野田内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和3年10月5日

(令和3年10月5日(火) 11:48~12:40  於:中央合同庁舎第8号館1階S106記者会見室)

1.発言要旨


 このたび内閣府特命担当大臣を拝命いたしました、野田聖子でございます。
 私の担当は、地方創生、少子化対策、男女共同参画でございます。併せて内閣の担当大臣として、女性活躍、子ども政策、孤独・孤立対策の担当も務めさせていただきます。
 地方創生について申し上げたいと思います。地方創生は御承知のとおり、人口の減少をしっかりと食い止めなければならないという大きな目標があります。そして併せて、東京圏への一極集中、これにも歯止めをかけていかなければなりません。オールジャパンでどこにいても住みやすい日本、これを目指すことが地方創生だと信じています。
 昨今、新型コロナウイルス感染症によって、必ずしもオフィスがある東京圏で住まなくてもいいという、テレワークなどの普及がありまして、少しずつ地方に向けて住まいを移すとか働き場を移す、そのような動き、変化が見えてくる中、デジタル化、脱炭素化の潮流も踏まえて、第2期「まち・ひと・しごと創生総合戦略」に基づいて、政府一丸となって地方創生の取組を一層強化していきます。
 新型コロナウイルス感染症対応、地方創生臨時交付金、これについては令和2年度の3次にわたる補正予算で、合計4.5兆円を措置いたしました。さらに本年は、各自治体の事業者支援の取組を後押しするために、事業者支援分を創設したところです。地域の実情に応じたきめ細やかな取組にこの交付金を有効活用いただけるよう、しっかりと応援してまいります。
 さらに国家戦略特区、これは引き続き岩盤規制の改革をしっかり行って、規制改革事項のさらなる追加を図りまして、特に具体的事業を迅速に実施していきます。
 さらにコロナ禍で加速が必要な地域のデジタル化、新たな生活様式の実現の牽引となる、皆さん御承知のスーパーシティ構想の早期実現を図ります。
 次に少子化対策は、まさに私のライフワークでございまして、様々な、経済もそう、科学技術の伸びもそう、さらに安全保障もそう、私自身は20年にわたって、やはりこの国の人口減少がそのもとにあると確信して、それを取り除く、止めるため、そしてさらにV字回復できるための政治活動に全身全霊を注いできたところであります。
 ようやく、先日の総裁選挙で「子供」という言葉が当たり前に聞こえてくるようになりました。残念ながら、自民党の中で「子供」というワードは、なかなか普通には使ってもらえません。今日の新聞を見ても「子供」という言葉が消えていたので、非常に残念に思います。私はしっかり皆さんと共に頑張って、「こどもまんなか」という意識改革、そして社会改革、変革をこの場所でしていけるように頑張ることが、私の今回の大切な任務だと改めて受け止めました。
 御承知のように、これまでは「新子育て安心プラン」や「少子化社会対策大綱」等で幼児の保育とか結婚についてしっかり取り組んできているところですけれども、さらに結果が出せるよう取り組んでいきたいと思います。
 次に子供の貧困対策です。子供の貧困と簡単にみんなおっしゃいますけれども、当事者になって、友達と暮らしが違う、様々な苦しみを抱えて生きている子供たちがたくさんいます。日本では相対的貧困といって、なかなか見えないです。他国は、アフリカの飢餓に悩む国とか、戦争で家を失った子供たちというのは、皆さんとても分かりやすいと思います。でも、私たちのすぐそばにいる子供たちの貧困というのは分かりづらい。そこをしっかりと受け止めてあげることが子供の貧困対策のまず一歩だと思っています。
 これまでも御承知のように、地方公共団体の取組に関する支援、交付金を充ててきましたし、NPO等には子供の未来応援国民運動の基金が充てられてきました。子供の貧困という言葉だけを進めるのではなくて、やはり直接その子たちに幸せを感じてもらえるような取組をしっかりやっていきたいと思っております。
 子供、若者育成支援、これも「子供・若者育成支援推進大綱」に基づいて、様々な施策を総合的に推進してきていますし、これからも推進してまいります。
 青少年のインターネット利用環境の整備、実は私、郵政大臣の時にインターネット接続、教育現場へのインターネット接続ということを、予算の、あのときは宮澤大蔵大臣だったと思いますが、世界に取り残されないように、日本の子供にも高速インターネット接続を国を挙げてやりましょうということで申し上げたことがございました。そのときにやはり様々なリスクについても、必ずしもインターネットの情報はいいことばかりではなくて、子供たちに知らせたくない、知ってほしくないことも満載なのだということも、あの当時、もう二十数年前に話をしたことを覚えています。しっかりと取り組んでいきたいと思っています。
