棚橋内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和3年7月20日

(令和3年7月20日(火) 11:09~11:22  於:中央合同庁舎第8号館5階共用会議室B)

1.発言要旨


 それでは、まず私から冒頭、令和3年7月1日からの大雨による被害につきましては、本日8時30分時点で、死者18名等の人的被害、多数の住家被害が確認されております。7月3日に土石流が発生した静岡県熱海市のほか、中国地方、九州地方、四国地方など広範囲で住家被害や土砂災害が報告されております。改めまして、お亡くなりになられた方々にお悔やみを申し上げるとともに、被災された全ての方々に心からお見舞い申し上げます。
 本日から赤澤副大臣が現地に赴いております。本日は島根県、明日は鳥取県において土砂崩れ等の被害を直接確認するとともに、知事や市長、町長等との意見交換を予定しております。政府としては、引き続き被災地の状況を丁寧に把握しながら、被災者に寄り添った支援を進めてまいります。
 次に、領土問題担当大臣として、明日午前、領土・主権展示館を視察いたします。我が国が抱える領土・主権問題について認識を深めるとともに、何よりも今後の情報発信の在り方を考える機会としたいと考えております。
 なお、日程や取材に関わる詳細については、領土室からご案内をさせていただきます。
 さらに、本日の閣議において、令和3年警察白書を配布いたしました。
 本年の白書では、「東日本大震災から10年を迎えて」、「サイバー空間の安全の確保」等四つの特集を組み、東日本大震災に関する活動とその教訓を踏まえた取組、サイバー空間の脅威の現状と警察の取組等について紹介しております。
 警察としては、災害の激甚化・頻発化や、サイバー空間の脅威の深刻化等の現下の治安情勢を踏まえ、今後とも、国民の安全・安心の確保のため、取組を推進してまいります。
 私からは以上でございます。

2.質疑応答

(問)土石流が発生した熱海市において、土石流の発生前に避難指示が出ていなかったわけですけれども、これについていろいろ報道もありまして、いろいろ難しいケースだったという専門家の声も多数あるんですけれども、これを国として、5月に制度の改正があったばかりですけれども、どう見ていらっしゃるのか。避難情報の解除のタイミングとか対象の範囲、そういうのも踏まえて、大臣、何かご所感があれば、お願いします。
(答)まず、7月1日の関係省庁災害警戒会議の中で私のほうから、人命最優先第一を原則に、いわゆる空振りを恐れることなく、躊躇なく適切な措置をと呼び掛けたところではございますが、特にこれから台風シーズンも控えておりますので、災害時において住民が危険にさらされることのないよう、新しい避難情報に基づいて、躊躇なく避難指示などを発令していただくよう、市町村に引き続き周知していくことが重要だと考えております。
 ただ、現時点では行方不明者を一日も早く捜索することとともに、被災された方々の生活支援や復旧・復興に全力で取り組むことが最重要と考えておりますので、今後、関係者から当時の状況等を聞き取った上で、必要な対応を検討してまいりたいと思います。
 また、もう一つご質問がございました避難情報の解除につきましてですが、令和3年5月に内閣府が策定した「避難情報に関するガイドライン」において、その基本的な考えをお示ししたところでございます。本ガイドラインでは、土砂災害が発生した箇所等について、周辺斜面等が不安定な状況であることも考えられることから、崩壊の拡大や新たなクラック等の有無など、現地の状況の確認等を踏まえた上で慎重に解除の判断を行うものとされております。熱海市において慎重に判断がされるものと理解しております。
 いずれにいたしましても、防災対策は不断の見直しが必要ですので、今回の災害から得られた教訓や経験を亡くなられた方々の慰霊の思いとともに、また被災された方々やご家族に対するお見舞いの気持ちとともに、今後の災害対応に活かしてまいりたいと思います。
(問)全国知事会が昨日の会合で、熱海市の土石流災害に関して、盛り土の崩落が被害を拡大させたということも踏まえて、盛り土に関する全国統一の基準とか規制を国に求めるということでまとまりまして、本日午後に棚橋大臣のところに要望書を提出されると聞いているんですけれども、防災などの観点から統一的な規制の必要性について、大臣のお考えを教えてください。
(答)全国知事会においては、ご承知のように、これまで何度か議論をしていただいて、当初は一定の方向で意見の集約が見られたものの、47都道府県において地域性等によって見解が完全には一致を見なかったと理解しております。その上で、きちんとお話を伺った上で、特に知事会の皆さま方のそれぞれの地域性もございますし、一方で全国知事会としての正式な思いもございますので、それらを受けた上できちんと判断していきたいと思っております。
(問)熱海の関係で、引き続きすいません。
 発生から2週間がたって、大臣の冒頭発言でございましたけど、被災者に寄り添った取組、これから具体的に避難者をホテル住まいから徐々に生活再建というステージに行かなきゃならないと思っていますが、具体的にどういうことを国として支援していきたいか、そこら辺をお聞かせ願えればと思います。
(答)まず、当然のことながら行方不明者の方々の捜索活動、聞いている限り、まだ1,000名を超える規模で、この猛暑の中、警察や消防、自衛隊の方々が一生懸命やっていると伺っておりますので、私どももそれを全力で支えていきたいと思っております。
 その上で、被災された方々がこれまでホテルに避難されていらっしゃいましたが、新たな避難所へお移りをいただかなければなりませんし、また当然のことながら住家を大きく損壊・全壊された方々もいらっしゃいますので、この住家の災害に対する支援金を適切に支給できるところを支給させていただきながら、何よりも今度は被災者の方々の生活支援と生業支援をしっかりやっていきたいと思っております。
(問)昨夜、イギリス・アメリカ等が中国政府を背景に持つAPT40というサイバー攻撃グループ等に関して、声明を発表されましたが、これについての大臣の受け止めを頂けますでしょうか。
(答)APT40についてでございますが、現地時間の7月19日、英国及び米国等が中国政府を背景に持つといわれているサイバー攻撃グループとして、APT40に関して声明文を発表したと承知しております。
 我が国としても、APT40は中国政府を背景に持つものである可能性が高いとの評価をしております。その上で、英国及び米国等の声明を強く支持し、自由、公正かつ安全なサイバー空間という民主主義の基盤を揺るがしかねない悪意あるサイバー活動を断固非難するとともに、厳しく取り組んでいく旨の外務報道官談話を発出したと理解しております。
 警察においても、攻撃を認知後、速やかに、マルウェアの感染可能性や有効な対応策について、個別に情報提供を実施し、被害拡大の防止の措置を講じてまいりました。
 御承知のように、サイバー攻撃の脅威は極めて深刻な状況にあると認識しており、平素から国際社会が一体となってサイバーセキュリティに取り組むとともに、攻撃が発生した場合には、国内関係機関が緊密に連携して、被害の未然防止、拡大防止に当たることが重要だと思っております。
 御承知のように、東京大会を目前に控えている中で、引き続き、サイバー攻撃の厳正な取締りを推進するとともに、その実態解明を強力に推し進め、民間事業者や外国治安情報機関等とも緊密に連携した上で、被害の未然防止及び拡大防止を図るよう、警察を指導してまいりたいと考えております。

 失礼しました。先ほどのご質問の中で知事会の件、氏名公表の件と私が勘違いしておりまして、盛り土の件でございました。
 盛り土の件につきましては、赤羽国土交通大臣が先般、熱海市の視察とともに、全国的な盛り土の総点検をその前後に行う旨のご発言をされたと承知しておりまして、私も非公式ながら意見交換を赤羽大臣とさせていただいております。当然のことながら、内閣府として必要に応じて協力をしてまいりたいと思っております。

(以上)