坂本内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和3年10月4日

(令和3年10月4日(月) 10:31~10:55  於:中央合同庁舎第8号館1階S108記者会見室)

1.発言要旨


 昨年9月の就任以来、約1年と少しの任期でしたが、本日をもって退任をさせていただきます。皆さま方には大変お世話になりました。心から感謝を申し上げたいと思います。
 地方創生については、就任して速やかに企業版ふるさと納税の人材派遣型を創設いたしました。また、地方創生119番を設置し、様々な皆さまのお声をお伺いしながら、地方分散型の活力ある地域社会を実現するための持続的な地方創生について考えてまいりました。総理から就任直後に、「観光や農林水産業といった地域資源を最大限に活かして大胆な地方創生を実施して欲しい」と言われ、特に女性の就農につきまして力を入れたところでもあります。
 新型コロナ感染症の拡大によりまして、なかなか地方出張に出られないジレンマもありましたけれども、様々な視察先で人、それも女性や若い世代が生き生きと汗を流し、地域を変えていくのを目の当たりにしたところでもあります。
 また、新型コロナ感染の拡大で地方への人の流れが強くなりつつある中、地方創生のテレワークによる転職なき移住や、子育て世帯への移住支援、DXによる地域の課題解決や魅力向上、地方創生と脱炭素の好循環の実現、こうした視点を重視し、今年の「まち・ひと・しごと創生基本方針2021」において、ヒューマン、デジタル、グリーンを掲げ、来年度の概算要求に反映をいたしました。
 骨太の方針では4本柱のうち、私が担当する地方創生、そして少子化対策の2つが成長の源泉と、孤独・孤立対策は原動力を支える基盤とされました。改めて責任の重さを感じるとともに、政策の継続性の重要さを感じたところです。
 少子化対策、子ども・子育て支援についても、総理から不妊治療の保険適用の方針が出され、不妊治療を受けやすい職場環境の整備について事業主の取組促進、情報提供、相談体制強化等の方針を取りまとめることができました。また、結婚新生活への支援を従来の30万円から最大の60万円と倍増し、AI婚活など結婚支援を充実させることもできました。コロナ禍で少子化が加速しております。新総理も総裁選の中で少子化対策や子ども・子育て支援の予算を拡充する旨の方針を打ち出しておられまして、実現を期待しているところであります。
 国会審議では今年の通常国会で私の担当の法律を4本、子ども・子育て支援法及び児童手当法、国家戦略特区法、第11次地方分権一括法、障害者差別解消法を改正することができました。
 特に、待機児童の最終的な解決を図るために行いました、子ども・子育て支援法及び児童手当法改正の審議では、野党から厳しい質問も受けたところであります。
 また、保育の受け皿整備に係る新子育て安心プランの財源として、経済界から1,000億円の拠出をいただくということで、団体のトップに何度も赴き理解を求めました。日本の法律を国会で通すのが、様々な立場の人に説明を尽くさなければいけないということで、大変なことだということを改めて感じたところであります。
 今年2月からは、孤独・孤立対策が私の担務に追加されました。8カ月程度の短い期間でしたが、骨太の方針に基本的方向性を盛り込み、世界初となる日英孤独大臣会談、欧州委員会シュイツァ副委員長との会談と、海外との連携、孤独・孤立に取り組むNPOへの60億円規模の緊急支援、そして7回にわたるフォーラムの開催やプラットフォーム準備会合の立ち上げなどのNPO等との連携を進めてまいりました。実態調査も年内の実施に向けて着々と進んでいます。
 また、生理の貧困対策、政府の災害備蓄食品の子ども食堂への提供、そして長期休暇における子どもの居場所の確保やウェブサイトの立ち上げなども行いました。これにつきましては、現在でもウェブサイト、ホームページに1日1万件のアクセスがあるところであります。引き続きフォーラムの開催やプラットフォーム設立に向けた準備を進めつつ、そこで示されました課題を踏まえ、年内には重点計画の取りまとめ、更に実態調査を年度内に行うなど、孤独・孤立対策の取組がしっかり根付くよう、取組の継続強化をしていただきたいと思っております。
