野田内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和3年11月2日

(令和3年11月2日(火) 11:11~11:37  於:中央合同庁舎第8号館1階S106記者会見室)

1.発言要旨


 冒頭、私の方から3件報告があります。
 まず、こども政策担当大臣として、こども政策に関する「政策パッケージ」、これは仮置きですけれども、について事務方に策定指示をしたことを報告します。骨太の方針2021に、「政策パッケージを年内に策定し推進する」とありまして、それに関する策定の指示ということになります。
 子供を巡る様々な課題に対して適切に対応することが必要であり、当面の施策として、スピード感を持って取りまとめてまいります。なお、詳しいことについては担当部局の方に問い合わせてください。
 2件目は、先月26日にお知らせいたしましたが、孤独・孤立対策の一般向けのホームページを本日公開いたしました。このホームページには、自動応答によるチャットボットにより、約150の国の支援制度や相談窓口の中から利用者の悩みに応じたものを紹介する機能を搭載しています。支援を受けることをためらうことのないように、専門家らのアドバイスや私からのメッセージも掲載させていただいています。関係省庁とも連携して周知を行って、孤独・孤立に陥り悩んでいる方々に必要な情報をしっかり届けたいと思います。
 早速ですが、デモをしてみたいと思います。よろしいですか。ここがトップページになります。それで、左の方の「制度・窓口を探す」をクリックしますと、住まいの入力の画面が出ますけれども、ここは任意ですから任意で、100-8914、これは東京都千代田区、ここの郵便番号になりますが、それを入力いたします。そうしますと、今回はスタートとしては12種類、いろいろな悩みを抱えている中の大きな12種類をリストアップしているので、そこから当たるものを選ぶと。今回はデモとして「子育て」を選んでみました。そうしますと、幾つかありまして、当てはまるもの、「育児・家事を手伝ってほしい」を選んでみます。そうすると、当てはまるもの、どうしてかなというので、「心身が不調である」と出ているところを選びます。そうすると、答えとしては、「養育支援訪問事業」が表示されるわけです。青字をクリックすると、厚生労働省の関連ページにつながります。こういう事業がありますということで、今まではたぶん家に座っていては情報が得られないという、私も同じような環境にいるのですけれども、それが居ながらにしてクリック作業を繰り返してもらうことで、まずはその初めの一歩ですけれども、マッチングできることになります。
 市町村の申請ページを見るには、現在表示されているように、改めて検索をしなければならないのですが、今後はこのページから各自治体の関連ページにつながるように、私たちが使うときにより利便を高めていきたいと思っています。
 とりあえず急ぎ、早く手が届くようにということでスタートいたしました。また是非多くの皆さんに、皆さんを通じてお知らせいただければと願っています。
 3件目。最後に、今朝の閣議において、子供・若者育成支援を担当する大臣として、11月1日から開始しております「子供・若者育成支援推進強調月間」について、閣僚の皆様方に御協力をお願いしました。11月末日までを期間とする本月間中には、本年4月に決定した「子供・若者育成支援推進大綱」を踏まえて、全国各地で子供・若者の育成支援に資する行事や広報啓発活動が集中的に実施されます。
 本月間が子供・若者を真ん中に置き、その健やかな育成のため、自分は何ができるのか、私たち一人一人が考え、実行に移す契機となることを願っています。

2.質疑応答

(問)先ほど冒頭にもありました、政策パッケージについてですけれども、策定される目途、どういった姿勢や項目を重視されるとかということと、来年の通常国会に法案提出予定の「こども庁」との関連がありましたら、教えてください。
(答)総理も大変強く「こども庁」の創設に向けては皆さんにお伝えしているところですけれども、骨太の方針に「政策パッケージ」とあるのですけれども、どういうものかというのが、たぶん皆さんのところに届いていないということもあり、急ぎ策定することにいたしました。
 今、有識者の方たちに「こども庁」の在り様について幅広く議論していただいています。それはそれとして、待たずして行政が今できること、さらには補正予算とか来年度予算の中で、行政組織がないからできないのではなくて、中身が大切ですから、今必要なものをスピーディーに策定していくということがパッケージのイメージだと思います。
