井上内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和3年6月8日

(令和3年6月8日(火) 8:38~8:55  於:中央合同庁舎第4号館2階共用220会議室)

1.発言要旨


 消費者及び食品安全担当の大臣として報告します。
 本日の閣議において、「消費者白書」を閣議決定しました。
 今回は「『新しい生活様式』における消費行動」を特集し、目下最大の課題である新型コロナウイルス感染症に関し、消費者意識や行動の変化、関連した消費生活相談の内容を分析するとともに、ワクチン接種をかたる詐欺や新型コロナに効くと称する不当表示など、コロナ禍の悪質商法等への政府の対応について紹介しております。
 また、年次の報告として、2020年の消費生活相談の状況を取りまとめ紹介しています。全国の消費生活センター等に寄せられた相談の件数は93.4万件で、前年とほぼ同水準です。白書の分析を踏まえ、今後も消費者行政に取り組んでまいります。
 次に、科学技術政策担当の大臣として報告します。
 本日の閣議において、「令和2年度(令和3年版)科学技術・イノベーション白書」を閣議決定しました。
 科学技術・イノベーションの重要性はますます高まっており、特に政府の重要政策である社会のデジタル・トランスフォーメーションや、2050年カーボン・ニュートラルの実現のためには、科学技術・イノベーションが必要不可欠です。
 今回の白書では、それらに関連する取組に重点を置いて、国民の皆様に分かりやすく紹介しております。科学技術・イノベーションの重要性を国民に理解していただくための発信は重要です。科学技術政策担当大臣として、今後もこのような記者会見のみならず、科学技術・イノベーション担当のフェイスブックをはじめとする様々な手段により、ますます積極的な発信に努めてまいります。
 以上です。

