二之湯内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和3年10月5日

(令和3年10月5日(火) 11:11~11:33  於:中央合同庁舎第8号館5階共用会議室B)

1.発言要旨


 皆さま、おはようございます。このたび国家公安委員会の委員長に就任いたしました、二之湯智でございます。
 私の担当は国家公安委員会及び防災担当、国土強靱化担当、さらにまた国家公務員制度担当、海洋政策担当及び領土問題担当を拝命いたしました。非常に多岐にわたるわけでございます。
 現在、新型コロナウイルスの感染拡大の防止に政府を挙げて取り組んでいるところで、私としても所要の対策に注力するとともに、所管の事項について、最大限の取組を進めてまいりたいと思っております。
 まずは、国家公安委員会でございますが、国家公安委員会委員長は、国家の治安維持の重責を担っておりまして、身の引き締まる思いであります。
 我が国の治安情勢は、刑法犯認知件数の総数は継続して減少はしておりますが、特殊詐欺、ストーカー、配偶者からの暴力、児童虐待等の被害は、依然として深刻です。また、サイバー攻撃が国内外で多数発生するなど、サイバー空間における脅威は極めて深刻な状況であります。サイバーセキュリティ確保のための取組を的確に進めていくことが、今求められているところであります。
 このほかにも、デジタル化の施策の推進や交通事故防止対策、あるいは災害対処能力の向上等対策を講ずべき課題が山積しているものと認識をしております。
 良好な治安は国民生活の基礎であります。日本を「世界一安全な国」にするために、こうした治安上の諸課題に的確に対処し、国民が安全・安心を実感できるように全力を尽くしてまいります。
 防災についてでございますけれども、防災は国家の基本的かつ極めて重要な任務であると認識しており、政府一体となって災害対策に全力を尽くしてまいります。
 先の常会において、災害対策基本法等の改正により、災害時における円滑かつ迅速な避難の確保及び災害対策の実施体制の強化が図られたことも踏まえ、激甚化、頻発化する自然災害にしっかりと対応してまいります。
 今年に入ってからでも、大雪あるいは福島県沖を震源とする地震、また、7月から8月にかけての大雨など、一連の災害で甚大な災害が発生しました。これらの災害により、亡くなられた方々に哀悼の意を表するとともに、被災された方々に対して心よりお見舞いを申し上げます。
 政府としては、発災直後から関係省庁一体となって、総力を挙げて応急対策活動を実施してまいりました。引き続き被災された方々の生活・生業の再建に向けた取組に、全力を挙げてまいります。
 さらにまた今後、発生が危惧される大規模地震については、甚大な被害を軽減するため、関係者と連携した対策を推進しつつ、地震・津波防災の国民運動への展開を図っているところであり、その備えに万全を期してまいる所存であります。本格的な台風シーズンを迎える中、コロナ禍においても自然災害への対応を適切に実施できるよう、緊張感を持って職務に臨む決意であります。
 国土強靱化についてでございますけれども、本年も7月以降、長く日本列島に停滞する前線の影響等により長雨が続き、甚大な被害が各地で発生しております。「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」の推進をはじめとした国土強靱化の取組を着実に進め、国家百年の大計として、災害に屈しない強さとしなやかさを備えた国土づくりを進めてまいります。
 国家公務員制度及び行政組織についてでございますけれども、国家公務員の志望者数の減少や、若手職員の早期離職傾向に歯止めをかけることを喫緊の課題として認識しており、引き続き長時間労働の是正など、霞が関の働き方改革を強力に推し進めてまいります。併せて平時・非常時を問わず、迅速かつ的確に諸課題に対応できる行政組織・体制となるよう、戦略的な機構・定員の配置を進めてまいります。
 海洋政策についてでございますけれども、我が国は四方を海に囲まれた海洋国家であり、世界有数の管轄海域を有しております。平成30年5月に閣議決定された「第3期海洋基本計画」に基づき、政府一丸となって海洋の安全保障をはじめとする海洋政策に取り組んでまいる所存であります。
 また、有人国境離島については政府・地方が一体となって、その保全と地域社会の維持に関する施策を、引き続き強力に推進してまいります。
 領土主権対策についてでございますけれども、北方領土を担当する北方対策本部と連携し、また、竹島の領土問題及び尖閣諸島を巡る情勢に関して、国内外において、我が国の立場についての正確な理解が浸透するよう、領土・主権展示館を拠点として、内外発信の強化に努めてまいります。
 重要土地等調査法についてでございますけれども、法律の施行に向けた体制を早期に整備しつつ、必要な予算の確保や下位法令の検討、国民の皆さまへの周知・広報等を着実に行い、法律の施行後は速やかかつ着実に土地利用等、状況調査等を進めてまいります。
 次にFATFへの勧告への対応についても、対応することとなりました。金融活動作業部会は、第4次対日審査報告書の公表を受けて、FATFの勧告を踏まえた法整備の検討を着実に行うため、8月31日に、内閣官房にFATF(金融活動作業部会)勧告関係法整備検討室が設置されました。今後、担当大臣として関係省庁と連携して、マネーロンダリング・テロ資金供与・拡散金融対策の強化に資する法整備の検討を鋭意進めてまいります。
 また、カジノ管理委員会に関する事務についても担当することになりましたが、IRを支えるカジノへの厳格な規制という、これまで我が国に存在しなかった、全く新しい業務を担う機関であることから、委員会がその使命と任務を果たすことができるよう適切に対応してまいります。
 内閣の一員として、精いっぱい務めさせていただく所存でございますので、何とぞよろしくお願いを申し上げます。以上で私の就任に当たっての抱負といたします。

