山際内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和3年10月5日

(令和3年10月5日(火) 11:09~11:35  於:中央合同庁舎8号館1階S108会見室)

1.発言要旨

 皆さん、おはようございます。このたび、大臣に就任いたしました山際大志郎です。
 それでは、私から冒頭の発言をさせていただきます。
 このたび、経済再生担当大臣、新しい資本主義担当、新型コロナ対策・健康危機管理担当、全世代型社会保障改革担当大臣を拝命し、併せて内閣府特命担当大臣として経済財政政策を担当することになりました山際大志郎です。どうぞよろしくお願いいたします。
 総理からは、関係大臣と協力して、成長と分配の好循環と、コロナ後の新しい社会の開拓をコンセプトとした新しい資本主義を実現していくようご指示をいただきました。
 併せて、新型コロナウイルス感染症について、感染対策を徹底し、その上で感染対策と経済活動を両立し、雇用を守り事業を継続するために躊躇なく対策を講じ、経済の回復につなげていくようご指示をいただきました。
 新型コロナウイルス感染症については、全閣僚に対し、納得感のある説明と常に最悪を想定した危機管理を原則に対応するようご指示がありました。
 さらに、私に対しては、ワクチン接種の推進、治療薬の実用化と確保、病床および医療人材の確保、在宅療養者に対する対策の徹底、電子的なワクチン接種証明の積極活用、検査の拡充など、様々な事態を想定した対応策の全体像を取りまとめるようご指示をいただきました。全身全霊をかけてこれらの課題に取り組んでまいります。
 岸田政権の課題として、「成長と分配の好循環」による「新しい資本主義の構築」が挙げられております。私としても、この秋に向けて科学技術・イノベーションへの投資の強化、経済安全保障の確保と集中投資、確かなクリーンエネルギー戦略に向けた新たな投資、人への投資といった諸課題について議論に貢献し、全ての国民に成長とその成果を実感してもらえるよう努めてまいります。
 経済財政政策については、我が国経済の現状は新型コロナウイルス感染症の影響により依然として厳しい状況になる中、あらゆる政策手段を総動員して経済財政運営に万全を期していくことが私に与えられた使命であると考えております。
 その上で、ワクチン接種等が進展する中での経済社会活動の在り方、今後の経済の自律的な成長に向けた基盤の構築に向けて、前例にとらわれず大胆に経済財政政策に取り組んでいく決意であります。
 新型コロナウイルス感染症対策については、医療提供体制の構築、感染防止対策、ワクチン接種を懸命に進めてきた結果、新規感染者数や病床の状況は大幅に改善し、先般、緊急事態宣言等の解除になりました。これから冬に向けて次の感染の波に備えると同時に、感染対策と日常生活を両立していくことが何より重要になります。新型インフルエンザ等対策特別措置法の担当大臣として、関係大臣と協力し、わが国の健康危機管理の強化に向け全力で取り組んでまいります。
 TPP11協定については、自由で公正な先進的ルールに基づく経済圏を形成するものであり、本協定を通じた自由貿易の推進やデジタル化や環境問題などの新しい課題への対処は、コロナ危機からの経済回復においても重要であると考えています。そのため、引き続き未締結の署名国による協定の早期締結を促すとともに、英国の加入手続きについて加入作業部会議長として各国と協力しながら対処します。
 また、本年のTPP委員会議長国として、TPP11参加国間の協力を主導し、TPP11の着実な実施および高いレベルを維持した拡大に取り組んでまいります。
 デジタル市場のルール整備については、様々なデジタル市場においてデジタルプラットフォームによる寡占が進む中、本年4月に運用を開始したデジタルプラットフォーム取引透明化法の着実な執行や、スマートフォンの基盤となるシステムなどに関する競争環境の強化等を進め、イノベーション等の両立にも配慮しながら競争環境の整備に向けて引き続き取り組んでまいります。
 公益法人制度については、民による公益の増進を担う公益法人は活力あふれる共助社会を支える重要な存在です。公益法人の活動がさらに活発になるとともに、公益法人の自己規律の確立や適正な法人運営の確保が図られるよう、引き続き公益認定等委員会と協力し取り組んでまいります。
 いずれも国民の皆さんの生活に影響を与える重要な課題だと思います。政策を総動員し、精一杯取り組んでまいります。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)大臣、このたびは初入閣、ご就任おめでとうございます。
 新政権最大の課題であるコロナ対策に加えて、感染拡大に伴って未だ厳しい状況が続いている経済対策を担うことになりました。コロナ対策では省庁との連携や継続性など課題は多いですが、岸田総理が掲げる中間層への所得分配や新しい資本主義担当ですが、経済財政政策も含めて特に力を入れて取り組みたい政策などがあれば、就任の抱負と併せて改めてよろしくお願いいたします。
