棚橋内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和3年9月17日

(令和3年9月17日(金) 10:57~11:07  於:中央合同庁舎第8号館5階共用会議室B)

1.発言要旨


 まず、台風第14号は、本日午後には西日本に上陸し、明日にかけて西日本から北日本の広い範囲で大雨となる見込みです。土砂災害に厳重に警戒し、低い土地の浸水、河川の増水や氾濫に警戒が必要です。
 国民の皆様方におかれましては、お住まいの地域のハザードマップを改めて確認するとともに、最新の気象情報や避難情報に特に注意してください。台風の接近や大雨の予想される地域では、不要不急の外出を控えるとともに、用水路や海岸、急な斜面などには絶対に近づかないようお願い申し上げます。
 政府といたしましては、9月10日に引き続き、昨日も関係省庁災害警戒会議を開催し、私も出席し、人命を最優先として十分な体制確保、地方自治体や関係機関などへの注意喚起、避難の判断に係る助言など対応を確認し、指示をしたところです。引き続き警戒態勢に万全を期してまいります。
 次に、昨日、災害時における安否不明者の氏名等の公表に係る通知を、消防庁と連名で地方公共団体宛てに発出いたしました。7月に大変残念なことに熱海市で土石流が発生した際には、静岡県災害対策本部が熱海市や警察とも調整し、安否不明者の氏名等の公表を行い、人命の救助活動の効率化・円滑化につながりました。今回の通知は、この事例も踏まえ、災害時における安否不明者の氏名等の公表について留意事項を周知し、都道府県と市町村等が連携して平時から検討しておくようお願いするものです。
 台風シーズンは続きますので、地方公共団体の皆様におかれましては、引き続き人命最優先で対応していただきたいと考えております。
 私からは以上でございます。

2.質疑応答

(問)今いただいた災害時の安否不明の関係で、2点質問させてください。
 改めて氏名公表を行うに当たって留意事項を周知されたということで、どのような効果が期待できるとお考えでしょうか。
(答)まず、ご承知のように、7月3日に発生いたしました熱海市の土石流による災害の安否不明者の捜索において、氏名の公表が、今申し上げたように捜索活動の効率化・円滑化につながったと思っております。本通知は、これらの事案も踏まえた上で、災害時における安否不明者の氏名等の公表について都道府県と市町村等が連携して平時から検討しておくことにより、災害が発生した場合の人命の救助活動の効率化・円滑化につながることを期待して出させていただいたものでございます。
 また、本年5月の個人情報保護法改正により、従来、それぞれの条例で定められていた地方公共団体による個人情報の取り扱いについて共通ルールが定められたところであり、この改正規定は2年以内に施行されることですので、内閣府としても令和4年度までに統一的なガイドラインとなる、災害に係る個人情報取扱指針の策定を行う予定でおります。この中で安否不明者の氏名等の公表についても、きちんと検討してまいりたいと思います。
(問)もう一点、全国知事会のほうから、国に統一した氏名公表基準を策定するようこれまで求められていましたけれども、今回の留意事項はそれに当たるのでしょうか。また今後の氏名公表に関わる国の対応の方針についてお聞かせください。
(答)しっかりと対応させていただいたと理解しております。と申しますのは、全国知事会からは、お話がございましたように、令和2年11月に、災害対策基本法の改正により氏名等の公表を行う権限や根拠を明確にすべきという要望はいただいております。しかし一方で、その後、各都道府県知事さんの中で、正式な文書はいただいておりませんが、それぞれの地域事情によって少し議論が統一されたものでない形になったとも伺っております。
 それらを踏まえた上で、氏名等の公表については、災害の状況や被災者の事情等に応じて、各地方公共団体がそれぞれの個人情報保護条例等に基づき適切に判断すべきものと考えており、その旨を知事会にもお伝えしてきたところでございます。
 今回の通知においては、各地方公共団体が適切に判断するにあたっての留意事項を周知しており、都道府県が市町村等と連携して平時から検討しておくようお願いしつつ、公表は都道府県が行うことが基本となることを示しており、今申し上げたように、全国知事会の要望の趣旨に沿ったものだと考えております。
(問)先ほどの質問にかぶる部分もあるんですけど、今回、安否不明者の氏名公表について国が一定の考え方を示されたわけですけれども、災害時では同様に死者とか犠牲者の氏名公表の在り方も課題としてあると思います。こちらについて、国が今後何か考え方を示すなどの対応はご検討されていますでしょうか。
(答)当然のことながら、一つの考えるべき法益としてプライバシーというのがございます。その中で今回の通知は、救助活動の効率化・円滑化に資する安否不明者の氏名等の公表を対象としておりまして、お亡くなりになった方、死者の公表は対象としておりません。
 災害時における死者の氏名等の公表については、安否不明者とは異なり、救助活動の効率化・円滑化に資するものではございません。一方で内閣府としては、何といってもご遺族のご意向、被災者の事情等に応じて当該情報を保有する自治体が適切に判断すべきものだと考えておりまして、今申し上げたようにご遺族のご意向や被災者の事情等に応じて自治体が適切に判断すべきものだと思っております。
(問)同じく氏名公表の関係でお伺いします。
 市町村の自治体より広域になった場合は、都道府県がおそらく氏名公表について集約して調整するということだと思うんですが、例えば都道府県をまたいだ被害、南海トラフのような場合には、国がそのあたりの調整役を担うのか、それともそこも都道府県ごとの日頃からの調整をもって対応されるのか、そのあたりの大臣のお考えをお聞かせ願えればと思います。
(答)現時点では、先ほど申し上げたように、都道府県のほうに通知を発出しております。そしてまた、それぞれの都道府県において、昨年に統一した要望を文書でいただいておりますが、ある程度、地域事情によって異なる部分もあると思っております。そういう意味では、現時点では各都道府県が判断すべきことだと思いますが、一方で今おっしゃったように南海トラフ等、広域の場合にどうするかということも検討はしていきたいと思っております。

(以上)