 その他にも、八街市で飲酒運転のトラックが下校途中の小学生に突っ込む悲惨な事故を受け、現場を視察するとともに関係閣僚会議で緊急対策を決めたこと、障害者差別解消法の改正で事業主の合理的配慮を義務化したこと、パラリンピック開会式・閉会式に担当大臣として出席させていただいたことなども思い出深いものです。
 この場で全てについて申し上げることはできませんし、約1年の在任期間中で道半ばのものもありますが、私として一つの道筋はつけられたものと考えております。このたび大臣の任を離れることになりますが、今後とも関係分野の更なる発展を期待し、私自身もその発展に影ながら尽力をしてまいりたいと思います。
 終わりに、在任中の皆さま方のご厚誼に改めて感謝を申し上げて、私からの退任のご挨拶とさせていただきます。ありがとうございました。

2.質疑応答

(問)コロナ禍の中の1年間、大臣としてのお勤めお疲れさまでした。私の方から2点お伺いしたいと思います。
 岸田新総裁の下、各社の報道でもあるように、新内閣の顔ぶれが揃い始めていますが、組閣を控える中で新しい閣僚メンバーを見た率直な感想を教えてください。
 もう1点、子ども政策を統括する「こども庁」創設に向けて、野田聖子氏が起用されましたが、少子化担当や地方創生担当大臣もされるということで、後任の大臣にどのような政策をこれから進めてもらうことを望んでらっしゃいますでしょうか。
(答)新しい顔ぶれにつきましては、老壮青それぞれ、新総裁が言われておりますようにバランスが取れた内閣になっているというふうに思います。その中で結束して、これから国のために様々な仕事にあたらなければいけないというふうに思っております。
 それから、新しい大臣に対して、今のところ地方創生と、それから少子化対策担当が同じ大臣でまた引き継がれるということで、これは非常に嬉しく思いました。やはり、子供の声が聞こえる地方をつくり上げるというところに、この2つを結び付ける重要さがあるというふうに思いますし、それがそのまま地方分散型社会、あるいは地方からの人材育成、そういったものに繋がっていくというふうに思います。
 それから「こども庁」の設置については、是非様々な論議をしていただきたいと思います。私の希望といたしましては、やはり中心となる少子化対策、こういったものを中心とした中で、子どもの貧困とかいじめとか虐待とかありますので、そういったものを担務していくような総合的な、子どもがすくすくと生まれ育つような、そういう役割を担う官庁になれば、部署になればというふうに思っております。
 その点、少子化対策あるいは子ども問題に非常にこれまで取り組んでこられました野田聖子さんがなられるというふうに聞いておりますので、非常に期待をしているところであります。
(問)1年間ありがとうございました。
 この1年間を振り返られて、冒頭でもいろいろとご発言ありましたが、大臣が特に印象に残っていることやエピソード等があれば、最後に教えてください。
(答)1つは地方創生の方でいえば、なかなか地方創生といいながら地方に行けなかったところが一番残念でありますけれども、その中で特に女性の農業者の方々と全て山形県でも鹿児島県でも石川県でも意見交換しましたけれども、非常に元気で自分たちの農業への誇りというものを、あるいは地方への誇りというものをしっかり発言されたこと、そういったものに非常に勇気づけられました。
 それから、少子化はやはり財源の問題が一番これから大きな課題だと思っております。結婚、妊娠・出産、子ども・子育て、そして教育、そのそれぞれのライフステージでやはりかなりの財源を伴うものでありますので、これも非常に難しい問題でありますけれども、財源確保のためにこれからも新しい大臣にしっかりと頑張っていただきたいなというふうに思っております。
 それから、孤独・孤立につきましては、ちょうどこれからが一番具体化していく難しい胸突き八丁のところです。各NPOのプラットフォームをどのようにしていくのか。それから、実態把握の調査がいよいよ始まりますので、どういうやはり調査結果というものを今後集めることができるのか。
