坂本内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和3年9月3日

(令和3年9月3日(金) 11:36~11:57  於:中央合同庁舎第8号館1階S108記者会見室)

1.発言要旨


 私の方から報告を1件させていただきます。
 孤独・孤立対策担当室が発足をいたしまして半年以上が経ちましたので、これまでの経緯とこれからのことについてご報告だけさせていただきます。
 2月12日に孤独・孤立対策担当大臣を拝命し、同月19日に担当室を立ち上げて以降、スピード感を持って施策を進めてまいりました。半年余りが経ちましたので、これまでの取組と今後の対応についてご報告をいたしたいと思います。
 まず、私が取り組んだことは、現場で支援に取り組む方の意見を積極的に聴くことです。2月に官邸での「緊急フォーラム」、6月以降は「孤独・孤立に関するフォーラム」を6回開催してきました。NPO等の声を聴く中で、3月に孤独・孤立対策に取り組むNPO等への緊急支援策を取りまとめ、NPO等への支援を届けることができたこと、更には生理の貧困への対応を盛り込めたことは大きな成果だと考えております。
 また、この半年間、孤独・孤立対策担当室が一種の司令塔になり、政府一体となった取組を進めてまいりました。「孤独・孤立対策に関する連絡調整会議」を4回開催し、関係省庁との連携協力を図る中で、中央省庁で災害用に備蓄している食品をフードバンクの活動に活用できることとするなど、取組も進んだところです。
 様々な関係者のご意見、ご議論を伺う中で、6月に閣議決定された骨太の方針2021において、孤独・孤立対策の基本的方向性を示したことも、今後の孤独・孤立対策の土台としては非常に意義があると考えています。
 孤独・孤立対策は海外からも高い関心をいただいております。6月には世界初となる孤独担当大臣の会合を日英間で開催し、その後もEU、オーストラリア、フランスとも連携を進めることができました。ロシア、スペイン、アメリカ、韓国といった海外メディアのインタビューや、大使館関係者向けの講演などを通じて、日本の孤独・孤立対策の発信もできたと考えております。
 更に、長期休暇における子どもの居場所づくりへの取組や、子ども向けのウェブサイトの立上げも、長期化するコロナ禍にあって少しでもお子さんの支えになったものと考えています。なお、子ども向けのウェブサイトへのアクセスは前回発表から更に増えて、9月1日までに15万件となっています。小中学校、高校のホームページで紹介していただき、そこから子ども向けウェブサイトに繋がっている事例もみられており、文部科学省との連携の効果であると考えています。
 今後は骨太の方針2021を土台として、孤独・孤立対策を更に推進していく必要があると考えています。今後の大きな山場は、年内に策定する孤独・孤立対策の重点計画です。これまでの施策からさらに強化すべき点を含め、NPO等の現場の意見を踏まえて検討し、取りまとめていきたいと考えています。
 更に今後のことでありますけれども、孤独・孤立の実態把握のための全国調査を実施し年度内に結果を公表すること、各種支援制度や相談先を案内する一般向けのホームページの運用をこの秋に開始すること、NPO等との連携の基盤となるプラットフォームの形成を支援することにも取り組んでまいります。
 この半年余り、毎日走り続けてまいりましたが、孤独・孤立対策の基盤は形成できたので、更に施策を前に進め、孤独・孤立に悩んでいる方にきめ細かく必要な支援を届けることができるよう、全力で取り組んでまいりたいと思っているところであります。

