棚橋内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和3年10月4日

(令和3年10月4日(月) 9:46~10:11  於:中央合同庁舎第2号館18階第4会議室)

1.発言要旨


 皆様、おはようございます。先ほどの閣議におきまして、内閣総辞職が決定されました。本年6月25日より、菅内閣の一員として、国家公安委員会委員長、防災担当大臣、国土強靱化担当、海洋政策担当及び領土問題担当大臣の任に当たり、国と国民を守るという強い思いで全力で取り組んでまいりました。本日をもって離任いたしますが、皆様には大変お世話になりました。ありがとうございます。
 私は、就任以来、日本が「世界一安全な国」であり続けるために、東京オリンピック・パラリンピック大会の安全かつ円滑な開催に向けた諸対策、特殊詐欺等への対処、サイバー空間の脅威への対処、デジタル化施策の推進、交通事故防止対策、警察の災害対処能力の向上等に取り組んでまいりました。
 在任中、特に印象に残りましたのは、まず、東京オリンピック・パラリンピック大会について、国民の皆様方の御協力を賜りながらですが、情報収集・分析、水際対策、警戒警備、交通対策等の諸対策を推進し、開催国としての治安責任を全うすることができたことでございます。何よりも、国民の皆様方の御理解を頂いた上ではございますが、猛暑の中、現場でこれらの活動を懸命に行う警察官の姿に感銘を受ました。また、それをサポートする全ての警察職員の皆様方に改めて敬意を表します。
 就任早々残念なことに、千葉県八街市で大変悲惨な交通事故が発生いたしました。これらを踏まえ、「通学路等における交通安全の確保」と、何よりも「飲酒運転の根絶」のための緊急対策を推進したこと、特に、かつてに比べて飲酒運転の検挙数は減っていると理解しておりますが、その分、より悪質かつ常習的な飲酒運転が残っているのではないかという問題意識の中で、施策を推進させていただきました。
 また、G7内務・安全担当大臣会合に出席し、主要テーマの一つである児童の性的搾取対策について、我が国としてもオンライン上の対策を更に強力に推進するために、関係府省庁との協議や警察における取組の一層の推進を図ることとしたこと等が挙げられます。
 また、新型コロナウイルスの感染が拡大する中で、国民の安全・安心の確保のため、警察職員が、感染防止に配意しながら警察活動に懸命に取り組んでいることについて、国家公安委員会委員長として大変誇らしく思っております。
 何より、治安の維持は国家・社会の最も基本的な要請であり、国民が警察に寄せる期待には大きなものがあります。国民が何より求めるのは、安全な日本国、安全な社会、治安の維持でございます。日本が「世界一安全な国」であり続けるために、後任の大臣及び全国の警察職員の皆様方におかれましては、一層の奮闘努力をお願いする次第でございます。
 防災は国家の基本的かつ極めて重要な任務であると認識し、これまでも議員として取り組んでまいりましたが、今回、政府一丸となって災害対策に全力を尽くしてまいりました。在任中には、残念なことではございますが、7月から8月にかけての大雨や、宮城県・福岡県に統計開始以来初めて上陸した台風など、今年の夏も自然災害が相次ぎ、熱海市における土石流災害をはじめ、各地で被害が報告されました。これらの災害によりお亡くなりになられた方々のご冥福を心からお祈り申し上げると同時に、被災された方々にお見舞い申し上げる次第でございます。
 政府としては、人命第一の方針の下、被災者の取組を全力で支援するために、「できることは全てやる」という姿勢の下、被災者の生活と生業の再建に全力を尽くしてまいりました。7月3日に発災した熱海市においては、7月6日に現場確認を行ったところでございますが、警察・消防・自衛隊、そしてさらには海上では海上保安庁の職員の皆様が安否不明者の捜索を行っておりましたが、改めて土石流災害の被害のすさまじさを痛感すると同時に、この災害に限らずではございますが、今申し上げた方々、さらには民間の方々も含めて、猛暑の中、あるいは雨の中、安否不明者の捜索、被災者の救援、こういったことに全力で当たっていらっしゃった皆さま方に心から敬意を表し、また7月6日に現場に赴いたときに、改めて感謝と敬意と感動を覚えた次第でございます。
 また、8月に現場の確認に参りました佐賀県の六角川の氾濫被害については、2年前に引き続きの度重なる被害、これに対する現地の悲痛な声をお聞きし、防災対策の取組への思いを新たにした次第でございます。
