宅療養者への対応の強化、転院や救急搬送受入れの促進、高齢者施設における医療体制の強化などに取り組むこととしており、これらに関する基本的対処方針の変更についても併せて決定いたしました。
 政府としては国民の生命を守ることを第一に、強化してきた医療提供体制をしっかり機能させていくとともに、社会経済活動をできる限り止めないよう対策を進めることが必要と考えています。引き続き、強い緊張感を持って状況把握に努めるとともに、自治体や専門家の皆さまと連携し、機動的に対応してまいります。
 もう1つございます。TPP11について申し上げます。本日、TPP11高級実務者によるオンライン形式の協議を行い、英国のTPP11加入作業部会第1回会合を終了する旨、締約国間で合意いたしました。
 同会合は昨年9月28日に開始され、英国からTPP11協定の義務を順守するための同国の取組等を聴取し、英国の義務の順守等の状況について、TPP11参加国及び英国の高級実務者レベル、及び専門家レベルで議論・検討してまいりました。
 今回の会合での合意を受けまして、加入作業部会議長の我が国より、英国に対し、所定のTPP11加入手続きに従い、市場アクセスのオファー等を加入作業部会に提出するよう伝達をいたしました。
 今後、市場アクセスを含む包括的な交渉のプロセスに入ってまいりますが、具体的な段取りについては参加国及び英国の間で調整中です。我が国は、TPP11新規加入の最初の事例となる本加入手続において、加入作業部会議長としてハイスタンダードなルール及び市場アクセスの維持に向け、引き続きしっかりと取り組んでまいります。
 また、我が国として、守るべきは守り、攻めるべきは攻め、我が国の国益にかなった最善の結果が得られるよう、しっかりと取り組んでまいります。
 以上です。

2.質疑応答

(問)重点措置の終了の考え方について教えてください。本日、分科会で5県の解除について、終了の考え方についてお示ししました。例えば新規感染者数の減少は先週今週比1.0を下回っているとか、重症病床使用率が概ね50%を下回っている、こうしたことから今回5県を解除するということだったと思いますが、これは一つ、今後の解除についてのベンチマークとか参考になるのでしょうか。
(答)決め打ちはいたしませんが、今回はまさに新規感染者数が低下傾向にあるということと、病床使用率が50%を切っているということ、なおかつ重症病床使用率が50%を切って、さらに低下している傾向にあるということ、もう1点、自宅療養者数と療養等調整中の者の合計が下降傾向にあること、こういうことを確認しながら、それだけが判断材料ではないですが、それを用いて、いつも申し上げているように、医療の逼迫がこれから起こらないであろうということを確認しながら、5県の解除に至ったということでございます。
 ですから、もちろん今申し上げたようなことは、医療の逼迫を見ていく上で非常に重要な指標にはなり得ると思いますが、決め打ちで、これが絶対の基準になって解除をするかしないかを決めますというようなものではないです。各県でいろいろ状況が違いますから、少し柔軟に見たいと思います。
(問)あともう1点ですが、今回、延長期間についてですが、2週間ということにされました。例えば大阪は医療の状況が逼迫していると思いますが、大臣として2週間で解除というものが見えているのかどうかを教えてください。
(答)これは元々まん延防止等重点措置を出す時の基本的な考え方が、措置を出して効果が現れてくるのに2週間ぐらいだろうと。これはこれまでのデルタ株までの知見というものに基づいて、措置を出して2週間ぐらいで感染が抑えられてきて、新規感染者数が減り始めるのがそれぐらいで効果が出るだろうということを、我々は経験的に2週間ぐらいと。それが確実に低下傾向になっているかどうかを確認するためにもう1週間見ようということで、3週間であるわけです。
 今回はこの5県を除いて、あとの17道府県に関しても、全国で見ても、もう感染が拡大基調から少しペースが緩んできて、先週今週比を見る限りでは1を切っている状況にあります。ですから、ある意味、感染者数という指標だけで見れば低下傾向の方に入ってきているものですから、その低下傾向が確実なものになるかどうかということをきちんと見ることが必要だと。そうすると、1週間で全部落ちてくれればいいですが、1週間で落ちるというようにも見えないから、では2週間見ましょうと。そこのチェックをするための期間として見て、それで2週間だと3月6日になるということです。
