井上内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和3年7月9日

(令和3年7月9日(金) 11:29~11:50  於:中央合同庁舎第4号館4階共用408会議室)

1.発言要旨


 国際博覧会担当及び公文書管理担当の大臣として報告します。
 昨日、つくばに出張し、五十嵐つくば市長と面談しました。その後、つくばエキスポセンター、科学万博記念公園、フジキン・万博記念つくば先端事業所及び国立公文書館つくば分館を視察しました。
 五十嵐市長との意見交換では、万博会場の跡地利用などについて意見交換し、大変有意義な御助言などをいただきました。
 つくばエキスポセンター、科学万博記念公園、フジキン・万博記念つくば先端事業所の視察では、つくば博の当時の様子やレガシーについてお話を伺いました。この度の意見交換や視察で得られた知見などを生かしつつ、大阪・関西万博に向けた準備を着実に進めてまいります。
 つくば分館では、保存機能を果たす上で前提となる、くん蒸施設を見学するとともに、収容能力が限界に近づいている書庫の現状についても説明を受けました。今後、新館の展示・運営の在り方について検討を進めることとしておりますが、その議論の中でも、新館、北の丸、分館の3館の連携方法についても、今回の視察を踏まえ検討してまいります。
 次に、国際博覧会担当の大臣として報告します。
 明日、大阪に出張します。まず、大阪大学を訪問し、博覧会協会シニアアドバイザーの西尾大阪大学総長と面会します。どのような万博を目指すべきかなど、率直な御意見を伺うとともに、同大学が取り組む最先端のライフサイエンス分野の研究についても説明を受ける予定です。
 次に、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンを訪問し、会場運営の現場を視察します。多くの方々が集まるテーマパークでの入場者管理や感染症対策などの施策について知見を深め、万博の運営に生かしてまいります。
 最後に、大阪青年会議所が主催する「大阪未来博2021」にて、博覧会協会の石毛総長と対談します。より多くの皆様に大阪・関西万博への理解を深めていただき、機運醸成を図ってまいります。感染対策には十分に留意しつつ、必要な用務を実施してまいります。
 消費者及び食品安全担当の大臣として報告します。
 消費者行政は、これまで消費者を悪質事業者などから保護することを主に扱ってまいりましたが、それと同様に、消費者と事業者が協働・共創して新しい持続可能な経済社会を構築していく必要性も強く認識されるようになっております。
 このため、消費者庁では、消費者志向経営を自主宣言している200を超える事業者の皆様に参加を呼びかけ、事業者の皆様と一緒に社会的な課題への解決のヒントを得るべく、「消費者志向経営に関する連絡会」を発足します。本連絡会を契機に、消費者志向経営へ参加する事業者の裾野もさらに広げてまいります。
 本連絡会は、月1回の定期的な開催を予定しています。第1回は来週7月16日にオンラインで開催し、「消費者志向経営の推進に関する有識者検討会」の座長である名和高司先生から、これからの消費者志向経営のあるべき姿を語っていただきます。報道関係の皆様にもお入りいただくことができますので、是非御覧いただければと思います。
 最後に、これも消費者及び食品安全担当の大臣として報告をいたします。
 平成25年の預託法政令改正時に実施したパブリックコメントにおいて、その結果をまとめて公表した「意見概要」は作成し保存していたものの、提出意見そのものが保存されていなかったことについて、消費者庁の公文書監理官室が調査を行いました。その結果、行政文書ファイルには提出意見そのものは適切に保存されていなかったものの、担当課の電子フォルダの中から提出意見31件のうち25件を発見しました。なお、残りの6件については確認できませんでした。
 行政文書は国民共有の知的資源であり、当時、提出意見そのものを保存しなかったことは、今となっては必ずしも適切とは言えず、今後は同様の事態が起きないよう、昨日、私から消費者庁長官以下の幹部職員に対し、適切な公文書管理を徹底するよう訓示を行いました。
 今後とも適切な公文書管理に努めてまいります。
 以上です。

