井上内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和3年8月31日

(令和3年8月31日(火) 10:24~10:37  於:中央合同庁舎第4号館2階共用220会議室)

1.発言要旨


 本日、令和4年度予算概算要求を提出しますので、私の所掌の主な要求内容を説明いたします。
 まず、科学技術・イノベーション関係では、大学ファンドにつきまして、財政投融資の活用や、今後の機会があれば補正予算なども含めて10兆円規模とすることを目指しております。経済安全保障の確保・強化の観点から、我が国として確保すべき重要技術に係る研究開発を重点的に行うためのプログラムとして60億円を要求しています。
 次に、宇宙関係では、準天頂衛星システムの7機体制の実現に向けて約278億円、小型衛星コンステレーション構築に向けた基盤技術開発やアンカーテナンシーを通じた利用拡大等に58億円を要求しています。
 なお、政府全体の宇宙関係予算につきましては、宇宙の重要性の高まりを踏まえ、内閣府から各省に拡充をお願いしてきたところであり、来年度の予算要求額は対前年比4割増の4,800億円規模となる見込みです。
 また、健康・医療戦略関係では、医療分野の研究開発を政府一体で推進するため、健康・医療戦略推進本部の下、内閣府と関係各省が共同し、AMED1,549億円、インハウス研究機関949億円を要求しています。また、ワクチン開発・生産体制強化戦略関係として、AMEDにおけるワクチン実用化に向けた戦略的な研究開発、これは事項要求で要求をしております。
 知的財産戦略では、省庁横断で標準を戦略的に活用すべき重点分野における標準活用戦略の推進や、政府の重要な施策の加速化支援に必要な経費として19億円を計上しています。
 消費者庁につきましては、通常国会で成立した取引デジタルプラットフォーム法、特商法・預託法の執行や消費生活相談のデジタル改革、相談員が活躍できる環境整備に必要な予算として144億円計上しています。
 所要の予算確保に向けて努力してまいります。
 続きまして、科学技術政策担当大臣として報告します。
 CSTIの生命倫理専門調査会では、「ヒト胚の取扱いに関する基本的考え方」の見直しについて検討しています。調査会では、専門家や患者団体の方々などから、ヒアリングを行いながら検討を重ねてきており、今般、検討の取りまとめとして、「第三次報告」の案を作成し、明日開会する調査会で御議論いただきたいと考えています。
 この報告の案においては、ヒト胚を用いた研究のうち、研究用新規胚に対する「(1)ゲノム編集技術等を用いた遺伝性・先天性疾患研究」及び「(2)核置換技術を用いたミトコンドリア病研究」について、科学的合理性及び社会的妥当性の確認を行い、これらの研究を容認することができるかどうか、調査会としての見解を示すことになります。
 私としては、ヒト胚は生命の萌芽として尊重されるべき存在であるとの「基本的考え方」を前提としつつも、ヒト胚による研究は、遺伝性・先天性の疾患などの研究に貴重な知見をもたらし、大きな科学的発展につながり得るものであり、今回の報告は大変重要と認識しています。
 また、このような重要な議論は、広く国民の皆様に知っていただきたいと考えておりまして、一般の方向けのトークイベントを9月4日にオンラインで行うとともに、今回の報告について、パブコメの募集も今後行う予定です。こうした機会を活用して、国民の皆様から御意見を伺い、調査会における検討を進めてまいります。
 最後に、消費者及び食品安全担当の大臣として報告します。
 現行の消費者委員会委員の任期は8月末で満了し、資料配付のとおり、新委員が9月1日付で発令予定です。現行の委員の皆様の2年間にわたる熱心な御審議に深く感謝を申し上げます。
 コロナ禍も契機に、社会のデジタル化はさらに進み、消費者行政も例外ではありません。こうした社会の変化や消費者のニーズの変化を踏まえ、消費者と事業者との連携・協働といった視点も加味した議論を的確に行えるよう、行動経済学やデジタルマーケティングを御専門とする学識経験者の方、また、消費者志向経営に積極的に取り組んでおられる企業の方にも新たに加わっていただくなど、委員の構成も一部変更させていただきました。新委員の皆様には充実した審議を期待しております。
 以上です。