 次に男女共同参画、女性活躍です。これも私のライフワークでございまして、数年前も女性活躍、男女共同参画をやらせていただいて、当時は政治分野における男女共同参画促進の法律をあげさせていただきました。ただ、その法律には厳しい罰則などがないものですから、私は自民党にいますけれども、これまでの各党の取組を伺って、法律というのは常に改正あるべしと思っていますので、必要であれば進めていかなければならないなと思っています。
 岸田総理は「成長と分配の好循環」という言葉をお出しになりました。やはりそこの主役はコロナ禍で顕在化している女性であります。しっかり女性が、一人親であってもしっかりと生計を営めるとか、非正規であってもしっかりと自らの人生を進めることができるとか、そういうことを今回具体的に取り組んでいければいいなと思っています。
 さらに新型コロナウイルス感染症の拡大によって見てきたものは、DVの増加であったりするわけです。やはり長時間家にいるということで、被害者の数も増加いたしました。これは性暴力とかDVの数が増加しているわけです。これは新型コロナウイルス感染症の影響だからではなくて、元々、平時の時にきちんとそういうDV対応、性被害対応がとれないから、こういう厳しい時代にそういうことが増えてしまうということなので、平時の取組をもう少ししっかり強化していく必要があるということが分かってきました。
 あとは、これは皆さん、御関心があるかどうか分かりませんが、実は今、婚姻件数というのは年間約60万件です。結婚される方々が約60万件だそうです。ところが離婚される方というのが約20万人ということで、そういう中にあって、女性がどのように、この令和の時代の中で自立し、自ら輝き、自己肯定できるかということはとても重要な政策の一つだと思います。これについても一生懸命取り組みたいと思います。
 併せて私は、先ほど申し上げたように、地方創生の担当も命じられているのですが、実は地方こそ女性が居づらい場所になりつつあります。多くの若い女性たちが何か力を発揮しようとすると、地方にある慣習というか、女性蔑視とか、そういうものに壁をつくられてしまって前に進めない、であれば、都市に行こう、さらには海外に行こうということがあって、なかなか自らのふるさとに戻る女性が極めて少ないということは事実であります。まさに地方の問題というか、地方創生の一つは、そこに生まれた女性たちが、十分自分の実力、能力を生かしきれる社会をどのように作っていくかが大切なことだと思います。
 昨年末に閣議決定しました、「第5次男女共同参画基本計画」及び今年の6月に策定した、「女性活躍・男女共同の重点方針2021」に基づいて、有事であるコロナ禍の対策で女性を中心に据えて、そしてあらゆる分野で女性の登用目標、そして女性たちが尊厳を持って、そして誇りを持って生きられる社会、こういうことを実現していく、まだまだだと私は思っています。
 次に、子ども政策について申し上げたいと思います。新たな行政組織、今、私たちでは自民党内では「こども庁」と仮置きして、それの成立に向けて、私も自民党内で座長を務めて駒を進めてまいりました。
 私も子供を育てていて思うのですけれども、ありとあらゆることです。福祉、教育、地域社会、とにかく子供というのは特殊ではなくて、子供という人なのです。だから、大人は自分たちが社会活動をしているからすごく多方面にやっていますが、子供も人なのです。日本人としてこの日本という地域社会の中で様々な活動があるのですが、実はそれがバラバラなのです。
 子供は自分でそれを集めて自分で私たちのように答えを出せない存在ですから、そこに親が介在してくるわけですけれども、そのガイドランナーというか、とにかくこれまで子供を育てることは基本的には親任せでした。子供は国の宝と言いながら、実態はもう全て親に委ねられてきています。親もいろいろありまして、私も親になっているのですけれども、元々、母親ではないので、やはり試行錯誤、暗中模索の中、息子と生きていく中で、私という母親であって、私という母親が、では、お手本かというとそうでもなく、いろいろ母親、父親になった人はそこを苦しみながら、とにかく子供を守るために頑張っている。
 でも、この少子化のマイナストレンドを見ると、個人にだけ頼れる時代ではないと思います。何か、国の在り様が、子供を育てることに苦しみやら苦痛やら、いろいろなことを抱えさせているのではないかというところに立ち戻って、私たちは、子供は国の宝と言っているのであれば、国としてその宝をどう磨いていくかというものをお示ししなければいけないと思います。