2.質疑応答

(問)日本学術会議の会員候補6人が任命されなかった問題で、6人が拒否理由や経緯が分かる文書の開示請求をしましたけれども、保有していないとか、公正かつ円滑な人事に支障を及ぼす恐れがあるなどとして不開示、応答拒否の決定が出ています。6人は行政不服審査法に基づき審査請求をする予定です。
 会員候補からは、「保有していないとするならば文書隠滅の疑いがある」、「会員候補個人の情報開示が人事に支障を及ぼす恐れが生じるとは考えられない」と批判されています。それについて、大臣として受止め、お考えがありましたらお願いできますか。
(答)これは、恐縮ですけれども、いつも言っているとおり、任命の権限は私ではありませんので、コメントは差し控えたいと思います。
(問)その関連で、大臣、公文書管理担当大臣ということで、また、世界に誇る国民本位の新たな国立公文書館の建設を実現する議員連盟の事務局長でもあると聞いております。公文書について非常に大切に考えてこられたと思いますけれども、改めて公文書の在り方、国民にどう役立てるかについて、大臣のお考えをお聞かせいただければありがたいです。
(答)一般論としては、公文書管理はそれぞれ所管の部局が法令に基づいて適切に運営していると思っています。
(問)それぐらいでしょうか。いろいろ熱い思いがあるのではないかと思って、もし個人的な考えでも構いませんが。
(答)学術会議の件についてということですか。
(問)いや、違います。一般論として公文書の重要性についてどういうふうに考えられているかということです。
(答)公文書の重要性については、もう熱く語ればきりがないんですけれども、それは当然のことながら、いつも現在及び未来の国民への説明責務を果たさなければいけない。かつ、やはり公文書というのは国民の権利でもあると考えておりますから、そういった考え方に基づいて、やはりしっかり行政としては公文書を保存し、適切に運用していく、そういう責任があると思っています。
(問)少し関連してなんですが、消費者庁のほうでは、本日、先ほど大臣も発表されていましたけれども、パブコメの管理で、当時としては適切な対応ではなかったのではないかということですけれども。既に訓示を行ったということですが、どういったところを強く大臣としては訓示などで伝えられたのか、どういったことを今後再発防止としてつなげていくことが大事だと考えていらっしゃるか、改めて教えていただけないでしょうか。
(答)いろいろ調査をいたしましたので、理由が当時あったのではないかと推測される部分はあったと思います。なかなか法令の解釈が明確ではなかったとか、あるいは担当者限りで運用していたとか、そういったことはあるんですけれども、ただ、そうはいっても、やはり今の時点で考えると適切な取扱いではなかったと。これはもう、そう言わざるを得ないですから。そういう意味では、今後、しっかり公文書管理を法令に基づいてやってもらいたいということは強く訓示の中でも申し上げました。
(問)申し上げた上で、特に再発防止として「思い」というのもあるとは思うんですけれども、どこに徹底を促したいというふうに大臣としては考えていらっしゃるんでしょうか。
(答)例えば、これは公文書管理の担当大臣としては、各省庁に周知を図る通達なども出したところですので、そういう意味では、それを踏まえて、先ほども申し上げましたけれども、公文書管理自体は、それぞれ所管する分野について各省庁がきちんと取り扱ってもらうということが原則ですから、それをしっかりやってもらおうと。当然それは消費者庁でもやらなければいけないと。私、そういう意味では、2つの大臣の立場があるものですから、なかなか複雑ではあるんですけれども、それは消費者庁も当然やっていかなければいけないと思っています。
(問)今のパブコメ廃棄について教えていただきたいんですけれども。国会の中でも、いろんな事案がある中で廃棄してしまったのは今回だけだったと。では、どうしてなんだというところが当時、質疑の中で出ていたと思うんですけれども。結果的にこういう形で廃棄してしまったというのは分かったんですが、どうして廃棄してしまったのかというのは、調査の中ではどういう結論になったんでしょうか。
(答)先ほど申し上げましたけれども、調査の中で発生した要因というものも推測をいたしまして、1つは、当時の担当課において実質的には文書管理業務が担当者の判断だけで行われていたこと。2つ目が、内閣府が示している行政文書ガイドライン別表に掲げられている保存すべき「提出意見」が、提出意見そのものを指すのか、提出意見の内容が分かる資料を指すのか、必ずしも明らかではなかったこと、ということを指摘しております。
 とはいえ、やはり当時、提出意見そのものを保存しなかったことは、今となって考えれば必ずしも適切とは言えない、といったような結論を導いております。
(問)そうしますと、特に今回は、いわゆる公文書管理の解釈が不十分だったとか、そういう人為的なミスによるもので、例えば意図的に捨てたとか、何か政治的な対立があって捨てたとか、そういうようなものはないと、そういうような結論なんでしょうか。
