山際内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和4年1月7日

(令和4年1月7日(金) 17:05~17:30  於:中央合同庁舎8号館1階S101・S103会見室)

1.発言要旨

 先ほど開催されました政府対策本部において、広島県、山口県、沖縄県の計3県につきまして、1月9日から1月31日までを期間といたしまして、まん延防止等重点措置を適用することを決定いたしました。
 これらの地域については、飲食店の時短営業やイベントの人数制限などの感染拡大防止のための取組を講じていきます。さらに、オミクロン株の感染拡大の速さに鑑み、基本的対処方針を変更し、都道府県知事の判断で第三者認証店での酒類の提供停止も選択可能といたします。
 また、ワクチン・検査パッケージ制度につきまして、現行制度では感染が急拡大した場合に都道府県知事の判断により停止することができることとされておりますが、この制度に加えまして、対象者全員に対する検査を実施した上で行動制限を緩和することについても知事が選択できることといたしました。
 政府といたしましては、既に多くの都道府県でオミクロン株の感染が確認されている中で、引き続き強い緊張感を持って状況把握に努めるとともに、自治体や専門家の皆さまと連携し、機動的かつスピード感を持って対応してまいります。
 冒頭、以上です。

2.質疑応答

(問)幹事社から2点伺います。1点目は東京都の対策について伺います。まだ東京都の病床使用率は低いですが、本日も感染者数が922人と、前週比12倍と大幅に伸びています。これまでも東京から全国に感染が広がっていったように、先手で東京に対する対策を取る必要性について大臣はどのようにお考えでしょうか。
(答)東京都の状況というのは、今、ご説明したとおりだと承知しております。
 我々としては、レベル分類に変える時に、医療体制のひっ迫の度合いというものを最も見ておかなくてはいけない重要な指標になってくるということで、そのようなオペレーションに変えたわけです。ですから、それに照らして慎重に議論していかなくてはいけないと思います。
 昨日、知事が官邸をお訪ねになって総理とも会談されたと伺っております。我々としては、その現場を預かる知事さんが最も東京都、現場のことを分かっていらっしゃると思いますから、その東京都の状況というものを注意深く見ながら、連携を密にして適正な時に適正な対策が必要であれば対策を打たなくてはいけないと思いますし、また、いろいろな意味でのサポートが必要な時にはサポートするというようなことになると思っております。ですので、ちょっと長くなりましたが、注視しているという段階だと思います。
(問)最後にもう1点なのですが、今回のまん延防止等重点措置が3県に適用されたのと、あと、オミクロン株が急速に全国に広がっていると思いますが、日本経済への影響を大臣はどのように今、捉えていらっしゃるのかお願いします。
(答)予断を持って申し上げるべきではないと思いますが、経済に影響が出ないように、極力経済が継続できるようにしていくというオペレーションをしなくてはいけないと思っておりまして、その旨も今回、基本的対処方針の中に書き込ませていただいております。
 やはり、これからはコロナ対策をしながら経済活動をどう継続していくかというのが本当にテーマになってくると思いますので、それを全力でやっていくということだと思います。
(問)今回、まん延防止等重点措置を適用した沖縄、山口、広島の感染拡大については、米軍基地からの染み出しというのがあったのではないかという見方が強まっています。沖縄県の知事も同様の見方を示していますが、この点について大臣はどう分析しているのか。
 また、岸田政権としては外国人の入国を原則禁止するという厳しい水際対策を講じてきたわけですが、結果的にこうした米軍由来の感染が市中に広がってしまっているのではないかということですが、米軍の感染防止対策、例えば基地からの外出禁止など、そういったものが十分であったのかどうか、その点についてもお願いいたします。
(答)これは先ほどの国会の答弁でも申し上げたのですが、感染症で、しかも目に見えないものを相手にしていますので、それがどこ由来かということを限定するというのは非常に難しいと思っております。
 一方で、事実は事実として、今どこの地域でどれだけ感染が広がっているかというのを我々は見ているわけです。ですから、原因が何であったかというよりは、事実として感染がどういう状況にあるかということを追うことの方がずっと重要なので、それに基づいて今回、まん延防止等重点措置というものを決定させていただいたわけです。ですから、そのオペレーションをこれからやりたいと思っています。