 ただ、冒頭申し上げたように、あちらこちらでやっているので、非常に何をやっているかよく分からない、そこを一元化して、そして一気通貫、シームレスに、子供という人が大人に成長していく中、しっかり国が支え、そして、支えることによって過度の負担を抱えていた親が、また人として余裕を持って、この日本の中で明るく生きていける、そういうものをつくっていきたいと思っています。
 今まで母子福祉的に捉えられた子ども政策ですけれども、これは極めてダイナミックな話で、まず全ての国のシステムを弱めてしまっている人口減少を止めるという壮大な目標です。
 そして、子供を子供として見るのではなく、一人の日本人として、まずは消費者として見る、どうも役所というのは労働から始まってしまうのです。子供を育てるのに役に立つまでに20年かかるといいますが、そうではありません。もう既に子供は生まれた時から服を着ているし、オムツを替えるし、ミルクを飲むし、そこには消費税がかかってきているという発想を持って、子供を一人の消費者として育てていく、ありがたいという気持ちで育てていくという意識改革を、是非、霞が関も永田町も変えてほしいなと思います。
 私たちが生きていける指標がやっぱり子供たちの強さなのだと思います。そこを、子供たちのためにではなくて、私たちが私たちのために、この日本のために、みんなが相応に幸せになれるためにやっていくべきことで、是非様々な、これまでのいさかいはあるけれども、一つになっていこうということがこのこども庁の大きな意義だと思っています。
 行政組織に関する基本方針というのは、年末までに取りまとめてまいりたいと思っており、速やかに検討を進めてまいります。
 さて、孤独・孤立対策です。私は少し前の麻生政権の時に、自殺対策担当大臣を務めました。誰かに声をかけることができればということをいつも思います。その直前に誰かと出会って、少しでも苦しい思いを伝えることができればということを、常に当時、担当大臣をしていた時に思いました。
 孤独・孤立というのは新しい政策でありますので、まだまだ決まったものではないけれども、これは誰かのことではなくて私たちのことだと思います。ここにいる皆さんも孤独を感じることがあるだろうし、それがすごくつらい時と、何でこんなに孤独になってしまうのだろうとか、こんなにたくさんいるのに何で孤独なのだろうと、私もいろいろ経験あります。
 孤立というのは、私も昔、郵政民営化の後、孤立しました。本当に社会がブロックして、自分の行き先をふさいでしまうみたいな、そのような思いでした。「望まない」、「嫌だ」、「脱出したい」という人に、私たちは届かなければなりません。今、連絡調整会議をやっていながら、そこでそれぞれ違うと思うのです。孤独や孤立の中にいる、十人十色だと思います。何を必要としているか、これということではなくて、ありとあらゆる多面的なリーチを考えていきたいし、望まないことをする必要がない国にしていかなければならないと思います。
 内面というのは非常にデリケートですから、私がこうやって大臣だから何でもできるとは思いません。ただ一人でも手と手が合わせられるような、温かい取組を目指していきたいと思います。
 地方分権改革です。これも私にとって思いが強く、私は県議会議員をしておりました時に、2度ほど嫌な思いをしました。1度目だけ申し上げましょう。地域で公共事業がありまして、当然地方というのはお金がないので、2割地方自治とか揶揄されていて、どうしてもそれを完成させるには霞が関にお願いに来なければいけないというところがありました。私が大変尊敬していた市長さんがいたのですが、その方に伴って地元の県会議員としてある役所に行ったのですけれども、陳情のお願いの紙を一度も見ずに、その担当の役人さんが、非常に若い方でしたけれども、「そこに置いておいて」で終わってしまったのです。これでは駄目だなと、地方を変えるにはどうしたらいいのだろう、やっぱり国を変えるしかないのだなと思って出馬したのが、私のスタートでした。落選しましたけれども。
 でも、その思いが強く、私が初当選した後は地方分権推進法が初めて国会に出され、いろいろな議論があって、これで地方が解放される、地方の独自性、自主性が出せると思ったのですが、なかなかまだまだ思うに至らないところもあるように思います。
 そんなことをしっかり丁寧に、せっかくの地方の議会で汗をかいてきて、地方議会の仲間にいろいろとアドバイスを聞きながら政治活動を続けている一人として、成長のための分配はやはり都市部ではなくて地方がしっかりと自立していくことが極めて大事だと思っているので、取り組んでいきたいと思っています。
