山際内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和4年2月15日

(令和4年2月15日(火) 9:31~9:49  於:中央合同庁舎8号館1階S108会見室)

1.発言要旨

 おはようございます。
 本日公表いたしました2021年10-12月期のGDP速報については、実質成長率は前期比+1.3%、年率に換算すると+5.4%と、2四半期ぶりのプラスとなりました。実質GDPの水準は、概ねコロナ前の水準まで回復いたしました。
 これを受けた私の談話は、お手元に配布しているとおりですが、今回の結果は、緊急事態宣言等の解除を受けた経済社会活動の段階的な引上げ等により、個人消費、輸出、設備投資が増加したことによるものであり、感染症の脅威を社会全体として引き下げながら、いかに経済を回していくことが重要であるかを再認識させるものであると考えております。
 今後については、オミクロン株の感染拡大や世界的な供給制約、資源・原材料価格の高騰による下振れリスクに十分注意する必要があります。
 このため、まずはオミクロン株の感染拡大に対して、確保した医療提供体制をしっかり稼働させるとともに、その特性を踏まえたメリハリの利いた対策を講じ、経済社会活動を極力継続できる環境を作り、安全・安心を確保すること。併せて、厳しい状況にある方々に、春頃までの安心感をお届けするための様々な支援策やエネルギー価格高騰対策も含め、経済対策を迅速かつ着実に実施し、足元の経済の下支えを図り、景気の下振れリスクに対応しつつ、傷ついた日本経済を一日も早く立て直してまいります。
 そして、新しい資本主義の下、デジタル化、気候変動問題への対応などの社会課題をこれからの成長分野にしていくという発想で、官民の投資を集め、成長を実現するとともに、賃上げ等の分配戦略を通じて成長の果実を幅広く分配することで、成長と分配の好循環を生み出してまいりたいと存じます。
 以上です。