2.質疑応答

(問)2つあるんですけれども、まず1つ目は、前にも総裁選についてお伺いしたんですけれども、この間、平井大臣が岸田さん支持を表明したりとか、菅政権を取り巻く政局というのは変わっているので、改めてお伺いします。
 菅首相を支持するのか、しないのか。また、その理由について教えてください。
(答)菅総理支持は変わりません。ますます私としては今のグリーン、デジタル、そして地方、更には子育て、こういった骨太の方針でうたわれた政策を更に強力に進めていくために、その流れを止めてはならない。菅総理でこの政策をしっかり実現に向けて遂行していただきたい。その気持ちでおります。
(問)このまま、スーパーシティのことについてお伺いします。
 スーパーシティの専門調査会で、委員個別のご認識とかを示されているのは承知しているんですけれども、大臣の認識をあまり聞く機会がなかったので、ここでいくつか質問をさせていただきたいと思います。
 今回、全ての提案が基準に合わなかったということで、見直しを求める結果になったわけですけれども、全ての提案が基準に合わなかったというのは、これは大臣、お互いに国と自治体の認識に差があったというふうにおっしゃいますけれども、これはある意味、異常に難しいテストを作ってみんなが不合格みたいな状況だと思うんですけれども、この認識に差があったということは、国側の要求に問題がなかったのか、説明に問題がなかったのか、この辺りはどういうふうに考えますか。
(答)そもそも論ですけれども、スーパーシティは国家戦略特区の一環で、そして住民が参画しながら住民目線で、2030年頃に実現できる未来都市をつくるということで、その構想が打ち上げられました。そこから各自治体が様々な計画を練り、提出をしてまいりました。私もその自治体の計画を見て、先だって会見でも言いましたように、非常に意欲的なものが多いというふうに感じました。
 しかし、専門家の方、有識者の方々から見れば、やはりこれから、これだけの高いレベルのスーパーシティをつくり上げていく、住民にとってより安全で安心で便利な街、地域をつくっていくために、やはりもう少し明確な道程が欲しいと。当然、2030年のスーパーシティをつくるために、現在いろいろな活動をしておられる業種ですね、医療、福祉、物流、あるいは観光、こういったものもそれに向けて変化を、改革をしていかなければいけない。その改革の中には大胆な規制緩和も伴うであろうと。
 ですから、その2030年代の未来都市に到達するためのその改革姿勢、あるいはその大体な規制改革、それに対する具体的な方針というのが、やはり抜けている。絵面は良いけれども、これでは補助金狙いのものになり、最終的には絵に描いた餅になるのではないかというようなことを有識者の方から指摘をされまして、私もこれからしっかりとした計画に沿っていくためには、そうだろうなというふうに思います。
 ですから、これまで首長の方を中心にその各業界の方々とお話をし、あるいは住民の方々の意向を十分把握しながら、今回の計画を出してこられたというふうに思っております。ただ、有識者にとりましては、そこをやはりもう少し具体的な形で規制緩和はどういうふうにするのかというようなことも踏まえて再提出して欲しいというようなことでありましたので、改めて各自治体、あるいは自治体の首長の方々が2030年ごろの未来都市に向けて、その規制緩和等の規制の在り方あたりを出してこられるというふうに思います。その際に、やはり首長は自らの選挙もありますので、やはり住民の方々、あるいは業界の方々の意向を十分把握しながら、改めて出してこられる、提出してこられるものというふうに思っております。
(問)重ねてお伺いします。
 先ほども大臣は住民という言葉をおっしゃいましたけれども、今回の自治体の提案は、住民とかその地域のことを一番理解している自治体が、住民とか地域の課題の解決にとって何が一番必要なのかということを考えて提案されてきた内容だと思います。それについて国がもっと大胆な規制緩和・改革をというふうに求めるというのは、これは大臣の認識をお伺いしたいのですけれども、スーパーシティの住民の課題の解決が一番なのか、国際的に世界に発信できる都市をつくりたいのか、どっちが大事なんですか。
(答)2030年にあるべき、やはり未来都市をつくる。高齢社会にもなって、それに対してどういうふうに便利で迅速で安心で安全な街を、地域をつくるかということですので、当然その10年先を見越しての計画でありますし、それを住民の方、それから業界の方、そして首長の方、更には元々の法律に則ってこのスーパーシティに対して審査をする有識者の方、それぞれに多少の温度差はあるというふうに思います。
 住民の方はやはり毎日の生活、それから業界の方も日常の生活・商売、こういったものが一番大事なわけで、ただ、将来を見越した場合にはこういうような方向にしていった方が一番やはり良いですよというようなことについては、やはり有識者の方、あるいはこの元々のスーパーシティの考え方があるわけで、この多少の温度差をこれからこの2カ月間の間で、それぞれの業界や住民の方々の意向を聞く中で、こういう都市にしていくのだ、地域にしていくのだということで温度差を縮める。そして、新たな計画づくりをするという努力が今後行われるというふうに考えております。
