井上内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和3年9月28日

(令和3年9月28日(火) 11:27~11:46  於:中央合同庁舎第4号館2階共用220会議室)

1.発言要旨


 宇宙政策及び科学技術政策担当の大臣として報告します。
 9月24日、米国ワシントンDCにおいて日米豪印首脳会合(クアッド会合)が開催され、我が国から菅総理大臣が出席しました。3月のテレビ会議に続いて2回目、対面では初めての会合となります。
 宇宙分野については、今回の首脳会合において、宇宙協力を開始することが合意されました。具体的には、気候変動、海洋・海洋資源の持続的利用等に関する衛星データの交換、インド太平洋地域の国々における宇宙関連領域の能力構築、宇宙環境の長期的な持続可能性の3つのテーマについて、今後作業部会を設置して議論を行っていくこととなります。
 我が国の宇宙基本計画では、国際的な宇宙協力を通じて、「自由で開かれたインド太平洋」に貢献することとしており、基本的価値を共有する日米豪印の4カ国が宇宙分野で連携することは重要と考えます。 私自身、昨年12月に「衛星リモートセンシングデータ利用タスクフォース」を立ち上げ、衛星データの利用拡大に率先して取り組んできたところであり、今般の首脳会合を機に、さらに国際的な取組に発展していくことは意義深く感じます。
 また、科学技術分野については、重要・新興技術の動向のモニタリングについて、バイオ技術から着手することなど、重要・新興技術分野での一層の協力を確認しました。私として、首脳会合で重要・新興技術に関する協力の前進が確認できたことも意義深いと考えます。
 宇宙政策、そして科学技術を担当する大臣として、関係大臣の皆様とも連携して、日米豪印4カ国の協力を積極的に推進してまいります。
 国際博覧会担当の大臣として報告します。
 東京オリンピック・パラリンピックに続く、国を挙げた一大イベントである2025年の大阪・関西万博まで、いよいよ3年半余り、その機運醸成が重要な課題となっております。東京オリンピック・パラリンピックの盛り上がりを大阪・関西万博にもつなげるべく、同大会のホストタウンを通じた自治体レベルでの国際交流についても連携を進めたいと思います。
 このため、本日、閣議前に開催されたオリパラホストタウン関係府省庁連絡会議において、オリパラ後のホストタウン交流を充実させていく話題の一つとして、大阪・関西万博を是非活用していただきたい旨のことを申し上げました。
 コロナ禍でホストタウン交流も大きく影響を受けてしまった中、自治体の皆様には、是非御検討いただければと思います。国際博覧会担当大臣としても、自治体の皆様と連携し、大阪・関西万博の全国的な機運醸成を進めてまいります。
 もう一件、これまで政府一丸となって、私が先頭に立って各国に対し、精力的に参加招請活動を行ってきており、私自身、海外出張なども含め57カ国、2国際機関に対し、直接の働きかけを行っております。
 今般新たにアルゼンチン、ドミニカ共和国、ブルンジから正式な参加表明をいただきました。これにより累計で57カ国及び5国際機関の参加が公表に至りました。今回公表した参加国の正式な参加表明を、心から歓迎しております。
 また、本年10月には、ドバイ万博が開催されることを踏まえ、その場を活用して招請活動を強化してまいります。
 なお、本日の閣議において、羽田浩二元フィリピン大使を、2025年国際博覧会政府代表に任命しました。今後とも様々な機会を活用して、招請活動を進めてまいります。
 消費者及び食品安全担当大臣として報告します。
 本日、昨年3月に閣議決定した基本方針に盛り込まれた施策の進捗状況について、有識者及び関係省庁で議論する第4回食品ロス削減推進会議を開催しました。
 また、来月10月は「食品ロス削減月間」、10月30日は「食品ロス削減の日」とされており、消費者庁では関係省庁と連携し、食品ロス削減に係る情報発信などを強化します。特に食品ロス削減月間の初の試みとして、「目指せ!食品ロス・ゼロ」川柳コンテストの募集を10月1日から開始するとともに、「食品ロス削減推進アンバサダー」に、料理好きとして著名なタレントのロバート馬場氏に就任をいただきます。
 SDGsの推進やカーボンニュートラルに向けた取組が求められる中、食品ロス削減に向けた取組を、もう一歩前に進めるチャンスが来ております。幅広い世代の機運を盛り上げ、消費者や事業者との協働を進め、政府一丸となって、さらなる結果を出してまいります。
 最後に、科学技術政策担当大臣として報告をいたします。
 24日に、赤石デジタル審議官が国家公務員倫理規程第5条第1項違反で懲戒処分を受けました。赤石デジタル審議官は、令和2年9月、利害関係者に該当しない事業者等から、社会通念上、相当と認められる程度を超えて、饗応接待を受けるなどしたと承知しております。
 昨今、公務員の行動に関する厳しい国民の目がある中、皆様の信頼を失うような本件行為は、あってはならないことと考えており、当時、赤石審議官は、私の下で科学技術・イノベーション政策を担当しており、私としても大変遺憾に思っております。
 デジタル庁において、既に厳正な処分がなされておりますが、引き続き、国民の皆様の信頼を損なうことがないよう、公務員倫理を一層徹底していくことが重要と考えております。
 以上です。

