山際内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和3年12月21日

(令和3年12月21日(火) 15:35~15:50  於:中央合同庁舎8号館1階S108会見室)

1.発言要旨

 「月例経済報告等に関する関係閣僚会議」の概要を報告いたします。
 今月は、「景気は、新型コロナウイルス感染症による厳しい状況が徐々に緩和される中で、このところ持ち直しの動きがみられる」とし、先月の判断から上方修正しております。
 これは需要項目の大宗を占める個人消費について持ち直しの動きがはっきりと確認でき、企業の業況感や雇用情勢についても、改善の動きがみられることを踏まえたものです。
 先行きについては、経済社会活動が正常化に向かう中で、各種政策の効果や海外経済の改善もあって、景気が持ち直していくことが期待されます。ただし、供給面での制約や原材料価格の動向による下振れリスクに十分注意する必要があります。
 また、多くの国で感染再拡大が確認されているオミクロン株をはじめ、感染症による内外経済への影響などを注視する必要があります。
 この他、本日の会議の詳細については、後ほど事務方からご説明いたします。
 もう一つ、無料検査の拡充についてご報告申し上げます。
 今般成立した補正予算において、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金の「検査促進枠」を創設することといたしまして、3,200億円の予算を確保いたしました。
 制度創設に伴いまして、年内から予約不要の無料検査を全ての都道府県で開始できるように準備を進めており、早い都道府県においては今週から無料検査の拠点が開設される予定となっております。
 無料化の対象としては、健康上の理由や、あるいは12歳未満であるなどワクチン接種を受けられない方がワクチン・検査パッケージ等を利用する場合の検査を想定しております。主に民間の検査機関や薬局の店舗・拠点において無料検査を受けられるようにする予定です。
 年末年始に向けてマスクの着用、手洗い、3密の回避といった基本的な感染症対策の徹底を改めてお願いしておりますが、対象の方については飲食、イベント、帰省などの機会に、拠点の場所などを都道府県の発表を確認いただいた上で無料検査を活用いただきたいと思います。
 私からは冒頭、以上です。

