井上内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和3年5月14日

(令和3年5月14日(金) 10:36~10:59  於:中央合同庁舎第4号館2階共用220会議室)

1.発言要旨


 科学技術政策担当の大臣として報告します。
 先ほど、自民党の「政策決定におけるアカデミアの役割に関する検討プロジェクトチーム」に出席しました。本日のPTでは、学術会議の報告書の内容について説明させていただくとともに、先日発表させていただいたとおり、「CSTI有識者議員懇談会を、日程は調整中ではありますけれども5月中には開催をしたい」ということを申し上げました。
 PTでは、「学術会議は国民の期待に応えていない」、「組織形態について学術会議が国の組織を望んでいる理由が不明」、「会員選考に当たっては、第三者機関を設置するなど公正かつ厳正な審査プロセスが必要ではないか」、「報告を受けて政府として責任を持って取り組むべき」など、非常に厳しい御意見を頂戴し、私からは、PTでの議論を十分に参考にさせていただきながら検討を進めていくと申し上げました。
 いずれにせよ、学術会議自らが残された多くの事項について検討を深めていく上でも、また、自ら決めたことについて、これから実際に改革を進めていく上でも、学術会議内で議論を閉じてしまうのではなく、幅広く外部の視点も取り入れることが重要です。日本学術会議が国民に期待され、その役割をしっかり果たしていくための改革について、今後とも梶田会長とコミュニケーションを取りながら、未来志向で取り組んでまいります。
 次に、消費者及び食品安全担当大臣として報告します。
 6都府県に緊急事態宣言が発出されております。現時点では生活関連物資の需給状況に大きな変化はなく、新型コロナウイルスに関連する消費生活相談件数は、ゴールデンウイーク中は低水準ではありましたが、引き続き注視してまいります。
 ただ、ワクチン接種が進む中、5月に入ってから、「ワクチン接種の予約代行をする」と市役所職員を名乗った人が自宅に訪ねてきた、そういったワクチン接種の予約代行に関する相談が増加をしています。
 複数の自治体が予約代行を行っているケースもあり、自治体名を出して予約代行の話があった場合は、お住まいの自治体に確認するようにしていただきたいと思います。
 また、日常的にお付き合いのある機関以外の人から予約代行の話があった場合は、先ほど申し上げたような詐欺被害につながりかねない相談事例もありますので、「金銭の支払い」、また「個人情報の提供」、こういった要求があった際には十分に御注意をいただきたいと思います。
 本日、国民生活センターから、ワクチン接種の予約代行に関する相談事例などを公表しますので、御覧ください。消費者におかれては、不審な勧誘やトラブルなどがあった場合には、一人で悩まず、「新型コロナワクチン詐欺 消費者ホットライン」などに御相談をお願いいたします。
 最後に、健康・医療戦略担当の大臣として報告をします。
 5月18日、健康・医療戦略推進本部の下で、有識者の方々に計画の実施状況等について御審議いただいている健康・医療戦略推進専門調査会の第27回会合を開催します。
 この会合につきましては、これまでも事後に記者ブリーフィングを実施するとともに、配付資料および議事概要を公表しておりましたが、議論の一層の透明性を図るため、今回から、希望する記者の皆さんには傍聴していただけるよう、私から事務方に指示をいたしました。
 有識者会議等の議論の内容が伝わってこないという御指摘を、この会見の場でもいただいたことがありますが、この会議に限らず、できるだけ議論の内容が的確に伝わるよう努めてまいりたいと思います。
 以上です。

2.質疑応答

(問)政府が国産ワクチン開発で新しい戦略を策定するという報道があったんですけれども、その事実関係について、まず教えてください。
(答)報道内容は承知しております。
 これまで私、申し上げてきたとおり、新型コロナウイルス感染症の被害拡大を防ぐため、変異型ウイルスも拡大しつつある中、国産ワクチンの研究開発は政権としても極めて重要と考えています。医薬品開発協議会の事務局内にワクチン開発・生産体制強化タスクフォースを設けて議論をして、その協議会におきまして政府としての対応案を早急に取りまとめるべく進めております。
