小林内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和3年10月15日

(令和3年10月15日(金) 10:51~11:11  於:中央合同庁舎第8号館1階S103記者会見室)

1.発言要旨


 今日は科学技術政策担当の大臣としてのご報告です。
 内閣府は、SIPによって自動運転の実用化に向けて、東京臨海部におきまして実証実験を実施してきております。11月からは、これまでの研究開発をさらに前に進めて、路側面に設置した専用の通信機器からだけではなくて、携帯電話にも利用されているモバイルネットワーク経由で車両に信号情報などを提供する技術の有効性の検証などに取り組むこととしております。
 SIP第2期は4年目に入っておりますので、社会実装に向けた取組を強化をしてきております。産学官が連携して自動運転の技術開発などを進めていくことで、交通渋滞の削減ですとか、あるいは高齢者の方などの移動手段の確保といった社会的課題の解決に貢献してまいりたいと考えております。

2.質疑応答

(問)半導体についてお伺いいたします。半導体受託生産の世界最大手である台湾のTSMCが日本に半導体製造工場を建設する方針だと明らかにしました。2024年の稼働を目指すということで、日本政府が働き掛けてきた工場誘致に応じた形ですが、日本政府として公費による支援など、どのように行うのか、そのために必要な今後の法改正の必要性ですとか、スケジュール感についても併せて教えてください。
(答)昨日、グループインタビューでも申し上げましたけれども、TSMCによる日本への投資の意思の表明ということについては、経済安保担当大臣の立場としても歓迎をしております。デジタル化が進展する中におきまして、例えば自動車、スマホ、あるいはゲーム機、こうしたものを含めたあらゆる産業分野におきまして不可欠とされる半導体でございますから、この安定供給体制の構築というのは極めて重要だと考えております。
 TSMCのこの表明を受けて、今後、政府としてどうしていくかというところにつきましては、現在、政府の中で様々な支援の手段というものを検討しているところでございまして、現時点において、これについて何か具体的に申し上げることは控えますけれども、様々な検討をさせていただいているところであります。
 ただ、一般論として申し上げますと、先端半導体の製造拠点の構築、立地というものについては、1兆円規模の投資が必要になるものと理解をしております。そうした中で、これまでも申し上げてきていますとおり、こうした投資がしっかり実現するように、他国に匹敵する取組を進めるということにしておりますので、そこは様々な手段、支援内容というものを検討してまいりたいと思っております。
 法整備についてもご質問がございました。これも岸田総理の所信表明演説におきまして、経済安保を推進していく観点から法整備をしていくと明言されております。ただ、現時点におきましては、そこの法整備をどうしていくのか、これは与党とも相談をしながらしっかりと検討していくと。個人的には、次期通常国会の提出も視野に入れつつ、そういうスケジュール感で考えているところでございます。
(問)今の関連ですけれども、支援の在り方について、まだ確定的なことではないということだったんですけれども、今後、補助金等で支援する場合に出てくる課題について、大臣はどのようにお考えでしょうか。
(答)巨額の支援をするに当たっての課題、これについても、今、政府の内部で様々検討しているところでございます。その点については、今のコメントで止めさせていただきたいと思っております。
 また、先ほど、若干の付け加えなんですけれども、法整備につきましては、半導体に、経済安保全般を推進する法整備についてどうするかというところは、現在、政府の中でこれから検討を加速していくということでございます。それとともに、今、お話のあったTSMCについて支援をどうするのか、法整備の内容も含めて、これも検討しなければいけないということで、今、総理が表明された経済安保を推進していく法制度との関係とか、そこの中に盛り込んでいくのか、そういうことも含めて、今、幅広く検討していると捉えていただければと思います。