(問)2点目のTPPに関してですが、今回、第1回会合を終了することで、英国の国内制度がTPPのハイスタンダードなルールを満たせるということを確認したということでよろしいのでしょうか。また、今後の交渉の見通しについて、現時点で見えているもの、想定しているものついて教えてください。あと、英国の加入というのは早ければいつごろ実現できるか、その辺の見通しを教えてください。
(答)全て答えられないことを今聞かれましたが、そもそも交渉事ですから、一般論として何かを決め打ちで確認する、交渉の最中に全てこれで決まり、ということはないです。当然、加入作業部会第1回会合は終了することができるようなところまでは進んできたということは事実です。ですから、我が国から市場アクセスのオファー等を、ルールに従って、加入作業部会に30日以内に提出するように、イギリスに対して伝達したわけです。
 ですから、ここまで決まりました、その次にプラスして何かを重ねます、それは逆戻りすることはありません、というようなものではないです。どんな状況になったとしても、最後の最後でいろんなことが起こり得るというのが交渉ですから、確認が終わったというようなことではない、ということを理解していただければと思います。
 従って、これからまさにマーケットアクセスをどういうものにしていくか、30日以内に向こうからオファーが来ます。それは我が国だけではなくて、TPP加入国に対して、それぞれに行われるわけです。そこからマーケットアクセスに対する交渉というものが始まるわけです。それが飲めるものなのか飲めないものなのか、またもちろん我々が望んでいるハイスタンダードをきちんとクリアしているものなのかどうなのかということも含めて、言ってみればこれからです。やっと入り口に立ちましたぐらいのところですので、それがいつまでにということを、予断を持って申し上げられるかといったらそんなに甘いものではないというのは、これまでのTPPの交渉を見ていただければ分かるのではないかと思います。
(問)TPPに関連してですが、今回、英国と一定程度、ルール分野について目途が付いたということだと思いますが、中国や台湾、韓国も含めて、他にもTPPに参加意向を示しているところはありますが、議長国として今回の英国と同じような対応といいますか、高いレベルでのルールの順守を求めるような対応で今後も臨んでいく方針なのか、他国に対してどのように臨んでいくかを教えてください。
(答)一言で言えばそのとおりです。我々はTPPの価値を毀損するようなことは望んでもいないし、やるつもりもありませんので、TPPの価値というのは、単に貿易のルールだけではなくて、その他のルールも含めた非常にハイレベル、ハイスタンダードなものです。それが失われるようでは何の意味もありませんし、それこそが価値ですから、それを満たすかどうかということを基準にして、我々としては物事を先に進めていきたいと思っております。
 ですから、これはイギリスとて例外ではなく、イギリスもハイスタンダードなレベルでなければ交渉は先に進まないということになると思います。ましてや、その他の国々に関してはまだその入り口にも入ってきていないわけですから、当然同じような扱いになるとご理解いただければと思います。
(問)コロナに関して2点お伺いします。
 まず1点目は、新型コロナの感染が収まった後を見据えた出口戦略について、尾身会長は今後政府の新型コロナ対策分科会で議論したいという考えを示されました。この分科会で議論するということになるのか、そうだとすればいつごろから議論を開始するべきだと大臣はお考えなのか、これが1点目です。
 2点目は、今回のまん延防止等重点措置を支持する声ももちろんありますが、一方で、今回の第6波に関しては効果があるとは思えないという国民も少なくないと思います。重点措置の効果の検証について、今までの政権も先送りにしてきたと思います。そろそろ検証すべきではないか、大臣は早期の検証の必要性についてどうお考えかを教えてください。
(答)どちらも必要だと思っていまして、コロナ分科会、出口戦略に関して、これはご議論いただいた方がいいと思います。早い方がいいと思います。ですから、状況を整えて、分科会でご議論いただけるようにしたいと思います。
 それと検証は、実は何をもって検証と言うのか分かりませんが、日々起きていることを我々としては分析をし、そしてその分析に従って次の手を考えということをやり続けているわけです。その分析の部分はまさに検証するものなので、ですから日々やっているというイメージです。