 更には、先ほど言いましたホームページについても1万件のアクセスがあるくらいでありますので、これからコロナ後に向けても孤独・孤立に悩む方々の様々な相談、そういった問合せは多いと思います。そういうことを仕事としてやり、更には7回のフォーラムでNPOの方々からいろいろな指摘を受けて、これほどの問題があるのかというのは非常に思い出深いものがあります。
 それから、子どもの貧困対策で子ども食堂とか学習支援の現場を視察いたしました。ここまで格差といいますか、貧困といいますか、そういったものが深刻であるのかということを現場を見ながら改めて思い知らされたところでありますので、そういう部門についてもこれからしっかりと私自身議員として力を入れていきたいというふうに思っております。
(問)2つあるんですけれども1つずつ質問します。
 孤独・孤立なんですけれども、NPOのフォーラムがあって、大臣が一番現場に出て話を聞かれて、これから重点計画とかという具体的な政策になるとは思うんですけれども、一番話を聞いてきた大臣ではなくて、次の大臣が孤独対策の具体策を決めていくというところに少しあれがあるんですけれども、せっかく今まで大臣がいろんな話を聞いてきた中で、これから退任されるわけですけれども、今後退任後に孤独・孤立対策についてどういうふうに関わっていかれるのか、その辺りを教えていただけますか。
(答)党の方でもこの孤独・孤立対策の委員会というのがありますので、そこで関わっていけたらというふうに思います。それから、明日、新しい大臣との引き継ぎもありますので、その辺のところはしっかり新たな大臣の方にこれまでこういうことをしてまいりましたと、こういうことが残されていますと、そして具体的にこれからやっていく過程で、NPOの皆さんたちは非常に自らやっている活動に誇りと自信を持っていらっしゃるわけですので、ここをどうプラットフォームとして取りまとめていくのかというのは非常に難しいことでもありますけれども、是非そこをうまく乗り越えていただきたいというようなことは引き継ぎのときに私の方から申し伝えたい、ご報告したいというふうに思っております。
(問)もう1点、記者会見のあり方についてです。菅総理は記者会見で説明をはぐらかしたりと、そういうところの問題点を指摘されていたんですけれども。坂本大臣の記者会見に出ている感じでは、坂本大臣は比較的更問とかも認めて、時間が尽きるまでいつも受けて、なるべく自分の言葉で話そうという姿勢が見られたように感じるんですが、記者会見をするにあたって心構えというか、そういうものがあれば教えてください。
(答)私も15年間記者の経験をしてきましたので、記者の皆さんに話すということではなくて、国民の皆さんたちに説明をする、そういう気持ちでこれまでもやってまいりました。ですから、いろいろな意見が出る、いろいろな質問が出る。意地悪な質問もそれは出るかもしれない。しかし、それは国民全体の中から出てくる様々な疑問であったり、疑惑であったり、これからの見通しであったりというふうに思いますので、記者さん一人一人に答えるということではなくて、それは国民の皆さん全体に私の考えとしてこういうふうに思うのだというような思いで発言をしてまいりましたので。かなり秘書官の方で原稿も用意されておりますけれども、その原稿そのものも結構私自身で、今日のものも少し変えたところもありますし、できるだけラインには沿いながら自分の言葉でやはり国民の皆さんに説明するのが大臣としての務めだろうというふうな思いで、これまでやってきたところです。
(問)1年間お疲れさまでした。
 地方創生についてお尋ねいたします。先ほど、大臣は現場に行けないジレンマや残念さのご発言がありましたけれども、就任当初の抱負である、観光や農林水産業に力を注ぐという観点で改めて伺いますが、成果であるとか達成感、この辺りはいかがでしょうか。
 また加えて、コロナ禍の長期化ということで、地方ではそういった産業の方々が引き続きダメージを受けるのかなという印象を受けますが、その辺り、今後の課題解決等々にも一言いただけますと幸いです。
