山際内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和3年11月15日

(令和3年11月15日(月) 9:22~9:35  於:中央合同庁舎8号館1階S101・S103会見室)

1.発言要旨

 皆さん、おはようございます。
 本日公表いたしました2021年7-9月期のGDP速報については、実質成長率は前期比▲0.8%、年率に換算すると▲3.0%と、2四半期ぶりのマイナスとなりました。
 これを受けた私の談話はお手元に配布しているとおりでございますが、公需はプラス寄与と下支えをしたものの、9月までの緊急事態宣言等に加え、半導体不足や東南アジアでの感染拡大に伴う部品供給不足、原材料価格の上昇が影響し、個人消費、設備投資、輸出はマイナスとなりました。
 一方で企業収益は持ち直しており、実質雇用者報酬はおおむねコロナ前の水準を回復するなど、雇用・所得環境も改善傾向にございます。これらを勘案いたしますと、景気は持ち直しの動きが続いているものの、そのテンポは弱まっており、政策による下支えが必要な状況にございます。
 今後については、経済社会活動が再開される中、世界経済の改善もあって、景気が持ち直していくことが期待されるものの、世界的な供給制約や資源価格上昇による所得の流出が顕在化してきている中で、それらの影響による下振れリスクに十分に注意をする必要があります。
 このため足元の経済の下支え、景気の下振れリスクへの対応や、新型コロナ対応に万全を期し、経済の底割れを断固として防ぐとともに、当面、先進国の中でも遜色のない成長を実現し、将来への成長力強化を図るための十分な内容と規模を備えた新たな経済対策を近々策定いたします。
 新型コロナ対応については、ワクチン、検査、治療薬等の普及による予防、発見から早期治療までの流れをさらに強化いたします。その中で感染症の影響を受ける方々には、来年春までの見通しが持てるよう、支援に万全を期すとともに、ワクチン・検査パッケージも活用し、安全安心な社会経済活動の再開に向けた取り組みを進めてまいります。
 さらに、先端技術やイノベーション、デジタルの地方からの実装、「人」への思い切った投資により成長力を引き上げ、その果実を賃上げ等を通じてしっかりと分配する、成長と分配の好循環を起動させるために、新たな経済対策においても必要な施策を盛り込み、民需中心の自律的な経済成長につなげてまいりたいと存じます。冒頭、私からは以上です。