 今後の新たな新興、また再興感染症にしっかりと対応するためにも、御指摘の論点も含めて、関係府省の垣根を超えて十分かつ迅速な議論を行って、これらの課題の解決に向けて5月中に結論を得られるよう、検討を加速してまいります。
(問)学術会議の自民党のPTのことについてお聞きしたいんですけれども。その中で、国の機関でいる意味が分からないというか、維持する意味についてPTから意見があったかと思うんですけれども、大臣としては学術会議は、学術会議の報告書にあるように国の機関であるべきなのか、それとも、もうちょっと別のことも想定されるとお考えなのか、大臣としてのお考えを教えてください。
(答)これは従前から申し上げているとおり、現状の形態にとどまらず、様々な形態について検討していかなければならないと思っております。これは学術会議の側にも従来から申し上げてきたとおりだと思います。とりわけ自民党からは、独立した形態をというような提言もいただいております。
 他方で、国の機関にとどまるということであれば、それは国民に対する責任というものをしっかり果たしてもらわなければいけないということで、そういったポイントについて、よく精査をしていく必要があると考えます。
(問)今の学術会議の自民党のPTに関してなんですけれども、非常に厳しい意見が出て、これを十分に参考にしながら検討をしていくということだったんですけれども、今後、CSTIの有識者議員懇談会で議論していくに当たって、そういった厳しい意見というものをどのように反映させていけるかというふうにお考えでいらっしゃるんでしょうか。
(答)これは、これからCSTIの有識者会議をやっていただくわけですから、CSTIの有識者の皆さん方にまず考えていただきたいと思っています。しかし、当然のことながら、これは国民の代表である与党の皆さんの意見でありますから、そういったことも尊重した上で検討を進めてもらいたいと考えております。
(問)大臣のほうから、何らか議員の方々にそういったことをお伝えになるということなんでしょうか。
(答)尊重してもらいたいということは伝えたいと思っていますが、まだこれからスタートするという段階で、私から何らかの方向性を示すとか、そういったことは差し控えて、むしろ有識者の方々のそれぞれのいろんな御意見にまずは委ねたいと思います。
(問)大臣、冒頭おっしゃっていたワクチンの予約代行についてなんですけれども、いくつかの自治体で実際に代行の話があると。これは基本的に全て無料でされているということなんでしょうか。
 ワクチンの予約は、ネットの予約はやはり自分はできないという高齢者の方が多いんですけれども、もし今後、ワクチン予約代行を商売としてやる会社が出てきたときに、それは問題ないという認識なんでしょうか。
(答)全てを把握しているわけではないんですけれども、それはあくまで自治体のサービスとして、いくつかの自治体で代行ということをやっていると理解をしております。それがビジネスとして成り立つかどうかというのは私もよく分かりませんが、少なくとも消費者担当大臣としては、そういった詐欺行為が行われ、そして消費者被害が発生することを抑制していく、防止していくということだと思っていますので。いずれにしろ、少なくとも今の段階で代行サービスということで金銭の要求とか、あるいは必要以上な個人情報の提供、そういったことを言ってくるような話があれば、そこはもう十分注意してもらいたいということです。
(問)ちょっと話が変わって、特商法の改正についてなんですけれども、昨日の国会の質疑で、今回の改正案に盛り込まれた、メールなどでもクーリングオフを可能にするという部分について、民法では、「メールの意思表示は相手方に到達しないと効力を発揮しない」、「特別法に根拠規定がないと、サーバーの不具合などで消費者からのクーリングオフのメールが届かない場合に効力を発揮できないのではないか」という指摘が野党からあったと思うんですけれども、これは条文に修正などを入れるという話になっているんでしょうか。
