坂本内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和3年8月20日

(令和3年8月20日(金) 11:02~11:29  於:中央合同庁舎第8号館1階S101記者会見室)

1.発言要旨


 私の方から4点報告をさせていただきます。
 地方創生臨時交付金につきましてご報告いたします。17日に開催された新型コロナウイルス感染症対策本部におきまして、地方創生臨時交付金の「事業者支援分」を都道府県に2,000億円、市町村に1,000億円、追加交付することが決定されましたが、本日中に各自治体に交付限度額をお伝えすることとしており、その際、併せてその内容を公表させていただきます。これにより、新型コロナウイルス感染症により経済活動への影響を受ける事業者に対し、各自治体がきめ細かく事業者支援の取組を実施できるよう、しっかりと後押ししてまいります。
 2番目です。8月17日に孤独・孤立対策ホームページを新設し、子ども向けのページを先行公開しましたのでお知らせします。例年、夏休み明けに子どもの自殺が増加する傾向にあることから、一般向けに先行して公開いたしました。ホームページは自動応答するチャットボットにより相談先等を紹介する機能を搭載しています。また、悩みを抱える子どもたちが学校で配布される1人1台端末を使ってホームページを活用できる環境を整えていただけるよう、8月17日に文部科学省に対して、教育委員会等への周知を依頼いたしました。詳しくは事務方にお尋ねいただきたいと思います。
 次ですが、内閣官房孤独・孤立対策担当室の参事官補佐ポストについて、オール霞が関での公募を経て、8月17日付で2名を採用しました。公募により登用する職員には、孤独・孤立対策に関連するNPO等の連携の促進に関する企画・立案や、関係者間の調整にあたっていただくこととしています。本日、この後、採用された2名の職員は総理及び官房長官への訪問も予定しています。私も2名と面談の上、役割の重要性を共有したいと思っています。詳しくは事務方にお尋ねください。
 最後ですが、子どもの貧困対策を担当する大臣として報告いたします。お手元に配布の資料のとおり、「子供の未来応援基金」により、来年度支援を行うNPO法人などの民間団体を募集いたします。本件募集は今回で第6回目となるものであり、8月23日から10月4日まで募集を受付け、年明け頃に支援対象となる団体を決定する予定です。新型コロナウイルス感染症の影響が長期にわたる中、子どもの自殺も増加するなど、孤独・孤立の問題も顕在化しており、低所得の子育て世帯など厳しい状況にある子どもたちの生活の安定や学びの継続に向けてしっかりと支援していくことが大変重要であると考えています。子供の未来応援基金を通じて、学びの支援、子どもの居場所づくりや相談支援、衣食住などの生活支援などを行う草の根の団体を支援してまいりたいと思っております。詳細につきましては、事務方までお問合せください。

2.質疑応答

(問)孤独・孤立対策についてお伺いします。
 孤独大臣、孤独室が設置されて半年が経ちました。その半年の総括についてお伺いしたいんですけれども、大臣、いろいろ今までやったことのないテーマで、しかも奥が深くて幅も広くて、なかなか答えのない難しい問題だと思うんですけれども、まずこの半年やってみて、ご自身の手応えというか、そういう取組について何点を付けますか。
(答)まだ継続中ですので、点数についてはなかなか付けられるようなものでもありませんけれども、私自身、2月12日に拝命した、総理から指示を受けたと思いますが、やはりこれまで行政がやってこなかったということは、やれなかった、やはり一番抜け落ちていた部分でありますので、やってみて、やはり行政として、霞が関として一番やはり手薄な部分がこういう状態であったのだなということを改めて感じました。
 例えば、緊急フォーラムをまずやって、それから、昨日、神戸市の地方とのフォーラムをやりましたけれども、これまで5回のフォーラムをやりました。その中で、やはりこれまで聞けなかったような非常に深刻な問題とか、いろいろな現実に直面した課題とか、そういった生の声を現場で活動している方々から聞くことができて、これはこれからの長期計画、重点計画に対して、非常に政策の中に取り入れるための参考になるというふうに思いました。
