井上内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和3年6月1日

(令和3年6月1日(火) 9:20~9:36  於:中央合同庁舎第4号館2階共用220会議室)

1.発言要旨


 健康・医療戦略担当の大臣として報告をいたします。
 本日、第34回健康・医療戦略推進本部を開催し、そこで定めたワクチン開発・生産体制強化戦略を、先ほどの閣議で閣議決定いたしました。
 この戦略は、ワクチンを国内で開発・生産できる力を持つことは、国民の健康保持への寄与はもとより、外交や安全保障の観点からも極めて重要との認識の下、今回のパンデミックを契機に、政府が一体となって取り組む国家戦略としてまとめたものです。
 内容は、まず喫緊の新型コロナウイルス感染症への対応のために重要な事項として、薬事承認について検証試験を開始・速やかに完了できるよう強力に支援すること。また、国産ワクチンの検証試験加速のため、臨床研究中核病院の機能拡充などを実行することとしております。そして、今後の新たな新興・再興感染症にもしっかりと対応するべく、ワクチンの迅速な開発・供給を可能にする体制の構築のために、長期継続的に取り組むべき必要な政策群として、世界トップレベルの研究開発拠点形成、薬事承認プロセスの迅速化と基準整備、ワクチン開発・製造産業の育成・振興、国際協調の推進などを実行することとしています。
 変異型ウイルスも拡大しつつある中、国産ワクチンの開発・生産は、国民の皆様の関心も非常に高く、国民の命と健康を守るため最優先の課題です。この戦略に基づき、ワクチンの実用化を目指した支援を、引き続き緊張感とスピード感を持って強力に進めてまいります。
 次に、消費者担当大臣として報告します。
 消費者庁では、食品ロス削減に向け、農林水産省、環境省、日本フランチャイズチェーン協会と連携し、消費者に「てまえどり」を呼びかける取組を、本日より実施します。
 「てまえどり」とは、商品棚の手前にある商品を選ぶことで、これまで神戸市などで取組が行われてきました。今回は協会に加盟するコンビニエンスストア4社の全国の店舗で、商品棚等に啓発資材を掲示し、買い物をされる方へ呼びかけを行います。啓発資材は、消費者庁ウェブサイトにも掲載しておりますので、自由に御利用いただきたいと思います。
 なお、これに関係し、一部の小売店においては、販売期限の迫った商品にポイントを付与するなどの取組も進められており、今後、食品ロス削減を進める上で、こうしたインセンティブを伴う取組の効果にも注目しております。消費者の皆様には、すぐ食べるものは「てまえどり」を心がけ、食品ロス削減に御協力をお願いいたします。
 最後に、国際博覧会担当の大臣として報告します。
 昨日、アラブ首長国連邦のカアビー文化・青少年大臣との間で、2025年大阪・関西万博について、二国間のウェブ会談を行いました。アラブ首長国連邦は、本年開催されるドバイ万博の開催国です。会談では私から、ドバイ万博成功への期待を表明するとともに、ドバイ万博に続く大阪・関西万博の成功に向け、アラブ首長国連邦の参加を重視しているとして、早期参加表明を強く働きかけました。先方からも、大阪・関西万博への強い期待が表明されました。参加を前向きに検討いただいている模様であり、大変心強く思っています。
 これまで私からは、56カ国1国際機関に対し、直接の働きかけを行っています。今後とも様々な機会を活用して、しっかりと招請活動を進めてまいります。
 以上です。

