井上内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和3年8月3日

(令和3年8月3日(火) 11:26~11:43  於:中央合同庁舎第4号館2階共用220会議室)

1.発言要旨


 科学技術政策、国際博覧会担当の大臣として報告します。
 明日8月4日から9日まで、G20研究担当大臣会合への出席及びUAE国際博覧会担当大臣との会談等のため、イタリア及びアラブ首長国連邦に出張します。
 イタリアでは、G20研究担当大臣会合に出席し、今回のコロナ禍による社会変革や、その対応を通じた教訓を踏まえつつ、強靱で持続可能なポスト・コロナ社会の構築に向けて、世界的に進展するデジタル化の中における研究・高等教育の役割や、データの利用やデジタル研究基盤の活用の在り方等について議論を行います。
 アラブ首長国連邦においては、本年国際博覧会が開催されるドバイを訪問し、2025年に開催される大阪・関西万博の成功に向け、リーム・アル・ハーシミー国際協力担当国務大臣兼ドバイ万博事務局長とも会談を行う予定です。
 これらにより、G20研究担当大臣との間で、科学技術分野における国際連携の重要性を確認するとともに、大阪・関西万博の成功に資する施策をさらに推進してまいります。コロナ対策には十分に留意しつつ、必要な用務を実施してまいります。
 以上です。