(答)就任の抱負につきましては、先ほど冒頭で申し上げたとおりでございます。
 総理からは、新しい資本主義の実現、新型コロナウイルス感染症からの経済の正常化と財政健全化、また、中間層という意味も含めてですが、公的価格の在り方の抜本的見直し、そして、今おっしゃったように感染対策と経済活動の両立、さらには、新型コロナウイルス感染症の安心確保のための取組みの全体像を提示すること、さらには、健康危機管理の抜本的評価など、これら重要課題に取り組むように指示を受けてございます。
 それは、いずれも国民の皆さんの生活に大きな影響を与える重要な課題でありますので、岸田内閣の一員として全ての重要課題に対して全力で取り組んでまいります。
(問)2点伺います。まず、岸田総理は昨夜の会見で、「新しい資本主義実現会議」というのを設置すると表明されました。この会議の設置に当たって、既存の成長戦略会議をどうするのか、これを衣替えする形で設置するのか。あと、有識者名簿はどういう形で要請するのか。また、今後、スケジュール的に総選挙もありますが、どういったタイミングでこの会議を発足させるのか、現時点での見通しをお願いいたします。
 もう1つ、財政健全化の取組みですが、現在、国と地方の基礎的財政収支を2025年度に黒字化する目標を掲げていますが、岸田総理は総裁選の中で、「財政健全化の旗は降ろさないけれども、必要であれば先延ばしも考えなければならない」、こういう趣旨のご発言をされたと思います。また、PBの黒字化目標の凍結を表明された高市さんが政調会長に就任されています。6月に閣議決定した骨太方針では、今年度内に今後の目標の達成意識について再確認するという方針を掲げていますが、現在、この目標について新内閣での位置づけはどう考えていくのか、お考えをお願いいたします。
(答)まず、最初の方ですが、新しい日本の資本主義の話ですが、これと後の方の質問は非常にリンクしている話なので、まずその資本主義の方からお答えしますと、岸田総理がおっしゃっているように、成長と分配の好循環、これが大事だということをおっしゃっているわけです。これを「新しい社会の開拓」という形のコンセプトとして、新しい資本主義の実現に向けて取りまとめの任に当たるようにとご指示をいただいたところです。
 繰り返しになりますが、「成長がなければ分配はない、分配がなければその次の成長はない」、このように総理はおっしゃっていますので、これは相当広範に検討していかなくてはいけないと思います。しかも、これを一体で議論していかなくてはいけないということになりますので、その建て付けについては総理の考えというものをよくすり合わせして、ご相談しながらこれからしっかりと、そうはいっても時間を掛けずに、可及的速やか立ち上げに向かって動いていく所存です。
 それから、それと関連してプライマリーバランス等々の財政健全化との絡みでありますが、これも繰り返しになりますが、「『経済再生なくして財政健全化なし』との考えの下、新型コロナウイルス感染症からの経済の正常化を図りつつ、財政健全化を目指す」という指示を総理から頂いたところでありまして、これが基本方針です。
 私はこの指示に基づきまして、まずは躊躇なく機動的なマクロ経済財政運営を行っていく所存です。経済を再生して、その後に財政の健全化を実現していくという、この順番を間違えずに、総理とこれもまた密に相談しながら進めたいと思います。
(問)新しい資本主義実現会議、先ほど質問を受けたと思いますが、総理はこの他にも昨日の会見で、例えばウィズコロナの検討会議といいますか、新しいのを立ち上げたいというお話だとか、看護師だとか保育士の公的給与を検討する検討委員会というのを立ち上げたいというお話をされていて、いろいろ会議が立ち上がる構想を話されていますが、どういう役割分担でやっていかれるのか、それぞれの会議、今考えていらっしゃる方向性についてお話しいただけますでしょうか。
(答)新しい資本主義の会議を作りたいということは、もう総理の方からご発言があって、その指示を受けておりますので、それを中心に、まずどのような形のものにしていくかということ、まずはこれを総理と最もスピーディーにやらなければいけないことだと思っております。
 それから、ウィズコロナでの社会、どのような形で進めていくかということについても、もちろんこれは会議体をつくるかどうかということは別にして、総理の方から、新しいウィズコロナの状況で様々経済活動を進めていかなくてはいけないと。そのためには注意深くこれを進める必要がありますので、多くの有識者の皆さん、あるいは現場の方々からの声というものを幅広く聞けるような、それは会議体と言うのかどうか知りません、そういうような形の進み方をしなくてはいけないというご趣旨で総理はおっしゃっていると思いますので、それに従ってどのような形がいいかということ、これもまた総理とまだ詰めなくてはいけない話だと思っています。