 やっているというイメージですが、全体として、要するにミクロでの検証と、マクロで全体としてそれが上手くいったかどうかという全体としての検証というのはレベル感が違うので、全体としての検証はやはりオミクロンのことに関してはオミクロンの山を乗り越えた先でやらないと、全体は語れないと思いますので、出口戦略も含めて、全体が見えてきたところで検証といわれるものを専門家を交えてやることになるだろうと思います。
 その中で、まん延防止等重点措置の効果で、これはいつも議論になりますが、総理も今日答弁の中でおっしゃっていたように、何か一つのことで全てうまくいくというようなことはないと。これはコンセンサスです。
 その中の1つに、例えば営業権を少し抑制してまで、時間短縮をお願いするような措置、特に飲食店に関してはそれを行っている。その効果はどうなのかというのは、もちろん我々としては数字として、飲食店におけるクラスターが、まん延防止等重点措置を適用する前と適用した後でどう変化するかというのは当然見ています。これは有意にクラスターが出なくなります。ですから、それは間違いなく、その現場において効果はあります。
 しかし一方で、そこだけでオミクロン株の場合は感染が拡大しているわけではないということも分かっているわけです。学校をはじめとする子どもたちがいる場において感染が拡大する、あるいは高齢者がいらっしゃるような場所において感染が拡大する、家族の間、家庭の中でも感染が拡大する、職場でも感染が拡大する。ですから、飲食店のみならず、他でも感染が拡大していますから、飲食店の時短営業だけで効果があると我々はもちろん思っていません。しかし、ミクロのそこの部分だけ見ればもちろん効果は出ている。
 他のところも合わせ技でやらなくてはいけないということは、先週の基本的対処方針分科会で議論をされて、それで今、基本的対処方針分科会の中に、まさに子どもたちがいる環境、ですから小学校だとか保育施設において感染拡大防止のための手立てをどうするか、あるいは高齢者がいる環境、高齢者施設においてどのように感染防止をしていくかというようなことは、もう先週の段階で盛り込まれていて、そして盛り込まれていますから、当然もう先週から、そのオペレーションが始まっていると。
 その合わせ技で、全部が作用して、それでやっと新規感染者数が低下傾向に入り始めているということですから、そういう意味での分析をしたから、先週、基本的対処方針を変えて、それによって今の状況がありますが、これで十分だとは思わないので、やはり改善すべき点はないかということを探りながら、それはオペレーションの部分でやる部分もあるし、基本的対処方針まで書き込まなくてはいけないような部分もあるというのでやり続けると。
 このミクロの検証を重ねて、その先に振り返って全体としてどうだったのという検証ができるようなところまで来れば、それはやらせていただきたいと思っています。
(問)大臣のおっしゃることは非常によく分かりますが、残念ながら、これは我々の力不足でもありますが、大臣の重要な発言がなかなかメディアに載っていないから国民は分からないということはあって、非常に重要な発言を毎回されていると思いますが、何とか会見だけではなくて、その発言をちゃんとホームページでもチェックできるような体制にしていただくと、多分国民も分かるような気がします。
(答)広報はもう少し分かりやすいように心掛けるようにいたします。特に総理のご発言は、特に国民に対する訴求力が強いので、総理から適時適切に国民に対して直接訴え掛けていただくというようなことは、タイミングを見てやらせていただきたいと思います。
(問)今日の分科会後に尾身会長がぶら下がりの取材に応じられて、17の道府県の延長については2人の委員の方が反対されたということを発言されまして、法律の解釈の問題のようですが、今後その対応について、大臣はどのようにお考えなのか教えてください。
(答)全部を、こういう問題だということを全てこの場で説明しきる自信はありませんが、しかし、まん延防止等重点措置に関して言えば、私権の制限を伴うことが行動抑制としてかかるわけです。それを特措法の枠の中でやろうとする時には、当然それは科学的な根拠が必要であるし、科学的な根拠に従って、しかもそれを抑制的に使用するべきだというようなことも、今までの議論の中でずっと積み重ねられていると。その時に科学的な根拠が本当に確かなものと言えるのかどうかというのが、今までのデルタ株までのものとオミクロン株になってからのものでは相当性状が違う。すなわち、これは分かっている話ですが、感染力は強い代わりに重症化率は低いということは分かっているわけです。その重症化率の低さというものを科学的にどこまで、それが低いと呼べるのかということについての議論だと思います。