 また、その際には長崎県雲仙市にも参りましたが、警察、消防の方々を中心に、とにかく安否不明の方々の捜索のために、当然のことながら重機等は使えない段階でしたので、疲労困憊しながらも交代制で必死になって安否不明者の方の命を救いたいという思いで活動している、そういった姿に心から敬意を表した次第でございます。
 今夏の一連の災害では、避難情報の出し方、盛り土による被害の防止など、様々な課題が明らかになったところでございます。防災対策については、「事前防災」の考え方に立って、災害対応のたびに得られる教訓を一つ一つ検証し、不断の見直しを進めることによって、亡くなられた方の命は残念なことに帰ってまいりませんが、今後少なくとも、少しでも被害を軽減することができる、そういう思いでございまして、例えば今申し上げた盛り土による問題の対応、9月30日に関係会議を開催しております。また、主としてこれは地方自治体になりますが、安否不明者の情報の発出による捜索活動、人命救助活動に対する一人でも多くの方を救うという思いで適切にやっていくこと。ただし、プライバシーの問題等、この問題についても一定の方向性を指示したところでございまして、こういったものをさらに一議員としても精いっぱいサポートさせていただきたいと思います。台風シーズンは続きますので、引き続き緊張感を持って万全の危機管理体制の確保に努めていただきたいと思っております。
 そして、今の防災とちょうど関連する国土強靱化につきましては、今年が初年度である「5か年加速化対策」、これらをはじめとした国土強靱化の取組を関係省庁と連携して推進いたしましたが、来年度の強靱化予算の概算要求について、今年度の予算を大幅に上回る約5兆7千億円に加え、5か年加速化対策を推進するため事項要求を行うことを内容とする要求を取りまとめました。今後とも国民の皆様の生命・財産や安全・安心な暮らしが守られるよう、災害に屈しない強靱な国づくりが進むことを期待し、また一議員としても全力で応援をして活動してまいりたいと思います。
 海洋政策については、海洋の安全保障、カーボンニュートラル、北極海航路の活用など多くの重要な課題がございますので、関係省庁と密接な連携の下、海洋政策を推進してまいりました。これらの活動をさらに一議員としても続けてまいりますが、新たな担当大臣におかれましては、さらにこれを続けていただきますようお願いする次第でございます。
 そして、国民の生命・財産、国民の住む場所である領土・主権問題について、領土・主権をめぐる正確な理解がまず国民に、そして海外にも浸透するよう努力してまいりました。新型コロナによる制約がある中ではございますが、領土・主権展示館を拠点に幅広い層に関心を持っていただくため、名古屋での地方巡回展、夏休み特別イベント「親子で学ぼう、領土のこと」を開催したなど、また竹島解説動画の公開など、ウェブ上の情報発信を強化してまいりました。
 そして、これまた我が国にとって非常に重要な重要土地等調査法でございますが、本年6月に成立いたしましたので、この施行に向けた必要な概算要求や下位法令の検討等、準備を着実に進めてまいりました。法の施行に向けたバトンをしっかりと引き継ぎ、法施行後、速やかかつ着実に土地等利用状況調査等が進むことを期待しております。
 FATFの勧告関係法整備検討室が8月31日に設置されておりまして、関係省庁と連携してマネロン・テロ資金供与・拡散金融対策の強化に対する法整備の検討を着実に進めておりますが、これがさらに着実に進んでいくことに期待をしております。
 カジノ管理委員会は、IRの枠組みの中ではございますが、昨年1月の発足以来、カジノ管理委員会規則の策定等に向けた審議や検討を行い、本年7月に関係政令やカジノ管理委員会規則を策定したところでございますので、引き続き厳格なカジノ規制の実施に向けた着実な取組を期待しております。
 終わりに、在任中、ご厚誼をいただきましたことに改めて感謝し、この在任中の私の仕事ぶりについては、皆様方、そして国民の皆様方が評価されることではございますが、残念なことに、災害によって一人の死者も出したくないという思いはございましたが、先ほど申し上げたように、大雨や台風でお亡くなりになられた方や被害を受けられた方がいらっしゃいますので、改めてご冥福とお見舞いを申し上げると同時に、今後ともこの観点から政治家として最大限努力をしてまいりたいと思います。改めてもう一度、皆様方のご厚意に深謝いたしまして、退任のごあいさつとさせていただきます。本当にありがとうございます。