2.質疑応答

(問)ドバイ万博の会場を視察されるということで、大臣として今一番注目してここを見てきたいなと思われている点は、どんなところがありますでしょうか。
(答)いろんな観点はあるんですけれども、まさに大阪・関西万博のこれから準備に当たって、参考になるようなことがたくさんあるかと思っておりますので、そういう目で見ていきたいと思います。
 例えばですけれども、ドバイはもう40度を超えるような暑さだと聞いておりますので、そういった熱中症対策、これは大阪でも同じことがあると思いますので、そんなこともよく視察をしていきたいと思っています。
(問)例えば今、ちょうどオリンピックなんかを取材していると、今回、国際交流というのがすごく失われてしまったなと僕は思っていて、例えば万博であれば、世界からいろんな人が集まったりだとか、いろんな世界の人が交流するような仕組みづくりとかっていうのもあるのかなと思うんですけれども。そういったものがもし何か大臣の中で発見があれば、2025年に生かせるのかなと思うんですけれども、そういった国際交流、一般の人たちがどう世界と交わるかという点に関しては、いかがですか。
(答)おそらくオリンピックでいうと、やはりコロナの影響があるんだと思います。そうした中で、なかなか接触が難しいということですから、致し方ない面もあると思います。大阪・関西万博は2025年ですから、当然コロナをしっかり乗り越えて、その後で実施をしていくということで、当然こういった国際交流にもしっかりいろんな対策を取って、大いに交流をしてもらいたいと思っています。
 ドバイでやっているか分かりませんけれども、大阪・関西万博でいえば、例えば自動翻訳のシステムを、しっかり開発、普及をさせて、いわば多国籍の方が、もうストレスフリーで他国の方と会話し、また交流できる、そういったような万博を実現したいなと思っていますので、そんなこともドバイで、何か取組があれば聞いていきたいと思います。
(問)G20の科学技術大臣会合についてなんですけれども、ポスト・コロナ時代の科学技術の在り方について議論されるということですけれども、大臣としては、ポスト・コロナ時代の科学技術について、どういった点が重要だとお考えでしょうか。
(答)これはG20からも議題をいただいておりますけれども、とりわけポスト・コロナということで、デジタル化がますます進展していく、そういった中での科学技術ということですから、様々なデータをどうやって国際的に共有をしていくか。あるいはそれとある意味、裏表でありますけれども、重要な科学技術の経済安全保障の話ですよね、流出防止とか、そういったことも考えなければいけないと思います。G20ですから、ある意味いろんな立場の国が参加をしておりますので、その辺はフラットに忌憚のない、そんな意見交換をしていきたいと思います。
(問)G20なんですけれども、デジタル大臣・研究担当大臣合同セッションということで、日本でデジタル大臣というと平井さんが出てくるんですけれども、井上大臣は研究担当大臣、どういうお立場で参加されるのかなというのが素朴な疑問だったんですけれども。
(答)これは、デジタル大臣会合と研究大臣会合は別々です。1日、デジタル大臣会合が早くて、そこには武田総務大臣が出席すると聞いております。夕食会だけはジョイントでやるようですけれども。
(問)素朴な疑問第2弾なんですけれども、イタリアには直行では行けないんですか。いや、エールフランスでも使うのかと思ったんですけれども、きっと政府専用機で行かれるだろうし、時間がそのほうが早く着くのに、どうしてフランスを経由されるのかなという。
(答)これはむしろちょっと困ってしまいまして、コロナ対策もありますし、当然公務もいろいろ多忙なものですから、なるべく最短でということで、いろいろ探したんですけれども。そもそもトリエステという場所、イタリアの(中心部から)遠くにあるものですから、近いのはベネチア空港らしいんですね。そこからでも2時間ぐらい車でかかって、ベネチアとなると直行便がないので、ある意味ローマ経由でも、パリ経由でも、フランクフルトでも、乗換えという意味ではどこでも一緒という中で、単にいろんな時刻表の関係で、一番ロスがないということで、パリ経由になったと聞いています。
(問)民間で直行便がない便だと、たとえ大臣の出張であっても難しいんですか、直行便で行くのは。
(答)私の場合は、外務大臣なんかと違って別にチャーター機ではありませんので、一般の商用機で行っておりますので、当然一般のダイヤに基づいて、そこに席を確保するということになります。
(問)別の話なんですけれども、先週、オリンピックの国立競技場内でのお弁当の廃棄ということが報道されて。消費者庁は食品ロスについて、ずっとかなり先頭で取り組んできていますし、井上大臣の中にも強い思いがあると思うんですけれども。内閣の中にある委員会のほうでも、事務局が認められたように、ああいう廃棄はあった、廃棄してしまっていたということで、消費者庁のほうから何かアドバイスを求められて提供したりですとか、何かアクションを起こされたのか。あとは単純にニュースをどう受け止められたかということの2つをお伺いしたいです。
(答)このオリンピックの開会式の弁当の廃棄については、食品ロス担当大臣としては大変残念に思っています。もちろんいろいろと無観客で実施をしたりとか、いろんな準備などでオリンピックの組織委員会、事務局も大変な状況にあったと思いますが、やはり食品ロスの削減ということは、国際社会の中で当然のことながらSDGsとか、そういったことに配慮していくオリンピックであるべきだと思いますので、そういう意味では残念に思っています。
