井上内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和3年5月18日

(令和3年5月18日(火) 9:15~9:34  於:中央合同庁舎第4号館2階共用220会議室)

1.発言要旨


 まず、科学技術政策担当の大臣として報告をします。
 先日発表させていただきました「日本学術会議の在り方に関する政策討議」の第1回目を、20日木曜日の「総合科学技術・イノベーション会議(CSTI)有識者議員懇談会」において開催をいたします。国会の状況が許せば、私も出席する予定です。
 第1回目につきましては、まずは日本学術会議の梶田会長から、先月御提出をいただいた報告書について御説明をいただき、CSTI有識者議員間で議論をしていただきたいと思います。
 学術会議自らが残された多くの事項について検討を深めていく上でも、また、自ら決めたことについて、これから実際に改革を進めていく上でも、学術会議内で議論を閉じてしまうのではなく、幅広く外部の視点も取り入れることが重要です。今回の政策討議はその一環であり、今後CSTI有識者議員に限らず、幅広く外部の意見を伺ってまいりたいと思います。詳細につきましては、大臣官房までお問合せをいただきたいと思います。
 次に、消費者及び食品安全担当の大臣として報告をいたします。
 今月は「消費者月間」であり、本日「5月18日」は「消費者ホットライン188(いやや)」の日でもあります。
 今年の消費者月間のテーマは「“消費”で築く新しい日常」であり、いわゆるエシカル消費の一環として、復興支援に向けた動画を作成したので、御紹介します。この動画は、被災3県の生産者が「Global G.A.P.(グローバルギャップ)認証」、「食肉対米輸出認定」、「HACCP(ハサップ)認証」のような国際認証を取得されるなど、食品の安全性の確保に向け、積極的に取り組まれていることを紹介するものでもあります。
 今年は東日本大震災から10年目の節目であります。先日公表した調査でも、1割程度の方はいまだ被災地の食品の安全性に不安を感じるとの結果でありましたが、これは事実と異なる認識であり、大変残念だと思います。消費者庁としても、消費者に3県の食品が安全であることを広く知っていただきたいと思います。
 皆さまにも一度御覧いただくとともに、正しい理解・判断が広がるよう周知に御協力をお願いいたします。
 最後に、国際博覧会担当の大臣として報告します。
 昨日、ニュージーランドのアウピト・シオ太平洋島嶼国担当大臣兼外務副大臣との間で、2025年の大阪・関西万博について2国間のウェブ会談を行いました。会談では、私から大阪・関西万博の成功に向け、早期参加表明を強く働きかけました。先方からは、強い期待を表明されました。参加を前向きに検討いただいている模様であり、大変心強く思っております。
 これまで私からは、合計56カ国1国際機関に対し直接の働きかけを行っております。今後もしっかりと招請活動を進めてまいります。
 以上です。

