山際内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和3年10月26日

(令和3年10月26日(火) 11:00~11:21  於:中央合同庁舎8号館1階S108会見室)

1.発言要旨

 新しい資本主義実現会議の概要について御報告いたします。先ほど総理から会議で御発言があったとおりでありますが、本日は「我が国の新しい資本主義のビジョンとその具体化」について議論を行い、成長戦略によって生産性を向上させ、その果実を働く人に賃金の形で分配することで次の成長を実現していく「成長と分配の好循環」の重要性や、官民が共に役割を果たし政策を総動員する必要、DX、デジタルトランスフォーメーションや科学技術立国を推進し、イノベーション力の抜本的強化の必要性、女性・若者や非正規の方も含め、多様性があり国民全員が参加・活躍できる社会を作り上げる必要、広く関係者の幸せにつながる「三方良し」の仕組みの重要性など、多くの貴重な御意見を頂くことができました。
こうした議論を踏まえ、総理から新しい資本主義のビジョンに向けた議論を更に進めるとともに、新しい資本主義を起動させていくため、私に対し、11月上旬にも緊急提言案を取りまとめるようにとの御指示がございました。
 また、本会議と連携するため、デジタル田園都市国家構想実現会議、デジタル臨調、全世代型社会保障構築会議を立ち上げるとともに、全世代型社会保障構築会議の下に、公的価格の在り方を検討する公的価格評価検討委員会を設置し、早急に議論を進める旨の表明がございました。
 詳細につきましては、後ほど事務方から説明をさせていただきます。私からは以上です。