 それから、連絡調整会議を開いて副大臣に集まっていただきましたけれども、これも非常に孤独・孤立の問題というのは多岐にわたる中で、やはり如何に各省庁間の連携が必要であるかということを痛感いたしました。例えば、今の夏休み中でも、それから、ゴールデンウィークの時もそうですけれども、子どもの居場所をやはりつくってあげたい。しかし、一方で、コロナ禍でなかなか厳しい実情にあるということを何とかしていくためには、やはり文科省、あるいは厚労省、あるいはその他の省庁、そういったところの各省庁の協力が大切ですので、そういったものを私が司令塔となっていろいろとお願いをする。口幅ったい言い方ですけれど、指示をさせていただく。そういうことについては、やはりこれまであまりなかったようなことで、各省庁についてもそのことをしっかりやはり理解していただいているなというふうに思いました。
 その他にも、外国の大臣とのオンラインでの会談、それから諸外国からの様々な問合せ、インタビュー、こういったものもよそからどう日本が見られているか、日本の孤独・孤立対策がどう見られているか、そして、諸外国にとってもやはり深刻な課題なのだなということを改めて実感することができました。
 それから、今回、子ども向けのホームページにいたしましても、行政だけで作るのではなくて、横山さん、大空さんをはじめとするアドバイザーの方々にいろいろな知恵をいただきながら、やはり行政では考えつかない、子どもにしか分からないようなことを民間の方から聞いて、それをホームページに掲載するというようなこともできましたので、これまで私たちが気付かないようなことを気付かせてくれたし、これからの霞が関行政が如何にあるべきかというような一つの示唆にもなっているというふうに考えております。
(問)半年で見えてきた課題というのがあれば、教えてください。
(答)なかなかこれをやったからこういう結果が出ると、これだけを投資したからこれだけの橋梁ができるとか、防災ができるとかというようなことでもありませんので、そこはやはり粘り強く継続していかなければいけないのかなというふうに思います。
 ただ、私、この半年、あるいは1年ぐらいかかるかもしれませんけれども、実態調査やSNSとの関係、あるいはNPOとの連携、こういったものを含めて、基礎をしっかり作っていく。そして、一つの社会改善運動にも繋がるというようなことですので、結果がそこが出ない少しジレンマはありますけれども、これを継続していくことがやはり大切なことだなというふうに思います。
 もっともっと民間の方々の意見、こういったものを聞いていかなければいけないし、そのための今回の2人の採用、いわゆる霞が関の役人だけれども民間的な仕事をしてもらいたいというようなことで採用したわけですので、そういったことを増やしていければなというふうに思っています。
(問)あと1点。この定義の問題です。
 もちろん、定義を定めることで漏れ落ちる人がいるという意見があることも承知しているんですけれども。浅はかな知識で質問させていただきますと、この新型コロナウイルス禍で本当にまさに今、孤独で苦しんでいる人たちが大勢いるとは思うんです。
 こういう孤独・孤立という幅が広い問題だから、いろんな所に支援をしないといけないということは分かるんですけれども、むしろこの実態調査で実態が見えてくるまでに、きちんとまず孤独の定義を決めて、それに向けて広報することで、孤独だと思っていない人たちも、今の自分の状態って孤独なんだとか、行政側の支援も、より今、孤独に感じている一番重症な人たちを優先的に半年間で救えたんじゃないかなという思いはあるわけですけれども、この定義の問題については、どういうふうに考えますか。
(答)今言われたように、私たちとしては非常に幅広く捉えていく。そして、1人も取り残さない社会をつくる。そういう観点から定義を、定義そのものが非常に難しいわけですけれども、定義をどう考えるかということについては、やはりあまりタッチしないで幅広く考えていくと。そして、その隙間に陥らないようにしていくというふうに考えてきましたので、そこはこれからもそういう考えでいきたいと思っております。
 いろいろな考え方があると思います。孤独の定義というのがもしあるとするならば、もっと早くいろいろなこういった担当部署とかそういったものが出てきたであろうと思いますし、孤独そのものが、昔からあったわけでしょうけれども、この新型コロナウイルスによっていろいろな形で顕在化してきたわけですので、そういった中で、これから定義は決めなくても、孤独で悩んでいる人たちがどういうような状況なのかというのをしっかり把握していきたいというふうには思っています。
 そのためのホームページだったり、あるいは民間的な働きをしてくれる霞が関の職員の採用であったり、そういうことで、やはり隙間に陥らないように心がけていきたいというふうに思っています。
(問)孤独・孤立関連でお伺いします。