2.質疑応答

(問)GDPについて伺います。10-12月期は高い成長を達成しましたが、足元では感染拡大の影響でサービス業を中心に厳しい状況が続いています。1-3月期の見通しと、21年度内にコロナ禍前の経済水準を回復するという政府見通し、こちらについて達成は可能かどうか。また、回復させるためにどのような対策が必要かを教えてください。
(答)1-3月期に関して、今はまだ2月ですから1-3月期がどうですということを評価するのは、ただ中なのでできる状況にないというのはご理解いただきたいと思います。
 それからGDPは、まさに今、申し上げましたように、我々は1-3月期と思っておりましたが、10-12月期で、もう概ねコロナ前に回復したと私は今、申し上げました。ですから、そこまでは来たということだと思っております。
 その前提に基づいて、おっしゃるように今、オミクロン株の影響というものが出ておりますから、当然、これは注意深く見ていかなくてはいけないと思っております。
 政府として何をやるかということも、今、冒頭の発言の中で申し上げたように、とにかくコロナ対策を徹底的にやらなくてはいけません。ですから、それを今やっております。
 その中で、経済社会活動をいかに維持・継続させていくかということが非常に重要だということが、10-12月期の経済指標というものを見ても分かっているわけですから、やはりその重要性というものを再認識したわけです。ですから、それを併せてどのように社会経済活動を維持できるかということを、私たちとしては強力に押し進めたいと思っております。その中身は、経済対策でもうお示ししておりますから、それをしっかりと実行していくということだと思います。
(問)もう1問、今度はコロナの関係ですが、20日に期限を迎える21道府県について伺います。これまでに重点措置の延長や解除の意向が示されているような道府県があったら教えてください。また、大阪ですが、医療状況がちょっと悪化していまして、緊急事態宣言の必要性について。あと、逆に感染状況が先行3県の沖縄、広島、山口は改善していると思いますが、こちらの重点措置の解除の見通しについて、大臣、教えてください。
(答)まだ正式に延長とも解除とも、各知事さんが、我が県はこうしますという意思表明をされているわけでありませんので、そこはコミュニケーションを密に今までも取ってきましたが、これからも取りたいと思っております。
 その中で事実を言えば、先行3県に関しても、それ以外のところに関しても、新規感染者数は大分落ち着いてきたり、あるいは減っていたりというのが今の事実です。それに加えて、医療の逼迫状況がどうかということもあります。これは、沖縄等々、先行しているところで出ているように、やはり高齢者で罹患される方が増えてまいりますと、どうしても重症化する方が多くなりますので、医療への逼迫度合いというのは、負荷はどうしても掛かるわけです。それがどの程度で収まるかということを見ながら判断しなくてはいけないものだと思っています。
 そういう、非常にニュートラルですが、全体としてどういう方向に進んでいくのかということをきちんと見ながら、全部揃ってではなくて、一県一県みんな状況は違いますから、丁寧に一県一県判断をさせていただいて、判断そのものは今週中にしなくてはいけないので、しかるべきタイミングでやらせていただきたいと思っております。
 大阪に関しては昨日、知事さんと相談も相当させていただきました。知事からのご発言の中にもあったと思いますが、特に高齢の方に対しての医療の負荷が相当高いという話もございましたので、そこに対して国としてサポートできるところを全力でやらせていただくということを、知事さんと話をさせていただきました。
 全体としては、実は大阪も新規感染者数は減り始めているステージになりますから、これから先の見通しというものを見た時に、高齢者に対する医療の負荷というものをどこまでコントローラブルな中で収められるかということが勝負だと思っておりまして、そこを、密にコミュニケーションを取りながら、国としてできる得るサポートは全てするというようなことでやらせていただきたいと思います。
(問)またGDPの話に戻りますが、大臣の談話でも、GDPの水準は概ねコロナ前の水準に回復したということですが、ただ、オミクロン株の流行とまん延防止等重点措置が長期化していますが、エコノミストの間では、1-3月期はマイナス成長のリスクもあるという指摘もあります。
 そうした中、欧米を見ますと、アメリカは2021年4-6月期にコロナ前水準に戻していて、ユーロ圏もこの10-12月期にコロナ前水準に回復しました。結果的に日本の景気回復のペースの遅れが目立つ結果になっているかと思いますが、なぜ日本が遅れているのか。例えばブースター接種、これが先進国の中で遅れているとか、そういったものを含めて、何が要因なのか大臣の考えをお聞かせください。
(答)これは、もちろん一つだけの要因ということはないと思いますが、事実として、オミクロン株の感染の山が欧米と日本とでは数カ月ずれています。経済に対してコロナウイルス感染症というものが大きな影響を与えるというのは事実ですから、当然、数カ月間のずれがあるというのは、一番大きいのはそこだと思います。
 我々経済のことをやっていて、どうしてもコロナウイルス感染症によって経済が毀損するということでGDPが伸び悩んできたというのは事実ですから、その事実に鑑みれば、その感染のピークがずれているというのは相当大きな要因だと思います。
 もちろん、それぞれの経済圏にそれぞれの特徴がありますから、それぞれの要因というものはあろうと思いますので、それをいちいち、一つ一つ披歴できるものではありませんが、一つコロナの問題を取ってみても、明らかな部分は明らかではないかと思います。
(問)ウクライナ情勢が日本経済に与える影響についてお伺いしたいと思います。ウクライナ情勢の緊迫化が足元の原油高や株価下落の背景にあると見られています。また、ロシアとウクライナは半導体製造に不可欠な一部資材の主要産地でもあり、有事が発生した場合にサプライチェーンに支障を来す可能性もあります。ウクライナ情勢という地政学リスクが日本経済に与える影響について、どう見ていらっしゃるかお教えください。
(答)直接的に何がどのように経済に影響するかという言及は、これまでも私の立場からすると大変なことになるので申し上げないできましたが、ご指摘の問題意識は共有しております。特に岸田内閣になりまして、経済安全保障の視点というものを、経済全体を考える時には必ずそのベースとして持っていかなくてはいけないという共通認識で進んでおりますから、当然、その内数にウクライナ問題というものは入っております。
 ですから、ウクライナが我が国の経済、あるいは我が国の安全保障そのものに与える影響というものは、注意深くしかるべき部局でしっかり見ておりますので、詳しくもしそのことについてコメントを求めたいなら、その部局に聞いていただくことがいいかと思います。もちろんマクロの経済をお預かりしている私の立場からしても、そこは注意深く見ております。
 今おっしゃったサプライチェーンリスクの部分も、直接的な影響はそれほど大きくないかもしれませんが、間接的な影響も含めてサプライチェーンですから、注意深く見なくてはいけないという問題意識をちゃんと持った上で、しっかりそこの部分を追っております。それ以上は、中身の話になりますので、言及は控えたいと思います。
(問)先ほどのGDPの水準の話ですが、欧米に比べて少し日本が遅れている理由の一つに、今の水際対策やまん延防止措置だとか、経済との両立というのをずっと訴えている一方で、日本の感染者数が世界に比べるとそんなに多くないと言えると思います。それに対して経済への負荷を掛け過ぎているのではないかという見方もあると思うのですが、その点について大臣はどうお考えでしょうか。
(答)先ほど申し上げたようにオミクロン株に限りませんが、オミクロン株を一つ例に取っても、感染のピークが数カ月、欧米と比べて遅いというのは、まさにこれは水際対策をしっかりやったからです。
 その間に我々は対応策というものを講じたので、諸外国に比べて相当感染者数も抑えられておりますし、それによる死亡者数も抑えられているという認識です。
 私たちとしては、命というものに力点を置いてこれまでオペレーションをやってまいりましたから、そこに関して、もちろん最終的には国民にこれは評価していただく話になりますから、そこの部分は我々で自画自賛みたいなことは当然する意味はありませんし、そうは思っておりませんが、政府としてのコンセプトは、そういうオペレーションをしようと思ってやってきて、そしてそれが功を奏して今の状況にあると思っております。
 一方で、先ほど申し上げたように、この感染の状況を低く抑え込むことによって経済がどれだけ力を取り戻すかというのは、昨年の10-12月期のGDPが概ねコロナ前に復活したということを見ても明らかなわけです。ですから、各国それぞれにやり方は違うかもしれませんが、私たちがやるべき道というのは、今、目の前にあるオミクロン株に対してきちんと対応することによって、そのことが一日も早く経済を成長軌道に戻していくということに確実につながると。これもまさに10-12月期のものをファクトとして見て再確認させてもらいましたから、よりそれをしっかりやるべきだと思います。
 諸外国との比較は、国情も、あるいは国民性も、あるいは文化も経済の中身もみんな違いますから、私たち日本にとって何が大事なのかということは、民主的国家として、私たち民主的に選ばれた人たちによってなされることを国民との対話の中で進めていくしかないと思っています。
 ありがとうございました。

(以上)