2.質疑応答

(問)国交省の統計の関係ですが、どういうことが行われていたか徐々に分かりつつあるのですが、こちらのGDPへの影響とか調査の進捗も含めて、どのような感じで進んでいるのかも教えていただけたらと思います。
(答)調査の進捗は、これは国交省で今やっていることなので、私の方で詳細まで述べることは控えたいと思います。
 GDPへの影響は、国会の答弁でも申し上げましたように、そもそもGDPを推計していく上で、この建設受注統計そのものは直接使っているものではないものですから、まずそこからいっても、また、この建設受注統計を基にして建設総合統計というものを作っていますが、その建設総合統計を作っていく上で、様々な補正計算等々があった上でこの建設総合統計は出てくるものですから、それを使って、しかもGDPを推計する上での非常に多種多様なものの中のごく一部としてこれを使っているものですから、GDPへの影響は軽微なものであると今のところ判断しております。これも国交省の方での対応がきちんと進むことを我々としては見ていきたいと思っておりますし、当然、そこで何か今まで出ていた値と違うものが提出されれば、それに基づいてGDPも再計算するということになろうと思います。
(問)月例経済報告に関してお聞きします。景気判断が1年5カ月ぶりに上方修正となりましが、それについての受け止めと、今後の先行きでのリスクとなり得る事象、先ほど少し原材料の下振れですとかオミクロン株を大臣も例に挙げていましたが、それについてどのようにお考えかお聞かせください。
(答)この月例経済報告の基調判断は、今申し上げたとおり上方修正しましたが、これの受け止めを私の立場から何か確定的に、このような形で受け止めていますということを言うことは、そもそもマクロ経済そのものに影響を与えかねないので言及は控えます。
 中身について、なぜ上方修正をしたかというのは、先ほど冒頭にご説明申し上げたように、まず個人消費に持ち直しの動きがはっきりと確認できているという状況にございます。さらには業況判断、あるいは雇用情勢についても改善の動きがみられる。これらのことを踏まえて上方修正したものですので、政府としてはそのようなものを材料にして今回、上方修正したということとお考えいただければと思います。
 それと、これからのリスク要因は、当然、様々ありますが、ずっと続いているものとしては、半導体の問題というのがまず一つございます。また半導体が不足しているだけではなくて、部品供給が滞るというようなことが挙げられます。これがこれから先どのようになっていくかということは注視しておかなくてはいけないと思いますし、少し落ち着いたように見えますが、原油価格が高騰しているということについても、今後、下振れリスクと言えると思います。
 また、もう一つ。これも大事なことですが、オミクロン株が世界で相当広がりつつあります。各国、今のところ厳しい措置をとるような形ではないように見えますが、それでもオミクロン株そのものは、これから経済に対して影響を与える可能性があると私たちとしては注視しなくてはいけないと思っております。
(問)オミクロン株に関連してですが、先週、新型インフルエンザ特措法の改正に向けた議論が自民党内で始まりました。緊急事態宣言の扱いですとか営業規制などについて検討していくとしています。現在の岸田政権では、ワクチン・検査パッケージなどを使いながら、感染拡大期でも一定の活動を認めるというような考え方を示していますが、今後、オミクロン株なども広がって第6波の懸念もあるかと思いますが、法改正に向けた大臣の所感について教えていただければと思います。
(答)法改正に向けても私自身の考え方というのは、今述べる状況にはないと思っていますが、おっしゃるように、オミクロン株はまだどういうものであるかということがはっきり分かっている状況にないものです。なので、岸田総理がいつもおっしゃっているように、最悪の事態を想定して早め早めにいろいろなことをやっていくというので今、政府が様々行っている水際対策から始まってやっているわけです。
 一方で、我々はきちんとデータに基づいて物事を進めなくてはいけないと思っておりますので、日々集まってくる新型コロナウイルス感染症の新規感染者数の推移、それに伴って重症の方がどれぐらい増えているか、病床の確保数がどうかといった客観的な事実、数字というものをしっかり見ながら、これからオミクロン株が広がる可能性は排除いたしませんが、現段階において、これから先どれぐらい医療の状況が逼迫するかということを見ながら対策を打っていくということになると思います。
 そういう意味で言いますと、現在は非常に落ち着いた状況にあるというのは皆さんご案内ととおりです。また、現段階において、全体像としてお示ししたルールを大きく変更しなくてはいけないという状況にはないと判断しています。それが現況です。
 もちろん、冒頭に申し上げましたように、オミクロン株がどのぐらい感染力も含めて大きなものになってくるかということを注意深く見ていますから、これが我々の想像していたものを遥かに超える何かということであれば、当然、これも岸田政権の特徴かもしれませんが、柔軟に対応ができるように注視し続けるということが重要かと思っております。
(問)経済対策の中で、デジタルなどの新しい時代のスキルを身につけられるように、3年間で4,000億円のパッケージを盛り込みましたが、現在の進捗と見通しをお伺いしたいのと。これと関連して、新しい資本主義実現会議で、人への投資が重要なテーマとなっているということですが、その観点で、4,000億円パッケージ以外にも必要となる政策をどのようにお考えかというご所見をお伺いできますでしょうか。
(答)非常に多岐にわたる話なので、この場で全てをお話しすることはできないということはご承知起きいただきたいと思います。
 まず、3年で4,000億のパッケージというのは、これは総理からもお話があったように、今回の補正予算で賄う部分と、3年でという話ですから、これから先もさらに財源を作りながら進めていくことになると思います。そして、もちろん職業訓練もあります、リカレント教育もあります。あるいは、ハローワークに行っていただければ、毎月10万円を支給されながら職業訓練をして、そして、トライアル雇用と言っていますが、マッチングを受けた上で就職してみて、それも給与の補填というか給与の補助みたいなことまで含めて使うというような、今既にある政策をさらに進めるというようなやり方もございます。また、これも総理がおっしゃっているように、民間の皆さま方から、どんな施策をすると効果的に人材育成につながるかということを聞きながら、あるいは生産性の高いところに、労働者が移動できるかということを考えながら、その民間の知恵も活用して柔軟に制度設計をするというような話をされていますから、議論はこれから続けていくことになろうと思います。
 当座は補正予算の枠で、16カ月予算ですから、来年度に向けて少し入っていくと思いますが、使わせていただこうと思っております。
 それから、それ以外の人への投資は、例えば10兆円ファンドを作りました。これは大学改革とセットですが、当然そこには若手の皆さま方に対して投資をするというものも含まれます。さらには、その枠の中に入っておりますが、明示的に博士課程にいらっしゃる方々に対しての資金といいましょうか、支給するということも我々は明言しておりますから、それはもう見えているメニューとしてあります。まさにこれは若い方々に対する投資ということになります。
 それから、広い意味で言えば、今回18歳までの子どもに対するお金を支給するというこの政策も、若い方々に、特に子どもに対する投資と捉えていいと思います。
 ですから、我々としては、今申し上げたものに限らず、様々なメニューを使って、しかし、その切り口は人への投資という切り口でこの政策を実行するという視点で今回通していただいた補正予算を使っていこうと思っております。またそれが、チェックもさせていただいて、次への、分配から今度は成長へきちんとつながっているかどうかということもきめ細かく見ながら、より効果の高いものに仕上げていかなくてはいけないという思いを持っておりまして、そのフォローアップもしっかりさせていただきたいと思っております。
 さらに細かいことは、また一晩お付き合いいただければ大分お話ができると思いますが、それぐらいに人への投資というものを軸に今回、経済対策も含めてやらせていただいているとご理解いただければと思います。
 ありがとうございました。

(以上)