2.質疑応答

(問)先ほど宇宙関係予算が4割増の4,800億円規模ということだったんですけれども、科学技術関係予算でいうとどのぐらいだったんでしょうか。
(答)全体はまだ把握していないと思います。各省にまたがっているものですから。ただ、いずれにせよ、しっかり取り組んでいきたいと考えております。
(問)あと、ワクチン開発戦略で事項要求ということなんですけれども、これはどういった狙いがあるんでしょうか。
(答)ワクチンの開発・生産は非常に今国民の関心が高いので、力を入れてしっかりやっていきたいと思っています。その重要性と、それからやはり新型コロナワクチン開発、今、現在進行形で進んでおりますから、事項要求ということになっていますけれども、必要な予算はしっかり確保して、国民の期待に応えていきたいと思っています。
(問)党役員人事についてお伺いしたいんですけれども、議員としての質問になってしまって恐縮なんですが、党役員人事ですとか、また新たに内閣改造も一部報道であるかもしれないという可能性が示唆されていますけれども、こういったところは、大臣として今想定されているのでしょうか。また、何か指示であるとか打診があったということはあるんでしょうか。
(答)指示はもちろん何もありませんけれども、これはやはり総理、そして総裁として適時適切に、的確に判断をしていただくということだと思っています。私としては、今、菅内閣の閣僚を務めさせてもらっていますから、とにかく自分の所掌の仕事というものを、責任を持って最後までしっかり取り組んでいきたいと思います。
(問)解散については、任期満了までということで話も出ていますけれども、この点についてはいかがですか。
(答)これも解散権は総理ですから、総理が御判断されると思います。
(問)予算の関係で伺います。経済安全保障上、重要な技術の研究開発を支援するプログラムとして60億円要求するということでしたが、これは予算要求が内閣府と文科省と経産省、3府省で共同要求すると聞いているんですけれども、それぞれの役割分担と、内閣府の役割はどうなのか。あと、このプログラム全体の期待について、大臣どういうふうに考えていらっしゃるのか、教えてください。
(答)御指摘の新たなプログラムに関しては、国の経済安全保障上、重要な研究開発を新たに実施する「ビジョン実現型」については、内閣府が30億円、文科省が30億円、経産省が63億5,000万円の内数で計上しています。
 また、各府省の既存研究開発を経済安全保障重視に転換する「加速型」につきましては、内閣府が30億円を計上しています。概算要求枠の合計については、経産省の要求が内数であるため、正確には算出できませんが、100億円程度となっています。
(問)主にどういった技術について支援していきたいか、既存の研究開発とどうやって区分けしていきたいかということで考えがありましたら教えてください。
(答)先端技術の利用は大変難しい問題を含んでおります。例えば国や国民生活にとって利益にも脅威にもなること、また国際的な技術流出問題が顕在化している現状を踏まえた我が国の技術的優位性を確保・維持する経済安全保障の観点と、世界の優秀な人材を引きつけるための魅力ある研究拠点の形成など研究力の抜本的強化の観点とを両立させ、その適切なバランスの下に、様々な政策や施策を具現化していくことが重要であるという特性を有しております。
 内閣府としては、新たなプログラムを通じて、技術流出対策を実施しつつ、先端技術を経済安全保障の視点から、社会に活用していく仕組みを構築することが重要であると考えています。国家安全保障局をはじめとした関係府省とも密接に連携しつつ、着実に取り組んでまいります。
(問)冒頭発言があった消費者委員会の新規委員のことで、大臣の御所感を伺いたいんですけれども。新しいメンバーで幅広いテーマを議論いただけるような顔ぶれになっているかと思うんですが、政府に対して建議なども出せる委員会ということで、コロナとかデジタル化に関しても、積極的に消費者視点からの意見だったり、建議だったり、提言だったりをしていってもらいたいなというのが個人的な意見です。大臣としてはどういった消費者委員会として機能していただきたいか、どういった活躍を、今、新しい委員の皆さんには期待されているんでしょうか。
(答)そういう意味では、今日までの現在の委員の皆さんも2年間本当によくやっていただいたと感謝をしております。その上で、やはり消費者行政のニーズが多様化していたり、あるいはデジタル化など、時代の変化もありますから、そういったことにやはり対応していかなければいけないと思っています。
 ですから、デジタルマーケティングの専門家の先生に入っていただいたりとか、あるいはやはり消費者と事業者、これは協力しながらやっていかなければいけないこともあり、消費者志向経営というものも、今、より力を入れて進めておりますから、それに取り組んでおられる事業者の代表の方にも入っていただくということで、いわば、より幅広く時代の変化に応じた、そういう人選をさせてもらったと思っています。
 是非これからも活発に政府に対しても様々な御意見、御指摘をいただきたいと思います。

(以上)