小林内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和3年11月2日

(令和3年11月2日(火) 11:50~12:09  於:中央合同庁舎第8号館1階S103記者会見室)

1.発言要旨


 冒頭発言なし

2.質疑応答

(問)学術会議についてですけれども、学術会議は新たな期を迎えてから1年以上経つのですが、いまだに一本も提言等を出していません。その原因を梶田会長始め幹部に聞いたところ、改革が忙し過ぎて、なかなかそこまで手が回らないと言っています。そうすると学術会議のよりよい改革と言いながら、結果としては機能を阻害しているのではないかとも考えられるんですけれども、大臣としてはどうお考えでしょうか。
(答)梶田会長を始め、そういうコメントについてはしっかりと、そこは大臣としてお聞きをした上で受け止めたいと思っております。ただ、今、学術会議というものが、これまで様々議論をいただいている中で、それは政府だけではなくて学術会議の皆さんも含めていろいろご議論をいただいている中で、国民のよりよい理解をいただけるような組織になっていくことが極めて重要だと思っております。リソースの配分の話というのは重要な話としてあるんでしょうけれども、だから改革の話というものをないがしろにしていいというものではないと思っておりますので、そこはしっかりと政府としても、そうした声に耳を傾けながら、できることは頑張っていきたいと思います。
(問)科学技術予算についてもお考えを教えてほしいんですけれども、この10年以上、中国はすごく伸びましたけれども、他の主要先進国も右肩上がりに科学技術予算をどんどん伸ばしています。大臣がよくおっしゃっている安全保障上の不可欠性を担保するためには、個別の重点課題だけじゃなくて全体も底上げしないと、なかなか不可欠性の確保とか担保は難しいと思うんですけれども、大臣としては科学技術予算についてはこれからどう取り組んでいくのか、教えてください。
(答)まず不可欠性の話で申し上げますと、予算は非常に重要なファクター、当然重要なファクターだと思うんですけど、それだけではないと思っていて、日本が世界とどの分野で勝負していくのか、そこの見極めというのが極めて重要であって、将来の社会のあるべき姿、あるいはあらまほしき姿というのを、これは政府だけではなくて、企業ですとかアカデミア、みんなでいろいろ想像力を働かせて想像して、そこからバックキャストして、今、本当に何が必要なのか、これから何が必要になるのか、そこで日本は何ができるのかという、そういう視点を絶対忘れてはいけないということ、あとは今、研究者の方がいろんな研究を基礎研究を含めてやっていただいていますけれども、研究のための研究ではなくて、自らがやっている研究が将来的に何に世の中に使えるんだろうという視点を持って、シーズとニーズ両方の側面から、もっともっと日本全体で関係者が知恵を出していかなくてはいけない。
 そこは本当に重要だと思っていまして、プラス予算の話ですけれども、これは他の国と置かれている状況も違いますので、一概に単純に比較するのが適切かという話もあるかと思いますが、この科学技術予算につきましては、岸田総理が所信表明におきまして、成長戦略と分配戦略の好循環をつくっていくと。成長戦略の第一の柱が科学技術立国の実現と総理自らおっしゃっておりますので、そこに対して必要な予算については、今後の経済対策を含めて、しっかりとそこは精査をした上で取っていかなくてはいけないと担当大臣の立場としては思っています。
 そして、皆様にご案内のとおり、10兆円ファンドのような取組もやっています。これは、これまでの日本の政策の延長線上からは若干次元の違うようなところを政治主導という形で打ち出して、これを早く軌道に乗せるべく今やっています。それも早くやっていかなくてはいけない。結局、今そこはとにかく今おっしゃったように国際的に熾烈な競争が始まっていますので、あまり大学自らが、例えば海外のハーバード大とか、イェール大とか、そういう規模になるまで待つというような悠長なことも言っていられないので、まずは国も一緒になってやるということなんですけれども、それだけではなくて、必要な予算はしっかり付けていきますけれども、それとともに大学自らがどうやって自分たちで資金を調達していくのか、そういうことも含めてやっていかなくてはいけないとは思っています。