 休眠預金につきまして、これは確か私の同期の塩崎先生が一生懸命取り組んでおられたと思います。私も障害を持つ息子がいて、様々なNPO、「公」でない「民」の人たちが懸命に彼の成長を支えてくれていることに、本当に心から感謝するとともに、なかなかそういう人たちが善意だけでは進んでいけない実情がある中、休眠預金等を使うというのは非常にいいことだと思います。NPOがもっともっと先進国のように公の部分まで乗り込んでいって、自在な活動、その当事者に合った活動ができるようになることは極めて重要だと思っています。一生懸命応援して、そして歩んでいきたいと思います。
 だいぶ長くなりましたけれども、たくさんの任務を与えていただきました。それぞれもう20年、30年、自分で取り組んできた、本当に心の底から大切だと思えるものばかりです。大臣任期中に一人でも多くの皆さんが笑顔になれるような結果を出していくことをお約束したいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

2.質疑応答

(問)大臣、御就任おめでとうございます。2点お伺いします。まず、子ども政策担当大臣として伺いたいのですが、大臣は自民党総裁選の討論会などで、こども庁設置の法案について、来年の通常国会に提出したいと表明されておりましたけれども、大臣としてお考えのあるスケジュール感を教えてください。
 もう1点は男女共同参画担当大臣としてお伺いします。これまで大臣は選択的夫婦別姓の導入について、賛成の立場を示してこられましたけれども、担当大臣として制度導入に向けたお考えを教えてください。
(答)まず、こども庁ですけれども、自民党の方の本部で座長を務めてまいりまして、その自民党のスケジュールでは来年の通常国会にこども庁設置法案、そしてその理念になるこどもまんなか基本法とでも申しましょうか、そういうものをしっかり作っていこうということで、党主導で進めてまいりました。これは元々、菅総理が提唱されて、私たちはそれを受けるかたちで随分熱心に進めてきたので、ほとんど党の方ではヒアリング等もやりましたし、アンケートも相当取っていますので、むしろそれを活用していただければ、今申し上げたように、大体今年中に形を作って、来年の通常国会にはしっかり出していきたいという思いでいます。
 あと、選択的夫婦別姓、これはもう30年ぐらいやっていますので、私の個人の信念ではなく、そもそも法務省の答申でありましたから、立法府の一人として、見識ある、権威ある法務省の国民を代表する審議会の皆さんの御提案ということで、極めて先見性があり、素晴らしいと思って、ずっと支援を進めてまいりました。
 なかなか難しいなと思うのは、これまで結婚された方が、自分の姓を変えなければいけないのかしらという誤解があったり、また親の姓が違うことで子供がいじめられないかなという、そういうまだデータも何もないことに対する懸念とか、そういう問題をおっしゃるけれども、想像の不安については、論理的にお答えしようがないです。実は、ずっと議論が止まっていましたので、少なくとも安倍政権前ぐらいからほとんど党内での議論がなかったものですから、むしろ石原先生の下でPTが作られて、党の方でも議論が始まると思います。議論が始まればいずれ結論を出さなければならない、そんなことで私自身は前向きに進めていただけるものだと受け止めています。
(問)全体的なことをお伺いします。今回たくさん担務、任務がおありになる中で、これは何としてでも成し遂げたいとお考えになられるものは何なのでしょうか。また今回、地方創生から少子化対策、男女共同参画と幅広く、担務が付いていますが、これを岸田総理からのどういったメッセージというふうに受け止めて、どう生かしていきたいとお考えでいらっしゃるかお聞かせください。
(答)やはり私の一番の大きな目標は、ややもすると大きな議論になり得ていない人口減少、これが日本の最大の有事であるという皆さんの認識、恐れるのではなくて、そういう問題の中で様々な不安定、不便、不自由が発生しているのだという思いを持っていただく、今は目の前にあるのは新型コロナウイルス感染症という有事だけれども、同じように中長期的にはこの国の人口が異常に減っているということを、どんな職にある人も分かっていただいて、そこから何を止めて何を回復させていくのかという、そういう政治をつくっていきたいと、もう二十数年取り組んでいました。
