井上内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和3年9月3日

(令和3年9月3日(金) 11:08~11:25  於:中央合同庁舎第4号館2階共用220会議室)

1.発言要旨


 科学技術政策担当大臣として報告します。
 令和4年度概算要求における政府全体の科学技術関係予算は4兆4,704億円となりました。前年度予算額に比べて7.9%増であり、昨年度の概算要求の伸び率6.1%を上回る水準となりました。これは、政府内において科学技術・イノベーションの取組が年々重視されていることの現れではないかと考えております。
 本年3月に閣議決定された第6期科学技術・イノベーション基本計画においては、5年間で政府研究開発投資の総額約30兆円を目指すこととしており、本計画の着実な実施に向け、今後の機会があれば、補正予算なども含め、所要の規模の予算を確保できるよう全力を挙げてまいります。
 消費者及び食品安全担当の大臣として報告します。
 消費生活相談のデジタル化を議論するため、今年5月に有識者からなる「消費生活相談デジタル化アドバイザリーボード」を設置し、集中的な議論を行いました。本日、消費者庁と国民生活センターで消費生活相談のデジタル化に係る「中間的とりまとめ」を公表します。
 今回の取りまとめは、社会のデジタル化や人口減少などの社会の変化を見据え、オンライン相談やFAQの充実など、消費者とのコンタクトポイントの拡大、相談員の業務を支援するシステムや働き方改革を含め、消費生活相談やPIO-NETの抜本的な刷新を目指す内容となっております。
 今後、年内にもさらなる具体化に向け、国民生活センターや県や市などの10程度の団体を選定し、民間で活用されているシステムを導入したプロトタイプの実証実験を開始します。相談現場での課題の検証や意見の集約を図り、システム構築に反映させるとともに、地方自治体が消費生活相談のデジタル化を行うに当たって参考となる、具体的な業務の流れを示すガイドラインを策定いたします。
 利便性の向上など「消費者のことを第一に考える」視点を軸に、相談員の働きやすさの向上なども進めながら、消費者被害の未然防止や被害最小化が実現できるよう、消費者行政のデジタル・トランスフォーメーションを推進してまいります。
 以上です。