2.質疑応答

(問)2点あります。一つは新しい資本主義について、11月上旬に緊急提言ということで総理から発言があったかと思います。選挙もあってあまり時間がないと思うのですが、どういう内容を柱としていくか、大臣のお考えをお聞かせください。
 もう一点は、今日、デジタル臨調とか全世代型社会保障の会議も作られるという御指示があったと思います。全世代型社会保障を安倍政権・菅政権とやってきたと思いますが、岸田政権では、どういったものを重視して、どういう中身を考えていくのか。ここも大臣のお考えをお聞かせください。
(答)緊急提言の中身に関しては、当然ですが、現下、置かれている状況からして、全部ではありませんが、経済対策もその中に含まれてきます。さらには、来年の通常国会に向けて、法改正等々が必要になるものもゼロとはしないと思います。それから、その制度の面に関しての話も出てまいりますし、税に関して触れる可能性も十分あると思います。
 ですから、もちろん緊急提言ですので、経済のこと、足下の経済対策が大きいとは思いますが、ある程度、方向性のあるものとして緊急提言として出すものとイメージしております。
 それと、全世代型の方は、公的価格をどうしていくかということを評価していかなければいけないという話になっておりますから、その議論がまずは第一にやるべきことかと思っております。
 しかし、岸田内閣としても全体として、全世代型の社会保障制度、あるいは勤労者皆保険制度等々の話も出ておりますから、そういうことも含めて全体としてこれから議論が進められるものと思っております。
(問)今回の新しい資本主義実現会議の方で、これまで安倍政権で分配というものがあまり進まなかったという反省があるのかなと思いますが、これがなぜ進まなかったのかということについて、どんなお考えをお持ちなのかお聞かせください。
 もう一つ、デジタル田園都市会議と、全世代型社会保障会議についてですが、これまでも、例えば、まち・ひと・しごと創生会議があったり、全世代型検討会議の方があったり、それらの会議体とはどのような形になりますでしょうか。それも含めてお願いします。
(答)後者の方から話をしますと、おそらくキーワードは、デジタルということだと思います。ですから、地方創生もしていかなければいけませんし、まち・ひと・しごとも当然やらなければいけないですが、それらをある意味、このデジタルというキーワードで束ねるというか、作り直すというイメージだと思います。ですから、デジタル臨調もそうですし、デジタル田園都市構想の方もそうだと思っていただければと思います。
 それから前者の方の分配がうまく進んでいかなかった理由をどう考えるかということですが、まさにそのために、今日、新しい会議体がキッフオフされたわけです。その会議体の中で、もちろん成長と分配の好循環をどのようにすればよりスムーズにできるのか、より良くできるのかということが、これから有識者を交えて議論をして、方途を見付けていくという話になりますから、今の段階でこういう手立て、こういう理由で分配云々ということを私の方からまだ言う段階ではないと思います。
(問)先ほど大臣も述べられた経済対策についてお伺いいたします。昨日で東京など5都府県の飲食店に対する営業時間の時間短縮が解除されました。重なる緊急事態宣言やまん延防止等重点措置で、飲食店や観光業など地域経済を支える産業が非常に厳しくなっています。こうした中で、経済の立て直しが急務だと思いますが、経済対策というのは、衆議院選でも大きな争点になってくるかと思いますが、経済回復・成長に向けて、政府与党でどのような内容を訴えていくのか、大臣の所見をお伺いします。
(答)今、私は政府の一員としての立場におりますので、政党同士で戦っている選挙戦のことについて言及するのは良くないことだと思いますから言いませんが、経済対策そのものは何を意図しているかというのは、前々から申し上げているように、まずは、このコロナ禍で傷んだ部分、今おっしゃった飲食やサービス、旅行業だけではなくて、それに関わっている相当多くの業態の方々が傷んでいらっしゃるということです。そこに対して、困っていらっしゃる方に対して、まず手を差し伸べるような対策をしようというのが経済対策の柱になります。
 しかし、それだけではなくて、当然そこから先につながるものに対しても予算を取っていこうという話になりますから、それが次の社会を作っていくイノベーションの種になるようなものにも、当然、予算を付けていくことになるのだろうと思っています。
 それと、今、必要なこととして我々が考えているのは、まさにウィズコロナなわけです。今やっと皆さんのお力で、国民一人一人の努力でここまで新規のコロナウイルス感染症の患者数を減らすことができていますが、油断してはいけないわけです。
 これまで溜まってきた知見に基づいて、ワクチン・検査パッケージもやっていますが、どうやったらコロナウイルス感染症と闘いながら経済を活性化できるかという、そこの鍵を握る部分に関しても、やはり予算措置をしていくということになるだろうと思うので、そのような意識で今回の経済対策はなされると理解しています。
(問)総理は先ほど、デジタル田園都市構想実現会議やデジタル臨調、また、全世代社会保障構築会議の方針を明らかにしましたが、あらためて、新しい資本主義実現会議との関係性、どのように連携していくのか教えてください。
 また、全世代社会保障構築会議の方は大臣が御担当だと思いますが、会議の発足時期と、また、公的価格委員会をその下に置くということですが、それについての設置時期や取りまとめの時期の今のお考えについて教えてください。よろしくお願いします。
(答)後者の方からお話ししますが、今日、総理からある意味正式に指示があったところなので、今はまだスケジュールが固まっているわけではありません。しかし当然ですが、そんなに長引かせるような話でもないと思いますから、速やかにやりたいと思っています。
 そして、新しい資本主義実現会議とその他の会議体との関係ですが、これは私の理解で言えば、どっちが上でどっちが下という話ではないですが、全体として見れば、新しい資本主義というものを使って、それを起動させてという言葉を総理は使っていらっしゃいます。起動させて新しい社会を作っていくということでありますから、そこにその他の会議で議論していただいた知見をビルトインしてもらうということになると思います。それで最終的に新しい資本主義を実現していくための施策として、ある意味パッケージとして皆さま方にお示しをし、国民全体でそれを実行に移していくという整理かと思っています。
