井上内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和3年6月15日

(令和3年6月15日(火) 10:07~10:26  於:中央合同庁舎第4号館2階共用220会議室)

1.発言要旨


 消費者及び食品安全担当大臣として報告します。
 本日の閣議で、消費者基本計画の変更を決定しました。
 第4期となる消費者基本計画は、昨年、令和2年度からの5年間を対象期間として閣議決定したところですが、コロナ禍における「新しい生活様式」の広がりなど、消費者を取り巻く環境が大きく変化したことを踏まえ、今回異例ではあるが、計画期間途中での計画の変更に踏み切りました。
 具体的には、新型コロナウイルス感染症に便乗した悪質商法やトラブルへの厳正な対応、消費者と事業者が協力した適切な消費行動の浸透、デジタル社会における消費者の保護に関する取組を盛り込んでおります。
 あわせて、基本計画工程表についても、KPIの見直しを行うとともに、関係省庁の取組を充実させております。
 新しい消費者基本計画に基づき関係省庁と連携をして、コロナ禍への対応をはじめ、機動的な消費者政策を展開してまいります。
 次に、国際博覧会担当の大臣として報告します。
 6月11日に行われた日英首脳会談において、英国のジョンソン首相より菅総理に対し、2025年大阪・関西万博への参加が表明されました。私からも今回の参加表明実現に向けて、ロングボトム駐日大使に直接働きかけるなどしてきたところであり、英国の参加を大変喜ばしく思っております。
 また、これまでの参加招請活動の具体的な成果について報告します。私からも56カ国1国際機関に対し、直接の働きかけを行ってまいりました。その結果、先に述べた英国に加え、新たにカンボジア、キューバ、クウェート、コモロ、中央アフリカ、メキシコ、モザンビーク、ルーマニアより正式な参加表明をいただきました。これにより、累計で43カ国及び4国際機関の参加が公表に至りました。
 今回公表した9カ国の正式な参加表明を心から歓迎しております。様々な機会を活用して、引き続き招請活動を進めてまいります。
 以上です。