 先ほど、新しいホームページについてのお話がありましたけれども、ホームページを拝見しますと、年齢層とか悩み別に分けて、チャットボット形式をとっているのが目新しいところかなと思ったのですが、これまでは電話相談などが主流の相談方法だったと思うんですけれども、こうした新しい形式によって、例えば新たに拾い上げられる声があるとか、これまでと手法の違いや、その狙いを教えてください。
(答)若い方々の悩みというものはいろいろと幅広いものがありまして、やはりこれまで電話相談とか、私たちが既存で考えていることとはまた違った悩みがあるというふうに思っております。
 そういうところをNPOで実際に活動されている方々の意見を取り入れて、言葉遣いの一つとか、優しい言葉を使うとか、そういうのも含めてホームページを作りましたし、更にはそのチャットボットにすることによって、私たちが気付かないようなところをボットでしっかりフォローしてくれると。そういうところがこれまでとかなり違うのだろうというふうに思っております。
(問)同じウェブサイトの関連でお伺いします。
 今回、自殺や不登校といったものが目立つ夏休み明けの時期に向けて、新しいサイトを立ち上げたということですけれども、孤独と孤立を担当する大臣として、子どもたちに対してどのような活用を呼びかけたいというふうに考えていますか。
(答)やはり子どもたちの居場所、子どもたちの頼るべきところ、あるいはいろいろ相談すべきところ、悩みを打ち明けたいところ、そういったものが私たちが気付かない中でいっぱいあると思います。
 それが長期の休暇の中でますます内にこもって悶々とする、自分で悩む、そういったものが出てくるというふうにも思っておりますので、できるだけこのサイトも活用しながら、いろいろな方々に、あるいはいろいろなものを使って相談していただきたい。
 そのタッチポイントはNPOにもありますよ、サイトにもありますよ、あるいはその他のいろいろな地域活動の中にもありますよというようなことで、いろいろと自分一人で悩まずに、自分から繋がりを求めてもらいたい、あるいは相談をしていただきたい。どこかにその手がかりがあります、どこかにそのタッチするポイントが引っ掛かってくるはずですというようなことを言いたいと思います。
(問)同じウェブサイトの件ですけれども、実際にチャットボットを拝見しまして、開いてみると、すごくどのような悩みを抱えているかということについて自動的に案内してくれるので、やり易いなと思ったんですけれども、あそこのホームページにまず子どもたちがアクセスするための工夫として、どのようなことを考えていらっしゃいますか。子どもたちがなかなかあそこのサイトに行き着くまでにどうやって検索したらいいかとか、広報、周知のところはどのようにお考えでしょうか。
(答)いろいろタブレットも皆さんそれぞれ持っていますし、1人1台端末でですね。ですから、教育委員会、文科省も通じて、先ほど少し言いましたけれども、やはり子どもたちに学校現場を通してでも周知をしてもらう。そういったところが一番大事なのかなというふうに思います。
 操作そのものについては、もうネイティブな子どもたちが多いですから、自然とやっていくわけですので、そのとっかかりあたりを家庭ではなかなか気付かないところがありますので、文科省をはじめとする学校教育の現場でいろいろとご指導もしていただければなというふうに思います。
(問)関連してですが、先行して18歳以下の方向けのサイトが公開されていますが、何か反響等が届いていましたら、教えてください。
(答)まだ私の方にはその報告は来ていません。今日、週1回の孤独・孤立の報告がありますので、その中で報告が、こういう反応が上がっているということがあるのかもしれませんけれども、まだ私の所には報告、あるいは私自身としてその反応というのはまだ感じておりません。
(問)複数の市町村が合同で郵便局と包括連携協定を結んで、観光や地方創生で協定の事例が増えておりまして、8月3日にも高知県安芸郡の7町村が合同で協定を締結するというようなことがありました。こちらの郵便局と自治体との広域連携について、大臣の所見をお願いいたします。
(答)私はいつも言っていることですけれども、やはり2万4,000局の郵便局というのは地方にとって大変なインフラだというふうに思います。そういう中で、広域的に連携を組んでいただいて、高齢者の方、あるいは災害に関するもの、様々多分野にわたっていろいろと郵便局が活動していただける。2万4,000局のうち、半数の1万2,000局の局長さんたちは防災士の資格も持っていらっしゃるわけで、大変な資源だというふうに思っていますので、しっかり自治体との間で実効性のある広域連携、こういったものが進んでいくことを期待しています。
(問)孤独・孤立について、ちょっと話題が戻ります。