(問)甘利幹事長が辞任されましたけれども、経済安全保障政策については、甘利さんが党側で中心となって推進してきたという経緯がありますけれども、今後その経済安全保障に関して、今回のことが何か影響を与えるようなことがあるのか、その辺を大臣はどういうふうに考えていらっしゃるのか、お話しいただけますか。
(答)その点については、大臣という立場ではコメントは控えたいと思います。ただ、当然与党とはしっかり連携を取っていかなくてはいけないと思っていますので、そのことについては、これまでと変わりなく引き続き緊密にやっていきたいと思っています。
 私自身は、甘利幹事長が前の体制で党の新国際秩序創造戦略本部で座長としてやられていて、私が事務局長として議論というものをある意味中心になって一緒に進めてきたと。そのときに一緒になってつくってきた経済安全保障に関する、今、私は政府ですけれども、自民党としての考え方というのは、常に自民党という組織におきまして政調審議会でしっかりと可決をされて、了承されて、党としての提言になっていますので、当然政府の立場としては自民党で決められた方向性をしっかりと踏まえた上でやっていくということになりますので、大臣としてやるべきことというのは、引き続き、そこは私の持てる力を出し切ってやっていきたいと思っております。
(問)秘書官が前回の会見から1人増えて3人になっているように感じるんですけれども、狙いみたいなものはありますでしょうか。井上大臣の時は、消費者問題とか、担務が減っていると思うんですが、経済安全保障が増えているということで、その辺の強化なのか、その辺も含めてお話しいただけますか。
(答)私の担務は、別に経済安全保障だけじゃなくて、科学技術と宇宙政策、かなり広いんですよね。ご案内のとおり、経済安全保障というのも、別に例えば技術だけの話を見るわけではなくて、かなり広く見ていくということが私は従来から必要だと思っています。また経済安全保障というのは、岸田内閣におきまして非常に重要な一つの柱だと思っておりますから、自分の基本的担務を、来年の通常国会も含めて、しっかりと職務を遂行していく観点から、さらに大臣室の機能を強化していくという観点から、2人から3人に増やしたということです。
(問)エネルギーに関連する話で、経済安保と絡めてお聞かせください。
 この冬の電力需給について、先日の経産省の会合では、最低限必要な予備率3%を確保できるという見通しが示されました。一方で、LNGの液化天然ガスの備蓄のキャパシティというのは国内で限られているといったところで、中長期的な課題といったところも示されているところであります。脱炭素化の流れで、このまま液化天然ガスが備蓄の環境を急拡大させていくというのは現実的に難しい中で、エネルギーをめぐっての動向は広い意味での経済安保にも関わってくるところだと思うんですけれども、大臣としての今の足元の状況とか今後の考えといったところを少しお聞かせください。
(答)液化天然ガスについては、まさにおっしゃるとおりだと思います。備蓄には決して適したものではないと。今年の冬の需給バランスの見通しについては、私からコメントをするものではないと思っていますけれども、今年の頭ですかね、日本が置かれていた状況を考えれば、備蓄には適していないという天然ガスの特徴と、あとは今後中長期的な話とおっしゃいましたけれども、天然ガスに対して当面頼っていこうという動きが世界的に見られる中で、隣の中国を含めて、いろんな国のバイイングパワーがどんどん増えてくるということです。
 その中で、我が国の国民生活を支えるために必要な天然ガスをしっかりと買い負けることなく自ら調達できるのか。この点については冷静に分析する必要があると思っています。
 日本だけではなくて、アメリカのテキサスでもいろいろ事案があったじゃないですか。ですから、経済安全保障の一つの重要なポイントというのは、エネルギーの安全保障もそうですけれども、最悪の状況というものをしっかりと事前に想定しながら、そのとき本当にそれが起こらないように何ができるのか、起こってしまったときにどう対応するのか、エネルギーの話だけではないですけれども、エネルギーも含めて、そうした視点に立ってしっかりと関係省庁と連携していきたいと思います。