2.質疑応答

(問)明後日の学術会議についての政策討議についてお聞きしたいんですけれども、これは梶田会長のプレゼン等は公開でやるけれども、議論、意見交換については、もしかしたら非公開になるかもしれないというふうなことを聞いているんですが。大臣は先週、なるべく会議は公開でやるべきだと、それで公開を進めるんだとおっしゃいましたけれども、大臣としては今回の意見交換なんかも公開でやるべきだとお考えなんでしょうか。
(答)基本的には、なるべく会議は公開にしていただいて、国民の皆さんにも見ていただきたいと思っています。ただ、先週も申し上げたように、例えば個人情報に関わることであるとか、あるいは機微な議題であったりと、そういった場合には非公開ということになると思います。CSTIの有識者の皆さん方の判断があると思いますので、その判断を尊重させていただきます。
(問)先ほど大臣は「報告書について説明していただいて、それで有識者同士で議論を」と。「学術会議自らが検討を深めたり、自ら決めた改革を進めていく上で、幅広い意見を取り入れる」というお話だったんですけれども、これからいろんな人の意見を聞いたり、CSTIの有識者議員の意見を聞いたり、その結果として、学術会議が、自ら変えていくための報告書というようなものを出すのか、あるいは政府として何らかの考え方を示すのか。どこら辺に議論の決着点というか、ゴールを設定されているんでしょうか。
(答)学術会議に関しては、報告書を出していただきましたけれども、その時にも当然、あくまで一定の区切りとして出していただいたので、その報告書の中でも検討事項として残されたものはたくさんありますから、引き続き検討を進めていただきたいと思います。
 それから、そういった報告書などに書いてあることを、まさにこれから実行していく、といったことは引き続き努力をしてもらいたいということは申し上げておりますので、それは学術会議側も理解してもらっていると思っています。
 ただ、他方で学術会議側から報告書が政府に提出されたわけですから、それを受けて政府として、この学術会議をどういう改革をしていくかと、そういうことはやはり我々としても考えていかなければいけないということで、そういう意味でCSTIの有識者懇談会にこういった場を設けたということであります。
 先日、自民党の会合にも私、出席して感じましたけれども、やはりどうしてもそれぞれの御意見に乖離があるということで、学術会議内部で大変御苦労されて検討されましたけれども、やはり内部の検討だけではなくて、外部の第三者の方々の意見を取り入れるということは、非常に重要だと思っていますし、それはひいては国民の意見、期待につながるものだと考えております。
(問)今の話の関連で、学術会議のことについて、大臣は冒頭、「残された多くの事項について検討する」というお話もあったと思うんですけれども、大臣が今お考えになっている残された多くの検討事項、例えばどんなことを想定されていらっしゃるんでしょうか。
(答)すみません、私の発言は、今後、学術会議自らもさらに検討を深めていかないといけないということで、それは残された多くの事項についても検討を深めていくということを申し上げました。ですから、我々政府なり、CSTIなりが議論していくという意味では、これは別に何か限定するものではなくて、広く学術会議の在り方について検討をしていきたいと思っています。
(問)学術会議は、自身の在り方についてこのままが適切だというような報告書というか、一定の取りまとめをしたと思うんですけれども、在り方についても、まだ残されたものの中に入っているという認識なんですか。
(答)ですから、我々政府の検討に関しては、特段何が残されて何が残されていないという、そういうことは考えておりません。私が発言したのは、学術会議自らがこれからさらに検討していく中で、残された課題についても、ということを申し上げたので、その学術会議が残された課題という意味でいえば、やはりそうは言っても設置形態についても、確定的に報告書の中でこうしなければいけないといったことを言っているわけではないので。例えば特殊法人という形態も考えるというようなことも言っておりますので、そういう意味では、検討をさらに深めてもらいたいと思っています。
(問)今の学術会議の件ですけれども、毎回のテーマ設定ですが、おそらく明後日は梶田会長のほうから、学術会議でまとめられた報告書についての説明があって、それについての意見交換になるというふうに思っていますけれども、来月以降、どういった形でその議題を設定していくのか。もし描いていらっしゃるプランがあるのであれば、教えていただけますでしょうか。
(答)これはむしろ、このCSTIの懇談会全般にわたりますけれども、担当大臣である私が、あまり「こういったことを検討してくれ」、「こういった方向性でお願いします」ということは言わないほうがいいと思っております。やはりCSTIの議員の皆さま方が自発的にいろいろ考えていただいた上で、議論を深めてもらいたいと考えています。
(問)これはそうすると、どなたか座長を置いて、その方を中心に議論を進めていくという形になるということでしょうか。
(答)当然会議ですから、やはりどなたかに座長をお願いしないと、なかなか運営上難しいと思っています。
(問)上山先生ですか。
(答)そうですね、上山先生は常勤の議員ですから、重要な候補だと思っています。