 参事官補佐のポストについて、今日、該当する2名の職員が総理、官房長官を訪問されるということが最初にありました。職員の登用については、結構異例な対応だというふうにも思うんですけれども、官邸を訪問する経緯みたいなものがもしあれば教えていただきたいのと、関連して、総理あるいは官房長官が新たに孤独・孤立に関して、何か直近で指示があったのかということについてお願いします。
(答)一番最初に官房長官の方から、やはりNPOの間を走り回るようなそういう人が必要ではないだろうかというような示唆はいただきました。もうだいぶ前です。それを具体化しようということで、霞が関にNPO、あるいはその他の団体も含めて、外回りでというとおかしいのですけれども、いろいろな声を汲み上げる、そういったものを募集したといういきさつがあります。
 ですから、その中であえて、最初1人の採用の予定でしたけれども2人手を挙げてくれまして、面接をしたら非常にやる気がある2人だったということで、1人の予定が2人になりました。
 ですから、新しい霞が関の仕事の在り方、新しい民意の汲み上げ方、そういうのも含めて官房長官には報告したいし、私自身は総理の方にも少しアピールしたいと。孤独・孤立対策室というのは、前から言っているとおり、霞が関として一番やはり不得手な部分がありましたので、そういったものをしっかりカバーするための新しいタイプの民間人的霞が関の人材ですよということを、私からもアピールしてみたいというふうに思っております。
 総理の方からはどういう答えがいただけるか分かりませんけれども、そういうことをしっかり報告したい。そして、本人にもその旨の使命感といいますか、役割といいますか、それをしっかりと認識していただきたいということを私の方からも言いたいというふうに思っています。
(問)孤独・孤立の話に戻るんですが、大臣はなかなか結果が出ないジレンマがあるとおっしゃっていましたが、なかなか目に見えるものじゃないので難しいと思うんですが、何をもって結果が出たというふうにお考えでしょうか。
(答)今のところ、NPOの皆さんとか、それから社会福祉協議会、社会福祉法人の皆様方で、様々な現場の活動をやっている方々にいろいろなやはり心強さといいますか、勇気といいますか、そういったものを与えたというふうに思っております。
 これがかなり今後活発化してくれば、もっと違った形の現場での活動が展開されて、それがまた政府の方にいろいろな要望で上がってくるのだろうというふうに思っていますので、いろいろ結果がないジレンマというふうに言いましたけれども、この基礎をしっかりと築いていければ、新たな政策形成の仕組みというものが出来上がってくるのだろうというふうに期待しています。
(問)話題が変わって、スーパーシティ構想の選定についてお伺いします。
 都市の選定は、当初5月以降選定というスケジュールだったと思うんですけれども、自治体側の提案というのは基準に満たせずに、今は延びてしまっている現状になっていると思います。
 大臣としては、いつ頃の選定を目指すべきというふうにお考えなのかということと、あと、募集の段階で自治体との基準、国側が必要とする基準などについて、やりとりに問題はなかったというふうにお考えなのか。この2点についてお願いします。
(答)一番最後のそのやりとりについて問題がなかったかということにつきましては、やはり私たちの方からは規制緩和を伴う全く新しい形のスーパーシティ構想ですよということを十分説明はしていったというふうに思います。
 しかし、自治体の受け取り方としては、やはりこれからの地域の在り方として、ICTを取り入れて、あるいはネット社会の中でどうあるべきかということをやはり最優先に考えて、いろいろな構想を作られてきたというふうに思います。そこに少し認識の差があったのかなと。出てきたものを見ると、有識者の皆さんからは規制緩和に関するものが少ないのではないかと、大胆な規制緩和というものをもっと盛り込むべきではないかというようなご意見が出ましたので、改めて将来の構想とか、補助金狙い的なものではなくて、規制緩和を伴って大胆なスーパーのシティをつくるというような感じになっていたということで、また再度構想を練りなおしていただきたいということにしたわけです。
 ですから、あと2カ月間の間で各自治体それぞれ新たにいろいろな考え方をしながら、ヒアリングをしながらやっていきますので、少なくとも今年内か来年ぐらいまではやはりかかるのだろうというふうに思います。9月、10月、そしてまたヒアリングを少しやる。それから選定作業に入るということですので、そこは当初より少し遅れると思います。
 ただ、それだけスーパーシティがこれまでにない、やはりレベルで行われるものだということが浸透していくのだろうというふうに思っております。

(以上)