 ですから、総裁選では、一番分かりやすいのはやっぱり子供の数の減り方です。終戦後、あれだけずたずたになった日本であっても、ベビーブーマーといって3年続けて270万人とか、たくさんの子供たちが厳しい環境で生まれてきて育てられて、その人が消費者であり労働者であり納税者になったということが、今までの昭和の経済のけん引だったと思うのです。その方たちが今、引退されて高齢者となり、次を担う人たちというのがもう40年以上前からどんどん数を減らしているということを、何かうまくいかないことが思い付きではなくて、しっかりと証拠というかデータに基づいて政治を考えていく中で、一番そこが分かりやすいのです。
 ですから、人口減少を止めるにはどうしたらいいか。少子化といわれるゆえんは子供が生まれてこなくなっている、数が出ている。それに対してどう止めるか、どう抑えて増やしていくか。そういう知的な議論を、もう本当は20年ぐらい前からやらなければいけないのだけれども、なかなかできません。
 なぜかというと「子供」という言葉に、自民党の中では強いイメージはなかったのです。子ども政策というと、女性がやることでしょうとか、自民党がやることではないでしょうという空気が中にあったので、総裁選では毎日毎日本当にどこに行ってもそのことについて申し上げて、やっぱり吸収してほしかったなと思います。子どもという政策が日本の最大の有効な政策なのだということ知らしめたかったというのはあります。
 ですから、こども庁というものをつくることによって、かつて消費者庁をつくったことがあるのですけれども、やっぱりそこで随分変わりました。もの作りというのは基本的に工場が作るもの、会社が作るもの、それを消費者、国民は甘んじて受けよというような国から、消費者目線、消費者優先ということで、相当いろいろな消費活動も変わってきたし、良くなってきたと思います。
 同様に、今までの政治の中で出てこなかった子供ということを、最初は違和感があると思います。でも、それが耳になじんで、そして心の真ん中にくれば、この子たちをしっかり育てていくことが国の安定につながっていくのだなということで、新しい政策、変革ができればいいなと期待しています。
 岸田総理は毎日、討論会で、私がそのことを何度も何度も申し上げていたので、恐らく同期のよしみもあって、そこをしっかりやろうという決意、最後の頃はこども庁をつくるとおっしゃってくれていたので、そのために私をここに遣わせてくれたのだと思っています。
(問)孤独・孤立担当大臣として伺います。大臣がおっしゃったように、人の心の内面という非常にデリケートな分野に行政が関わっていくということはなかなか難しいことかと存じますが、そのような分野の施策を進める上で、何か目に見える成果とか目標とか、何か今念頭にあるものはありますでしょうか。
(答)私は寄り添うという言葉が嫌いです。息子を育てていて、やっぱり政治が国民に寄り添うというと何か、ちょっと人ごとのように聞こえて、そばにいてよというか、中にいてよと、一緒に苦しんでよ、一緒に答えを出してよというのをずっとこの10年、個人的には心の叫びとしてありました。それを受け止められるような何か仕掛けを作れればいいなと思います。
 ただ、なかなか今日の今日ですから、自分の拙い経験しかないので、それこそいろいろなやっぱり伝え方、伝えられにくさがあると思うので、早速、孤独・孤立に関してはいろいろな方が是非会いたいと今アポイントがどんどん来ているので、もうとにかく会って、会って、会って、岸田総理以上に聞く力を持って、そして多様な捉え方を、いろいろなやり方があっていいと思うのです。それを形にしていくことが私の仕事だと思います。
(問)大臣は総裁選で「こどもまんなか」というのを掲げられて、昨日、岸田総理の会見の中でも少子化対策というのが文言としては入りましたけれども、具体的な話は特に出ませんでした。ずっと課題になっているということは国民も分かっているところだとは思うのですけれども、長年この問題に取り組まれてきた大臣、私案でも結構ですので、幅広い分野にまたがるとは思うのですけれども、こういったところからまず変えていきたい、こういったところを変えていくことで少子化対策ができるという私案等々がありましたら伺わせてください。
(答)こども庁というのは人生そのものですから、皆さんも子供であったし、いろいろな人との関わりの中で私たちは大人になってきたので、実はこれというのはないと思います。ただ、緊急を要するものは、やはりこの新型コロナウイルス感染症の中で、先ほど、女性政策の中でDVと性被害が増えたと言っていますけれども、これは子供も同じなのです。やっぱり親からの虐待とか自殺というのが大変増加しているので、そこをまずは大至急と。これは庁ができる前にバーチャルでもできることなので、それは全力で子供たちを守らなければいけないということを思っています。ですから、こども庁の中の主要な部分には、やはり子供を傷つけないということは徹底していきたいと思います。