(問)先日行われた衆院選についてお伺いします。衆院選で今回、女性の議員当選者は9.7%と、前回の10.1%より下がりました。それに対してのまず受け止めと、あと、3年前の2018年に政治分野の男女共同参画推進法の候補者の法律が努力義務としてできたと思いますが、それができたにもかかわらず今回上がらなかったことに対して、また、この結果を見た大臣がクオータ制の導入等を話されていますが、それについての必要性と改めて意義について教えてください。
(答)まず初めに、この国の国民の51%が女性といわれ、また、有権者の52%は女性といわれています。ですから、その国民の声、思いを代弁する仕事になっているわけですから、できるだけ現実社会に近い政治をつくるためには、男女比というのは極めて重要なことであります。
 私が以前、女性活躍の担当大臣をやったときに法律ができたのですけれども、そもそもそのときはそういう意識もなかなか国民・有権者の中に無く、政治という仕事そのものは男性が担う仕事かなという、もやっとしたイメージの中で、いやいや、やっぱり合理的ないい政策、いろいろな不都合に出会ったときに改善しやすい政策づくり、法案づくりには、やっぱり国のバランス、人のバランスを見たときには、女性の方が多いわけですから、そういうところも考えていかなければいけない。どちらかというと人道的なことよりも、今あるものと親和性というか、政治を近づけていくということなので、それを法律によって初めて話をし、それで有権者教育の中で、今、鋭意進めてもらっているところだと思っています。その過渡期の中にあって、今回、もう絶好のチャンスであったことは事実です。
 ただ、他党の取組についてはちょっと分かりづらいですけれども、まず私たちが考えていたのは、立候補者、候補者をしっかり出さなければいけないなと。過去に遡ると、なかなか自民党から女性の立候補者を出すというのは難しかったです。やはり地元の生え抜きの地方議会から出てくる人とか、やはり世襲といわれる形で息子に継がれる形とか、それが自民党の一般的な在り方であったので、そこにあえて女性という、別に拒否しているわけではないのだけれども、発想がなかったという長い歴史がありましたので、それを今、少しずつ解きほぐしています。
 今回の場合は、当選者数全体が下がったことは非常に残念ですけれども、私の所属している自民党においては候補者数を増やしたことは事実です。これはやっぱり地道にその都度の選挙でやり続ける、各選挙で取り組むことが大切かなと思っています。
 三十数年前に県議会議員選挙に出させていただいた私からすると、全国を回っていて、都は別として、ありとあらゆる所に女性候補者のポスターが掲示板に出るようになったのだなという思いはあります。
 ですから、今後やはり同数の候補者を立てられるように、さらにはそこからしっかりと、今度は属性に関わらず、候補者としての選挙活動とか政治活動が有権者の判断材料になりますから、そういうところもしっかり身近なところから取り組めるように、私がどちらかというと、指導をする立場になっているので、やっていかなければならないなと思います。
(問)クオータ制の導入については。
(答)クオータ制は、前も申し上げたと思いますけれども、もう究極の形です。もう強引に女性を入れるということだと思います。
 ただ、その道のりの前に、私たちはまだ例えば政党助成金の在り方とか、知恵の出せるところはあるのではないかということで、様々、相手に圧をかけるような政治よりも、例えば政党助成金というのは、広くあまねく国民から頂いている、政治を良くするための、政党を応援するためのお金ですから、その中でやはり女性の有権者をはじめ、バランスの取れた政治を望む有権者の方たちの御理解をいただく中で、政党助成金が傾斜配分的に女性候補者を育成している、又は熱心に取り組んでいる政党に届けられると。これはもう他の国々でもやっていることなので、そのようなことも併せながら、現実社会に近づけていく努力は怠りなくやっていきたいと思います。
(問)選挙に関連してお伺いします。まず、衆議院選挙全体の結果についての受け止めをお伺いしたいのと、大臣は応援演説で全国を回られていましたけれども、そのときの反応や手応えはどういったものがあったのかということ、選挙の序盤から終盤にかけて、その手応えに変化や違いがあったのかどうかも併せて教えていただけますか。
(答)結果としては、今の国民・有権者の皆様方の政治に対する御判断だと厳粛に受け止めて、謙虚に私の与えられた仕事の中でその期待に応えられるよう歩んでまいりたいと思っています。