(問)特許の考え方についてお伺いします。先日、自民党の甘利幹事長が報道のインタビューで、特許の公開制限について今後検討される経済安保関連の法整備に盛り込むべきだと述べました。従来、新国際秩序創造戦略本部の取りまとめの中でも、こうした特許の考え方については触れていますが、改めて現在日本の特許の在り方をめぐる課題と、それに対する対応を今後法整備に盛り込むお考えなのかどうかを併せて教えてください。
(答)甘利幹事長のインタビューにつきましては、私も拝読しました。ご指摘の特許の公開制度の在り方につきましては、今年の6月の「骨太の方針2021」にも明記されておりますけれども、各国の特許制度の在り方も念頭に置いた上で、イノベーションの促進と両立させつつ、安全保障の観点から非公開化を行うための所要の措置を講ずるべく検討を行うこととしております。
 経済安保の取組を進めるに当たっては、総理から所信表明演説におきまして必要な法整備についても言及がなされておりますので、経済安保全体の推進に向けて、与党とも相談しながら、法整備も含めて対応策については早急に検討を進めていきたいと思っております。
(問)10兆円の大学ファンドについて伺います。現在、CSTIの有識者会議で、ファンドの支援対象となるべき大学の選定基準を議論しています。議論の中では、トップの10%論文とか、論文の数によって、いわゆる足切りみたいな感じで基準を設けて大学を支援すべきだという声もあるんですが、これだと今まで支援してきた旧帝大のトップ大学とか、支援体制の顔ぶれが変わらないんじゃないかという声も出ておりまして。大臣としてはファンドの支援対象として、どういう大学がなるべきかと考えているか、考えがあれば教えてください。
(答)10兆円ファンドの具体的な制度設計におきましては、CSTIの下にある専門調査会で議論していただいております。皆さまご案内のとおり、ここの場におきましては、先般もかなり自由に様々な角度からご議論をいただいております。そうした中で、今おっしゃっていただいた支援対象の在り方、あるいは支援内容の在り方、こうしたことについては基本的な考え方を議論させていただいておりまして、スケジュール感としては本年度内に最終的な取りまとめを行っていくということになっております。
 その中で、いろんな多分基準があり得ると思っております。あまり画一的にやるとすると、出てくる課題としては、地方の大学はどうするんだという問題が出てくると思うんですよ。地域の大学については、例えば若い方が地元を離れてしまうという課題ですとか、あるいは地方で新しい産業を生み出していくときに、それを支援する人材というのがなかなかいないという、そういう人材の課題があるんだと考えております。
 加えて、今現状は各省庁が政策目的ごとに統一感があまりないまま様々な施策を講じてしまっているという、そういう現状もあると思っておりまして、結果として地域の大学とか、あるいは自治体の活動が現行の延長線上に小さくとどまってしまっているというのが現実だと思っております。
 したがって、例えば特定分野の強い研究力の強化とか、あるいは地域の人材育成、あるいは社会的な課題解決につながる研究開発の推進、こうしたことによって地域の中核大学の機能強化というものをやっていくことは重要だと思っていて、そういうことも含めて専門調査会において様々な議論をこれからもしていただく中で、最終的に取りまとめを行っていきたいと考えております。
(問)先ほどの半導体と、冒頭の自動運転のことにも関わってくると思うんですけれども、データセンター、デジタルインフラの地方分散といったところも成長戦略等には今盛り込まれて進んでいるかと思います。これらの件は経産省を中心にこれまで議論が進んできたと思うんですけれども、経済安保の観点から内閣府として経済安保担当大臣としてどのように関わっていくか。先ほど大学ファンドの件でも、政策ごとの統一感が各省でないといったところの課題をおっしゃっていただいたかと思うんですけれども、その辺りの考えをお願いします。
(答)半導体というのは、半導体そのものだけで当然閉じる話だけではなくて、冒頭申し上げたとおり、かなり幅広い、社会全体を支えるものだと考えております。特にこれからデジタル化、データ駆動型社会、こうしたものを推進していくに当たって、5G、あるいはデータセンターの在り方というのは極めて重要だと思っております。経済安全保障の観点からすれば、例えば電力供給の在り方をどうしていくのかという話、あるいはデータセンターが例えば1カ所だけに集中していた場合に、災害を含めた様々なリスクというものがあるわけです。