2.質疑応答

(問)一点お願いします。警察の取組について、心残りなことや後任に引き継ぎたいことがありましたら、お願いいたします。
(答)6月25日に就任いたしまして、御承知のようにオリンピック・パラリンピックの警備の直前でございましたので、ショートリリーフではございますが、大変な緊張感を持って就任をいたしました。サイバー攻撃等の被害が現時点においては全て確定したとは言えませんが、警察の皆様方の、本当に言葉に表せないくらいの誠心誠意・一生懸命な御努力の中で、オリンピック・パラリンピックの警備は、開催国としての治安責任を全うできたと思っております。
 一方で、大変残念なことに、就任直後に千葉県八街市で児童5人が死傷されるという本当に悲惨な交通事故が発生をいたしました。私も現場を確認し、飲酒運転と交通事故の因果関係について、亡くなられた被害者の方々の命は帰ってはこられませんが、その方々の子供たちの無念の思いと遺族の無念の思い、けがをされたお子様たちや御家族の無念の思いをとにかく晴らしたいという思いで必死になって捜査をしている捜査関係者の激励に伺いました。今、起訴されておりますが、いわゆるアルコールを原因とする罪で起訴できたのも、捜査関係者の皆様方の御努力だと思っております。
 ただ、本事故を踏まえ、先ほど少し申し上げましたが、検挙件数では、いわゆるアルコールによる危険運転、飲酒運転は減っていると思いますが、私個人の認識かもしれませんが、例えば、常習的に飲酒をしながら運転するような、より悪質な方々が残念なことに残っています。そのことを踏まえた様々な対策の中で、いわゆる白ナンバーの事業所において、安全運転管理者を選任していただき、何よりも安全運転管理者は、運転者の運転前はもとより、運転後においても、アルコール検知器を用いて酒気帯びの有無を確認し、記録しなければいけないというような法令改正を行う手続を進めたことが印象に残っております。
 先ほど申し上げましたように、亡くなられた方々の命は帰ってまいりませんが、少しでも、亡くなられた子供たち、あるいは関係者の皆様の無念の思いに応えることができていればと思っている次第でございます。
 また、改めて、東京オリンピック・パラリンピック大会においては、大会期間中、国民の皆様の御協力を頂きました上でですが、全国警察が一丸となり、5万9,900人、約6万人の体制で諸対策を行い、開催国としての治安責任を全うすることができたことが印象に残っております。御承知のように、皇宮警察も含めた警察庁はもとより、全国都道府県警察も合わせた約30万人弱の警察職員の約6人に一人にこのオリンピック・パラリンピックの警備等に当たっていただき、本当に猛暑の中、あるいは雨の中、一生懸命頑張っていただいた結果、また、国民の皆様方にも、交通の混雑緩和やテロ防止のための警戒活動等に御理解と御協力を頂き、それが警備の完遂になったと思っております。この場をお借りして、御礼申し上げると同時に、今申し上げた警察官・警察職員の活動に、国家公安委員会委員長として、大変誇らしい思いを感じた次第でございます。
 ただ一点、特に道府県警から応援いただいた警察職員の方が、勤務時において大変な緊張と、肉体的、精神的な疲れの中で休養していただくに十分な宿舎ではなかったのではないか。それは警察が悪いわけではなくて、私ども政治家が国民の皆様方にきちんと説明し、治安に携わる方は現場でこれだけ頑張っていただいているわけですから、当然365日24時間眠らずに、十分な休養も取らずには活動ができませんので、その部分において、私自身の力のなさを痛感し、今後議員としても、警察職員の皆様方が全力で国民の皆様方の命と財産を守る治安責任を果たせるように、そういった処遇面をより見直して、警察官が仕事に邁進できる環境を整えてまいりたいと思っております。
 一方で、やり残したことの一つとして、先般9月にG7内務・安全担当大臣会合がございましたが、主要テーマの一つとして議論した児童の性的搾取対策について、特に我が国おいては、残念なことに直接的な有形力による問題もございますが、それと同時にオンライン上の対策を更に強力に推進する必要があると改めて深く痛感した次第でございます。関係府省庁との協議や警察による取組の一層の推進を図ることとしたものの、途中で退任することになりますので、この点については、とにかく子供たちの思いを考え、子供たちを守るために、新委員長の御指導の下、引き続き、取組が推進されることを期待する次第でございます。国家公安委員会委員長としては、以上でございます。
(問)少し気が早いのかもしれませんが、岸田新内閣の顔ぶれが今朝の報道メディアの方に出ているのですが、こちらの顔ぶれを御覧になった御所感と新内閣への期待、その辺りの御所感を頂戴できればと思います。
(答)私はまだ国家公安委員会委員長であり、また防災担当大臣として、認証式までは、これに対して責務を果たしていかなければいけない立場でございますので、まず大前提として、その点について、現時点でお答えする立場ではございません。ただ、一方で、報道されているところによると、正に岸田カラーをいかした適材適所の内閣ではないかと期待しております。
 また、先ほど国家公安委員長としてはと申し上げましたが、防災担当大臣としては、先ほど申し上げたように、残念なことに熱海の土石流から始まって大雨や台風のシーズンでございまして、先週の木曜日、第2回の台風16号の警戒会議を開き、人の命に関わるようなことはございませんでしたが、特に災害発生の危険があるときには、防災無線と警察無線の隣で寝て、携帯電話も枕元に置きながら2時間おきに起きてチェックするというような状況でございまして。とにかく緊張感を持つためには、逆に睡眠を取っている間も常にチェックができるような態勢でおりましたが、これで何とか、先ほど申し上げたように、お亡くなりになられた方がいらっしゃいますので職責を全うしたとは言えないのかもしれませんが、少なくとも自分の人間としてやれるだけのことはやったと思っております。

(以上)