(答)それは当然そうだと思っています。そんなことはあってはならないことですから。
(問)消費者志向経営の連絡会のことです。これは大臣のお話では、事業者と消費者との協働の推進ということと、あと、社会的課題を検討されていくということがお話にあったんですけれども、第1回目の参加者を見ますと、ここには消費者団体という方々は参加者として今後入っていく可能性はありますでしょうか。第1回目は入っていないのですけれども。
(答)そういう意味では、消費者志向経営ということで、事業者の皆様にいろんな議論をしていただこうということを考えておりますけれども、当然様々な消費者行政に係る関係者の方々からお話を伺うとか、聞いていただくとか、いろいろなことを考えながら進めていきたいと思っています。
 今回のこの連絡会については、私もだいぶ思いがありまして、例えば先般の通常国会における特商法の改正、契約書面の電子化の話についても、国会の議論を聞いていますと、やはりあたかも事業者団体と消費者団体が対立をして、違う考え方の下に議論しているといったようなことが見受けられて、私はそれを大変残念に思っています。やはり良質な事業者と消費者が協力をして、むしろ悪質事業者を撲滅していく、あるいは消費者被害の発生を抑制していくといったことが大切だと思っていますから、そういう意味では、関係者がしっかりそれぞれの立場で協力をしながら消費者行政の課題を進めていくということが大切なんだと思っています。そういったことの一助になればいいなという思いで、この連絡会を立ち上げさせていただきたいと思っています。
(問)直接の御担当ではないかと思いますけれども、五輪に関して、昨日、1都3県での無観客での開催が決まりました。これについて少し受止めを伺いたいのですが。
(答)所管ではないので個人的な考えとしては、やはり一番大切なのはコロナ対策であって、国民の命と健康を守るということだと思います。その上でオリンピック・パラリンピックをどういう形で開催することが適切であるかと。それは関係者の皆様が考えて出した結論ですので、それに基づいて、しっかり安全に運営をしていただきたいと思っております。
(問)今の件に関連してお伺いしたいんですけれども、今回、無観客ということが決まりましたけれども、どうしてもそこまで二転三転、上限についてはしてしまって。かつ緊急事態宣言自体も、前回発出されてからまた、解除されてからすぐ発出ということで、なかなか国民の理解が難しいと思います。
 大臣、まさに東京選出ですが、今回の問題が与える選挙などへの影響、御自身、肌で感じられているところもあると思うんですが、おありでしたらお願いいたします。
(答)衆議院選挙とかということですか。
(問)そうです。
(答)それは大臣としての会見では、ちょっと立場が全く違うので、これまた個人的見解にはなると思いますけれども。我々、衆議院選挙は、やはり常に国民の審判を仰ぐということでありますから、当然今の任期中、どういった実績を積んできたか、それから、今後どのように国政を運営していくのかと、そういったことを訴えて臨んでいくということになると思います。その中でコロナ対策であるとか、あるいはオリンピック・パラリンピックへの対応といったことが一つの争点になるのではないでしょうか。
(問)どうでしょう、逆風になりかねないというような懸念はお持ちですか。
(答)常にそういう覚悟で、やはり選挙というのは臨まなければいけないと思っています。
(問)今、ここ数日間、河川の氾濫であるとか土砂崩れとか、大雨被害というのが非常に増えていて、各地で大きな災害が発生していると。同時に、今お話があったコロナによる緊急事態宣言が出る予定であるとか、つまり全国で同時的、重複的な災害とか、そういうものが今発生していて、それで、消費生活というのは非常に不安と混乱に満ちていると。ということの中で、所管の範囲もあると思うんですが、大臣として、例えば特に地方消費者行政の見守りはどうなっているのかとか、消費生活相談はどうなっているのかということについて、何か支援ということでお考えとかがあるかどうかということなんです。
 それとあと、こういう状況の中での消費者へのアピールとか何かあれば、ちょっとお聞きしたいと思った次第です。
(答)見守りをはじめとして、やはり消費者に対する最大限の支援ということは、これは当然、常日頃から我々の責務だと思っています。その上で感染症にせよ、災害にせよ、どうしてもそういったことが起きると、ある意味、弱い立場に消費者が立たされ、そして、それに対して、それにつけ込むような、そういう事業者が発生したりといったことが見受けられますので、そういったことは絶対に許してはいけないと思います。人の弱みにつけ込んで、それを利用するようなこと。ですから、そこは厳しくそういったことが発生をしないように、我々、さらに力を入れて取り組まなければいけないと思っています。

(以上)