 選挙の状況ですけれども、ありとあらゆる所に行きましたので、まさに様々でありました。「風」というものはあまり、いわゆるキャンペーンのようなものは与野党とも感じることはできず、割とオーソドックスに選挙戦が運ばれていたのかなと思います。ただ、私が非常に嬉しかったことは、女性の方たちの反応とか、若い人たちが、どちらかというとこれまで遠巻きで見ていたような世代の方たちが歩み寄ってくれて御支援をいただいたり、いろいろコメントを頂くような、ちょっと私にしてみると、かつてなかったようなこともありましたので、SNS等を通じて政治に関心を持つ層が広がってきているのかなという実感はいたしました。
(問)続けて、総裁選で推薦人になられた方を含めて応援演説をし、落選した人が何人か出たと思うのですけれども、そのことについての受け止めと、今後もし総裁選に出るとしたら、推薦人の確保が毎回課題になってくると思うのですけれども、そういった状況が一層厳しくなるのではないかという見方もあると思いますが、今後それはどのように取り組んでいきたいとお考えでしょうか。
(答)この度の選挙でも、私も過去何度か経験しましたけれども、落選というのは、本当に候補者本人はもとより、応援していただいた方にとって大変なつらい思いであるわけです。皆さんそれぞれ全力を尽くしたけれども、やはり御理解が深まらなかったことなのだろうなと。私も全て推薦人をしていただいた方の所の応援には参りましたし、精一杯応援をさせていただいたつもりですけれども、いまひとつ届かなかったことに私の至らなさも感じています。
 しかし、それぞれと御連絡を取りまして、またしっかりと取り組んでいくというお声も聞きましたので、是非仲間としてこれからも応援できるところはし、そして、友情を育んでいきたいなと思っています。
 総裁選については、(衆院選が)一昨日終わったばかりなので、まずは今回の自分の結果に対して、御尽力いただいた方への感謝の気持ちのただ中におります。今回は選挙を通じて本当に嬉しかったことは、それは過去なかった、「子供」とか「女性」というワードが、非常に反応がよかったということなので、総裁選に出たことで自分がいろいろ申し上げたことが選挙の争点になったことは、自分も頑張ったかいがあるなと受け止めています。
 今後、やはりそれを一過性のものにすることなく、本当に中核にしていくために頑張らなければならないのであれば、総裁選をはじめ、エブリデイですけれども、政策実現のために尽力していく、そのように思っています。
(問)今後、地方創生に関する様々な施策を進める中で、例えば郵便局など、公的な色合いが強い組織の活用をどうすべきとお考えでいらっしゃいますか。
(答)私は郵政大臣もしましたし、総務大臣もしましたし、ずっと郵便局の近くで政治の仕事をさせていただいております。かつて国の郵便局だったときは、それぞれ2万4,000局が市町の、ある意味、行政機関の一部として大いなるその地域に住む、そこが栄えていようと山間へき地であろうと、平等等しくライフラインの一つになっていたということがございます。
 今は民営化されたとはいえ、まだその拠点は残っていて、そのスピリッツは残っているはずです。その公的なところは。それが今後、非常に重要視される時代が来ていると思います。なぜかというと、私は地方創生担当大臣をやっていて思ったのは、少子化と表裏一体なのです。つまり、今、地方が抱えている問題というのは、人がいなくなって、やれることもできなくなっていることに対して、どうサポートしていくかという中で、人がいなくなることで閉じていくものがあれば、しっかりと残っている郵便局があるとするならば、そこに様々なパワーを集約させて、人々の不便を解消していくことがとても大事だと思っています。
 アナログ時代にできた郵便局ですけれども、今やデジタル化する中で、この融合が地方創生の鍵となります。やっぱりDXというのは都市のことではなくて、まさに地方の不便を克服することだと信じているので、そうやって活用していただくとともに、直近ではやっぱり子供に対しての安全・安心の場であったり、あとは女性の方たちの癒しの場であったり、様々活用はできると思うので、応援をしていければいいなと思います。
 何度も言っているのですけれども、外から持ってくると地方がよくなるという発想は、そろそろもう違うのでないかと。むしろ内なるものをしっかりと再確認して、そこにある潜在的な力をそこにいる人たちで取り組んでいくということがやっぱり地方にとって大事かなと。
 選挙期間中、あちこち回ったのですけれども、愛媛県に行ったときに、みかん色のポストがありました。ポストというと、定型のイメージがあるけれども、全国各地様々なポストがあると楽しいだろうなと。それを目当てにツアーなんかもできると面白いだろうな、なんてふと考えたりもしました。