2.質疑応答

(問)万博のホストタウンについてお尋ねします。
 今回五輪のホストタウンでは、外国の選手団の受入れや、その準備をきっかけとして、市民間の交流が図られてきたかと思うんですけれども、万博ではおそらくその点が少し違っていて、各自治体がアクセスする先も、多少変わってくるのかなと思います。まだ、対面での交流が難しい中で、どのようにこれから交流の輪を広げたらいいかどうか、ちょっと教えていただきたいと思います。また、万博には国内外の子どもも多く参加することになると思うのですが、その点を含めて、ホストタウン事業への期待というのを、もう少しお聞かせいただきたいのですが。
(答)ホストタウンに関しては、オリンピック・パラリンピックは終わりましたけれども、その後、この御縁をフォローしていくという方針でありますから、その中の一環として、この大阪・関西万博、これを活用してもらいたいということを、今日の会議でも私から申し上げたところです。
 オリパラで様々な交流もしていただきましたけれども、残念ながらコロナの影響で、なかなか思うようにいかなかったといったようなこともありますから、より一層、これからの交流を促進してもらいたいと思っています。
 これは具体的には、自治体の皆さんが考えて実施をすることですので、これからいろいろ検討してもらいたいと思いますけれども、いろいろな形で考えられると思います。あるいはオリパラと万博ですと、万博の場合はすごく期間が長いとか、より多くの外国人の方がたくさん来られますから、ちょっと状況も違うと思うんですね。
 ですから、そういったことに沿うような取組をしていただきたいと思いますし、御質問のあった子どもたちの交流なども、非常に重要なことだと思っていますので、是非これから、我々も協力しながら、自治体の皆様に積極的に参加してもらいたいと思います。
(問)自民党総裁選についてお伺いいたします。
 大臣は、河野大臣の支持を明言されて、選対の事務局長も務めていらっしゃいますけれども、この場でも支持される理由として、突破力というのを挙げていらっしゃいましたが、この総裁選を通じて、改めて感じられたことでも結構なんですけれども、河野氏を支持する理由というのを、また改めてお伺いしてもよろしいでしょうか。
(答)前もこの場で申し上げたとおり、突破力については大いに期待をしております。それと同時に、やはり私が思いますのは、今マスコミ各社のいろんな調査などで、河野大臣の支持が非常に高いといった結果をいただいております。ですから、やはりそういった国民・党員の声というものを、我々自民党もしっかり受け止めて、そして次のリーダーを選んでいかなければいけないかと考えています。
(問)選対事務局長として忙しく動いていらっしゃったかと思うんですけれども、そういった中で、なかなか公務との両立というのは難しい面もあったのかなというふうに推察されますが、大臣、そのあたりはどのように兼ね合いを付けて、この総裁選期間中やっていらっしゃったんでしょうか。
(答)河野大臣自身も閣僚でありますし、私も当然、閣僚として公務最優先で取り組んでおります。その合間を縫って、この総裁選の対応をしているということになります。
(問)スキル売買に絡む問題について、ちょっとお伺いしたいんですけれども。大学の研究者なんかが、論文をどうやって書いたらいいか分からないということで、インターネット上で匿名の例えば企業の研究者とかを名乗る人とやりとりをして、論文の執筆に関するスキルやデータの解析などの提供をお金を払って受けて、それで論文を完成させて投稿して、それが実際に載るということが、少し問題なのではないかというような報道が一部今月ありまして。こうしたことについて、科学技術政策担当の大臣として、どのように見ていらっしゃるか、受止めをお伺いしたいのですが。
(答)このいわゆる研究スキル売買というんですかね。この報道は私も見させてもらいました。この問題については、おそらくいろんな形があると思いますので、何か一概に決めつけて対応を考えるというよりも、やはり様々な多様な形態の中で、いったいどんな形がふさわしいのかということを考えなければいけないということで、これは難しい課題だと思っています。
 ただ、他方でこういったことが問題視されている中で、研究者の皆さんも、どう対応していいかということで悩んでいるようであっては、やはり我々はしっかり行政も何らかの考え方を示さなければいけないし、対応もしなければいけないのかなと感じております。