2.質疑応答

(問)大臣に2点お伺いします。1点目は、国家公安委員長としての今後の抱負について、また2点目は、深刻化するサイバー犯罪、サイバー攻撃の対処について、警察をどのように指導されていくか、それぞれに御所見をお願いします。
(答)我が国の安全・安心というのは、国民にとって最も重要な課題でございます。このことについて、私は一生懸命取り組んでいきたいと思います。
 サイバー攻撃につきましては、警察庁にサイバー局、サイバーの組織を立ち上げるということでございまして、鋭意人材確保に努力をしているところです。これを着実に進めて、サイバー攻撃に対処する組織をしっかりと立ち上げていかなければならないと思います。これも、今、非常に深刻な問題になっておりますので、警察庁としても前向に検討していきたいと思います。
(問)警察活動や警察が行う行政手続のデジタル化についてのお考えと、もう1点ございまして、次世代モビリティや自動運転の開発等が今進められています。それに関する交通ルールの在り方についての御所見を、それぞれお伺いできたらと思います。
(答)行政手続のオンライン化については、警察にもいろいろと許認可業務があるわけでございますが、これらをオンラインで手続ができるように一生懸命これから検討していきたいと思います。また、マイナンバーカードの中に運転免許証を取り込めるようなこともしていかなければならないと思っております。さらに、刑事手続のIT化等を進めて、業務の合理化も図っていかなければならないと思っております。今は、鋭意、この問題について、一生懸命取り組んでいるところでございます。
 もう一つ、モビリティや自動運転といったものが急速に発達してまいりました。これについては、一方で国民の生活の利便を非常に高めるものでございますが、一方で安全性というものを確保しなければならないということでございますので、今、有識者を交えて様々な立場から検討しているところでございます。
 いずれにいたしましても、国民の利便性の向上や経済成長と交通の安全の観点から最適な交通ルールが整備されるように努力していきたいと思っております。
(問)高齢運転者や飲酒運転による交通事故、又は、通学路の安全等、様々な課題がある中、警察として、交通事故の減少に対してどのような対策を打ち出していくのか、お聞かせください。
(答)交通事故の死亡者数は4年連続で戦後最少を更新していますが、依然として交通事故で亡くなる方が非常に多いわけでございます。これから高齢化社会に向けて、高齢者の運転事故も非常に多くなるため、そういう高齢者運転の対策を行わなければなりません。また、飲酒運転やあおり運転といった危険な運転の交通違反取締りも行っていかなければならないと思っております。非常に多方面から交通事故の減少について検討していきたいと思っております。
(問)多様な交通主体の交通ルールの在り方に対する有識者検討会が、年度末にも報告書を出すと思います。歩道を動力だけで移動することもできるような画期的な話になるかと思うのですが、高齢者の移動等も含めて、大臣はどのようにお考えかお聞かせください。
(答)お尋ねの件は、これから前大臣からの引継ぎもしっかりと聞いて、警察庁からも所要の報告を聞いた上で、しっかりと適切に対処していきたいと思います。
 いずれにいたしましても、従来の自動車だけでなく、モビリティ・移動手段も多種多様になってまいりましたから、国民が安全で安心なモビリティとなるような、そんな視点を持って、これからも考えていきたいと思います。