(問)冒頭の政策パッケージに関連してですが、野田大臣、総裁選のことを含めて、就任会見でもそうですが、相当具体的な子育て支援対策を言われていましたし、少子化に関してはもう15年、20年ぐらい取り組まれているということもあるので、もう少し具体的な、少なくともそのパッケージにはこうしたものが、こうした視点が盛り込まれ、こうした策が当然盛り込まれるべきだと、何かお考えのことがもし、もう少し具体的なことをお話しできましたら、お願いします。
(答)まず、「子供」というふうに主役を置きまして、今一番速やかにやらなければいけないのは、今の子供の危機です。新型コロナウイルス感染拡大の中で、やはり多くの子供たちが自らの命を落としたり、虐待とか、数字がもう出ていますから、そこはもう一分一秒でも早くしっかりと支えていくということ。
 ただ、子供の周辺の大人をもやっぱりサポートしていかなければいけないということになってくると思います。さらには、ちょっと中長期的になるとするならば、いる子供もさることながら、これからの子供たちへのリーチというか、不妊治療をはじめとして、そうすると、また今度は若い人たちがやはり母になる、父になる不安を解消できるような在り方とか、すごく幅広になってくるけれども、そこまでやらなければ、スポットでやっては駄目だと思っています。
 そして、今度は子供たちが将来大人になって、また自らの子供と生きる時代に向けても展望が開ける、大丈夫だというような制度設計をも提供していきたいと。
 あとは、福祉、傷ついている子供たちをしっかり守ることは最優先だけれども、やっぱり子供たちにとって、私たちもそうでしたけれども、やっぱり教育というのが人生を左右すると思います。それで、これは大人の責務ですから、子供たちが自発的に自分のことを教育できるわけはないわけですね。やっぱりそれは周りにいる大人たちの責務ですから。これはちゃんと10年先、20年先に子供たちに惑いを生じさせないように、きっちりやっていかなければいけないと思います。
 様々取り組むことはたくさんありますけれども、それをできれば補正が組まれるのであれば、しっかりと取り組むという意思が見えるようにしていきたいし、当然、当初(予算)でも今まで他国に比べて非常に薄かったわけですから、反省も踏まえてしっかりと分かるようにしていきたいと思います。
(問)衆院選に関連して、今回の衆院選は多様性とかジェンダーが争点になった選挙でもあったと思います。日本記者クラブの党首討論では、岸田総裁だけ選択的夫婦別姓やLGBT法案の来年の通常国会への提出に慎重な立場を示されました。今回の選挙結果を踏まえた上で、改めて野田大臣は女性活躍と孤独・孤立を担当される大臣として、与党の中で、この2つの法案にどのような姿勢で取り組まれるのか、考えをお聞きしたいです。
(答)私は、岸田総理は前に進んでおられると理解しています。極めて慎重な方ですから、やはり必ず何か進めるときには反対も出てくるわけです。その反対で、私も感じているのは、年配の方たちも何十年も姓を同じくしている方たちが、この別姓法案が通ると別姓にしなければいけないのかなという誤解もあるわけです。そういうところも丁寧にそういうことではないと。あとは、戸籍もばらばらになってしまうということが拡散されているけれども、実際、原案ではそのようなことになっていないと。戸籍をしっかり守った上でということになっている。
 あとは通称使用の拡大も今は進んでいるけれども、やっぱり法律的に確定していない。どこかでぶつかってしまったりとか、必ずこれでコンプリートできるという事態でもない。まだいろいろときちっと、賛否両論ある中で、賛成の人にも反対の人にも統一の考え方というのを受け止めてもらわなければいけないということで、取り組むとおっしゃっているし、汗をかくとおっしゃっているので、汗をかくということは、やると私は受け止めています。
 そのようなことで、私も関連の大臣ですから、しっかりと誤解を解いていく。そして、恐れを無くしていく。若い人たちがより多く結婚への道が開けていけるような風通しのいい社会をつくれればなと、こつこつやっていければと思います。
 あと、やっぱり今回選挙と同時に行われた最高裁(判所裁判官国民審査)の結果もやはり異例のことで、去る別姓の裁判で合憲と、要は別姓を支持しない、するかしないかは、立法論に委ねられているのですけれども、割とどちらかというと合憲とおっしゃった方に厳しめに出ているということも、これは私たち政治家の世界ではなくて、国民全体がそう動いたのだということもしっかりと客観的なこととして次の作業に取り込んでいかなければならないなと思いました。

(以上)