 あとは、やはり子供に必要なのは教育ですよね。教育というのは別にいろいろな、学力ということとは別に社会性であったり、今後とても子供たちが少なくなる中で、やはり仲間をつくりやすくする環境、なかなか大人になると仲間はつくれないけれども、小さいうちからやっぱり集団の中にいられる環境を全ての子供たちに持っていただくことが、私たち今の大人の責任かなと思います。
 あと福祉もできれば、今は申請型というのかな、「何かあったら行きます」みたいな感じで、実は一般の親は行政素人ですから、いろいろ作っているけれども、どんな制度があるか分からないのです。でも、それをプッシュ型にするだけで随分子育ては楽になると思います。
 私もずっと国会議員の仕事の傍ら、NPO法人で母子手帳の仕事をやっているのです。アプリ化して、それで妊娠何か月にはという双方向のものがあれば、いろいろなことが途中うまくいくのかな、なんて思いながら取り組んでいるので、是非基本的にはやっぱり子育ては国からのプッシュで幅広な提供や気付きを伝えることで、若い人たちに楽しんでいただきたいなと思います。そんなことをいろいろ、とにかくこんなにありますから、消費者庁のときも苦労しましたけれども、権限を持たせて進めていけば、やっぱり新しい社会が生まれてきます。
(問)大臣就任おめでとうございます。先ほど、子ども政策の今後のスケジュール感について、年内にパッケージをまとめ、来年の通常国会でこども庁の設置を含めた法案を提出するというスケジュール感をお示しになられました。
 その先にこども庁の設置というのがあると思うのですけれども、菅政権の成立から1年後の9月にデジタル庁を設置するということをされたわけですけれども、大臣のスケジュール感として、こども庁の設置というところまで、例えば任期中にやりたいとか、ある程度目標として、このあたりにしようというのはございますでしょうか。
(答)まず初めに、自分の任期がいつまでかというのは全然分からないので、ただとにかくスピードです。デジタルというのはなかなか技術論ですから分からない人も多いけれども、子供に関しては今までに問題点も悪いリストもできているし、やるべきリストもできているので、それをしっかりパッケージにすることですから、問題意識も解決も今から始める話ではないと思うのです。
 だから、それはもういろいろ皆さんが譲れないものを譲ってもらいながら子供のための居場所をつくるということで、スピード感を持ってやっていくだけです。
(問)2問お伺いしたいのですけれども、1問目が子ども政策に係る行政組織についてですが。いわゆるこども庁について、これまで必要性が議論されてきた一方で、組織の改編にかかる費用とベネフィットが見合うかという指摘があります。また、様々な省庁にまたがる子ども政策を一元化する組織をつくるに当たって、それが縦割り行政の解消につながるのかという指摘もありますけれども、この点について改めて大臣のお考えをお伺いしたいです。
 あともう1問。選択的夫婦別姓についてですけれども、昨年末、基本計画の議論が行われた際に、第4次にあった選択的夫婦別姓という言葉が削除されて議論が後退しています。今、自民党でこのような議論を取りまとめる政調会長が高市早苗さんで、選択的夫婦別姓に慎重な立場をとられていますけれども、この点も踏まえてどのように進めていきたいかをお伺いしたいです。
(答)まず、こども庁のことですが、先ほど申し上げたように、私は消費者庁をつくらせていただいた経験があります。そのときもやはり各省にまたがる問題であったり、隙間事案といって、たらい回しにされた結果、消費者が泣き寝入りをするようなことがいっぱいありましたので、非常に各役所との交渉は難航しましたけれども、法律を共管することとか、強い権限を持つこと、さらには野党にも対立案を出されたので、支持率も下がっていたので本当に苦労しましたけれども。結果、野党の意見も組み入れて、独立した委員会をつくるということで今の消費者庁ができています。
 ですから、今回もやはりやらなければならないことを全ての人に思ってほしいです。今までやるべきだったけれども、やってこなかったこと。やっぱり子供のことをきちっと真ん中に置かなかったことでいろいろな社会問題も起きているし、社会問題どころか国際的にもやっぱり批判をされる結果になっていると思います。対GDPであっても非常に低いのだということをしっかりと受け止めて、次の日本をつくっていくために欠かせない役所だという認識を皆さんに持っていただく。
 あとはやはり消費者庁のように、権限を持つことが大事だと思います。ただの調整ではなく、強く権限を持って、立ち入り検査等をできるような形で、事の重大さを知っていただく姿にしていかなければいけないと思います。