(問)新型コロナ対策について伺います。これまでの新型コロナ対策の中で、大臣が最も問題が、課題があると思われている点はどのような点なのか。また、大臣は就任されるに当たって、改めていきたいところなどが具体的にありましたら教えてください。
(答)冒頭に申し上げたように、岸田内閣の一員として、総理がお示しになられたことを私はこれからの抱負という形で皆さま方に冒頭の発言でお話しさせていただきました。また、総理がお示しになられた基本方針、これが内閣の基本方針として明らかになっておりますから、その中でしっかり汗をかかせていただきたいと思っております。
 コロナ対策に関しては、それぞれの様々なご評価があるということは、もちろん私も認識しておりますが、全力でこれまで政府一丸となって、もちろん政府だけではありませんが、政府の立場として政府一丸となって進めてきたものでありまして、これを一寸の隙もつくらずに継続しながら対処していくということが非常に重要だと考えております。
 そういう意味からも昨日、総理から、私と後藤厚生労働大臣と堀内ワクチン担当大臣と、この3人に対して、今までやってきたこと、そしてこれからやらなくてはいけないこと、この全体像をしっかり整理して示せと、このようなご指示がございましたから、その中で皆さま方に対してもしっかり、皆さま方に対してというのは、すなわち皆さま方を通して国民に対してそれを示していくと、そんなことになるのだと思っておりまして、現段階においてその成果物があるわけではありませんから、この作業もしっかり進めたいと思います。
(問)経済について2点伺いたいですが、岸田総理は総裁選で、「令和版所得倍増計画」というのを柱に打ち出されていたと思うのですが、この所得倍増というのは、要するにGDPの倍増を示すのかというところと、あと何年程度で実現を目指すかというのを伺いたいのと。2点目は、それに関連して、倍増計画というのは、総裁選で「新しい資本主義」というワードは出てきたのですが、倍増計画については出てきませんでした。あくまでもそれは総裁選での売り文句であって、例えば政府として目指すものとはまた別という認識なのでしょうか。
(答)「令和版所得倍増計画」については、それと「新しい資本主義」とは、当然これ、密接不可分なものだと思います。
 総理からは、これも繰り返しになりますが、岸田政権の課題は成長と分配の好循環による新しい資本主義構築であると。成長なくして分配はできないと、同時に、分配なくして次の成長はない。これを総理は繰り返しおっしゃっていますので、その文脈の中で所得倍増も新しい資本主義も、どのようなものを皆さんにお示ししていくかということが語られるものと認識しております。いかに格差を埋めて中間層の所得を拡大していくのか、これを広範に検討しなくてはいけないと思っております。
 他方で、これから再び経済を動かすためには成長がもちろん重要ですから、成長戦略もしっかり考えていかなくてはいけないと。成長と分配は一体的に、ですから検討しなくてはいけないものと考えております。
 このことを推進するために、総理直属の「新しい資本主義実現会議」を作るとなっているわけですから、この会議体を1日も早く立ち上げて、その中でしっかり中身についての議論が進められるものと承知しております。
(問)初入閣おめでとうございます。基本的なところを質問させてください。山際大臣はコロナとか経済再生など様々な担務を抱えていらっしゃいますが、この職責をご自身としてどのように受け止めていらっしゃるのかというのと、ご自身がどのような持ち味を持っていて、それをどう生かしていくか、抱負になるかもしれませんがお聞かせください。
(答)担務が非常に多いというのはおっしゃるとおりで、本当に気をさらに引き締めて、私の持てる力を全てこの国のために捧げて、一歩一歩確実に課題解決に向けて進んでいかなくてはいけないと思っております。
 私自身がどういう持ち味があるかというのは、これは私自身というよりは、仕事を一緒にする中で、総理をはじめ皆さんでご判断していただけることだと思っております。少なくとも総理からはこの担務をやれと、そのようにご指示いただいたわけですから、当然その担務をやる人間だという、そういう総理の思いだという認識でございますので、それに応えるということが、すなわちそれが国民に応えるということだと思いますので、このことを精一杯やってまいりたいと思っています。
(問)入閣おめでとうございます。新型コロナ対策について伺います。現在、感染状況は小康状態にありますが、去年と同様に冬の時期に向かって感染が増えてきます。第6波に対してどのように備えていくのか、これがまず1点。また、昨日の総理の会見でも出ていましたが、緊急時における人流の抑制、あるいは病床確保のための法整備、こういった法改正についてどのようなスケジュール感で検討していくのか、この2点をお願いいたします。
