小林内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和3年11月5日

(令和3年11月5日(金) 10:52~11:07  於:中央合同庁舎第8号館1階S103記者会見室)

1.発言要旨


 宇宙政策担当大臣としての発言です。
 10月26日にH-2Aロケット44号機により打ち上げられました「みちびき初号機後継機」につきまして、ロケットからの分離後、徐々に高度を上げて、11月3日、日本の上空に長くとどまる準天頂軌道への投入が完了したとの報告を受けました。今後、利用者が自らの位置を把握するために用いる測位信号の提供を今年度内に開始するべく、軌道上での試験等を行う予定であり、引き続き万全を期してまいります。
 2点目は、科学技術政策担当大臣としての報告でございます。
 SIP(戦略的イノベーション創造プログラム)の一つでございます自動運転のプロジェクトにおける国際的な取組である国際ワークショップの開催につきまして、ご報告いたします。
 11月9日と10日に、世界の第一線で活躍されている多くの専門家の方にご参加をいただきまして、自動運転の研究開発や国際的な動向に関する議論をするための国際ワークショップをオンラインで開催いたします。内閣府といたしましても、各国からの参加者を歓迎しますとともに、自動運転の社会実装に向けて、国際的な協調や連携を呼び掛けてまいりたいと考えております。オンラインの開催なので、どこからでも参加できます。自動運転にご関心のある皆さまの積極的なご参加をお待ちしております。詳細は事務局までお問い合わせいただければと思います。