2.質疑応答

(問)物質・材料研究機構が、世界トップレベルの研究者を公募して、研究者のスタートアップ資金として1億円配分するという報道があったんですけれども、大臣としては、こういう取組についてどのように受け止めているんでしょうか。
(答)まず、報道の内容につきましては、現在、物材機構(NIMS)で検討していると承知をしております。いずれにせよ、御指摘のNIMSが研究開発を推進するマテリアル分野、これは我が国の輸出産業の要であり、社会を大きく変革する研究成果を創出するなど、我が国が強みを持っている分野です。政府として4月にマテリアル革新力強化戦略、これを取りまとめたばかりであり、まさにこれから戦略に基づく取組を着実に実施するところです。
 私自身も、4月にNIMSを視察させていただきました。記事の中にある産業技術総合研究所も同じタイミングで訪問させていただきましたけれども、このような制度は、研究者の意欲を大いに引き出す注目すべき制度であると期待しています。
(問)もう一つは、ワクチンの戦略なんですけれども、これを実施するためには、かなりの予算が必要かと思うんですけれども、例えば健康・医療分野の調整費とか、あるいは補正予算とか、そこら辺について大臣のお考えはありますでしょうか。
(答)当然、この戦略をつくるに当たって、財務大臣、財務省も参加をしてもらっておりますので、政府内においてそういった予算の手当も含めて、しっかり実行していくということになります。
(問)国産ワクチンについてお聞きしたいです。
 国産ワクチンの議論は、今までも続いてきましたが、本日閣議決定したということで、改めて大臣の期待感についてお伺いしたいです。期待するところについて教えていただければと思います。
(答)今、新型コロナの中で国産のワクチンの開発や生産が非常に遅れているということは、国民の皆様から厳しい御指摘をいただいていると。そういった現状ですから、これは何としても取り組まなければいけないですし、また変異型ウイルスもそうですけれども、いつ新しい感染症がまた流行する、そういったおそれもありますので、そういう意味では、もうとにかくできることから、なるべく早く、あらゆる対策を取っていかなければいけないと思っています。
 他方で、今までもそういったことが叫ばれて、政府としていろいろ戦略は立ててきたけれども、現状こういった状況にあるということが、残念ながら浮き彫りになってしまったわけですから、今回こそ本当にやらなければいけないという思いでやっていきたいと思います。
 おかげさまで今日、戦略を決定することができましたけれども、むしろこれからが勝負の時だと思っておりますので、関係省庁としっかり協力をしながら、政府一丸となってこの取組を進め、国民が安心できるような、そんなワクチンの生産・開発体制を整えていきたいと思います。
(問)ワクチンの関係でお伺いします。
 タスクフォースを立ち上げられてスピード感を持ってやってきたというところがあると思うんですけれども、それを踏まえて、この振り返り、スピード感というのを、大臣どのように感じられているかというところと。あと、明日サミットがあるかと思うんですけども、この戦略をどのように打ち出していきたいかというところをお願いいたします。
(答)とにかくなるべく早くこういった戦略をつくらなければいけないと。今、本当にコロナで国民も非常に困っている、心配している、そういう状況ですから、一刻も早く国産ワクチンを、ということで、非常に急いでこの戦略をつくることができました。遅ればせながらかもしれませんけれども、先ほど申し上げたように、これは実行していくことが大事ですから、取り組んでいきたいと思っています。
 国際的にもちょうど明日、COVAXのサミットがありますので、総理から、この戦略を諸外国に対して発表していただくということになっております。
 この戦略の中にも、国内的な施策だけではなくて、国際的な協力が必要な項目もありますから、そういう意味では、諸外国にも理解と協力をお願いしていきたいと思っています。
(問)まず、万博担当大臣としてお伺いします。
 UAEの大臣と会談をされたということで、ドバイ万博に関して、コロナが世界的に見てもまだ収まっていない状況で、先方の大臣から新型コロナについて何かお話はありましたでしょうか。
(答)コロナについては、UAEもなかなか厳しい状況にあるということで、私からは、とにかくコロナを収束させて万博に取り組みましょうということは申し上げましたけれども、先方からは特にコロナについて触れたような発言はありませんでした。
(問)少し変わりまして、消費者担当大臣としてお伺いします。
 おととい、地下鉄でモバイルバッテリーから煙が上がるといった事故があって、地下鉄が一時運転を見合わせるという騒ぎがあったかと思うんですけれども、消費者庁のほうでもモバイルバッテリーの事故に注意を呼びかけていらっしゃると思うんですが、改めてモバイルバッテリーの取扱いについて、国民にどういうふうに注意をしたらいいかというのを教えてください。
(答)以前から消費者庁としても、この問題についてはいろいろ取り組んでまいりましたけれども、今回の事案を受けて我々でも何かできることがないか、検討していきたいと思います。
(問)再びワクチンの話をもう一回確認なんですが、8時からあった戦略推進の本部なんですけれども、こちらではどういう話が主に出たのかなというところで、特にすごく関係する省庁の大臣はどんな発言をしたのかなというのを確認したかったんですが。
(答)5名か6名ぐらいの閣僚から発言があったかと思います。5名ですね。文科大臣、経産大臣、厚労大臣、それから河野大臣、西村大臣。いわば新型コロナワクチン関係の関係大臣から発言をいただきました。これは当然この戦略をつくるに当たって、それぞれの大臣、各省とも協議をしながらつくっておりますので、そういう意味では、それぞれ所管の分野について、この戦略に基づいてしっかり取り組みますと、そういった御意見が多かったと思います。
(問)学術会議の関係で1点だけお願いします。
 2014年から15年の学術会議を巡る有識者会議は原則公開だったと思うんですが、前回第1回の議論、一部が非公開になったと思います。大臣、この点、ぶら下がりでは「有識者議員の方に判断を任せた」とおっしゃっていたんですが、国民の注目も高く、議論の透明性確保というのも今後重要になってくると思うんですが、この点、どう工夫されていくお考えでしょうか。
(答)この間申し上げたとおり、基本的にはこれはやはり有識者のそれぞれの委員の先生方のお考えを尊重したいというのが私の考えです。他方で、所管する、全てのこういった会議について、私はなるべく公開にしてもらいたいと。やはり国民に対して、そこは説明責任もあるとお願いをしています。その上で、なかなか機微に触れる情報が含まれているとか、あるいは全面公開だと発言者が萎縮してしまうとか、いろんな理由もあるんだと思います。その上で、有識者の方々に御判断をいただければと考えています。

(以上)