 ですから、そうなってくる場合には、基本的対処方針分科会で議論するというよりは、むしろ厚生労働省のアドバイザリーボード、そちらの方が医療の専門的なことを日々議論してもらっている場所ですから、そこにおいてオミクロン株の性状について、やはり科学的な知見に基づいてまとめていくという作業が必要だと思います。
 そういうことがあって初めて、では基本的対処方針をどう変えていくか、あるいはまん延防止等重点措置のようなものをどのように扱うかというような議論になると思うので、あるいはその問題提起をしてくださっているものと私は認識しております。
 なので、すぐに結論が出る話ではありませんが、問題提起したものを踏まえて、適切に議論は続けなくてはいけないと思います。
(問)先ほど冒頭にも質問が出た、延長幅に関連しての質問ですが、大臣の方から2週間にした部分については先ほど説明いただいたのですが、今回も、ただそうは言っても3週間も検討されている中で最終的に2週間にしたというところで、他の延長期間、6日で合わせるというところで、もちろん大阪などはまだなかなか難しいかもしれませんが、一応政府としては6日で一区切りといいますか、大きく解除に向けて目指していくという、そういうメッセージといいますか、意図も込めて6日としたのでしょうか。
(答)そこまで言い切るのはちょっとどうかと思いますが、ただし、我々としては先ほど言ったことが全てです。すなわち低下傾向にある中で、どこかで解除しなくてはいけないわけですから、その方向に確実に向かっていくということを我々としては狙っていきたいと思います。
 それをやる中で、むしろ3月6日というお尻を決めたからといって、その前に解除してはいけないということではないです。ですから、もう医療の逼迫する可能性が極めて低いと思われる県に関しては、3月6日を待たずにどんどん解除していってもらえればいいと思っています。
 それを自動的に3週間、3週間というようにいくものでもないと思うので、まさにきめ細かく見る中で3月6日ということを決めたということですので、そこが一つの目途にはなりますが、そこまで延長し続けなくてはいけないということではないので、むしろもっと前向きな取り組みが行われて、感染が抑制されることを我々としては念じているということだと思います。
(問)今の質問に関連してですが、21日以降は31都道府県が対象になると思いますが、それについて3月6日よりも前に解除する可能性もあるという発言だと理解したのですが、その場合は国の方から積極的に都道府県に、現状を見た上で解除できるということも促していく考えがあるということでよろしいですか。
(答)我々は都道府県と日頃から密にコミュニケーションを取っていますから、我々の方から無理に解除するからなんてことは当然しません。ただし、日々どういう状況にあるかということをお互いに情報として共有しながら、これから先どうなるかということを日々意識合わせしています。共有していますから、おのずと解除ができるかできないというのは見えてくる話だと思いますので、そうなった場合には遅滞なく、解除できるような解除しようという話になると思います。それは国から促すというよりは、コンセンサスが得られたら解除するということだと思います。
(問)先ほどの件に関連してですが、3月6日までに解除するために残り2週間になるかと思いますが、この間、改めてどういった対策をやってくべきなのか。どのように対策をやっていけば3月6日に解除できるのか、改めて大臣からあればお願いいたします。
(答)これは基本的対処方針に書き込んだわけです。基本的対処方針に従って対処し続けていただくということだと思います。それは飲食店の時短営業から始まり、学校や保育施設、高齢者施設、職場、家庭等々における対応というものを、しっかりと一人一人、私たち国民がやり抜くということだと思います。それと大切なことは、私たち一人一人の基本的な感染対策をやり切るということだと思います。それ以外には、何かウルトラCみたいな方法はないので、基本的対処方針に従って対応をし続けるということだと思います。
 ありがとうございました。

(以上)