2.質疑応答

(問)今も国際ワークショップの話があったんですけれども、これから国際協調と国際競争、どのように展開していくのかが重要になってくるかと思うんですけれども、大臣としては科学技術外交にどのように取り組むのか、まずそれについて教えてください。
(答)これは幾つか視点があると思うんですけれども、科学技術やイノベーションの推進に当たりましては、多様な人材が協働する、あるいは競争するための国際頭脳循環というのをしっかりと生み出していって、それによってグローバルに知の交流促進を図っていくと。その結果として、我が国の研究力ですとかイノベーション力を高めていく、このことがまず重要だと思っています。
 また、気候変動を始めとしてグローバルな課題につきまして、その解決のために国際的に連携して科学技術の適切な活用に取り組んでいく、こうした点も不可欠であると思っております。
 一方で、今、協調と競争というお話がありましたけれども、科学技術・イノベーションが国家間の競争の中核となって、総合的な安全保障に影響を与えているということも事実だと考えておりますので、この点についてはしっかりと考慮していかなければならないと考えています。
 今申し上げたような様々な視点があるんですけれども、こうした点を踏まえながら、この間、総理もCOP26に行かれ、バイデン大統領と会いましたけれども、アメリカを始め、我が国と課題や価値観を共有する国や地域としっかりと国際的なネットワークを戦略的に構築していく、こうしたことを通じて科学技術外交というものを積極的に推進していく必要があると考えています。
(問)昨日、大臣、(大学支援フォーラム)PEAKS(令和3年度全体会合)に出席したと思うんですけれども、実際に出席しての感想とか、あるいは問題意識について教えていただきたいんですけれども。
(答)この点につきましては、私自身、意見交換まで参加できませんでしたので、ここは詳細については速やかに知見を共有させていただきたいと思いますが、私が今、報告を受けておりますのは、10兆円ファンドによる研究大学支援ですとか、博士課程への支援の在り方についていろいろご意見をいただいたということと、地域の中核大学ですとか特定分野に強い大学への支援の在り方、多様性のある支援の在り方について、様々ご意見をいただいたと伺っております。
 いずれにしても、昨日はオンラインということで、リアルで参加される方は結構少なくて、私の向こう側にたくさんのアカデミア、あるいは産業界の参加者の方がいらっしゃると思いますが、改めて産学官の連携というものの重要性というのは感じました。また議員の側からも、昨日は、甘利議員、渡海議員を始め、数名の自民党の国会議員の皆様がいらしておりましたけれども、その中で産学官の連携の大切さというのは私自身も強く改めて感じましたので、今回、PEAKSでいただいたご意見をしっかりと生かしつつ、大学ファンドの制度設計、また総合振興パッケージの策定、これを急いで進めていきたいと思っています。
(問)昨日、自民党の幹事長が甘利幹事長から茂木幹事長に交代しました。甘利前幹事長は経済安全保障政策の推進を重視されて、党側からもいろいろな発信をされていました。今回の甘利氏の交代が経済安保対策の推進に与える影響はありますでしょうか。
 また、昨日、小林大臣は甘利前幹事長とお話をされる場面もあったようですけれども、何かしっかり進めてほしいなど、そういう激励の言葉をかけられたのであれば、ご紹介いただけますでしょうか。
(答)今回の幹事長の交代、党の人事そのものについては私がコメントする立場にはないので、そこは差し控えさせていただきますが、今回、交代によって経済安全保障政策の推進に対して何か影響があるかというと、私は影響は特段ないと感じております。私自身としては、大臣の立場として、課せられた職責を全うするだけと考えております。
 甘利議員とは、これまでも大臣に就任する前から、経済安保に限らず、様々な政策のイシューについて意見交換、それは先輩議員で非常に知見のおありの方ですから、いただいております。昨日、何を話したかということは、この場でお話しすることではないと思っておりますけれども、新国際秩序創造戦略本部、今度、名前が変わりますけれども、党の中でいろいろご指導いただいてまいりましたし、一緒に党としての経済安保に関する考え方というのはつくってきましたので、これからも様々なご知見をいただきながら頑張っていきたいと思います。
(問)先日、大臣が出席された大学支援フォーラムPEAKSの件で伺います。
 このフォーラムで大臣、冒頭の発言で、研究のための研究ではなくて、社会に役に立つ、どう生かされるのかというのを考えて研究してほしいと、出席した大学とか企業の関係者におっしゃっていました。一方で、研究活動はすぐに社会の役に立たないような基礎研究という分野は非常に重要だと思いますけれども、この基礎研究の振興策について大臣はどのように考えていらっしゃるか、考えを教えてください。
(答)昨日、私が冒頭で申し上げたのは、最終的に社会実装していくところというのは、基礎研究から生み出されたものをどうやって社会実装まで持っていくかというところで、この場でも何度か申し上げましたが、いろんな方の知見を借りて、将来のあるべき姿というのを創造して、そこからバックキャストするというニーズ側の視点と、シーズを生み出そうとしている研究者の方たちに、常に頭のどこかに、これが本当に何に生かされるんだろうという意識を持ってやっていただきたいという気持ちがあるので、その点について申し上げたわけであって。基礎研究が大切なんですよ。絶対的に大切なんですけれども、大切でないと言っているわけではなくて。基礎研究というのは、当然、新しい発見を目指すものでございますから、価値の創造ですとかイノベーションの源泉だと思っております。したがって、そうした知の創造をある意味担う研究者の役割が高まっているということは当然だと思っています。
 この場であまり詳細を繰り返すことはいたしませんが、論文数などを見ても、この国の今の世界の中での立ち位置というのは厳しい状況に置かれていると思っています。したがって、ここからどうやって巻き返しをしていくのか。この間もノーベル賞が受賞されましたけれども、それも20年、30年前の研究であって、これから日本からさらに将来的にノーベル賞受賞者が出てくるような環境はどうやったらつくられるんだろうというのは、いろんな方の知見をいただきながら政府としても真剣に考えていかなくてはいけないと思っています。
 この3月に策定いたしました第6期の科学技術・イノベーション基本計画を実行していくということが私に課されている大きな仕事ですし、昨日、PEAKSでまさに課題となった10兆円ファンド、これはしっかりと計画にのっとって、できるだけ速やかに立ち上げていく、また博士課程の後期の課程の学生への支援ですとか、これまでこの場で幾つか申し上げてまいりましたけれども、そうしたことを通じて日本の基礎研究力というのをしっかり上げていく必要があると思っています。これは一朝一夕にできるものではないですが、だからこそ中長期的な視点を持って政策を実行していく必要があると考えています。
(問)今、グラスゴーで開催中のCOP26で、様々な声明であったり発表がされていますけれども、その中には脱石炭連盟に40数カ国がサインされて、日本は加わっていなかったり、あるいは脱炭素に向けたファイナンスを、金融システムや金融サービスを助長するようなルール作りも議論されていまして、経済産業省であったり、他の省庁の所管だとは認識しているのですが、こういったエネルギー、グリーンに係るルール形成が必ずしも日本主導で行われない可能性が高まりつつあるように思えるんですが。そういったところに対して、ルール形成をご覧になっている経済安保政策大臣として、どのように政策当事者として臨んでいくのか、地固めしていけばいいのか、少しご担当から少し離れるかもしれないんですけれども、ご意見をお願いします。
(答)今、脱炭素、グリーンの国際的なルール形成に必ずしも日本が主導的に関われないのではないかという、ある意味仮定の話をされましたけれども。そうあってはいけないと思うので、そこを主導的に関われるように、私の直接の所管ではないですけれども、そこは政府一丸となってやっていくんだと思っています。
 その関係で、総理が5年間で100億ドルの国際的な支援という新たなコミットメント、またアジアを中心とした脱炭素社会の構築に向けた我が国の役割、これについては多くの参加国から高い評価と歓迎の意が示されたと認識をしています。
 当然、日本一国だけで何かできるわけではないですけれども、今、経済安全保障との絡みでいえば、日本が国際社会に何が貢献できるか、日本しかできない貢献は何なのか、そこの強みというものをしっかりと見極めた上で、そこを磨いていくというのは当然重要だと思っております。
 その意味で私自身、今後の国際ルールの形成について、今の時点で日本が出遅れているとか、そういう形では捉えておりません。
(問)10兆円ファンドのように、世界と競う上でも選択と集中というのは大事だと思いますけれども、一方で科学技術分野は広く浅く支援することが重要だという意見もあると思います。この辺り、運営交付金とかもかなり減ってきている中で、大臣はどのように広く浅く科学技術、多様な分野を支援していくお考えでしょうか。
(答)そこについては、まさに昨日も10兆円ファンドの今後の使い道につきまして様々な議論が出たと伺っておりますので、そうしたご意見を含めて、実際に「のべつ幕なし」に一律に薄く広くやるのか、選択と集中をするのか、そこの多分中間、そのバランスを取っていくということだと思いますけれども、そこを政府としてどういう在り方が適切なのかというところについては、アカデミアの皆さん、また産業界の皆さんともしっかりと考えていきたいと思っています。

(以上)