 それと、米軍との関係に関しては、外務省の方に詳しくは聞いていただければと思いますが、もちろん我々の水際対策と整合的に対策をしてもらいたいということを都度外務大臣経由で米側には伝えてきて、そして、完璧かどうかは別にして整合的なオペレーションになりつつあるということを報告として受けておりますから、これからもより迅速に、スピーディーにお互いのコミュニケーションを取りながら整合的なオペレーションが行われていくことを期待しますし、そうしていかなくてはいけないと思っております。
(問)質問は2点ございます。まず1点目が、国内でもオミクロン株による重症者が現時点ではないとされていまして、報道も相まって、さほど警戒していない国民は実は少なくないと思います。しかしながら、明日から3連休で、成人式なども控える中、さらに感染拡大するリスクがあると思います。大臣はこうして会見をやってくださっていますが、総理についてですが、緊急事態宣言に至らずとも、本日会見で総理自ら国民にメッセージをじっくり発信することも必要だったのではないかという考え方もありますが、そうした議論はなかったのかというのが1点目です。
 2点目ですが、昨日の沖縄県の専門家会議で、国が緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の判断で重要視する病床使用率などの指標が、これはデルタ株を基本に検討されたと思いますが、今回、オミクロン株の実態と合っていないのではないかとの指摘があったと伝えられております。見直したばかりではありますが、国の指標等を見直すことは視野に入れているのでしょうか。また、早期に検討するお考えはあるのか、この2点をお願いします。
(答)まず、後段の質問に対してお答えしますが、我々は常に柔軟に、科学的な知見がその都度積み重なれば、それに対して制度を変えていくということをしたいと思っております。ですから、都度申し上げているように、オミクロン株の性状がどういうものであるかということは徐々に分かりつつあると。しかし、まだ完璧ではないです。
 例えば1例を挙げますと、若い方が重症化しないというようなことは、大分日本国内でもデータの蓄積がございます。一方で、きちんとこれまで感染防止策を続けてきたことで、幸いなことに高齢者の方や非常に重症化のリスクが高いであろう方々に対しては、まだそのような知見は積み重なってございません。私たちは最悪の事態というものを想定して、最も苛烈な状況になった時にどうなるかということを想定して様々オペレーションをやらなくてはいけないものですから、今のような形になっているということだとご理解いただければと思います。一方で、科学的な知見が積み重なってくれば、硬直化させるのではなくて柔軟に制度は速やかに対応させてもらいたいと思います。
 もう一つ、総理の会見については、総理から国民に対して直接訴えていただくというのは非常に重要だと私も認識しております。だからこそ、今日この最終決定をするのを待つのではなくて、昨日、閣僚会合が終わった後に、まだ分科会に諮る前に総理自らがあのような形で国民に対して語りかけたのだと理解しております。
 それで、まさに報道関係の皆さま方から、もう少しこのようなところに関して発信してもらいたいということがもし仮にあれば、それは官邸にもつなぎますし、必要とあれば官邸の方できちんと判断されて、総理自らがお話しされるということになるのではないかと思います。それも柔軟に対応できるものだと思います。
(問)レベルと重点措置の判断の関係について伺いたいのですが。今回、3県ともレベル2での適用ということになったのですが、ただ、広島、山口は一昨日までレベル1の段階で、昨日引き上がってレベル2で適用ということでしたが、今後、そのようにレベル2の入口の段階でも陽性が出てきた場合というのは同様に適用していく考えなのか、その辺りをお聞かせください。
(答)前のお答えにも通じますが、我々が何か硬直化した制度で、この指標を超えたから何かにしますというようなオペレーションはやっていません。今回は、非常にオミクロン株の感染拡大のスピードが速いというファクトに基づいて、このまま置いておくと医療体制がひっ迫する可能性があるので、早めに知事からの要請を受けて今回のようなことになったと。
 ですから、それがじわりじわりと増えるもので、レベル2になったばかりでまん延防止等重点措置が必要ですかと言われれば、多分、そうじゃないという判断もあったのだと思います。
 なので、総合的に判断していますので、これからも今回のように、同じように立ち上がりが非常に速いというようなケースであれば、躊躇なく先手を打つということになると思いますし、そうでないならば、また違ったオペレーションになると思います。そこは非常に柔軟に考えておりますので、言ってみればケース・バイ・ケースということになるのではないでしょうか。
(問)先ほどオミクロン株の性状について、まだ知見が積み重なっていないところもあるとおっしゃっていましたが、これはいつ頃、よりはっきりとどういうものかというのが判明するのかということ。それから、判明した際には、今の対処方針やワクチン・検査パッケージなどを早急に見直すのかという、この辺りをお伺いできますでしょうか。