(問)新しい資本主義はやはり看板だと思いますが、これは英語とか、海外にはどういう発信で、ニューキャピタリズムとかネオキャピタリズムとか、よく分かりませんが、どのように発信していかれるのか。
 それと、今日の資料を見ていてもやはり女性が多くて、シナモンの平野さんは、成長の定義を「Inclusive Wealth」とか、なかなか新しいこともいろいろ言っておられるわけですが、第1回の会合として大臣の印象としては、何か新しいものができるという感じがあったのかどうかを伺いたいです。
(答)今、官僚の方からどう英語に訳すかみたいな話が来ましたが、もちろんニューフォームとかニューキャピタリズムとか、何かあるのかもしれませんが、むしろどういう言葉がぴったりとくるのかをこれから作っても良いぐらいのものだと思っています。
 それこそ平野さんが言ってくれた、インクルーシブなキャピタリズムみたいなことも含めて、相当、今日、それぞれの委員の方々が持っていらっしゃる問題意識を御披瀝いただきました。かなり突っ込んだ深い議論ができるという予感がいたします。今日は15人の方から3分ずつしかしゃべっていただく機会がなかったので、それで各委員の持っていらっしゃる知見を全部そこで御披歴いただくことは当然できないわけですが、目次と言いましょうか、こんなことを考えているということを聞くだけでも、相当これから先の日本の社会を作っていく上で、深くて、なおかつ、非常に効果的なものができるのではないかと、今日の会議を見て聞いていて参加していて思った次第です。
(問)ちょっと細かいかもしれませんが、先ほど山際大臣の方に、首相から、11月上旬を目途に緊急提言をというお話がありました。この新しい資本主義実現会議においても同じような議論をしていると思いますが、この会議体と緊急提言との関係性や議論の進め方はどうなるのですか。
(答)会議体として緊急提言をまとめてくれという話ですから、新しい資本主義実現会議として、今、特に来年の通常国会ぐらいまでのことを視野に入れて、様々やらなければいけないことをなるべく早く出せという御指示であったと承っていますので、会議体としてきちんとそれを受け止めて、緊急提言の案をお出しすることになると思います。
(問)首相の意図するところは、山際大臣に指示したことは、山際大臣が中心になって会議体の意見も踏まえて、11月上旬に緊急提言を取りまとめてくれということでしょうか。
(答)おっしゃるとおりです。
(問)分かりました。今日の意見もかなり参考にされるということですね。
(答)もちろんです。そのための会議ですから。
(問)2つ前の質問の御回答で、非常に効果的なものができるかなと思ったというお話ですが、今日、90分ほど会議をされたと思いますが、特に15人の方、具体的なお名前はいいですが、印象に残ったやりとりとか、御意見が大臣の中であったらお聞かせください。
(答)まだ整理ができていない部分があるので、そこに関しての言及は避けますが、ただし私が受けた印象として、それぞれの方々がこれからの日本の社会に対してのイメージをしっかりお持ちだということが確認できました。ある意味、こういうメンバーの皆様方に集まっていただいて、それで議論するスタートを切って、それが確認できたのが私にとって良い印象と言うと変ですが、印象として残ったということだと思います。お一人お一人が何を言ったかということは、後ほど、議事要旨等々も出ると思うので、それで確認していただければと思います。
(問)今回、老壮青ということでバランスも取れて、男女比とかそういう部分もということですが、その辺り、1回目をやってみて何か手応えというのは感じられましたか。
(答)もちろん。中身に関しては言いませんが、それぞれにそれぞれの知見をお持ちだというのは思いました。それぞれの違った立場の方々がそれぞれの御意見をおっしゃるということは、包摂的な社会を作っていくためにとても大切なことだと思います。
(問)新しい資本主義実現会議と、これから設置されるデジタル関連の会議とか全世代型社会保障会議とかの議論というのは来年の6月の骨太方針に向けて、全て各会議の議論がまとまった形で、来年6月に骨太方針みたいな形で出てくると理解してよろしいのですか。
(答)来年の骨太方針に盛り込むということは、一つ、当然我々としては頭に置いてある時間的なゴールですが、それだけで終わるとも思っていません。その前にもやらなければいけない。例えば、この緊急提言はそうでしょうし、その後にも更に打ち出さなければいけないことが出てくれば、当然、時宜を得た形で、きちんと皆さま方に御報告もしたいと思います。もちろん骨太方針に乗せ込むようなスケジュール感も意識します。そこで終わるわけではないでしょうから、その先にまだやらなければいけないことも当然出てくると思うので、スピード感を持ってやりたいと思いますが、これで終わりというような何かゴールを設けているわけではありません。
(問)緊急提言の内容で、ちょっと細かいのですが、経済対策についてですが、具体的にはどのぐらいの規模が必要だとか、そういうところまで踏み込んだ提言になるという見通しでしょうか。
(答)すみません、予断を持ってこうですということは、まだ言えないですが、経済対策の一部分は、当然この緊急提言の中には入ると思います。
(問)どのぐらいの規模というのはいかがでしょうか。
(答)この経済対策そのものは数十兆円規模でということを総理はおっしゃっていますから、それに沿った形のものなのだと思います。中身は新しい資本主義を実現していくために必要だといわれるものもあれば、あるいは、今、困っていらっしゃる方々に緊急的に給付金で手当てをするというようなものもあれば、コロナ対策の話もありましょうし、原油高に対してどうするかということもあるでしょうし、経済対策そのものは少し幅広になると思います。その中で、新しい資本主義のところでも当然これは必要だというものは、緊急提言の中に、ある意味クロスする、重なる部分は出てくると思います。規模そのものは、総理がおっしゃっている形の中での内数になると思います。

(以上)