 早速我々といたしましては、この政府のオリンピックの事務局に、そういった我々の思いを伝えた上で、アドバイスもさせていただきました。いろいろ状況を聞きますと、ボランティアの方々が、用意したお弁当を忙しくて食べることができなかったと。結果的に廃棄につながってしまったというお話のようですので、我々としては、できればやはり持ち帰りですよね。もちろん夏ですから衛生には十分に配慮しながら、持ち帰れるものは持ち帰って食べていただくということも、今後考えてもらいたいということ。
 それから、開会式には直接該当しないんですが、キャンセルなど、やはり事前に分かっているものはキャンセルをして、そして無駄な発注をしないようにといったようなアドバイスをさせてもらいました。是非これからまだまだオリンピック・パラリンピックは続きますから、食ロスの削減ということにしっかり配慮しながら、運営していただきたいと思っています。
(問)またちょっと話が変わるんですけれども。先週の金曜日に、この前の国会で成立した特商法改正の契約書面のデジタル化についての検討会の第1回がありました。委員の方々がそれぞれ御発言される中で、やはりちょっと厳しい意見もいくつか聞かれたかなと思うんですけれども、大臣がどのようにそれをお伺いになっていたかということと、改めてこの検討会を進めていく上で、どういうことが大事なのかということを教えてください。
(答)検討会については、とにかく法律が成立した以上、なるべく早くこういった会議を開いて、いろんな立場の方からいろんな意見をいただいて、その上で詳細な制度設計を我々はしなければいけないということで。まだまだ2年ぐらいあるんですけれども、なるべく早くということで開かせていただいて、私もほぼ最後まで聞かせていただきました。そういう意味では、非常に良かったと思っています。
 ただ、やはりそれぞれ立場、立場によって、まったく真逆の御意見などもいろいろありました。ですから、そこをまさにいろいろと活発に議論をしていただいて、そしてどうすればいいかということを考えてもらいたいと思っています。
 ただ、やはり法律が国会での活発な議論の下で成立したわけですから、その法律の中身を否定するようなことを今の段階でおっしゃられても、それはやはり私は違うと思っていますので。成立した法律の中身を前提として、しかし、逆にいえば、それより先の制度設計については、国会での議論もありましたけれども、そこはゼロベースで、むしろ関係者の方々に議論をしていただきたいと思っています。
 いつも申し上げますけれども、社会のデジタル化は不可避であって、それは消費者行政も例外ではありません。それを前提の下に、デジタル化を進めていく中で、どうやって消費者被害を防いでいくかと、そういったことに是非関係者の方々のお知恵をお貸しいただければと思っています。
(問)G20についてお聞きしたいんですけれども。素朴な疑問なんですが、コロナが結構流行っているときに、対面で会合されるというのは、ちょっと珍しいかなと思うんですが、こちらは今回、オンラインで参加される大臣は他にいらっしゃるんでしょうか。それとも全員、これは対面で出席されるものなのでしょうか。
(答)それは、基本的にはリアル参加なんですけれども、やはり各国の判断によってオンライン参加も可能といったような仕切りだと聞いています。
 ただ、他方でG20、今年はイタリアが議長国ということで、サミットをはじめとして、様々な関係大臣会合を開催しておりまして、ほとんどはリアル(とオンラインのハイブリッド)で開催していると聞いております。もちろんコロナの中ですから、オンラインでできることはオンラインでやるべきだとは思いますけれども、やはり各国の担当大臣が直接、対面をして、率直に様々な意見交換をするということも重要だと思っておりますので、私は対面で参加させていただく考えです。
(問)そうすると、直接参加されると決めたのは、大臣御本人が対面でやりたいということで、今回は渡航されるということなんでしょうか。
(答)そうですね。もちろんイタリアからの招聘を受けてということになりますけれども、いろいろ事務方でも検討した上で、最終的には私が判断をいたしました。
(問)先ほども質問があった契約書面のデジタル化の検討会についてなんですけれども。私もこの検討会、冒頭から最後まで傍聴させていただきまして、大臣はこの中で「法を骨抜きにはしない」ということと、「ゼロベースで考えていきたい」ということを冒頭の挨拶でもおっしゃられておりましたし、今回の今日の会見でもおっしゃっていました。
 他方で、委員の中で1人、「大臣はゼロベースと言うけれども、参院の附帯決議は与野党合意なので尊重すべき」という、たしか池本さんという弁護士の先生がそういうような挨拶をしていたのを覚えていまして。つまり大臣のおっしゃっているゼロベースというのと、委員の方が受け止めるゼロベースというのは、やや違うのかなという気も、その検討会で感じたんです。大臣のおっしゃるゼロベースというのは、これはあくまでも附帯決議を尊重した上で、議論をゼロベースで進めるということなのか、ちょっとそこの確認をしたくて、改めて教えてください。
(答)誤解のないように精緻にお答えをいたしますと、まず成立した法律ですよね。これは法律として成立していますから、当然それを守る、前提として制度設計をしていくというのが当たり前のことだと思っております。その上で、国会での議論とか附帯決議というものは、立法府での様々なやり取りがあったわけですから、それは行政としては尊重していくという立場になります。
 その上で、その委員の方がおっしゃって、ちょっと私が違うなと思ったのは、例えば具体的な手法については、附帯決議の中でも、あくまで例示として挙げているだけですので、それが何か決まった、附帯決議でそういうやり方を決めたといったことでは全くないと。そういう意味でも、是非ゼロベースで考えていただきたいと思っています。

(以上)