(答)これは、まさに今、立法府で審議をしていただいており、今日も予定されておりますので、そこは私から現段階でお答えすることは控えたいと思っております。ただ、もちろん我々、政府の法案として国会に提出をして、率直に言って、その過程でいろんな意見が政府内でもこの点についてありました。消費者庁だけではなくて、内閣法制局とか、あるいは法務省とか、そういった見解を踏まえながら、こういった法案を提出させていただきました。しかし、国会審議ですから、これは立法府の皆さんが熱心に御議論していただいて、そして、その結果ということであれば、それをしっかり受け止めたいと思います。
(問)クーリングオフの電磁化って、消費者保護の観点で非常に重要で歓迎すべき内容だと思っているんですけれども、もし提出した法案の中に瑕疵があって、このままでは当初想定していたような効力が発揮できないというふうになった場合に、今、いろんな意見があったとおっしゃったんですけれども、法制局からの指摘はなかったのかなとか、どうして気付かなかったんだろうとか、そういう疑問が出てくることになるんですけれども。クーリングオフの電磁化は、やはり急遽ちょっと盛り込まれることになった項目だと理解しているんですが、何か時間が足りなかったとか、議論が足りなかったとか、今振り返ってみて、大臣のお考えを率直に伺いたいんですけれども。
(答)この例の、発信なのか到達なのかという件に関しては、従来我々が説明していた、メールですから基本的には発信と到達はもう同時点であるからということで、そういう説明をするということで、これは内閣法制局とも協議をして、それで可能だという我々の理解であったんですが。いろいろ与野党の協議の中で、そうはいってもそうならない場合もあるから、そこを措置しなければいけないという御意見があったと理解をしています。
(問)大臣、自民PTの冒頭で、政府、アカデミア、国民の代表の与党、なるべく考え方が一つになるようにという趣旨のことをお話しされたと思うんですが、内閣府の有識者会議は数年前に一度、現行の組織形態がいいというふうに言っていて、今回学術会議も現行がふさわしいという報告書をまとめていると思うんです。これに対して自民党が切り離しを今求めている状況だと思うんですけれども。そうすると、考え方がなるべく一つになるようにというのが、何だか自民党の意見をどう盛り込んでいくかというふうにもちょっと聞こえてしまうんですが、このあたり、大臣、どうお考えでしょうか。
(答)それはベースを何と考えるかによるのではないのですか。ベースを学術会議のこの間の報告書と考えたら、それはそういうことなんでしょうけれども。私は、ですから、そこはやはりフラットに考えて、当然国民の中にもいろんな意見があるわけです。それをやはり丁寧に聞きながら、そしてよく考えて結論を見出していくということをしなければいけないと思うんです。
(問)そうすると、その議論の結果として、例えば今の学術会議の出してきた報告書から大きく変更がないということもあり得るという理解なんでしょうか。
(答)いろんな可能性はあると思います。
(問)万博についてお伺いしたいんですけれども、タイプAの期限を、以前6月と大臣、おっしゃっていたかと思うんですけれども、現状、タイプAの50区画のうち、表明をしている国を全て足し合わせたとしても足らない、到達しない状況だと思うんですけれども、現状の評価について、大臣、教えてもらえますでしょうか。
(答)まずお答えする前に、この場をお借りして、現在の参加招請活動の具体的な成果について報告したいと思います。
 これまで私から56カ国と1国際機関に対し直接働きかけを行っており、総理や他の閣僚からも働きかけをいただいています。また、世界各国にある大使館等からも熱心に任国政府に対し働きかけをしてもらっております。その結果、新たにアンゴラ、ザンビア、スイス、ラオスより正式に参加表明をいただきました。これにより、29カ国及び3国際機関の参加表明について発表したこととなります。
 御質問の件につきましては、現時点でアンゴラ、インド、ドイツ、バーレーン、ロシアの5カ国につきましては、いわゆるタイプA、すなわち独自館での出展ということで参加表明をいただいております。それ以外の国については検討中であると承知をしております。
 我々も、できる限りの参加招請をやっておりますけれども、新型コロナの影響とか、いろんな状況の中でなかなか厳しい状況、6月末までにタイプAを50カ国という目標に対しては厳しい状況にあるという認識はしております。まだ6月末まで1月半ありますから、そういう意味では、さらに力を入れて取り組んでいく。とりわけ、29カ国の中で、まだどのタイプで参加するかというのを表明されていない国も多くありますから、そういった国に対しては、なるべくタイプAで参加してもらいたいといった働きかけを強めていきたいと思います。