2.質疑応答

(問)消費者白書についてなんですが、ネット通販のトラブルですとか、オンラインゲームの課金の相談も過去最多となっていると聞きまして、コロナ禍での生活様式の変化が、その相談内容にも反映されていると思います。消費者としても、この変化に対応が求められているかなとは思うんですけれども、改めて消費者に注意してほしいことを、大臣からお願いします。
(答)いろいろ新型コロナウイルス感染症の影響であるとか、あるいはネット通販が非常に広がっていることの影響などがあると考えております。外出型消費の減少やいわゆる巣ごもり消費の増加に加えて、インターネットを利用した支出が急激に拡大をしております。特に衣類、書籍、ゲーム等のコンテンツ類、家具・家電等の商品で店舗購入が減少し、ネット購入が増加する動きが見られております。
 消費者意識においても、一定程度の消費者がインターネット上の口コミやレビューをより重視し、店舗における店員からの説明に頼らなくなりつつあるなど、消費判断のよりどころにも変化の兆しが見られます。
 こういった消費者の様々なニーズの多様化、こういったことに対応して、しっかり消費者行政を進めていきたいと思っています。
(問)やはり、かなり変化が急激に訪れたことで、特に高齢者なんかは、その変化への対応というのは難しいのかなと思うんですけれども、大臣としては、どういったところに注意を払ってほしいなというふうに思われますか。
(答)消費者庁としても、この注意喚起などいろいろ多岐にわたって発出をしておりますけれども、やはり消費者の皆さん、とにかくおかしいなと思ったら、遠慮せずに是非、消費生活センターあるいはホットラインなどにかけて相談をしてもらいたいと。やはりそれが非常に重要なことだと思っています。
 ですから、あわせて、我々としてはこの消費者相談というか、ホットラインの存在というものをよくアピールして、そして消費者の皆さんの認知を高めていくといったような、その相互の努力が必要なのかなと痛感しています。
(問)関連するんですけれども、消費者側の対応も必要だと思うんですけれども、やはり行政や事業者の対応も、もちろん重要になってくると思います。デジタル化については、政府全体として取り組まれていることだと思いますけれども、改めて井上大臣として、事業者や、また行政がしていくべきことは、今何か考えていらっしゃることがあれば教えていただけないでしょうか。
(答)デジタル化という意味では、消費者行政全般のデジタル化、できることはなるべく早く全てやりたいと思っておりまして、それぞれいろいろ検討して、あるいは着手して進めているという状況です。今の国会においても、デジプラ法やあるいは特商法、こういったところでデジタル化に対する措置をしているところでありますし、あるいはPIO-NETとか、あるいは消費生活相談のデジタル化、こういったことも含め、これからしっかり取り組んでいきたいと思っています。
 おっしゃるように、まずは我々がしっかりこのデジタル化に対応して、その上で消費者の皆さんに、是非それに応じた対応をしていただければと思っております。
(問)関連するものですけれども、大臣の回答の中でもおっしゃっていたとは思うんですが、消費者白書のことなんですけども、消費生活センターへの相談率が、ここ3年間8%台であるということと、あと消費者ホットラインの188に対する架電率、それはまだ2%に達していない1%台であるということで。今おっしゃった中で、ホットラインの周知徹底であるとかということをおっしゃっていますけれども、もう一歩踏み込まれて、消費生活センター、地方消費者行政の相談業務の支援であるとかということについて、なかなか消費生活センターにつなげるということが大事だと思いますけれども、それがまだ8%台であったり1%台であったりという数値ですので、何か大臣のほうでお考えはないかということをお聞きしたいのですけれども。
(答)消費者庁が行った調査では、消費者事故やトラブルに遭った際、まずは家族や知人、販売店等に相談する方が多いと。他方で消費者の安全・安心を確保するためには、全国どこに住んでいても質の高い相談・救済が受けられるよう、地域で身近に相談できる窓口の充実や周知を図ることも重要であると考えています。
 このため、これまでも消費者ホットラインをより親しみやすく、消費者の皆様に広めるために、イメージキャラクター「イヤヤン」の活用やSNSへの広告配信などを積極的に行ってまいりました。
 こうした取組によって、認知度は消費生活センターで83.1%、消費者ホットラインで28.5%と徐々に高まっております。しかし、さらなる向上を目指していきたいと思います。今後も地域の身近な相談窓口として、さらに広く活用いただけるよう、認知度向上に向けた広報、強化交付金や相談員の養成を通じた地方への支援、デジタル化を用いたアクセスの向上に取り組んでまいりたいと思っています。
 これ、なかなか難しいのは、相談件数が横ばいだからそれが不適切ではないか、ということでは一概にないと思っておりまして。相談が減るということは、認知度が低いから減るのか、あるいはそもそも消費者の方が困る、いわば機会が減っているということであれば、それはそれでいいことだと思います。いずれにせよ、むしろその結果としての消費者トラブルを減らしていく、そういうことが重要だと思っていますので、そのために何をすればいいか、引き続き取り組んでいきたいと思います。
(問)科学技術・イノベーション白書についてお伺いしたいです。
 今回の白書では、新型コロナについて新たな章立てができたりですとか、脱炭素について触れられたりですとか、イノベーションの色が強くなったなというふうに感じるんですけれども、改めまして、大臣の御所感をお聞きしたいです。
(答)当然、今回、(科学技術・イノベーション)基本計画をつくったことは非常に大きいものですから、それに基づいてSociety5.0とか、総合知とか、そういった記述を厚くした上で、今おっしゃったような、まさに今の政府としての一番大きな課題として、デジタル・トランスフォーメーションやカーボン・ニュートラル、これに沿った科学技術・イノベーション政策というものを特集したと、こういう構成になっています。
 その上で、私の所感として申し上げると、やはり科学技術にせよイノベーションにせよ、なかなか難しいものですから、国民の皆様の認知度があまり高くない、関心があまり高くないということに危機感を持っておりまして、やはり我々としても分かりやすく、よく周知をしていくということが重要なのかなと思います。
 白書というのは、基本的には国民の皆様、一般向けにつくっているものです。実態上はなかなか行政とか、企業の関係者の方が読んでいるケースが多いんですけれども、できたら今回の白書は、私も、より分かりやすく、といった観点に力を入れてつくったものですから、是非、一般の国民の皆さんに見ていただいて、科学技術・イノベーションについての御理解を深めていただけると大変ありがたいなと思っております。
(問)もう一点、この白書自体は文科省も関わっているかと思うんですけれども、この件について萩生田文科相と何かやりとりなどはございましたか。
(答)直接話をしたわけではありませんが、今日の閣議においては、文科大臣も発言をされておられました。一応、政府の中では、この白書自体は文科省が主管となっておりまして、それで我々と協議をしてつくっていくということですので、そういう意味では、対役所同士では事務方の間で緊密に連携して、これをつくり上げたと聞いております。
(問)白書に関連して、大臣は国民の理解を深めることが大事だと。それで、一番最初の発言の中で、記者会見とか、あと科学技術政策のフェイスブックとかでアピールしていきたいというお話だったんですけれども、大臣個人として何か科学技術をアピールするような取組というか、そういうのは何かされるんでしょうか。
(答)担当大臣としていろいろ日々の業務の中で精いっぱいやらせていただいていると思っておりますけれども、個人としてかどうかは分かりませんが、例えば私は万博とか、健康・医療とか、あるいは宇宙とか、いろいろ担務を持っておりますので、そういった他の所管の中でも科学技術の重要性、それを生かしていきたいと思っています。
 万博なんかは典型だと思いますけれども、大阪・関西万博でも日本の持てる素晴らしい科学技術、これを大いにPRするような、そんな場にしていきたい。そのことによって国民の皆さんによく知ってもらえればありがたいと思います。
(問)科学技術・イノベーション白書について質問させていただきます。
 白書では、日本学術会議が昨年度出した主な提言などを紹介したほか、学術会議のより良い役割の発揮に向けての改革について少し取り上げられていますけれども、総理がいわゆる会員候補6人を任命しなかった問題について全く触れられていませんけれども、これについてもしお考えがありましたらお願いします。
(答)これはむしろ私が、あえて今回の白書に日本学術会議についてしっかり記述をしてもらいたいということを強く申し上げたんです。今までの白書においても記述はあったんですが、どうしてもあまり多くなかったんですね。でも、そのこと自体がやはり私はあまりいいことではないと思っていて、国民が期待できる日本学術会議に、そして日本学術会議の認知度、これを上げていくというのも非常に大事だと思っておりますので、そういう意味では、今行っている改革について、今回少し文書(量)を厚くして載せさせていただきました。
 ただ、任命の話は、そういう意味では科学技術という内容には直接関わらないものですから、そういう意味では、白書に載せるのはあまり適当ではないかなと、そういった判断です。
(問)関連で、白書でSociety5.0の実現に自然科学と人文社会科学の融合した総合的な知の活用が必要だと、改めて強調されていると思うんですけれども、総理が人文社会科学系の会員候補6人を今も任命していないことは、何かそれと矛盾しているようにも感じられるんですけれども、もし大臣のお考えがありましたらお話しいただけますか。
(答)いつも申し上げているように、任命については私の権限ではないものですから、答えは差し控えたいとは思いますけれども、そういった何かおっしゃったような観点のみで判断されたということではないんだと思います。総合的な判断の結果なのではないでしょうか。

(以上)