(問)衆院選の結果の総括なんですけれども、与野党ともにベテランの落選などもあって、世代交代感がある一方で、女性議員の比率に関してなんですけれども、政治分野における男女共同参画法の施行後、初めての選挙になったわけなんですが、女性議員の比率が下がってしまったということになっていまして、そのことに関しての受け止めと、どう感じられたかをお願いします。
(答)今回の衆議院総選挙では、結果として45名の女性の方が当選をされて、その割合が9.7%ということで、前回より低下したということはファクトとして承知をしています。内閣府としては、これまでも男女共同参画の担当大臣の下で、候補者に占める女性の割合が高まるように、数値目標の設定ですとか、積極的改善措置の導入などの自主的な取組の実施を各党に積極的に働き掛けてきたものと承知をしています。
 いずれにしても、女性は我が国の有権者の約52%を占める存在でございますので、政治分野における女性参画の拡大というのは、政策に民意をより的確に反映する上で極めて重要だと個人的には考えています。
(問)宇宙政策について伺います。内閣府がまとめている宇宙基本計画の工程表ですけれども、今、年内の改訂に向けて作業が事務方で進められていると思います。政府は宇宙政策について、成長戦略とか安全保障の観点からも重視していると思いますけれども、近年、中国の宇宙開発が急速に進むなど国際関係も大きく変化している中で、今回の工程表改訂について、大臣が重視しているポイント、何かお考えがありましたら教えてください。
(答)宇宙は位置情報ですとか、通信ですとか、既に我が国の安全保障ですとか社会経済活動の基盤となっております。今後さらに宇宙活動の広がりですとか技術の進化というものが見込まれる中で、経済成長やイノベーションの推進の肝になる分野だと思っています。その意味で、ご案内のとおり、この年末に工程表の改訂ということで、その改訂をするに当たっては、今年の6月に宇宙開発戦略本部で決定されました工程表改訂に向けた重点事項を踏まえて、宇宙政策委員会の意見も踏まえつつ、関係省庁と現在検討を進めているところです。
 その中で特に取組を強化すべきという点については、我が国独自の小型衛星コンステレーション、これは極めて重要だと思っておりますし、その基盤となる技術の開発が重要だと思っています。それと、世界初となる火星域、火星の衛星からのサンプルリターンですとか、いわゆるアルテミスを日本としてもしっかりと取組を推進していかなくてはいけない、これも重要だと思っています。
 それと、将来的な宇宙太陽光発電ですとか、あるいは宇宙輸送システムの開発、こうしたものは既に工程表改訂に向けた重点事項の中に含まれていますけれども、こうした事項は担当大臣として非常に重要だと思っておりますので、年末に向けてしっかりと議論していきたいと思っています。
(問)一部報道で、アメリカの半導体大手、マイクロン・テクノロジーが新工場を広島県内に建設するという計画があり、日本政府は補助金などで支援する可能性があると報じられています。現在、政府で何らかの支援策を検討しているのかどうか、お教えください。
(答)個別企業の動きにつきましては、私の立場からコメントすることは差し控えさせていただきたいと思います。
(問)経済安保の推進法についてお聞きします。
 総理が昨日の記者会見で、重要技術育成やサプライチェーン強靱化などを進める法案準備を加速すると強調されました。大臣に対して総理から、改めて具体的なスケジュール等新たな指示があったのか、お聞きできればと思います。
(答)昨日、総理がそういうご発言をされたというのは承知していますが、それを受けて何か改めて総理から直接ご指示をいただいたということはございません。ただ、それに関わらず、常日頃から総理とは、あるいは関係の方々とは密に連携をしておりますので、これまで皆さん方に申し上げたとおり、この法案の中身につきましては、経済安保、法案の中身と、経済安保を強化していく観点からは、昨日、総理が言及されました重要技術の育成ですとか、あるいはサプライチェーンの強靱化などを含めまして、どういう法的な手当てが必要なのかという検討は当然、加速というか既にいろいろやっていますけれども、これからさらに加速していきたいと思いますし、次期通常国会への提出も視野に入れつつ、これも与党としっかりと相談をしながら進めていきたいと思っています。

(以上)