棚橋内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和3年7月9日

(令和3年7月9日(金) 11:10~11:24  於:中央合同庁舎第8号館5階共用会議室B)

1.発言要旨


 まず、7月1日から東海・関東甲信を中心に記録的な大雨となり、3日には静岡県熱海市において土石流が発生し、一昨日、昨日と中国地方で非常に激しい雨が降るなど、西日本や東日本で大雨となっております。これまでの大雨で、本日7時時点で死者9名等の人的被害、多数の住家被害が確認されております。改めまして、お亡くなりになられた方々に心からお悔やみを申し上げます。また、被災された全ての方々に心よりお見舞い申し上げます。
 私、6日には熱海市に赴き、土石流が発生する現場を直接確認し、ホテルに避難されている方々にお話を伺い、また静岡県副知事や熱海市長と対応策を協議してまいりました。現場を確認し、改めて今回の土石流の被害のすさまじさを痛感した次第でございまして、安否不明者の捜索・救助、被災者支援に全力で取り組む決意を新たにいたしました。
 また、一昨日、昨日の雨を踏まえ、新たに鳥取県鳥取市、島根県松江市、出雲市で災害救助法の適用が決定されたところでございます。本日は14時から非常災害対策本部が開催される予定となっております。政府一体となって災害応急対策、被災された方々の生活再建に努めてまいりたいと思います。
 また、西日本や東日本では11日にかけて非常に激しい雨が降り、大雨となるところがあるとの予報となっております。土砂災害に厳重に警戒し、低い土地の浸水、河川の増水や氾濫に警戒していただきますようお願い申し上げます。
 続きまして、千葉県八街市で発生した事故を受け、6月30日に開催された関係閣僚会議において、総理から、通学路の総点検を改めて行うよう指示がなされ、その実施方策について、文部科学省や国土交通省と共に検討してまいりました。
 本日、警察庁から各都道府県警察に対し、9月末までを目途に、教育委員会・学校、道路管理者等と連携して、通学路の合同点検を行うよう指示をしたところであり、文部科学省と国土交通省からも、それぞれ関係機関への指示・要請がなされました。
 合同点検では、今回の事故を踏まえ、見通しのよい道路や幹線道路の抜け道等、車の速度が上がりやすい箇所や大型車の進入が多い箇所といった新たな観点から危険箇所を適切に抽出し、関係機関と連携しながら、実効性のある交通安全対策に取り組んでまいります。
 詳細については、事務方に御確認いただければと思います。
 私からは冒頭以上でございます。