(答)一言で言えば、そのとおりです。いつ頃かというのが分かったら、こんなに幸運なことはないと思いますが、我々は目に見えないウイルスと今、闘っているわけですので、先がどうなるかということに関して予断を持ってこうなりますと楽観的に申し上げることは、やはりどうしてもいかないです。
 今、我々はオミクロン株と闘っておりますが、デルタ株もまだ日本国内では発生がありますし、オミクロン株の次の株が出てくる可能性も排除できないわけです。ですから、そういうことも踏まえて柔軟に対応していくしかないと申し上げているわけです。なので、後段の方の質問に関しては、知見が集まってくれば柔軟に制度も変えるというお答えになります。
(問)大臣の冒頭の発言の中にもあったのですが、ワクチン・検査パッケージと併せた対象者の全員検査の考え方を確認したいのですが。基本的には、ワクチン・検査パッケージを用いている中で、全員検査もその上に追加して行うというイメージでいいのでしょうか。全員検査の位置付けの部分がちょっと分かりにくいのですが。
(答)今回、言ってみればオプションを1つ増やしたわけです。なぜこういうことになっているかと言いますと、それはまさに科学的な事実に基づいているわけです。すなわち、オミクロン株の場合はブレークスルー感染が起き得るということが科学的にもう分かっておりますので、そうなりますと、そのサービスなり、飲食なら飲食を提供する場において、本人が感染していないということを確認するということが感染拡大を防止するのに非常に適しているのではないかという議論がありまして。それを実現させようとすれば、イベントならイベント、飲食会なら飲食会に参加する方の全員が検査して、そこでマイナスであれば、少なくともそこでウイルスを排出して他者に感染させるというリスクは非常に低くなるだろうと。そういうことで、検査をやるというのも一つオプションとして知事の判断でやっていただいて結構だということを加えたわけです。
 ですから、ワクチン・検査パッケージそのものをなくしたわけではないですが、より経済を止めないでいくためにはどうすればいいかという工夫の中で、柔軟に対応した一つの例だと思っていただければいいと思います。
(問)関連しまして、イメージとしては、その場で検査を行うということを想定されているのですか。
(答)いろいろあると思います。もちろん検査の手法もPCR検査もあれば抗原定量検査も定性検査もありますから、それはまさに柔軟にやっていただければいいと思っていますが、その場で検査するというオプションもあり得るのではないかと思います。
(問)すみません、別件でもう1点だけ。医療体制の準備状況に関する自己点検の公表について、これは先ほど総理の発言もまた重ねてあったと思いますが、これまでも医療体制の充実度というのは点検するようにということになっていたと思います。改めて公表すると今回したのは、これまでとの何か違いというのはあるのでしょうか。
(答)これまでの流れの中で、まず医療体制をきちんと拡充、充実させるということを各地方自治体がコミュニケーションを取る中で言ってくれています。それのある意味、見える化を今回図ったということだと思っていただければと思います。
 実際にそれをオペレーションで回していかなければいけないわけですから、きちんと医療提供体制ができているということをまず見える化して、その上で全体像に従ってオペレーションをしていっていただきたいという、我々からのもちろん思いもあります。実際にそうでなければ、コロナウイルスウイルス感染症が拡大した時にオペレーションがうまくいかないということになりますので、その確認のためにそれを入れたということで、何か新しいことをやってくださいと言っているわけではないです。これまでもコミットしていただいていることに関して公表してくださいということです。確認のためにやった作業です。
(問)公表の主体は自治体ということでいいのですか。
(答)そうです。
(問)西村大臣の当時は、昨日は小池さんが首相のところに行かれましたが、基本的に地方自治体を含めて大臣のポジションが駆け込み寺というか、総合調整の窓口になっていましたが、これはやはり大分やり方が変わったのだろうなと。その辺のところ、地方公共団体、この感染爆発はちょっと異様なので、いろいろそれぞれ心配なところが出てくると思いますが、それはやはり大臣のところで受け止めるのか。それとも、もう厚労省の方に任せているという形になっているのか。私はそのオペレーションが実はよく分からないのですが、3大臣はどのような形でこの危機に対応していかれるのか、それを伺いたいです。
(答)西村大臣の時と現在と何が変わったかといえば、西村大臣の時代に必死になってやってくださったオペレーションを通じて様々な知見というものが積み重なって2年間頑張ったわけです。それらを全部整理して、分析して、検証した結果で全体像というものをお示しした。言ってみれば、その全体像をお示しできるようになったというのが大きな違いだと思います。その全体像に従って私たちは今、オペレーションをしているわけです。