 高市さんがおっしゃっているのは通称使用ということで、基本的に別姓を名乗ることには抵抗がないのだと思います。1人の女性、男性が2つの名字を持つという社会についてはもう通称使用の人も容認されているのだと思います。それは大きな進歩かなと思います。
 もう一つは、さっき申し上げたように議論すらさせてもらえなかったので、党内で全く関心もなかったですし、だから、今は議論が出てくるというのは健全な形で、議論がないと結論が出ませんから、石原PTとか、恐らく衆議院の選挙後に本格的に結論を得るということを聞いているので、そういう中で私は私の立場でしっかり取り組んでいきたいと思います。
 決して仲が悪いわけじゃないので、いろいろ話は、交渉はできると思います。反対している人の懸念をしっかり聞きながら、それをどう法律で担保できるかというのは、これが私たちの仕事なので頑張っていきたいと思います。
(問)政治分野における男女共同参画に関しまして、昨日の参議院の首班指名で、大臣もママパパ議員連盟で一緒に活動されている国民民主党副代表の伊藤孝恵さんに再び1票が投じられました。昨年9月の参院の首班指名の際は、当時の橋本聖子大臣がこれからの次の世代で一歩を示したと評価をされたのですけれども、野田大臣は今回の伊藤議員への1票をどのように受け止められますか。
(答)伊藤議員への1票。参議院の。
(問)伊藤議員に対する。はい、1票です。
(答)高市さんではなくて。
(問)はい。
(答)伊藤さんについては前に、たしか国民民主党の党首選挙に出馬されて、私は思わずうらやましいとコメントしたことがあります。そのくらい自民党はもう女性で無い無い尽くしだと出ることができないという政党だったのです。今回、伊藤さんがそうやって頑張っている姿を見て、私も遅まきながら頑張ろうということで総裁選まではたどり着くことができましたので、お互い切磋琢磨して歩んでいけることはすごくいいなと思います。
 私もしっかり、また高い目標を掲げて頑張っていこうかなと思います。実は、意図的にやらない限り一気呵成に女性の進出はなかなか難しいです。でも、こうやって気が付くと首班指名に女性の名前が書かれるというのは、とても小さいとはいえ明るい光だと思いますので、それを絶やさないことが私たち女性議員のお仕事だと思っています。
(問)少子化対策と地方創生についてお伺いします。先ほど大臣はどんどん現場の人に会って話を聞きたいとお話しされましたが、前任の大臣に引き続き、少子化対策と地方創生を一緒に進めていくという、そこのポイントをお尋ねしたいのと、去年から今年にかけてコロナ禍でなかなか現場の人に会うというか、地方視察の機会が減る中で政策を進めることになりましたが、その難しさをどういうふうにこれから進めていきたいのでしょうか。
(答)まず初めに、地方創生と少子化は一体化しています。皆さん、ややもすると地方というと、高齢化のイメージばかり追っかけているのですけれども、実は高齢化は地方の方が都市部より先行しているので、むしろその後のへき地対策、要するに人がいなくなっていることが今まさに地方にとって悩ましい、一番苦しい問題なので、少子化というのは地方の問題です。
 ですから、こども庁の議論も地方の若手の議員さんたちが極めて熱心に折衝に入ってくれたりしています。ですから、私としてはありがたいなと思います。解決すべき、地方創生の一つはやっぱり少子化対策ですので、一番効果がありますから、それをどうしたらいいかというのをいろいろ考えてはいます。例えば、いい教育を持ってくるとかです。
 テレワークという話もしましたし、通信環境さえよければどこでも仕事をしていいという環境になりました。まだ国会だけはオンラインは駄目ですけれども、大概の職場では会社に出勤しなくても自宅やサテライトオフィスやどこででも成果を上げればいいという空気が、それを働くことと見なすと、今までは家にいることは働くことと見なされなかったけれども、働くことと見なすという流れができてきているので、地方にとってはすごく大きなメリットだと思います。ただ、やっぱり電波環境とかはまだまだ悪いので、そこをしっかり先行して通信環境インフラを進めていくことがすごく大事で、取組が可能になってくると思います。
 子供を持つ親にとって、一番は子供の教育と健康管理ですよね。地方でやはり教育というのは地方に委ねられているけれども、東京はすごく激戦区ですからね。そんなことを考えて不安になる親もいますし、子供が万が一病気になったときにきっちりとした病院があるかというのも、今回のコロナ禍でもいろいろそういう警鐘がありましたから、そういうところをちゃんと平準化して、そういう小さき者、弱き者が安心して暮らせる場所というのを地方がつくっていくということが地方創生の大きな一歩だと思っています。働く場所もそうですけれども、家族を持っている人にとっては、どう子供たちに悔いなき人生を歩ませるかという場所探しだと思います。