(問)あともう一点ですが、以前、大臣は「梶田会長は当事者であることから、会議の出席については、これ以降どうするかは検討の余地がある」というようなお話をされていたと思うんですけれども、これについて今改めてどのようにお考えでいらっしゃいますでしょうか。梶田会長がこの政策討議に、2回目以降参加していくことについてのお考えです。
(答)ですから、これはCSTIの規定の中でも、利益相反のおそれがある場合には参加しないことができるといったような規定もあるようですので、そういったことを前提として、先ほど申し上げたように、私から何か指示をするということではなくて、CSTIの側で、梶田会長の参加についても考えていただければと思います。
(問)先ほどの「ゴールをどこに設定するのか」という質問の答えが、私はちょっとしっくり来なかったところもあって、もう一度お伺いするんですけれども。いつまでも議論をずっとしていくわけにもいかないと思うんですよね。それで一定の政府としての結論というのも得なければいけないと思うんですけれども、このいつ頃を目途に政府として今後学術会議をどうしていくかという結論というのは、どのあたりに大臣として設定されているんですか。
(答)これもですから、私からCSTI側に対して、いつまでに答えを出してくれとお願いするというよりも、やはりCSTIの皆さんでぜひ考えていただきたいと思っています。いろいろ実際その議論を進めていけば、その議論がどこまで深まって、そしてどういった方向性かが自然と集約されていきますよね。ですから、そういった状況を見ながら、御判断をいただくということになるかと思っています。
 ただ、他方で国民の関心も非常に高い、そういった課題でもあります。ですから、あまり長い時間をかけるということもよくないですし、また他方であまりすぐですと、これは拙速だということがあるので、ちゃんと議論もしなければいけないと。
 過去、2回ほどこういった有識者会議のような形で、この学術会議に関して検討して、そのときも数カ月から2年近くですか、1年数カ月ぐらいやられていたわけですから、自然とそれぐらいが視野に入ってくるかなとは思います。
(問)まだ、これから議論が始まるところで、こんなことを聞くのもあれなんですけれども、CSTIの議論の中でも、もしかしたら今の在り方というものがふさわしいという結論が出ることもあり得ると思うんですけれども、その場合は政府としては、その結論というのは尊重されるということになるんですか。
(答)もちろんそのままということではないと思いますけれども、それは当然尊重しなければいけないと思います。どういう結論があれ、ということです。
(問)自民党のほうが求めている、PTが求めているような在り方のほうに結論が寄っていくまで、いろんな議論をどんどんやっていくわけではなくて、ある程度のところでちゃんと政府としても結論は出すということなんですよね。
(答)当然そうです。ですから、先ほどから申し上げているように、私から一定の方向性を示して指示をするといったことは考えておりません。ただ他方で、これはやはり政府全体として答えを出さなければいけない課題だと思っていますから、いずれにせよ、政府として何らかの答えをしっかり打ち出していくということです。
(問)しつこくて申し訳ないですが、それはこのCSTIの議論を経て、政府としての方向性というのは、もう結論を出すということですか。
(答)そうですね。
(問)2点ほどお聞きします。
 1点目は、今日が「188(いやや)の日」ということですが、「188の日」というのは、確か2年前に登録されたというふうに記憶しておるんですけれども、改めて、その「188の日」の意義をもう一点確認したいと思います。
 それともう一つが、先ほど動画を作られたということで、動画が配信されるということです。被災3県の食の安全とか、再興を頑張っていらっしゃる方々です。
 その中で、大臣、先ほども1割程度の人がいまだ不安を感じていらっしゃると、残念であるということでおっしゃいました。これは放射性物質のことではないかと思いますけれども、1つお聞きしたかったのは、閣議のほうで原発の処理水の海洋放出を決定されて2年後ということですけれども、こういう動きが現地の方々にとっての食の安全確保であるとか、そういう頑張りに対して支障を来すような、そういう結果にならないように、安全確保をどうしていくのかということを1つお聞きしたいと思いました。
(答)1つは、その「188(いやや)の日」でありますけれども、これは188のホットライン、それから188のキャラクターとか、いろいろ我々消費者庁も努力をしておるんですけれども、正直言うと、やはり国民的にはまだまだ浸透が深まっていないかなと思っています。ですから、この「5月18日」、あるいは「消費者月間」、こういった機会に我々もしっかりPRをして、そして消費者ホットラインの存在というものを国民の皆さまに認知をしていただいて、ひいては消費者被害を防止していこうと考えております。
 それから、原発の処理水の放出に関しては、この放出自体については私自身、所管ではありませんので回答は控えますけれども、消費者担当大臣といたしましては、この処理水の放出によって新たな風評被害が発生しないようにといったようなことは、非常に重要だと思っておりまして、この処理水なり、あるいは被災地の食料品などについて、その安全性をよくPRをして国民の理解を深めていく努力をしていきたいと思います。

(以上)