 研究者の知識や技能を他分野で生かすことは、研究者自身のスキルアップやイノベーション創出につながることもあると思われ、それ自体は否定されるものではありません。ただし、これは所属機関での兼業・副業に係る適切な労務管理の下で、適正に実施されることが重要です。
 また、研究者自身の研究活動に対して、社会からオーサーシップに関して疑念を抱かれることのないよう、研究支援を受ける際は、適切な範囲にとどめるよう注意する必要もあります。
 このため、各大学・研究機関等において既存のルールが適切かどうか御確認いただいた上で、学会など研究者コミュニティとも連携し、研究者に対する研究公正や研究倫理教育を、引き続き充実させていきたいと考えております。
 また、研究スキルの提供や享受に関し、研究者が判断に困ることがないよう、明確な方針や対応の方向性が示されるべきと考えており、文部科学省など関係機関において、このような問題意識を持ってしっかり取り組んでもらいたいと考えています。
(問)報道なんかを見ると、自分の勤めている大学の中で論文執筆に関する指導が受けられないということで思い詰めて、ある種、「裏の取引だ」みたいなふうに、自分自身も思うんだけれども、どうしても頼ってしまったみたいなことが書かれていました。
 その後進の指導がなかなかきちんとされていないということも、こうした匿名でのインターネット上のやりとりで、論文の支援を受けるということにつながるのかなと思うんですけれども。大臣としては、多様な形態があるというふうにおっしゃいましたけれども、例えばスキル売買に頼るモチベーションとして、何かこういうことが背景にあればそれは問題だ、みたいな認識やお考えはありますか。
(答)ですから、いろんな形があるので、一概にはいえないと思うんですけれども、結果的にそうなってしまっているのか、あるいは意図して、そういったことを活用しているのかといったことでも、大分違うと思っています。
 大学や研究機関がしっかりルールづくりをするとともに、さっきも申し上げましたけれども、国としても何らかの考え方をやはり示していかないと、研究者の皆さんが悩まれて、意図的かどうかは別としても、そういった行動に結果的になってしまうということがありますので、そこはしっかり国としても対応を考えなければならないと思います。
(問)冒頭御発言のあった赤石デジタル審議官のことでお伺いしたいんですが、一義的には今の所管はデジタル庁になるかと思うんですが、当時の所管ということで、何か御本人から大臣側に御説明などはあったんでしょうか。
(答)本人からは特にありませんけれども、事務的に説明は聞いております。
(問)先ほど質問がありましたスキル売買についてお聞きします。
 まず、一概にはいえないということをおっしゃっていましたけれども、スキルマーケットで研究者がスキル等を売買することの是非については、どのようにお考えでしょうか。
(答)ですから、その売買といってもいろんな形態があると思いますので、それについて、一概にいいとか悪いとかいうことは、なかなか難しいと思いますので、そういった形態に応じてということだと思いますけれども。こうやって報道もなされて、研究者の皆さんも注目されていると思いますので、やはりまずは実態をよく把握した上で、しっかり対応を考えていきたいと思います。
(問)追加なんですけれども、文科省の話も出ましたけれども、どのように連携されていくんでしょうか。何か会議を立てるとか、そういうお考えはあるんでしょうか。
(答)まずは、私の申し上げたような問題意識を文科省に既に事務的には伝えておりますので、文科省でも、今対応を考えてもらっていると思います。それを受けて、しっかり連携して取り組んでいきたいと思います。
(問)最後なんですけれども、まずこの問題なんですけれども、研究者の待遇であるとか、大学の教育の質とか指導の質の問題もあると思うんですけれども、大臣、どこに問題があるというふうにお考えでしょうか。
(答)これはいろんな形態があるので、そういったどこに問題があるかというのも、いろんな事案に応じて原因はあるかと思います。ただ、研究者の処遇改善みたいなものは、この問題に限らず、やはり問題だと今思っておりますので、いろいろ大学ファンドをはじめとして、しっかり取り組んでおりますので、引き続き進めていきたいと思います。

(以上)