(問)今後2カ月で再提案の提出を求めるわけですけれども、この2カ月、まだ今の提案に対して更なる大胆な規制改革を求めた提案となると、改めて住民の合意を取る必要があるとは思うんですけれども、住民の合意を取るのか。取るのであれば、この2カ月間で自治体によっては地域全員に歩いて合意を、賛否を聞いたという所もあるんですけれども、この2カ月で本当に住民の合意を得られる、合意形成を図れるのか、そのところをお伺いしたいと思います。
(答)法律もそうですけれども、合意を取るということは書いてありません。合意ではなくて、住民の意向を把握するというふうになっていますので、住民の意向を十分把握しながら、改めてその首長さん、県知事さんであったり、市町村長さんであったり、そういった方が再提出をされるというふうに考えております。
(問)意向というのは、とりあえず聞いて回る作業をするということなんですね。
(答)それは業界と、あるいは住民の方々といろいろ話をし、そして、説明会を改めてやり、理解を求めたり、将来像を更にブラッシュアップしたりというようなことをされるというふうに考えております。
(問)この間、大臣は再提出してから、もう1回選定の作業が年内から来年頃という、ちょっと抽象的な言い方になっているんですけれども、選定の時期はどの時期を指していますか。
(答)まだそこははっきり分かりませんけれども、遅くとも来年には。少し年内にはというのは厳しいかもしれません。
(問)来年にはというのは、来年中ということですか。
(答)今年度ですね。
(問)最後なんですけれども、私が取材をしている感じでは、やっぱり国と自治体側の認識の溝がやっぱり深い、結構深い気はしていて、つまり、自治体方は大胆なという規制が何のことかよく分かっていないなと思うんですけれども、これはもう一度見直しを提出してもらって、専門調査会で、これは難しいですよというふうになった場合、構想の撤退というのはあり得るのかということをお伺いしたいと思います。
(答)それはあり得ないというふうに思います。といいますのは、今後再提出する。その過程で、それぞれの規制官庁、厚生労働省とか文部科学省とか農林水産省とか、そういった所といろいろ擦り合わせをやっていきます。ここまでやってください、ここまでならできるというようなことで、ある程度の規制官庁との擦り合わせをした上で、ぎりぎりのところで大胆なその規制改革に近づく、あるいは大胆な規制改革を伴った計画になっていくのであろうというふうに思いますので。この構想そのものがやはり消滅するとか、撤退するとか、それから指定都市が一つもないとか、そういったことはあり得ないというふうに考えています。
(問)大胆な規制改革というのは、大臣はどういうことを言っていますか。
(答)そこが一番難しいのですが、例えば、今回、国家戦略特区で農地の株式会社の取得、そういったものが課題になりました。大胆な規制改革というのは、この5年間の国家戦略特区の事例を見て、農地の取引を全国一律に株式会社でも取引できるようにする。これが一番大胆な規制改革だろうと思いますけれども、しかし、それに対しては、中山間地や、あるいは他の農業団体も通じて、非常に抵抗も強い。そこはどういうふうに大胆に近づけるような改革案にしていくのか。こういったものになるのだろうというふうに思います。
 経済社会の構造改革を加速するというのが、元々の狙いでありますので、こういった構造改革に結びつくような改革、それが大胆な改革に繋がっていくというふうに思っています。
(問)孤独・孤立関連でお伺いします。本日、これまでの取組や、今後の方向性について示されましたけれども、特に年末に向けた重点計画づくりというところで、実態把握の調査結果が年明けになる見通しの中で、その時点ではまだ結果が出ていない中で、フォーラムなどもありましたけれども、具体的にどういう政策が必要かというふうに、どういうふうに考えていかれるのかというのを教えてください。
(答)まずは、このフォーラムの中で出てきた様々な意見、それから、これまで寄せられたものを中心に政策づくりをしてまいりたいというふうに思っております。それから、重点計画ですね。
 その後、この実態把握が出てまいりますので、その後、更にそれに付け加える形で、よりブラッシュアップしたような政策というものを、それに付け加えていくというような過程になっていくと思っております。
(問)政局についてお伺いします。菅総理大臣は先ほど行った自民党の臨時の役員会で、今月行われる総裁選に立候補しないということを表明しました。大臣は総理を支持するお立場にいらっしゃるということを表明されていましたけれども、それについて受け止めをお願いします。
(答)もう1回、立候補を。
(問)菅総理は自民党の総裁選挙に立候補しないということを表明したということなんですけれども。
(答)いや、それはまだ聞いていません。今初めて聞きましたので、私としては全く答えようがありません。
(問)今、総理が表明したということが報道でも出ているんですけれども、総理が総裁選挙に出ない場合、総裁選が行われた場合に大臣としての今後の方針はどのようにお考えでしょうか。
(答)私としては、さきほど言いましたように、菅総理がこれまで政策を続けてこられましたので、その政策が継続できるような、その政策を引き継いで継続していかれるような、そういう方が総裁になっていただきたい。これは自民党の方ですけれども、総裁になっていただきたいというふうには考えております。

(以上)