2.質疑応答

(問)実質成長率が年率換算で▲3.0%ということで、アメリカとか中国とか欧州とか、そういう諸外国と比べて日本だけマイナスという、これをどのように見ていらっしゃるのか。何で日本だけマイナス成長になってしまったのかということが、1点お尋ねしたいことです。もう一つは、政府見通しが年内10-12月期に2019年の10-12月期の水準に戻ると、コロナ禍前の水準に戻るという見通しだったと思いますが、かなり難しい数字になってきそうだと。この政府見通しについては、修正を含めてどのようなお考えかお尋ねしたいと思います。
(答)7-9月期の諸外国と比較をした時の下振れの話については、やはり今もご説明申し上げたように、新型コロナ感染症の新規感染者数が非常に多くなってしまったことによって、緊急事態宣言等々、私たち一人一人の国民の行動、社会活動がだいぶ抑制されたことが、一番大きな要因だと考えております。
 また、半導体の供給不足、東南アジアでの感染爆発を受けた部品供給不足、さらにはエネルギー価格も含めた原材料価格高騰等々の複合的な要因が考えられますが、一番はやはり新型コロナウイルス感染が爆発的に増えていたことが大きいと思っています。
 従って、感染者数が低く抑えられていて、かつ緊急事態宣言も解除されて、そして皆さま方も恐らく実感として持たれていると思いますが、相当、街での経済活動が復活してきていることも実感としてございます。
 そういう視点から10-12月期に関しては我々も期待を持っておりますし、それをある意味下支えするように、近々、経済対策等々も発表いたします。
 言ってみれば私たちの、国民の意識が経済を上向きにさせる方向に進んでいるかどうかが大事だと思いますが、それは確実に上向いてきており、できればそういう方向でさらに進むように下支えしなければいけないと思っております。政府経済見通しに向かっていけるようなマインドセットが必要であり、そういう基本基調になっていくことを期待しています。
(問)では、政府経済見通しの変更とかそういうことは、今のところは考えていないのでしょうか。
(答)それはもちろんこれから先の話なので、今の段階で予断を持ってこうしますというような話ではありませんが、冷静に見ておかなければいけないかと思います。
(問)7-9月期のGDPは年率▲3.0%ということで、事前の民間予測もマイナス幅はかなり大きな下回りになりましたが、この10-12月期以降、景気を回復軌道に戻すため、大臣も言及されました、今策定中の経済対策で、どういった政策に取り組んでいくのか伺えないでしょうか。
(答)先ほど原因について申し上げましたが、まずコロナウイルス感染症の感染拡大があったわけですから、これを抑制的に、今のレベルをきちんと維持していくことが非常に大きな視点になると思います。
 そういう意味で、もちろんコロナウイルス感染症対策は、今回の経済対策の中にもしっかりとメニューとして入ってまいりますから、これは大きなポジションを占めると思っていただければと思います。
 また、エネルギー価格や原材料価格が高騰していますが、これに対しても経済対策の中で対応していくことを言っておりますし、あるいは半導体をはじめとする部品供給に関しての手だても、今回の経済対策に入ってくると思います。
 ただ、半導体に関して、今回経済対策を打ったからといって、それに即効性があって、すぐに何かできるという話ではありません。しかし先ほど申し上げたように、我々国民一人一人の意識が上向いてきているかどうか。経済に対して上向いてきているかが非常に重要で、そういう意味では今回の経済対策の中に、将来に対する予見性がしっかりと持てるようなものが盛り込まれていることを確認することで、私たち自身のマインドセットが、上向きになるようにしていくということかと思っております。
(問)10-12月期の足元のコロナの感染者が落ち着いている一方で、談話にもありますが、足元の資源価格の上昇ですとか、海外の物価が上がっているような状況が懸念されていると思いますが、海外経済を含めて、日本経済の足元の資源高とか物価高の影響について、今、大臣はどのようにお考えでしょうか。
(答)我々として、もちろん注視していかなくてはいけないと思います。今ほどお答えしたように、エネルギー価格の上昇に対しての手だては、影響を受けるであろう農林水産業、あるいは物流関係の方であるとか、そういう方々に対する対を、今回の経済対策の中に盛り込む予定でおります。
 また、感染拡大が諸外国で起きているのは事実です。ですから、それによる世界経済の下振れリスクは、当然我々は注視しておかなくてはいけないと思います。その点について、私から予断を持ってこうなるであろうと申し上げられる状況にはございませんが、それを注視しながら適切に打たなくてはいけない対応策があれば、しっかりと柔軟に打っていかなくてはいけないと思っています。
(問)10-12月期、コロナの感染が収まってきたことで、いわゆるリベンジ消費というものに、政府もそうでしょうし、世の中も期待しているところはあるかと思います。ただ、一方で専門家に聞いたり、世の中を見ていても、なかなか感染への危機感から、まだみんなの意識が高いこともあって、思っていたほどのリベンジ消費が起こっていないのではないかという声もあります。現状のこのリベンジ消費を大臣はどのように感じていらっしゃるか、また、見ていらっしゃいますか。
(答)リベンジ消費も含めて、今現在どうなっているかということに関して、感覚的には皆さんと同じように把握しておりますが、少し時間の掛かる話だと思います。
 一方で、今ご指摘いただいたような、一般的に言って、リベンジ消費のみならず、経済成長が期待どおりに進んでいないのではないか、そのような感覚をお持ちの方がいらっしゃるというのは、我々も認識しております。だからこそ経済対策を近々きちんと発表して、そして先ほどから申し上げていますが、国民一人一人の意識が経済的に上向きになるように、我々としてはしっかり下支えをしなくてはいけないという意識を持って、今、最終作業をしているところだと認識していただければと思います。
 どうもありがとうございました。

(以上)