(答)第6波に関しては、もちろん第6波に限らず、総理もこのコロナウイルス感染症そのものがこの世の中からなくなるということはない、そういうご認識です。すなわち、コロナウイルス感染症に限りませんが、感染症とは人類は共存し続けていかなくてはいけない。そういう出発点、そういう認識に立って岸田内閣は進んでいるものと認識してございます。
 ですから、当然ながら、現体制がどういうものであるかということをまずは3大臣で整理して、全体像をお示しするということから始めます。それと同時に、当然、今まで菅内閣の下で機能してきたコロナ対策に関しては、これは何度も申し上げますが、一寸の隙もないように継続してそれを続けるということが大切です。ですから、岸田内閣でもきちんとそれはやり続けさせていただいて、第6波に対しての備えというものは憂いないようにしてまいりたいと思っています。
 それと、特措法を改正するかどうかという話については、まずは全体像をお示しし、整理し、何が足らざる部分なのか、これから何をするべきなのか、我々としては検討した結果を、まずそれに基づいて、その先にあるものだと思うので、今のところで予断を持って特措法をいついつまでに改正するというような形ではないと思っております。
(問)コロナ対策で、全体像を取りまとめるとのお話でしたが、それはいつ頃を目処に取りまとめるお考えでしょうか。また、3大臣でというお話がありましたが、それ以外にこれまでの分科会ですとか、公衆衛生の専門家ですとか、医療現場の声というのは何らかの形で反映させるお考えがあるのかという、専門家との向き合い方も含めてお考えをお聞かせください。
(答)いつまでというのは、いつまでですと答えられるような類いのものではないというのはご理解いただけると思うのですが、そんなに時間を置くつもりは当然ございません。また、事務方のほうで、これまで何をやってきたかということに関しては、当然それは整理しながら物事を進めてまいりますから、これから作業をゼロから始めますという段階ではないと思います。
 ですので、それらを3大臣でしっかりすり合わせをして、総理がおっしゃっているように、それを分かりやすく全体像として国民全体で共有できるものにしていかなくてはいけないものですから、それをやらせていただきたいと思っております。
 もちろん、これから先も感染症に対して専門家のご意見がなく対処できるとは思いません。ですから、当然、感染症の専門家の皆さんのご意見というのは、これから先も重要になります。一方で、このコロナウイルス感染症とそれがある中での経済活動、新しい日常というものをどのようなものにしていくかということは両立させなくてはいけないものですから。そうすると、そちらの分野における専門家、有識者の皆さんともこれは様々な意見交換をしなくてはいけない、そういうステージに入っていると思います。
 ですから、そこは専門家の皆さんというのは、感染症の方々のみならず、社会全般で必要な方々も含めて、かなり拡充させて様々なご意見をいただけるような、そういう体制を作れということだと思いますので、その総理のご指示に従って動きたいと思っています。
(問)新型コロナウイルス対策について伺います。西村大臣に引き続いての担当となりましたが、役割の変更というのは何か考えられていらっしゃるのでしょうか。また、後藤厚労大臣や堀内ワクチン担当相との役割分担をご自身はどのように考えていらっしゃいますでしょうか。
 もう1点なのですが、経済対策について、規模感や必要と考えられるような中身、それについてもご所見をお願いいたします。
(答)後のほうからお答えしますと、経済対策はやらなくてはいけないということを、もう総理がおっしゃっていますから、その中身に関して我々はこれから早急に詰めていかなければいけないと思っているのですが、その規模感や時期に関して、まだ今、言えるような状況にないということも、これもまたご理解いただけると思います。
 とはいえ、年を越してみたいな話ではありませんから、当然、その前に可及的速やかにお示しできるようにやりたいと思っています。
 コロナ対策に関しては、総理から明確に、これまでコロナ対策に携わっていた各大臣の担務を次の大臣に引き継ぐという形にしていますから、私としては、もちろん西村大臣がやっていたことをそのまま引き継いでこれからやるということです。後藤大臣は厚生労働大臣として厚生労働省がやってきたこと、ワクチン担当の堀内大臣はワクチン担当の大臣としてということだと思います。
 その上で、全体像を整理して、それでお示しする中で、何か担務に、あるいは役割分担に変化が生じるということがあれば、これはそれこそ全体像を総理も含めて、総理が中心になりますが、どのように整理したほうが国民にとって分かりやすいかと、これを総理がお考えになりながら、もちろん相談させていただいて変化していく可能性は排除しませんが、まだちょっと先の話に今のご質問に対しての答えはなると思うので、現段階においては3人とも引継ぎをきちんとして、その流れでしっかり仕事をしていくということだと思います。
 どうもありがとうございました。

(以上)