2.質疑応答

(問)イギリスが万博への参加を表明したということで、タイプについては言及があったのかということと、G7の場でバイ会談の場ではありますけれども、万博の話題が取り上げられたことの意義について、大臣の受止めを教えてください。
(答)まず、英国からはタイプについてはまだ表明がありません。ただ、私からロングボトム大使に対しては、是非タイプAでの参加をお願いしたいということを言いました。また、このG7サミットという、そういった非常に重要な場で開催国のイギリスから正式表明があったということは非常に重要なことだと思っていますので、心から歓迎したいと思っています。
(問)先ほど新たに参加表明があったカンボジアやキューバなど、そのあたりの国からタイプについて言及があった国もあるんでしょうか。
(答)新しい国からはないですね、特に。
(問)G7についてお伺いしたいんですけれども、万博以外にも大臣の所管分野のことで言及があったかと思うんですけれども、その成果について御所感をお願いいたします。
(答)G7サミットでは、私の所管でありますと、万博の他にも科学技術、また、宇宙についていろんな議論がなされたと承知しております。
 まず、科学技術関係ですけれども、G7首脳コミュニケの附属文書として、「研究協約」と題した成果文書を発出し、国際研究協力を支える開放性や相互主義といった共通の価値や原則をG7諸国間で確認できたことは、将来の様々な未曽有の危機への備えとして、また、人類共通の課題解決に資するものとして、タイムリーかつ意義深いものと受け止めております。G7での議論を踏まえ、我が国も国際的に信頼性のある研究環境を構築しつつ、必要な国際協力や国際交流を進めてまいりたいと思います。
 また、今回の研究協約の中で、オープンサイエンスと研究セキュリティ・インテグリティの2つのテーマについてそれぞれ作業部会を設け、今後、専門家の意見も聞きながら、具体的な議論を進めていくことも確認されており、是非我が国も積極的に議論に貢献してまいりたいと思います。
 あわせて、宇宙についてですけれども、G7サミットにおいて、スペースデブリの問題など「宇宙の持続可能性」をテーマとして議論が行われ、首脳コミュニケには、安全で持続可能な宇宙利用を約束し、宇宙交通管理のためのルールづくりの重要性を認識し、G7以外の国に対しても、国連などの枠組みを通じた協力を呼びかけることが盛り込まれました。我が国では、先月私が座長を務めるスペースデブリに関する関係府省等タスクフォースにおいて、宇宙交通管理の中核的な要素である地球を周回する軌道を利用する際のルールづくりに関する取組の基本方針を策定するなど、G7サミットの議論に沿った取組を着実に進めております。引き続きこのような取組を進め、国際的な議論にも積極的に貢献してまいりたいと思います。
(問)消費者基本計画のことについてお聞きします。
 基本計画自体の変更というのは異例だということで、先ほどお話がありました。年次報告についての工程表については、毎年改定はありますけれども、特に大きなポイントとして、異例ということについての検討された大きなポイントを、先ほどコロナであるとかとおっしゃいましたけれども、そこをもう一度確認したいと思います。
 それともう一つは、工程表自体がこれからこういうことをやるんだよということで、大事な政策がいくつかありますけれども、ほとんどですが、それに対して地方公共団体であるとか、あるいは一般国民に対して周知が必要ではないかと私は思っておるんですけれども。こういう社会的周知についてはどういうお考えがあるのか、そこの点をお聞きしたいと思います。
(答)コロナ禍における「新しい生活様式」の実践に伴って、消費生活のデジタル化が加速するなど、消費者を取り巻く環境はこの1年で大きく変化をしました。これに的確に対応して消費者政策を推進するため、「新しい生活様式」の実践に関する記述を追加すべく、消費者基本計画を抜本的に変更することとしました。
 具体的には、例えば生活関連物資の需給状況も注視し、悪質商法への厳正な対応、正確な情報発信や消費者への普及啓発を推進すること。また3密の回避など、消費者と事業者が協力した持続可能な社会に配慮した適切な消費行動の浸透を図る取組を行うこと。さらにデジタル技術を活用した消費者の主体的かつ合理的選択の機会の拡大と消費者利益の擁護・増進を両立するための消費者教育などの取組を進めることなどを記載したところです。
 また、工程表につきましては、計画の変更に即した形で構成を一部組み直しつつ、具体的な施策を追加するとともに、全ての施策について令和2年度実績及びKPIの最新値を追加し、今後の取組予定について時点更新を行っております。
 最後の質問ですけれども、これは消費者基本計画の中にも書き込んでありますけれども、やはり消費者の皆様に対する情報発信、普及啓発、非常に重要だと思っております。先般の消費者白書もそうですけれども、できましたらこの消費者基本計画や工程表というものも、是非消費者の皆さんにも御覧になっていただきたいと思いますし、それがなかなか叶わないにせよ、我々から積極的に発信していくように努めていきたいと思います。
(問)量子技術関連で伺いたいなと思っているんですが。いずれも先週の話になりますが、先週、大臣はテレビ会議でアメリカのエリック・ランダー科学技術政策局長とお話しされていると思うんですけれども、4月に日米首脳会談で量子技術の開発等に向けて連携するという話があったと思うんですが、この会議ではそうした量子技術関連の話というのは出たんでしょうか。