 そういう意味で言いますと、整理としては、やはり医療関係に、言ってみれば実地で携わっているのは厚生労働省ですから、医療提供体制を整えるであるとか、ワクチンの中身の問題であるとか、そういうものに関してはこれまでと同様厚生労働省がやると。そして、各都道府県との関係をどうするかということに関しては、西村さんの時もそうでしたし、現在でも私がそこの部分の担当をさせていただきながら全体の調整を行うと整理されています。そこは変化がないものと思ってください。
 駆け込み寺になるかどうかは別ですが、できればそうなってほしくないと思いながらオペレーションしておりますが、窓口は私のところで変わらないとご理解いただければと思います。
(問)先ほどの質疑応答でも出ていた対象者の全員検査の関連で伺いたいのですが、利用客や利用者という表現ではなくて対象者全員検査と書かれている。この対象者とは何を指すのかというのを伺いたいのが1点。
 全員検査というと、飲食店やイベントだと本当にできるのかと思ってしまうのですが、実現性というのをどう考えていらっしゃるのか。また、例えば実現性があると考えていらっしゃるのであれば、具体的にはこういうイベントで考えているのだというのがあれば教えてください。
(答)少しこれは整理しなければいけないと思いますが、対象者というのは利用者と同義語だと考えてください。ですから、何らかの飲食を含めたサービスを提供される側、使う側、イベントに参加する側、参加者のことを指していると理解していただければいいと思いますが。
 実際にこれをオペレーションしようとすると、まず知事がどのようにするかということを判断されるわけです。このオール検査というものをうちではやろうと、もしお考えになる知事がいらっしゃったら、今度それは、イベントならイベントを実施する主体、飲食なら飲食店、サービスを提供する側がこれを行うということになります。それはもう本当にケース・バイ・ケースで、様々な場所で様々なオペレーションがあると思います。その中で、これならば、ある意味、そうストレスもなくやれるというオペレーションもあれば。確かに1万人、2万人集まるようなところで、その場で検査してからでないと入れないという話になると、それは何時間かかるんだという話になります。そうすると、ちょっとオペレーション上これは難しいのではないかということであれば、また違った工夫があろうと思います。
 そういうことも含めて、各自治体で置かれている状況が違いますから、自治体の判断でやれるようにしていきましょうというのが今回の基本的対処方針に対象者全員の検査というものを加えたという趣旨ですので、オペレーションする上では、それぞれの自治体で工夫していただければいいものと思っております。
 また、それも簡単なものと簡単でないものがあるということも理解した上で、恐らく現場でも対応されるものだと思っておりますので、その対応を待ちたいというか、我々としては期待したいと思います。
(問)今のパッケージの関連で伺いますが、今回の先ほど大臣がおっしゃったオプションを1つ増やしたというのは、応急処置的な対応であるのかと思いますが、知事会や専門家からは、パッケージのもう少し大きな変更というのを求める声があると思います。そういったものには今後、どういう日程で考えていらっしゃるのか教えていただければと思います。
(答)先ほどから申し上げているように、柔軟に対応はしたいと思います。日程感というもので今、決まったものがあるわけではありませんが、一つ大きなファクターは、ワクチンのブースター接種がどれぐらいのスピードで、どれぐらいの方々に進むのかというのは非常に大きなファクターだと思います。
 オミクロン株に関しましても、3回目のブースター接種を行うことによって発症予防効果が相当あるというデータが出ておりますから、そうなった場合には今のワクチン・検査パッケージ制度というのが有効だと思います。
 一方で、2回ワクチンを打った後、相当な日数が経っていると、残念ながらブレークスルー感染と言われるような感染を引き起こす可能性があるということも分かっておりますから、そうなった場合に、今のままのワクチン・検査パッケージ制度でオミクロン株に対応できるかという問題では、お分かりのとおりだと思います。ですから、そういうことも踏まえて柔軟に、科学的知見が集まったら議論して何らかの工夫をしていくということだと思います。
 ですから、全数検査というのも、検査パッケージでワクチンがないじゃないかと言われればそのとおりですが、要は感染を拡大させないで経済をどう回すかという意味でのパッケージの一つとして考えるのだったら、それは今のテンポラリーなオプションではなくて、長く続けるオプションとしてもあり得るものかもしれません。そういう議論をしていくということだと思います。
 ありがとうございました。

(以上)