(答)地方創生については達成感というよりも、やはりこれから継続していくことが大事だなということを改めて感じました。久々に昨日と一昨日、地元に帰って、5~6件ぐらいそれぞれ回りました。皆さんたち5~6人に集まっていただいて、30分ぐらいの意見交換をしたのですけれども、やはり私たちが思う以上に耕作放棄地が増え、そして山が杉山から竹林になり、あるいはちょうど今、来春の阿蘇は野焼きの準備のところですけれども、野焼きをやる人材もいなくなる。それから、運動会のシーズンでありましたけれども、もう子どもたちが少なくて、以前のような運動会が成り立たないというような現状も目の当たりにしました。
 そういう中で、昨日行った運動会では、大体1人の子どもに対して7人から8人のお父さんとかお母さんが来るわけで、お父さん、お母さん、両方の祖父母4人、それから兄弟が1人とか2人とか近所の人とかですね。そういう中で、コロナ禍であるので、おじいさん、おばあさんは来てもいいけれども父母は来るなと、自粛するようにというような小学校もありましたので、やはりそれぞれその地方、地域の中において、このコロナによる自粛、あるいはそれからやはり全体の規模が小さいだけにその自粛による衰退のスピードの速さ、加速化、こういったものがやはりこの1年間続いてきたのだなというふうに思います。
 ですから、これからかなり厳しい、難しい舵取りが強いられるというふうに思っております。
(問)1年間ありがとうございました。
 子ども政策に関して、先ほどやはり少子化の財源問題が大きな課題だと思っているというお話でしたけれども、今後その財源確保に向けて、例えば望ましい形であったり、またはどういう形で議論を進めるべきかについてお考えがありましたら教えてください。
(答)財源確保については、なかなか難しいところがあると思います。ただ、私は去年、大臣折衝のときに是非よろしくお願いしますと。例えば、金融資産課税などこういったものに対して少し引き上げていただければ、そこそこの財源は出ると思いますけれどもということは、財務大臣、それから厚生労働大臣も隣にいましたけれども、言わせていただきました。厚労大臣が「それは坂本試案ですね」というふうに言われましたので、そういうことですということです。
 非常にやはりここは一番どこを削ってどこを増やすというのはなかなか難しいことですけれども、是非新しい総理にこの子ども・子育て、少子化対策は国にとってやはり一番大事なことでもあるし、骨太の中の4項目の中の大きな一つでもありますので、頑張っていただきたい。それに対して私も応援していきたい、支えていきたいと思っております。
(問)1年間ありがとうございました。
 この忙しい大臣生活を終えて、これからの議員生活で全般力を入れていきたい活動は何でしょうか。
(答)1つはやはり私が住んでいる所もありますので、非常に地方においても二極化が進んでいます。私の選挙区は多分16市町村あるのですけれども、この前の地価公示、土地の価格の値上がりで、4つの市町が土地高騰のベスト5に4つ入っていました。一方で、ワーストの方に同じ選挙区内でやはり3つほど入っていました。
 ですから、地方における二極化、あるいは過疎度、あるいは過密とまではいいませんけれども、経済的に安定している所がはっきりしてきていますので、この辺を今後どういうふうな制度でカバーしていったら良いかということに議員として力を入れていきたいというふうに思っております。
 それから、やはり子ども政策というのは、これは共通に大事なことであるというふうに思いますので、少子化対策、そしてやはり子ども・子育て、父母の負担が限りなくやはり軽くなる、そういう中での子どもの育成。これも衝撃だったのは、パラリンピックの閉会式の後、フランスの副大臣が来られて、少子化対策はフランスは非常に進んでいますけれどもというふうなことをお伺いしましたら、まずポイントは父母が共に働ける環境をつくることですと、そこから少子化対策は始まりますというようなことを副大臣の方が言われました。そこまでやはり明確な方針をもってフランスではやられているのだなと。共にお父さんとお母さんが働ける環境、その中でやはり子供が育つ環境をつくり上げるというようなことを考えると、まだまだ国としてもやるべきことがたくさんあるのだなというふうに思っています。
 この2つをまずはしっかり今後も引き続き取り組んで、2つについて取り組んでまいりたいというふうに思っております。

(以上)