 実は私はこの1年余、ほとんど外に行かず、夜も食事もせず、家で夫と子供といたのですけれども、これまでで一番仕事ができたなというのは外交です。つまり、オンラインの会議を世界各国とできますので、うまい具合にアメリカとでも時差の調整ができて、私は朝やって、向こうは夜やってみたいな感じで、フェアな戦いができるというか、そういうことで、国会開会中って国会議員は行けないのです。大臣も厳しい制限がかかります。けれども、今回コロナ禍でオンラインを一つの仕事として認めたことによって、私自身は相当たくさんの外国の要人と意見交換をすることができたわけです。
 ですから、地方も同じで、地方も過疎化が進むとそこに行くまでの便がないとか、1日1本しかないとか、そういうことで不便を感じていたけれども、皆さんのPCを使えばそれを感じさせない地方との距離感という醍醐味もあると思います。幸い菅総理のおかげで収束に近づいているので、できる限り現場に行きたいと思います。とりあえず行きたいのは東日本大震災の被災者の皆さんのところです。一番の問題は風化させないことです。常に頑張ってきた友人たちの所に訪れて、復興の一番の敵は風化ですから、それを止めるような仕事ができれば幸せだなと今思っています。
(問)1点、これもこども庁に関してなんですが、既にこども庁に対しては、子ども政策推進体制検討チームが動き出して、有識者会議も設置されているということで、野田大臣がなられたことで、それがパワーアップされていると一般に期待されていると思うんですが、こうした組織に対してのコミットの仕方だとか、あとは何か強化されるとか、そういったお考えが何かありましたら教えてください。
(答)できればバラエティーが欲しいですよね。子供とか女性というと、何かひとくくりにされてしまいます。女性も10人いれば全然違いますよ。総裁選で皆さんも御理解いただいたように、女性が2人出ていても考え方とか生き方は全然違うように、何となくこの国の政治のやり方は女性ひとくくり、子供ひとくくりのようになってしまうので、たくさんの個性がある中で、それをしっかり受け止める、それをよしとする、今までのように一つの形に押し込んでいかないような自由でのびのびとした議論をしてもらいたいなと思います。
(問)何かコミットのされ方とかはありますでしょうか。
(答)私の。
(問)はい。
(答)いや、まだそこまで考えていませんでした。
(問)大臣就任おめでとうございます。話題ががらっと変わってしまうのですが、国家戦略特区のことでお伺いしようと思います。先ほど冒頭で大臣も少し御発言されておりましたけれども、国家戦略特区の諮問会議の在り方について、例えば岸田総理から見直しとかそういった指示があったかどうかということと、もう1点、特区での一般企業の農地取得の特例ということで、現在、兵庫県養父市のみ認められているのですけれども、今後この全国展開の可否について、大臣としてどう対応されるのかをお伺いします。
(答)岸田総理からはまだ指示は出ていません。実は、そこが農業関係の皆さんにとって一番心配事だと思います。実は総裁選のときに、私は山田先生が推薦人になってくれたので、総裁選の最中にJAの会長とお話をする機会があって、2つあったのです。米価の問題、これはすごく大変で、それをどうするかという目先の問題と、もう一つは今、御指摘された特区のことで、ただ、絶対反対ではないです。農業は大事だとみんな思っているのです。カロリーベースでも自給率が下がっています。やはり多くの国民に農業の素晴らしさというか大切さを知ってもらうためには、担い手が要るのです。ところが、この人口減少の下、一番の担い手不足は農業です。高齢化していますし、そこはどうにかしなければいけないという問題意識はあるけれども、民間企業というのは基本的に自由ですから、農業のためにと言いながらも、気が付いたらマンションが建っていたということになると、私たち国民が本来やるべき食料安全保障を守れなくなってしまうという悩みがあるわけです。そこをしっかり議論できるように、政府で調査しています。
 私はやっぱりそういうまだまだきちっとしたテーブルの上で国民の食料安全保障、カロリーベースをどう上げていくかということもないまま、話ができているなという印象がありましたので、是非農業はとても大事だということを消費者にしっかり受け止めてもらって、どう私たちが自立して自分たちの食事を確保できるかという、当たり前のことですけれども、そういう消費者の目線というのも、役所の動きとは別に取り入れて取り組んでいきたいと思います。

(以上)