(答)今お話のあった4月の日米首脳会談でも確認をされた日米競争力強靱性パートナーシップの方針、これを踏まえまして、量子をはじめとして、AI、宇宙、バイオテクノロジー、健康・医療などのいくつかの重要な研究分野における日米間の協力を推進するために緊密に連携していくこと、これを確認いたしました。
(問)その上でなんですけれども、先週金曜日に統合イノベの戦略について原案が出されておりますが、そこの中に量子技術イノベーション戦略についても記載があると思うんですけれども。そこで「環境の変化に対応すべく戦略の見直しも含めて、抜本的な強化を進めていく」という話があったんですが、大臣としては、今の時点で、戦略としてはつくり直すほうがいいと思っていらっしゃるのか、あるいはフォローアップ的なもので対応できるのではないかと思われているか、どういったお考えをお持ちなのか、お聞きしたいんですが。
(答)量子の計画については、まだ計画策定したばかりですので、まずはこの計画に沿ってしっかり進めていくということだと思っています。ただ、他方でやはりこういった分野は本当に日進月歩ですから、そういう意味では状況を見ながら、また、さらなる戦略ということも今後は考えていかなければいけないと思います。
(問)冒頭の消費者基本計画の関連で、先ほどの大臣のお話の中で、ちょっと言葉が正確ではないかもしれませんけれども、「デジタルが進む社会の中で、利便性と消費者利益の擁護の両立を図っていくことが非常に重要だ」というようなお話があったと思うんですけれども、先般成立した特商法の議論の中で、契約書面の例外的な電子化を巡っては、「そうしたトラブルの多い分野での利便性などを求めるべきではない」というような野党議員からの指摘もあったんですけれども。このデジタルによる便利な社会の享受と、それに伴う消費者被害をどう防ぐかという、この難しい課題を両立していくために大事なことは何だとお考えでしょうか。
(答)これはまさに社会のデジタル化、これはもう止められない流れであるし、またむしろそれを進めていかなければいけないと思っています。そうした中で、消費者行政も当然のことながら、やはりデジタル化への対応ということを考えていく責任があると思います。ですから、いろんなその消費生活相談とか、いろんな場におけるデジタル化、トータルに考えて消費者行政の中でデジタル化を進めていくということで、いろいろ検討をしております。
 先般の特商法においては、その一環ということです。いろんな御批判もいただいて、若干ちょっと私どもの考え方が正確に伝わっていなかった、誤解の部分もあったということで、そこは反省もしております。
 ですから、このいわばデジタル化における消費者の利便性の向上と、消費者保護、これはどういうふうにバランスを取って進めていくかというのは、非常に難しい話ではあると思います。
 そういう思いの中で我々は、原則的には書面であるけれども、例外的に消費者の同意が得られた場合には認めていこうという形の法律をつくったわけです。ですから、そういった我々の考えというものを、より理解していただくように、これからこの法律に則って発信をしていきたいと思いますし、これからの詳細な制度設計、これを考えていかなければいけないと思っております。
(問)今の話の中で、「なかなか誤解の部分もあって、そこは反省もしている」というお話だったんですけれども。国会の議論を見ていても、これまで消費者の権利の擁護に尽力してきた各種団体との溝、あつれきを残す結果になってしまったのではないかというふうにちょっと心配してしまったんですけれども、その誤解というのは、伝え切れなかった思いというのは、いったいどのようなことなんでしょうか。
(答)いろいろあるんですけれども、やはり消費者行政全体を見ていかなければいけないと思っているんです。もちろん消費者被害の保護、トラブルを未然に防止して、なるべく被害を発生させないようにしていくということは非常に重要だと思いますけれども、なかなかそれをゼロにはできない中で、どうやってデジタル化を進めていくかということが1つあると思います。
 それから、国会での議論など、私は振り返っても、一部書面であろうがデジタルであろうが、特商法上の取引に伴う様々なリスク、そういったことについて声高に主張される方々がいらっしゃいますけれども、そこはやはり切り分けて考えないと誤解が生じてしまうのかなと。
 あとは、今後の政省令、制度設計に関しても、一部反対の方々からの要望も踏まえて、どういった制度設計を考えているのかと。少し例示も示しましたけれども、結果的にその例示がかえって本末転倒であるとか、滑稽なことになっているという指摘も、むしろその反対されている方からいただいたものですから、政省令の設計に関しては、私は今一度原点に立ち返って、ゼロベースでちゃんと考えていかなければいけないと思っています。
 今回の法案を作成するに当たって、我々としては消費者委員会をはじめとして、消費者団体の皆さんの意見もしっかり聞いた上で策定したという思いがありますが、他方で十分ではなかったといった声もあったものですから、これからの制度設計については、なるべく早く消費者団体の皆さんからの御意見を伺う機会を設けて、私自身が直接お話を伺って考えていきたいと思っています。

(以上)