 そうした意味で半導体産業と、これからのデジタル化、データ駆動型社会、こうした流れをしっかり見据えた上で、全て全体として政策が整合性の取れるような形で半導体をその中に位置付けなければいけないし、データセンターを含めたデジタル化というのを位置付けていかなければならないと思っています。ですから、ばらばらにやっていてもしかたがないので、半導体戦略は、今年の夏、経産省が出しましたけれども、例えば情報通信であれば総務省がまさに考えておられると思いますが、その中で経済安保担当大臣の立場としては経済安全保障という観点から横串を刺していく、まさに各省の先頭に立ってこういうことを進めていくという思いでやっていきたいと思っています。
(問)ワクチン開発についてはいろいろ問題意識を持ってやられていると思うんですけれども。健康・医療の分野全体について、ワクチンだけじゃなくて、いろんな問題があるかと思うんですけれども、大臣としてはどういう課題があって、それに対してはどうやっていきたいのか教えてください。
(答)これは、多分様々な課題があると思うんですけれども、私は自民党の中で大臣就任前に様々取り組ませていただいている中で、その中で幾つかある関心事のうち、特に関心を持っているのはデータの利活用の話です。日本は健康・医療を含めてリアルデータ、このリアルデータは山のようにあると言われています。それが強みだとこれまでも言ってきていますけれども、山のようにあったとしても、それを実際に利活用できなければ、それは意味がない。そこについて、ルール整備を含めて、環境整備を含めて、しっかりと国として後押しをしていくということが私は重要だと思っています。
 例えばゲノムデータですとか臨床情報、こうしたものを医療分野の研究開発にどうやって利活用していくのか。これは大きな課題だと思っていて、質の高い医療ですとか健康寿命の延伸という観点からは、ここは問題意識を強く持っているところでございます。
 現在、政府としては、例えばゲノムデータなどが医療分野の有用な研究に効率的に利活用されるような環境とか基盤の整備を進めております。次世代医療基盤法についても、いろいろと課題はあると思いますけれども、しっかりと匿名加工した医療情報の研究開発への活用を推進していくという観点から政府としては取り組んでいるところです。こうしたところをしっかりとさらにドライブをかけるというか、力強く推進していくことによって、日本を本当の意味で健康・医療の先進国にしていきたいと、そういう思いは強く持っています。
(問)昨日、衆院が解散されていまして、これから選挙戦に向かうわけですが、今回の選挙の大臣からご覧になって政策上の争点というのはどこにあるとお考えでしょうか。
(答)政策上の争点というと、まずコロナの対応だと思います。次に、岸田総理が総裁選のときから打ち出している新しい資本主義の在り方、この成長と分配の好循環をつくっていく。成長がなければ分配がないし、分配がなければ次の成長がないと、繰り返し総理の口からもおっしゃっておられますけれども、そこをどうつくっていくのか。3点目としては、まさに外交・安全保障だと思っています。私が今担当している経済安全保障、科学技術、あるいは宇宙。これは今申し上げた2本目と3本目の柱のところで関わってくると思っておりますので、選挙戦を通じて私自身が訴える場があれば、しっかりと国民の皆さまに説明をさせていただきたいと思います。
(問)TSMCに関して確認でお願いします。先ほどの回答の中で、恐らく総理の所信の中で、経済安保を推進していく法改正については次期通常国会に提出を視野にとおっしゃったんですけれども、TSMCの補助金に対する法改正のスケジュール感については、別問題として分けて考えたほうがいいのか、改めてお願いします。
(答)その点については、まず経済安保を推進していくための法整備につきましては、私が当初から申し上げているとおり、次期通常国会も視野に入れつつ検討を進めていくということでございます。
 TSMCへの支援については、現在、政府の中で具体的な支援の中身というものを検討しているところであって、その支援の内容次第で法整備が必要なのか、あるいは必要じゃないのか、それは変わってくると思っておりまして。そこについては、そもそもまだ経済安全保障を推進するための法案自体、別に中身が固まっているわけじゃないので、必ずしもそことリンクをするわけではないということはご理解いただければと思います。

(以上)