2.質疑応答

(問)概算要求に関連していくつかお聞きしたいんですけれども、一つは、10兆円ファンドの実現に向けて、今回、財政投融資で4.9兆円要求しているかと思うんですけれども、大臣としては、見通しはどうでしょうか。
(答)しっかり確保していきたいと思っています。
(問)確保できそうな感じですか。
(答)できそうというか、ベストを尽くすということで、10兆円ファンドの重要性、それから早期に財源を確保していくことの大切さというのは繰り返し申し上げているとおりなので、ベストを尽くして確保してまいりたいと思います。
(問)あと、もう一つは学術会議の概算要求なんですけれども、前年同額となっているんですけれども、学術会議の機能強化をする上では前年同額で十分だと考えているのか、それとももうちょっと必要だとお考えなのか。そこら辺についてどうでしょうか。
(答)従前から申し上げているとおり、日本学術会議に対しても、今すぐにでもできる機能強化、改革はやっていただきたいと申し上げておりますので、それはしっかりやってもらいたいと思います。そのために必要な予算があれば、それを確保していくというのが我々の責務だと思います。
 他方で、今の学術会議の全体の改革につきましては、CSTIなどでも議論していただいておりますけれども、正直、まだ実際、改革が形となって表れるにはもう少し時間がかかるのではないかということで、来年度予算は今年度並みということになっております。
(問)最後に、以前、国民生活センターの運営費が全て科学技術予算というのはちょっと変ではないかなというような話があったと思うんですけれども、今回の科学技術関係予算には国民生活センターの予算というのは計上されているんでしょうか。
(答)従前どおりです。これはむしろ、以前、御質問があったときにも申し上げたと思うんですけれども、やはりこの科学技術予算を計上していくに当たって、様々な考え方の整理の仕方というのがあると思うんですね。数年前にもそれを検証して、新しいやり方を取り入れておりますけれども。でも、私が昨年9月に就任して以来、いろいろ調べてみると、やはりおかしなことがたくさんあるんです。だから、そういう意味では、今一度よく精査をしていかないといけないと感じています。
(問)早速、概算の予算の公表、ありがとうございました。確認なんですが、現時点ということで推定値ということで、イノベ転換、公共投資の部分が、多分これから集計をしていく一番大変な部分だと思うんですけれども、大体どれぐらいの規模になりそうだというのはお聞きになっていますでしょうか。
(答)これはまさにこれからなんですけれども。さっきの質問とも関係するんですけれども。やはり、4兆4,700億だと言いながら、そこはまだ入っていないということでは、やはり正確な情報発信にならないと思いますから、そういったところについても改革をしていきたいと思っています。
 ちなみに、昨年は約3,200億円ということですから、常識的に考えると大体同規模のものかなと思っています。
(問)それから、もう一つ、大学ファンドの件なんですけれども、10兆円規模ということで、10兆円というふうに考えて、あと6,000億上積みすることで10兆円規模にはなると思うんですが。その6,000億というのは、仮に補正があればそこで求めていくというのか、それともあまり急がずに次年度に持ち越そうかということも含めて、どういうふうに大臣としてはお考えなのか。きっちり10兆円を是非決めていきたいというふうに思われているのか確認なんですが、よろしくお願いします。
(答)これはさっきも申し上げたように、早急にやはり10兆円の予算を確保しなければいけないと思っていますから、当然補正の機会があれば、しっかりその残りの6,000億も確保できるように努力していきたいと思います。
(問)概算要求についての質問です。改めまして、大臣として今回の科技関係予算に対する評価について伺いたいんですけれども、大臣、どう評価されますか。
(答)そういう意味では、(科学技術・イノベーション)基本計画の中にある5年で30兆円という目標に向けてということで、それをしっかり確保していくということが大切だと思っています。
 今回の、この約4兆4,000億という数字ですので、そういう意味では前年度と比較しても一定の成果が上がっていると考えています。
(問)もう一点なんですけれども、菅首相が党総裁選に出馬意向だというふうに一部報道が出ていますが、11時半から役員会が開かれると思います。総裁選について、議員としてになると思うんですけれども、期待することがもしございましたら教えてください。
(答)これは自民党で総裁選を決めて、そして実行していくことです。それはきっちり決めてもらいたいと思いますけれども、やはり国民から見て、複数の候補者の方が是非立候補していただいて、活発な政策論争を繰り広げてもらって、それを国民の皆さんに聞いていただくということは非常に重要だと考えています。
(問)関連です。その9月の末の総裁選で菅首相を支持されるか、されないか、理由もあわせてお答えいただけますか。
(答)これは、まだどなたが立候補されるかということも決まっておりませんので、やはりそういった段階になってから考えていくということになります。
(問)もう一点、光触媒で知られる藤嶋昭先生が中国の上海理工大学に移籍するという一部報道もありますけれども、これについての受止め、頭脳の海外への流出ということだと思うんですが、それについてどういうふうに受け止めていらっしゃるか、お願いできますか。
(答)報道の内容については承知をしております。
 近年、あらゆる活動がグローバルに展開される中、人材の国際的な獲得競争は一層激化しており、国を挙げて科学技術・イノベーションを強力に推進する観点から、優れた人材の育成及び確保に関する取組が重要です。そのため、世界水準の給与・待遇や十分な研究費の確保などを通じて、国内の優秀な研究者が我が国で研究を継続したいと思うような研究環境を整備してまいります。
 また、外国人研究者等の雇用促進に向けた支援策の実施などにより、諸外国からの優秀な人材を我が国に引き付けるような取組も推進してまいります。
 優秀な研究人材は、我が国の成長に不可欠な存在であるという意識を持って、これらの取組を強力に進めてまいりたいと思います。
(問)中国への技術流出というのは、いろいろ課題にもなっておりますけれども、個別の、藤嶋先生が上海に行かれるということについて、どういうふうに考えていらっしゃいますか。
(答)そういう意味では、これはそれぞれの研究者の方々の判断ということになりますけれども。ただ、個別というか、私は政策の責任者でありますから、やはり日本政府としてはなるべく優秀な研究者の方が日本で研究をしていただくように、そういった環境を整えていくということが重要だと。力を入れていきたいと思います。
(問)2点ほど確認したいんですが。1点目は概算要求の話で、大臣、冒頭の発言で、科技・イノベが年々重視されているというようなお話がありましたけれども、改めて、重視されている周辺環境だとか、どういうところから、外部環境が重視されているから、こういう形で概算要求にもプラスに働いているのではないかというふうに思われているか、ちょっとお伺いしたいんですが。
(答)これは、やはりこういった科学技術・イノベーションの力というものが、今、国際的にも、その国の国力を決める大きな鍵となっているといったような時代の変化というものが一番大きいのだと私は思っています。
 先ほど地球温暖化対策の本部でも申し上げましたけれども、やはりこういった地球温暖化のような、こういう様々な課題を解決するためにも科学技術・イノベーションの力が重要だと、そういう政策の中でも相対的に比重がすごく上がっているということなんだと思います。そういったものを受け止めて、我々政府としても、この科学技術・イノベーション分野に力を入れて予算を重点配分していくといったことが重要だと思います。
(問)あともう一点。私も自民党の総裁選絡みなんですけれども、昨日、岸田前政調会長が政策発表の中で、健康危機管理庁の創設を提唱しているようですけれども。これについて大臣、7月30日の閣僚会議後の閣議(後記者会見)でも、私、「司令塔として担当されるんですよね」という話をしたときに「そうです」という話をされていたと思うんですが。ワクチンの開発・生産を取りまとめる司令塔としていらっしゃる中で、今、その発言が出ていることについて、どういうふうに思われているかという受止めをちょっとお伺いしたいんですけれども。
(答)これは私も内容について詳細を存じ上げていないものですから。おそらく、別にワクチンの開発・生産だけではないんだと思うんですね。そういう意味ではコメントは差し控えますけれども。
 ただ、さっき申し上げたように、自民党総裁選挙を機会に、様々な候補者の方が政策論争をしていくというのは国民にとっていいことだと思いますので、やっていただきたいと思います。
(問)藤嶋昭さんのことで、追加で教えていただきたいんですけれども、ノーベル賞候補とも言われている研究者がチームごと中国に引き抜かれてしまったわけですけれども。改めて、研究費などの観点も含めて、現状の日本の研究環境というのは十分に整備されていると言えるのか、その辺の所感をお願いしたいんですけれども。
(答)一般論としては、私は非常に大きな危機感を感じております。やはり日本の研究力の低下ということが叫ばれて久しいわけですから、そこを、これからの日本の国力を決めるような研究力ですから、より強化をしていかなければいけないということで。先ほど来、お話のある10兆円の大学ファンドもそうですし、あるいは来年度の概算要求にせよ、必要な資金は確保していかなければいけないと思っています。
 そういう中で、様々な施策を組み合わせて、研究現場としての日本の魅力を高めて研究力を強化していくことに力を尽くしていきたいと思います。

(以上)