(問)期限としては6月末ですか。以前、僕の記憶だと6月の末なのかどこなのか、ちょっとはっきり僕の記憶ではなかったんですけれども、期限としては6月末ですか。
(答)私は6月末のつもりで言っていたんですけれども。
(問)それまでに積極的な働きかけをしていくということですか。
(答)そうですね。6月末というのも、前から申し上げているとおり、タイプAということになると、自分で設計・施工とかやらなければいけないものですから、そういう意味では時間がかかるからということで言っている一定の目安ですので、必ずしも7月になったら受け付けないとか、そういうことではないということですので、そこは御理解いただければと思います。
(問)ワクチンの話、ちょっと確認なんですけれども、6月2日にサミットがあると思うんですが、こちらに関しては、健康・医療の戦略的に内閣府としては何か関わることはあるんでしょうか。
(答)そうですね。ですから、先ほど申し上げたことを5月中に決定をして、そしてサミットでも、しっかりそれを発信していきたいと思っております。
(問)あと、冒頭あった話の、記者に専門調査会の話を公開するという話は、内閣官房から内閣府に移ったということが影響しているという、影響というか移ったことによって、公開をもうちょっと記者にもしていこうということの理解でよろしいですか。
(答)いやいや、別に組織のことはあまり関係なく、この会見の場でも記者の皆さんから、なるべく公開してほしいという要望もあったものですから、それを私、受け止めまして、少なくとも私の所管するそのような有識者会議などについて全部点検をいたしまして、そして要請もしました。こういった有識者会議、基本的には委員の先生方の意向に沿った形で運営をしていくということになりますから、そういった委員の先生方の意向なども確認をした上で、一つ一つ、今なるべく公開の方向にしていこうという作業をしております。今回、この健康・医療の会議がそういう合意ができたということで、私から発表させてもらったということです。
(問)冒頭のワクチン予約代行詐欺の件でちょっと伺いたいんですけれども。やはり前提として、そもそも予約がひっ迫しているということと、なかなか手続上、インターネットを使えない高齢者の方が多いというところが多いと思うんですけれども。これは井上大臣の所管ではないかもしれないんですけれども、消費者利益の確保という点から、サービスのほうとの連携というんですか、より消費者のメリットの高いようなサービスにしていくような、他省庁とか他大臣との連携というのは、何か今、大臣、考えていらっしゃらないんでしょうか。
(答)そうですね。私は、どちらかというと消費者被害の防止という観点ですので、そういう意味では直接的な所管ではないと思っております。ただ、こういった代行ということも消費者の立場からしてみれば、これは適正にやっていただけるのであればありがたいことなのかなとは思います。
(問)その意味で、被害防止と、利益のより拡張とか増強という意味でいうと、その増強の面は、例えば河野大臣との連携とかというのは何か考えていらっしゃらないのでしょうか。
(答)そうですね。このワクチン詐欺の防止については、河野大臣とも協議をして、対策についても協力して取り組んでいます。そのことが結果的にワクチン接種の迅速化につながるのかなと思っています。
(問)1つ確認なんですけれども、先ほどの大臣の所管の会議について、なるべく公開したいというお話だったんですけれども、宇宙政策委員会とか、その下の小委員会なんかも、これから公開の方向で、大臣、検討されているということでよろしいでしょうか。
(答)それぞれ検討はしているんですが、例えば個人情報でありますとか、あるいは安全保障に関わるような機微な情報があるとか、いくつかやはり非公開の理由というものがありますので、そういったところを丁寧に精査をし、かつ、やはり有識者の皆さん方のお考えというものをやっぱり尊重しなければいけないものですから、そういった観点から作業を進めていきたいと思っています。

(以上)