(問)重要土地規正法についてお伺いします。来春にも予定されている法施行とか、政令などの閣議決定も迫っております。国会審議では過剰な私権制限への懸念ですとか、一方で規制が不十分だという声も上がっていました。法律自体への大臣の評価と、今後の対応についてお聞かせください。
(答)土地利用の規制は、確かにおっしゃっているように私権を制限すると。一方で国の安全という観点から見れば、土地の規制もしていかなければならないと、このように思っているところでございます。
 そういう面でこの法律は、日本の安全という観点からすれば、非常に意義の深い法律だと、このように思っております。いずれにいたしましても、土地利用をどのようにすべきかということの課題については、いろいろと各方面の意見を参照して、これから取り組んでいきたいと、このように思っております。
(問)もう1件伺います。内閣が発足すると、深夜に官邸で記者会見を行うのが恒例になっていたと思いますが、働き方改革等の観点から、今回から見送られました。大臣として、評価あるいは受け止め等ございましたらお聞かせください。
(答)昨日も、10時頃には全ての日程が終わると言われておりましたが、結局、11時を過ぎてしまいました。それからまた深夜に記者会見となりますと、就任して、まだしっかりと各省庁の所管の事項が頭に入っていない時に記者会見を行うことになりますが、これは少しいかがなものかと思っております。河野前大臣が、そういうことは改善すべきだと言ったことについては、私は評価したいと思っております。
(問)近年、大規模な自然災害が相次いでいるんですけれども、防災担当大臣として、改めて今後の対策や意気込みについてお聞かせください。
(答)災害対策基本法が施行されまして、できるだけ住民のほうにそういう被害が起こる危険性の情報がいち早く都道府県あるいは気象庁から出て、それで市町村が判断できるということで、できるだけ早く避難指示を出して、できるだけ安全な場所に避難しなさいということが今、当面は一番重要な問題であると。
 ただ、全ての災害で、ハード面でそれを防ぐということはなかなか難しいわけでございますから、常日頃から情報にしっかりと注視して、そして大雨あるいは台風というときには、国民も住民も早めに安全な場所に避難すると。しかし避難するときには、避難路の確保とか避難場所の確保とか、これは自治体がしっかりとしていかなきゃならんと、このように思っております。
(問)大臣は今期限りで引退を表明しておりますが、その辺りについてお考えをお聞かせください。
(答)私は、今77歳。人生百年時代で、健康ならば70歳、75歳まで働けという時代ですから、私自身が、今この歳で大臣をやっているということは、違和感はないと思います。ただし、77歳という戸籍年齢は変更することはできません。しかし、一方、そうは言いながら、参議院というのは、私も地方出身なのですが、地方議会の人でも一生懸命真面目に勉強をして、いずれ、将来は中央に出て活躍したいという方が、一杯いらっしゃるわけです。そういう人の思いもよく分かっておりますので、そういう人たちに私もバトンをタッチして、また新しい人が新しい観点から国政で活躍してもらったらいいのではと考えております。一部のマスコミで、来年議員出馬しない人に、こういう大臣ポストを与えていいのかという、そんな論調もありますが、私は学校卒業して以来、地元の国会議員の秘書をし、地方議会を経験しており、私の持っている経験・体験・知見をこの1年間、一生懸命発揮して一定の成果を挙げていきたいと思っております。

(以上)