2.質疑応答

(問)今ありました八街市の事故の関連ですが、関係閣僚会議では、総理から、必要な対策を洗い出すよう指示があったかと思いますが、その進捗状況をお願いします。
(答)今お話がございましたように、関係閣僚会議において、総理から、必要な対策を洗い出し、子供の安全を守るための万全の対応を検討するよう指示がなされました。
 政府における対策の全体像については今後内閣府において取りまとめるものと承知しておりますが、警察といたしましても、本日御説明させていただいた通学路の合同点検、自動車を業務で使用する事業者への指導の徹底、何より飲酒運転の取締りの強化等、必要な対策をしっかりと講じてまいります。
(問)八街市の関係ですが、これまでも重大な事故のたびに点検が行われてきましたが、また今回も事故が起きたわけです。大臣からも対策を講じているとお話がありましたが、具体的にどのような対策を今後講じていきたいと考えているのか、そのお考えをお聞かせください。
(答)今回の合同点検では、これまでの観点では十分に把握できなかった危険箇所を的確に抽出し、二度とこのような痛ましい事故が起きることのないよう、実効性のある交通安全対策を、できることから速やかに実施してまいりたいと思います。
 具体的には、通学路における交通安全の確保に向けた警察の対策として、例えばですが、信号機や横断歩道の設置等による道路交通環境の整備、速度規制や通行禁止等の交通規制の実施、交通指導取締りや交通安全教育等を考えているところでございます。
(問)先日の記者会見と重ねてとはなってしまうんですけれども、死者・行方不明者の氏名公表についてお伺いします。
 熱海市の土石流で64人の安否不明者の氏名を公表しまして、不明者の数が翌日にはおよそ半減するということになっています。今回の公表の改めての受け止めと、今後の政府の対応方針について教えてください。
(答)何よりも安否不明者の生命を守る、一刻も早く救命・救出する、一方で個人情報の保護をきちんとやっていく、このある意味では相克ではないかと思っております。災害時の氏名公表については、ご承知のように、6月の全国知事会議において、災害時における死者・行方不明者の氏名等公表に係るガイドラインが取りまとめられましたが、本ガイドラインでは、各都道府県の考え方が多様であった、そのことを踏まえて都道府県が公表する場合の3つのパターンを示したものと考えております。
 私といたしましては、今回、静岡県において、熱海市や警察とも調整の上、県の個人情報保護条例の関係を整理した上で公表したと伺っておりますが、内閣府としては各自治体が個人情報保護条例を踏まえつつも、最も優先すべきは、人命、人命の救助・救出活動に資する場合には積極的に公表すべきだと考えており、今回、適切な対応がなされたと受け止めております。
 氏名公表の運用については、引き続き内閣府においても自治体等に対して必要な協力を行ってまいりながら、個人情報の保護と、そして何よりも安否不明者等の生命の救命・救出のために必ず守るという視点から考えてまいりたいと思っております。
(問)大臣も冒頭ご発言がありましたけれども、現地を視察して地元の行政、もしくは避難者から、特に要望として大臣の印象に残ったことがあればお聞かせいただきたいのと、それを受けて事務方への指示であったりとか関係省庁の協力をされたことがあればお聞かせください。
 それともう1点、その中でも恐らくあったと思いますけど、激甚災害の指定、こちらもなかなか被害状況の把握が難しい中ですけれども、これに関しての現在の見通し、状況をお聞かせください。
(答)まず、激甚災害の指定について先に申し上げると、ご承知のように、今まだ全国的に前線の影響による降雨が続いておりまして、2次災害の懸念もございますので、現地での調査が慎重に進められるべきだと考えております。公共土木施設や農地等の関係施設の被害状況を把握することが当然のことながら重要でして、現在、自治体や関係省庁が、それをまさに確認しているところでございますが、状況把握の進展を踏まえた上で指定基準に照らして適切に対応してまいりたいと思います。
 そして、まずは熱海市の現場を確認し、避難されている被災者の方々のお声を聞いてまいりました。避難されている方々は、基本的には2つのホテルにご避難でございましたし、私が皆さまのご意見を伺いに参りましたときには、まだ発災から80時間経っておりませんでしたので、ある意味では皆さま、まだまだ十分気持ちの整理がついていらっしゃらないんじゃないかと拝察した次第でございます。ただ、当然のことながら今後の生活再建、あるいはどこにお住まいになるか等々をまずは被災者の方、避難されている方々のご意見をしっかり伺った上で、できるだけ早く適切に、それがなされるよう私どもとしても支援をしてまいりたいと思っております。
(問)熱海の関連なんですけれども、重ねて新型コロナウイルスの感染拡大する中での災害でありますけれども、現状をご覧になってこられて対策等どのように感じられたか、ご覧になったかという点についてお伺いできますでしょうか。
(答)おっしゃるとおり、これまでの避難に、さらに考慮しなければいけない状況として、被災された方々が避難されるに当たって、新型コロナウイルス感染を起こさない、その感染症対策が重要でございます。熱海市における被災者の方々は、当日は公民館や小学校等で避難されましたが、基本的には翌日から2つのホテルに集約して避難されたと聞いておりまして、また避難された方々からも、各世帯ごとにお部屋があって、そういう意味では今回は通常の小・中学校や公民館に対する避難に比べて、新型コロナ感染症の観点からも比較的安心できるというような趣旨のニュアンスはございました。
 ただ、今回はたまたまホテルが使えたわけでございまして、残念なことに災害というのは常に念頭に置かなければいけませんので、避難においては、例えば発熱された方とそうでない方の距離をどのように取っていくか。もちろんプライバシーという観点からも含めてパーティション等も必要でございますが、あるいは発症された方をどのような動線でどのような形で発症されていない方々と距離を取るかということを不断に見直していきたいと思っております。

(以上)